鉄腕アトム
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『鉄腕アトム』(てつわんアトム、日本での英語題はMighty Atom)は、手塚治虫のSF漫画作品及び同作を原作としたテレビアニメ、特撮テレビ番組の作品名、並びに作品内の主人公である架空のロボットの名称である。テレビアニメ版で使用された主題歌の曲名でもある。21世紀の未来を舞台に、原子力(後に核融合)がエネルギー源の、感情を持った少年ロボット、アトムが活躍する物語。米題は『Astro Boy(アストロ・ボーイ)』。
目次 |
[編集] 概要
本作は、1951年(昭和26年)4月から、翌年3月に連載された、『アトム大使』の一登場人物(ロボット)であったアトムを主人公として、1952年(昭和27年)4月から1968年(昭和43年)にかけて、「少年」(光文社)に連載され、1957年(昭和32年)4月13日から同年9月28日にかけてKR(現・TBS)によってテレビ紙芝居も放映された。1959年(昭和34年)から1960年(昭和35年)に、毎日放送制作・フジテレビ系で特撮ドラマ化され、また1963年(昭和38年)から1966年(昭和41年)にかけて同じくフジテレビ系でテレビアニメ化された。このアニメ第1作は平均視聴率30%を超える人気を博し、その後、世界各地でも放映された。
1980年(昭和55年)に、日本テレビ系で、カラー版が制作され、さらに1作目と同じくフジテレビ系にて2003年(平成15年)に『アストロボーイ・鉄腕アトム』として、2回目のリメイクが放映された。
また、1作目と2作目の間に、『ジェッターマルス』という作品で、また手塚の晩年には、『アトムキャット』で、それぞれ本作のリメイクが行われた。又、第1作のアニメの最終回を見た読者や視聴者から「アトムを死なせないで」という要望が出ていた為、その後のアトムを描いた続編となる『新・鉄腕アトム(全集収録に際し『アトム還る』に改題)』を「小学四年生」に執筆するが、アトムの姿を変えたりする等、設定を大幅に変更したこと等があり、あまり評判も良くなく、半年で打ち切りとなっている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場キャラクター
[編集] アトム
鉄腕アトムは昭和26年(1951年)の漫画『アトム大使』に脇役で登場したところ、主役(大目タマオ)をしのぐ人気となったので、アトムを主人公として設定を少し変更した上で描かれたのが本作である。
『アトム大使』は、私たちの住んでいる「地球」ではない、もうひとつの「地球」の人々が、その「地球」の大爆発で母星を失い、宇宙を放浪していたところ、わたしたちの「地球」に着いたが、どちらの地球人もよく似ており、はじめは友好的関係を保って生活をした。しかし、食糧問題などを心配した「もともと地球に住んでいる地球人」が「宇宙を渡ってきた地球人」と対立(反対派頭目は天馬博士)。「地球に住む地球人」のロボットであるアトム(天馬博士のロボット)が間を取り持つ事で対立は収まり(天馬博士は自分の作ったクスリでゴミのように小さくなってしまう)、地球人と宇宙人は半分ずつ金星に飛び立つという物語。 なお、最後にお礼として、アトムは「宇宙を渡ってきた」地球の人々から大人の顔を貰う。
設定では、2003年4月7日がアトムの誕生日とされる。製作者は天馬博士。交通事故死した息子、天馬飛雄に似せて作られた(当初は、アトムもトビオと呼ばれていた。「アトム」と名付けたのは、サーカスの団長)。トビオは、人間とほぼ同等の感情と様々な能力を持つ優秀なロボットであったが、人間の様に体が成長しない事に気づいた天馬博士はトビオをサーカスに売ってしまう(但し、アニメ第2作では、アトムが天馬博士と客船に乗っていて一人になった時、悪徳サーカス団長に騙され、サーカス団員として契約書に署名させられて拉致されるという設定である)。 やがて感情を持つロボットに対し、人間と同じ様に暮らす権利が与えられる様になると、アトムの可能性に着目していたお茶の水博士に引き取られた。そして情操教育としてロボットの家族と家を与えられ、人間の小学校に通わされる様になる。学校での生活は、同級生達と紆余曲折しながらも仲良くやっている。
性格は絵に描いたような「良い子」。真面目で素直で正義感が強いが、時にロボットである自分に苦悩や葛藤することも多い。
- 誕生日の4月7日は鉄腕アトムの連載が始まった「少年」の発売日であった。原作では、「ミーバの巻」(昭和41年(1966年)9月号~12月号)などに誕生日についての記述(ミーバの巻では天馬博士のセリフ)がある。
アトムは7つの力を持っている。内容は以下の通りである。多少バリエーションがある。
- ジェット噴射により最大マッハ5で空を飛ぶ(→マッハ20との記述も有り。宇宙空間ではロケットに切り替わる。)
- 60ヵ国語を自由に話す(→漫画連載開始当時、国連に加盟していた国家の数である。但しその当時日本は加盟していない)
- 人間の善悪を判断できる
- 聴力が1000倍(→10万倍との記述も有り)になる
- 眼がサーチライトになる
- お尻からマシンガンを発射する(→原作のうち子供用に描かれているものの一部(小学二年生版)と、カラーアニメ版と平成アニメ版では指先からレーザーブラストが出ることになっている(平成アニメ版での名前はフィンガービーム)。更に平成版では、左腕がアームキャノンに変型する。
- 10万馬力(後に原作では100万馬力に強化:「地上最大のロボットの巻」にて)
なお、物語の中では苦労して市民権を得たが、現実の2003年4月7日、アトムは手塚プロの所在地である埼玉県新座市の市民に登録(世帯主はお茶の水博士)され市役所の前でアトムの特別住民票が配付された。
アトムの髪型は、作者である手塚のくせ毛がモデル。
アニメや原作が終了すると人気が低迷するキャラクターが多い中、アトムは世代を超えた人気キャラクターとなっている。
[編集] アトムの家族
アトムの家族の名前はパパとママを除き、元素に由来している。アトムはAtom(原子)、ウランはUranium(ウラン)、コバルトはCobalt(コバルト)等、チータンTitanium(チタン)を除き、放射性元素に関する名前が付けられている。
- ウラン(科学省製;お茶の水博士指揮)
- アトムの誕生日のプレゼント用に、妹として作られた女の子のロボット。アトムの様な七つの能力を持たないものの、10万馬力の力を持つ。→『鉄腕アトム』(ウランちゃんの巻・史上最大のロボットの巻)参照
- しばしば悪人にアトムを倒す為の人質に取られる事がある(史上最大のロボットの巻など)。お転婆で、まれにお兄さん思いの一面も見せる。
- コバルト(科学省製;お茶の水博士指揮)
- アトムが水爆の起爆装置を止める作業中に突如行方不明になった時、アトムの代理を果たす為にお茶の水博士が作ったロボット。アトムと同じ力を持つ(原作の一部ではアトムより能力が劣るとされる)。しかし、アトムにある一番精巧な部分を持っていない為に、細かい作業が出来ない。
- 体内のオメガレーダー内のイプシロン線が左巻きになっている為、アトムのオメガレーダーと同じ信号を出し、お互いに呼び合う事が出来る。
- 一度壊れて(理由などは原作のバージョンにより詳細が異なる)、後にウランと共に再登場した際には飛行能力などのアトムの持っている能力は失われていた。
- 原作ではアトムの弟という設定だったが、1作目のアニメでは兄になっている。どちらも双子という設定。因みにアニメ2作目、3作目には登場しない。
- エタノール(アトムのパパ)(地方のロボット工場製)
- お茶の水博士が、「アトムにはロボットの親を」というタマオ(大目玉男)の意見(『アトム大使』)から、民間のロボット工場に注文、アトムの進級祝いとしてプレゼントされた。『アトム今昔物語』では、お茶の水博士がコツコツつくって、ロボット人権宣言後、サーカスから自由になるのを待って、プレゼントした。
- アトムより後に生まれた為小学校ではアトムの後輩。短絡的な部分もあるがアトムを守ろうとする考えの裏返しでそうなってしまう事が多い。アニメ第3作には登場しない。
- リン(アトムのママ)(地方のロボット工場製)
- パパと同時に作られた。顔はお茶の水博士の亡き妻に似ているという理由で博士が選んだ(『アトム大使』)。『アトム今昔物語』では、天馬博士の妻(天馬星江・トビオの母)の顔である。
- アトムをよく理解してくれている。パパ共々アニメ第3作には登場しない。
- チータン(ウランの弟)
- 最も後期に作られたウランの弟ロボット。一万馬力を誇り、泣き声で周囲を破壊してしまう。外見はほぼ赤ん坊。1作目のアニメ版から登場したキャラクターで、『少年』連載版の原作には登場していない。
[編集] 人間
- お茶の水博士
- 現科学省長官。巨大な鼻という特徴から、殆どの日本人に知られているキャラクター。因みにこの鼻は、作者である手塚治虫の団子っ鼻に由来する。ウランやコバルト等のロボットを造り、アトムの良き理解者でも保護者でもある。鼻に特徴のある顔立ちは手塚治虫の作品中、「火の鳥」等多くの作品に継承されている。アトムの生みの親と誤認される事が多いが、正確にはアトムの「育ての親」に当たる。お茶の水と言う名前の由来はJR御茶ノ水駅である。曾孫はタイムマシンの発明者。
- 天馬博士
- 1966年(昭和41年)丙午生まれ。アトムの生みの親。本名は天馬午太郎。群馬県出身。幼くして事故死した息子、飛雄への思いからアトムを製作する。しかし、アトムをサーカスに売ってからはアトムに会う事は殆どなく、隠遁者として生活している。技術者としては非常に優秀であり、お茶の水博士よりも高い技術を有する。影から常にアトムを見守っており、アトムを危機から救う事もある。
- 性格は原作とアニメなどで微妙に異なり、原作では純粋にアトムに裏切られて以降改心して、かつアトムを愛しているという描写がなされている。科学省長官を解任された後も、自分の隠れ家でロボットの研究を続け、アトム以上のロボットを作り上げている。
- アニメ第3作では、『天馬博士の真の目的はアトムをロボットの王にし、更に自分もロボットになり、ロボット達の神となることであった』とされ、アトムをはじめ心を持ったロボットは人間を超えて進化すると言い、お茶の水博士と衝突する。つまりアトムを自分の目的のために利用するのである(アニメ第3作で黒幕である事が判明した)。アニメ第3作の最終回ではアトムと親子として和解し、自首した。物語の最初では非常にエゴイスティックな天才科学者として描かれている。
- 原作でアトムを10万馬力から100万馬力にしたのも天馬博士である。
- ヒゲオヤジ
- 本名、伴俊作(ばん しゅんさく)。アトムの通うお茶の水小学校の先生。元私立探偵。お茶の水博士とも親しく、アトムの良き理解者。江戸っ子で、卑怯な事が大嫌い。手塚治虫の作品中、メトロポリス等数多くの作品に登場する。アニメ第3作では専業の探偵として登場。
- 敷島健一
- アトムの同級生。初期の手塚作品で多くの主役を演じたキャラクターであり、「アトム大使」では矢張り主人公格だった。その後はアトムの良き親友となるが、優等生的な性格故に目立たない。ブラジルに移住した事もある。アニメ第3作では海外の視聴者を意識して、黒人に変更された。
- 大目玉男
- アトムの同級生。愛称は「タマちゃん」。名前の通り、ひどい近眼のためにかけている大きな眼鏡と帽子が特徴。「アトム大使」から登場。気が弱くて慌て者である。
- 四部垣
- アトムの同級生。「鉄腕アトム」になってから登場。体が大きく、ガキ大将格。また裕福な家庭の子弟で、最新鋭の電化製品等が自宅にある。
- 田鷲警部
- 警視庁捜査一課長。痩身で大きな鼻の下にタワシの様なヒゲを生やしている。ロボットに対して厳しいキャラクターで、しばしばロボットやアトムへの不信感を口にし、お茶の水等と対立する。
- 中村警部
- 田鷲の同僚。小太りで、田鷲が私服なのに対し常に警官の制服を着ている。田鷲とは対照的にロボットやアトムには温情的。アニメ第3作では田鷲の優しい一面を強調する為か登場していない。
- スカンク草井
- 「電光人間」の回で登場した悪役。「アトムは完全じゃねえぜ、何故なら悪い心を持たねえからな」という発言をしてアトムに衝撃を与える(悪の心を持つアトラス(後述)の登場はこの発言よりも後)。その後も何度か出演している。映画俳優のリチャード・ウィドマークがデザインのモデル。
[編集] ロボット
- アトラス
- インディオとして差別されていたラム博士が、白色人種や黄色人種への復讐の為に作ったロボット。オメガ因子という装置を持っており、人間に対して平気で悪い事をする。アトムと戦い壊されてしまうが、アトムが自分の事を考える大きな切っ掛けとなる。
- ラム博士も同時に亡くなってしまうが、自分の考えが誤っていた事を悟る。
- アニメ第2作ではアトムの設計図から作られたボディにオメガ因子を組み込まれたという設定(最初は少年の姿だったが後にパワーアップして青年の姿に)で、シリーズを通してアトムと対決を繰り返すライバルであり、同じ設計図から生まれた兄弟(作られたのは当然アトムが先だが、アトラスが青年の姿になった為アトムから兄さんと呼ばれるシーンも)でもあるという存在だった。
- アニメ第3作では天馬博士が徳川財閥の総帥徳川から死んだ徳川の息子・ダイチを再現したロボットを作るように依頼されて作られた。アトムに腕を破壊されたが、天馬博士に改造された。
- プルートゥ
- サルタン(元王族)が作らせたロボット。世界最強のロボットとして作られ、一度はアトムも倒す。しかし、アトムの説得に感化され、本当のロボットの使命を知る事になる。
- その後、アトムとの戦いを拒否するが、プルートゥを倒す為に作られたロボット、ボラーと戦い、敗北、自爆する。
- アニメ第3作では天馬博士が自分の分身として作ったロボット・シャドウにより造られた。また、ボラーの役割はブラック・プルートゥに置き換わっている。
- なお、プルートゥが登場するエピソード「地上最大のロボット」は、浦沢直樹の「PLUTO」としてリメイクされている。
- 青騎士
- ある博士が作ったロボットで、元々三人の兄弟ロボットだった。しかし、その二番目に当たる女性のロボットがある伯爵に嫁ぎ、そして些細な事が理由で破壊されてしまう。その時助けに入った末弟ロボットも破壊され、最後に残った長兄が青騎士である。青騎士の体には破壊された弟妹の顔等が博士によって組み込まれ、また空気を出し入れする事によって大きさを変える事が出来る。この体を恥じた青騎士は鎧を着用する様になる。
- 伯爵に始まり全ての人間を恨み、伯爵を殺した上でロボットの王国を作ろうとする中でアトムに拒まれ、アトムを再起不能なまでに破壊し、自らは伯爵の不意討ちで破壊される(この後、破壊されたアトムはお茶の水博士には修理出来ず、天馬博士が直すが、心が変わってしまった)。
- アニメ第3作では元は違法ロボット闘技の整備用ロボットで、自分の役割に疑問を持った為にオーナーのハムエッグに捨てられた所をシャドウに拾われ改造された。人間に迫害されるロボットを救うために戦って仲間を集め、あわや人間対ロボットの全面戦争と言う所まで発展するがアトム達の活躍で回避。人間との共存を選んだ仲間を見送り、残った仲間とロボットの理想郷を築くべく宇宙へ旅立つ。
[編集] 原作の連載・掲載誌
- 1952年~1968年 - 「少年」(光文社)
- 1967年~1969年 - 「産経新聞」(『アトム今昔物語』に改題)
- 1969年 - 「ビッグコミック」(小学館)『アトムの初恋』
- 1970年 - 「別冊少年マガジン」(講談社)『アトムの最後』
- 1972年~1973年 - 「小学一年生」(小学館)
- 1972年~1973年 - 「小学四年生」(小学館)
- 1975年 - 「文藝春秋デラックス」(文藝春秋社)『アトム二世』
- 1976年 - 「週刊朝日」(朝日新聞社)『偏差値王国との対決』
- 1976年 - 「月刊少年ジャンプ」(集英社)『シルバー・タワー』
[編集] 外伝・後日談
- アトム今昔物語
- 最終回(ただし漫画は掲載誌の突如廃刊で実質的な最終回が存在せず、アニメ1作目のもの)で人類を救うため、カプセルをかかえて太陽に特攻したアトムの、その後を描く。しかし虫プロ倒産など手塚が最も不遇な時代に描かれた事もあってか、作品全体のトーンは非常に暗い。またこの連載以外にもう一つ読みきりで、やはり太陽に特攻したアトムのその後を描いた作品が発表され、それぞれ展開が異なる為『宇宙戦艦ヤマト』の様に続編が二股分岐してしまっている。
- リメイクとして描かれたが、主人公はアトムでなく、タイトル通りアトムみたいな猫。これはリメイクを目指して編集と会話している時、手塚が「ア・トムキャット」のもじりとして考えついたと言う。
[編集] 実写版
[編集] アニメ
2007年4月現在、本作は過去に三度アニメ化されている。詳しくは各項目を参照。
- 第1作 - 鉄腕アトム (アニメ第1作)
- 第2作 - 鉄腕アトム (アニメ第2作)
- 第3作 - アストロボーイ・鉄腕アトム
[編集] ゲーム
- 鉄腕アトム
- ファミリーコンピューター用ソフト
- 1988年2月26日発売、開発・発売共にコナミ
- 鉄腕アトム
- ゲームボーイアドバンス用ソフト
- 2003年12月18日発売、開発はトレジャー、発売はセガ
- ASTRO BOY 鉄腕アトム
- プレイステーション2用ソフト
- 2004年3月18日発売、発売はセガ、開発は同社のソニックチーム、
[編集] 豆知識
[編集] 原作製作秘話
- 「アトム」はスラングで「おなら」を意味する為、英語圏では「Astro Boy」(直訳すると「宇宙少年」)と改名された(この説は、手塚自身が好んで喋った事から事実として定着したが、アニメ版がアメリカに進出するに当たって、実は既にThe Atomという名の少年が活躍する児童向け作品[漫画又は小説?]が存在した事から、著作権を巡るいざこざを回避したのが真相ではないか、との考察もある。英語版Wikipedia(en:Astro Boy)では、アニメ第1作をNBCテレビが輸入した際に、既にDCコミックス(en:DC Comics)が同名("Mighty Atom")のヒーローコミックを刊行していたためと記載されている)。
- 本作の背景には、手塚が進駐軍の兵士に理由も無く、袋叩きにされた経験があると言われている。
- 原作漫画「アトム今昔物語」を読むとアトムの開発費は1000万ドル(漫画連載当時は金本位制で1ドル360円)。単純に計算すると総製作費36億円であるが、これを平成18年現在の貨幣価値に換算すると720億円相当となる。アトムの開発期間は2年間なので年間360億円の巨費が投入されたという事になる。
- アニメ第1作の人気が絶頂だった時期に「あれは名声と欲望のために描いているのだ」という自虐的な評価をエッセイで記している。手塚としては、1雑誌連載作品に過ぎない「アトム」が自らの代名詞のように扱われ、しかもアニメ版はオリジナルのストーリーによって原作から遊離しているという意識があった。また、同時期に「いい子」「正義の味方」であるアトムに対する批判が青年層以上の論者から出ていたことも影響していたとされる。それ以前にもアトムが作中で何度となく破壊されていることに、手塚のアンビバレンツな感情を見る向きもある。
- 上記のような状況で執筆されたのが、アトムが人間に反旗を翻す「青騎士」のエピソードであった。その後虫プロ倒産を経て、「アトム」を自らの代表作の一つとみなすことへのわだかまりは薄くなったとみられる。1975年から刊行されたソノラマコミックス(朝日ソノラマ)の単行本では、各作品の簡単な解説漫画を付している。この中で「青騎士」については、周囲の意向もあって執筆したが、今はそれを後悔しているという見解が述べられた。
- 1996年4月10日~6月26日日本テレビ系列で放送された『竜馬におまかせ!』内で「竜馬の寝癖を見て驚いた人が日記に竜馬の肖像画を書きとめ、その日記を昭和になり発見した少年が肖像画をヒントにアトムを産み出した」という描写があり、十分な弁解がなかったために、当時の小学生の間にその噂が流布した。
[編集] 番外的作品
- ドラマ化されたアトムに不満はあっても、元来宝塚ファンである手塚に実写である事に違和感はなかったらしく、昭和40年代に手塚自ら鉄腕アトムの実写版企画をつくり、少女にアトムのコスチュームを着せた写真も存在する、アトムのデザインは「新・鉄腕アトム」で改造された時のデザインであり、新アトムが実写とのメディアミックス作品であった事を伺わせる。テレビで手塚先生が語ったのだが、彼はアトムは女性と考えていたとの事であった。先に松崎プロでの実写はそういう点で、彼の意には必ずしも合わなかったのであろう。この企画自体はアニメ「ジェッターマルス」と手塚の手を離れて、企画書で現代版鉄腕アトムを謳った特撮番組「小さなスーパーマン ガンバロン」に変わったと思われる。
- 日本テレビ系列で放送された「前田武彦の天下のライバル」という著名人を競わせたバラエティ番組の一コーナーで、1969年9月6日に「巨人の星対鉄腕アトム」というアニメが放送された。これは巨人の星の主人公である星飛雄馬や仲間達がアトムの住む未来に行き、アトムと野球の試合をするというコラボレーション企画であった。なお、アニメ制作は虫プロダクションで、アトムの声優は違う人が演じていた。
[編集] マスコットキャラクター
- 1966年から1970年にはプロ野球球団サンケイアトムズ・アトムズ・ヤクルトアトムズのマスコットキャラクターとして、ユニフォームの左袖に空を飛ぶアトムの絵が描かれていた。
- 上記、ヤクルトアトムズのキャラクターで有った為、ヤクルトのマスコットとしても使われた。また、子供向けシャンプー等も発売された。
- 株式会社アトムが中部地域に展開している回転寿司チェーン、アトムボーイのマスコットキャラクターでもある。
- 1980年代にマツダ・タイタン(小型トラック)のイメージキャラクターに起用されていた。
- 1990年にNECパラボーラの、1992年にNTTサンクスフェアのテレビコマーシャルに出演。
- 三井海上火災保険(現:三井住友海上火災保険)のイメージキャラクター。
- 2004年に綜合警備保障でも起用されていた。
- 2006年にグッドイヤーのスタッドレスタイヤのイメージキャラクターに起用された。
- また、東京電機大学開校100周年記念のイメージキャラクターも務めている。これによって東京電機大学は使用料を払い学生から大批判の声が上がっている。
[編集] その他
- 2003年3月1日に山手線高田馬場駅(手塚プロダクションの最寄り駅であり、設定上の科学省の所在地でもある)、2004年4月11日に武蔵野線新座駅(手塚プロダクションのスタジオの最寄り駅である)でアニメ版の主題歌『鉄腕アトム』が発車メロディになった。なお、両駅のアレンジは全く異なる。
- 新座市コミュニティ系バス「新座市シャトルバス」(運行受託・西武バス)車外側面に、アトムが描かれたマグネット式のデザインが貼付され、「ボクの絵は新座で生まれてます」と言ったコピーが一緒に書かれていた。
- プロ野球近鉄バファローズで活躍していた大石大二郎の応援歌にもアニメ版の主題歌『鉄腕アトム』が使われていた。また高校野球に於いての応援歌の一つとしても、しばしばこの主題歌が演奏される。
- 1991年、山下達郎が鉄腕アトムを題材にした楽曲『アトムの子』を発売した。この曲はアニメ第3作で挿入歌として使われた。
- 日本人の科学意識に強い影響を与えた作品であり、後世のロボット工学を目指す者には「将来の目標は?」と聞かれると「アトムを作る事」という具合の言葉が、合い言葉として出る事もしばしばある。
- 2003年が鉄腕アトム生誕の年であるという設定から、現実社会の2003年が迫るとマスコミ等は鉄腕アトムブームが日本中で巻き起こると予言した。実際そのように考えた企業は多く、この年に合わせてテレビアニメやフィギュア、出版物を始め、ブランドとの提携等、様々な分野に鉄腕アトム関連の商品が溢れたが、世間はそれほど鉄腕アトムに熱くなる事はなく、ブームが到来したとは言えないまま“アトム生誕の年”は過ぎ去った。
- 設定上に於けるアトム誕生日の2003年4月7日は、現実では奇しくも阪急電鉄経営の「宝塚ファミリーランド」(兵庫県宝塚市)の閉園日となった。同園は青年期までの手塚がたびたび通ったゆかりの地である。
- アトムの前身はハルボウの「メトロポリス (1927年の映画)」のマリアで、着想のヒントになったと鈴木光明に手塚自身が語っていた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- astroboy.jp
- TezukaOsamu@World
- 赤い馬 (『少年』連載版資料室)