JR西日本キヤ141系気動車
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JR西日本キヤ141系気動車 | |||
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起動加速度 | 1.81km/h/s | ||
最高速度 | 100km/h | ||
減速度 | 3.5km/h/s | ||
全長/全幅/全高 | 21,750mm/2,951mm/4,050mm | ||
重量 | 49.5t(キヤ141形) 39.7t(キクヤ141形) |
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軌間 | 1,067mm(狭軌) | ||
出力 | 450PS/2100rpm | ||
歯車比 | 3.336 | ||
発動機 | コマツ製SA6D140H | ||
駆動装置 | DW21(変速1段 直結4段) | ||
ブレーキ方式 | 機関 / 排気ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ | ||
保安装置 | ATS-P、ATS-SW |
キヤ141系気動車とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)の事業用気動車である。 2006年2月に2編成4両が新製され、現在2編成とも京都総合運転所に所属している。新潟トランシス製造。愛称はドクターWEST。
目次 |
[編集] 概要
JR西日本では、線路の検測用車両として国鉄からの引継ぎ車両である443系電車(電気検測用)およびマヤ34形客車(軌道検測用)を使用してきた。しかし両車両は老朽化が進んできたうえ、マヤ34形は客車のため牽引機関車の手配が必要など、大阪近郊など都市圏での運転の調整が困難になってきた。これらの問題を解消するため、電気系統と軌道系統を別々の編成で測定していた事項を1編成で測定できる総合試験車を、電化・非電化を問わず走行できる気動車方式で製造することとなった。基本的な走行システムはキハ187系気動車・キハ126系気動車に準じている。
[編集] 車体
構体・台枠には軽量ステンレス鋼を使用し、室内に搭載する発電機、測定機器類の重量に耐え得る構造であり、車体断面形状はその占有スペースと測定員の居住、往来スペースとの両立のため車体幅を最大限大きくした。
先頭構造は一般構造用圧延鋼材の溶接組立であり、外板には腐食を考慮して高耐候性圧延鋼材を使用し、前頭部は十分な強度を持つように板厚を大きくするなど前面を強化した構造である。
先頭形状はトンネル微気圧波の影響を考慮して3次元曲面流線形状であり、乗務員と測定用写真機の前方視界を十分に確保するべく非貫通構造としている。
台枠上面床構造は、キーストンを全面に敷き詰め、床根太を立て、床板にt4.0mmのアルミを使用し、床敷物を敷いてある。検測機器とその配線は床中配線により収納し高床構造となっている。
外装は車体外板面はメンテナンス性を考慮しステンレス構体の無塗装仕上げであり、側面窓周りは検測車のイメージ色であるイエローのカラーフィルムを貼ってある。前頭構体部分は鋼製であるから、塗装仕上げであるが、外装全体の一体感を持たせるべく地色はシルバー、前頭部は測ラインと同色のイエローである。
内装は事業用車両のため、機能重視のシンプルな色遣いとされた。
[編集] 艤装
Mzcの床上には先頭部方から、運転室、測定室、出入り台、便所洗面所となっている。
発電機室には検測機器と測定室照明、空調、サービス機器に給電する発電機と燃料タンク、配電盤箱、空制部品の空気タンクなどがある。
測定室には信号通信関係の検測器がある。測定室測窓は固定式であるが、外部監視の目的で一部は下降窓となっている。
出入り台には測定員が利用する測開戸を設けた。
便所は洋式となっており、真空式汚物処理装置となっている。
Tzcの床上は先頭部方から、運転室、測定室、休憩室となっている。
測定室は軌道検測装置、軌道中心間隔測定装置、軌道画像測定装置がある。軌道中心間隔測定装置の取り付け部は車体側面と床に測定用の窓がある。
休憩室は折りたたみ式のベッドと打ち合わせその他に使用することが出来るテーブルがある。
運転室は前面非貫通構造であり、運転取扱関係機器はキハ187、126と同一配置である。運転台の空調は測定室と独立して操作できる。前面中央、助手席側の機器箱上には軌道と信号関係の前方監視写真機がある。Tzc運転台背面には測定用エンジン発電機の非常停止スイッチ、消火設備の起動スイッチがある。
[編集] 編成
- キクヤ141-1/2 (Tzc)
米原方の先頭車。左右レール歪みなど軌道系の測定を行う。
- キヤ141-1/2 (Mzc)
下関方の先頭車。ATS地上子からの信号レベルや、列車無線の受信状況などの信号・通信系の測定を行う。
[編集] 運用区間
JR西日本・JR四国・JR九州・のと鉄道・北近畿タンゴ鉄道・錦川鉄道・智頭急行・若桜鉄道・肥薩おれんじ鉄道・富山地方鉄道(軌道区間除く)の各線。
[編集] 今後
落成後各地で検測機器の調整や乗務員訓練を行い、2006年秋から本格使用を開始した。
本形式の登場により、キヤ191系はもちろん、443系電車やマヤ34形客車の動向も注目されている。現在443系電車で行っている電気系統の検測は、同車の老朽化廃車になり次第、キヤ141系に電気系統の検測用車両を新製のうえ3両編成で運行する予定である。
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