JR西日本521系電車
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JR西日本521系電車 | |
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JR西日本521系(2007年04月01日 坂田駅にて撮影) | |
両数 | 2両 |
営業最高速度 | 120km/h |
設計最高速度 | 120km/h |
車両定員 | 座席56(補助座席8を含む)・立席129(クモハ521形) 座席52(補助座席12を含む)・立席123(クハ520形) |
全長 | 19,670mm |
全幅 | 2,950mm |
全高 | 3,630(一般部) 3,690(先頭部) 3,490(低屋根部。クハ520のみ)mm |
車両重量 | 43.2t(クモハ521形) 44.3t(クハ520形) |
軌間 | 1,067mm(狭軌)mm |
電気方式 | 直流1,500V、交流20,000V, 60Hz |
歯車比 | 1:6.53(98:15)(クモハ521) |
駆動装置 | WN平行カルダン駆動方式 |
制御装置 | IGBT-VVVFインバータ制御 |
ブレーキ方式 | 回生併用電気指令式空気ブレーキ |
保安装置 | ATS-SW |
メーカ | 川崎重工業、近畿車輛 |
521系電車(521けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の交直流近郊形電車。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 投入計画
2006年10月21日の北陸本線長浜~敦賀間、湖西線永原~近江塩津間の直流化に伴い投入された車両。1編成(2両)の製造費用は約4億円で、製造費用は滋賀県と福井県が負担している。125系と同じ投入方式で税金を投入しているため、費用を負担した滋賀県と福井県内(新疋田~福井)の路線だけで使用できる限定運用となっている。
2006年度は11月下旬以降に川崎重工業製2両編成4本(8両)と近畿車輛製2両編成1本の計10両が投入され、北陸本線(米原~敦賀~福井間)及び湖西線(近江今津~近江塩津間)の普通列車として運転されている。これにより、同区間で運用されていた419系が本形式に置き換えられた。但し、413系・471系・475系を置き換えるかどうかは現時点では未定である。
2006年9月27日、JR西日本への納入を前にして川崎重工業兵庫工場にて車両が報道用に公開され、翌28日から鷹取→芦原温泉→京都総合運転所で試運転を開始している。また、10月21日には敦賀駅にて川崎重工製の第4編成が一般公開された。そして、同年11月30日から、第3編成が営業運転に入り、12月5日からは第4編成が追加投入された。 現在は湖北地域の全ての運用が521系、125系、223系で運転されている。
福井地域鉄道部敦賀運転派出(金フイ)に在籍している。
[編集] 形式
[編集] 構造
223系5000番台の前頭部形状と窓・座席配置、321系の構体設計を組み合わせた車体に、投入先の路線条件の違いから様々な変更点が加えられた各種機器を搭載している。
[編集] システム・外装
223系に代表される現在のJR西日本の直流電車の電装品等を極力共用しつつ交直流電車として使用可能とするため、制御車に集電・変圧・整流を行う交直流対応装備を搭載し、電動車は直流電車相当の機器のみを搭載する、M-Tpユニット構成となっている。
これにより、電動車は直流電車と機器の共通化が容易となり、保守上も特高圧機器と高低圧機器の混在によるトラブルを未然に防止可能としている。
このシステムは当初国鉄時代の711系の試作時に開発された方式であり、JR西日本においては681系/683系で確立されたデザインであるが、これはJR西日本の近郊形電車としては本系列が初採用である。
このため、電動車だけでなく、制御車にも変圧器をはじめ床下に多数の機器が配置され、高圧碍子で厳重に絶縁されたパンタグラフも制御車(=クハ520形)に搭載されている。また、耐寒耐雪装備として各車の床下機器に防雪カバーが取り付けられている。なお、東日本地区への入線を考慮していないことから、交直流対応装備は西日本地区の交流電源周波数である60Hzのみに対応している。
パンタグラフ形状は下枠交差型ではなくシングルアーム型が採用され、最高速度も130km/hから120km/hに押さえられている。これらは125系と同様に運用上、最高速度が130km/hまで求められないためである。
警笛は、207系や223系と同じミュージックホーンが採用された。それに加え、空気式のタイフォン・ホイッスルが装備されている。タイフォンはスカート内に。ホイッスルはタイフォンと違いスカート内に収められることはなく、屋根にカバーを付けて設置された。 通常、ホイッスルは吹鳴することは無く、コンソールスイッチを操作することで吹鳴できるようになっている。
屋根肩の雨樋カバーのデザインが角ばったものからやや丸みが付けられたものに変更され、前面下部のスカートも223系の強化型(製造途中に設計変更)よりさらに強固なものとなった。これらは同時期に製造された通勤形電車321系のスカートの設計を基本としている。
塗装は窓周りが茶色(関西急電シンボルカラー・223系と同一)で、その下に上から順に青・白・青の3本の帯(北陸地区の近郊型電車と同イメージ)が入るというものが新規に設定された。
なお、223系との併結はできない。
[編集] 内装
基本的に223系5000番台を踏襲した、扉間2人掛け×5列の転換クロスシートが配置されているが、混雑時の立客スペースを考慮して、クモハ521形の車端部には321系に類似した構造のロングシートが設置された。一方、クハ520形については223系5000番台と同じく車端部が車いす利用者対応のトイレと車いすスペースに充てられているので、ロングシートは設置されていない。
クロスシートに関しては、乗降扉横には補助席も装備されているが、車両間の連結部の扉横は整理券発行機が設置されている関係で補助席は装備されていない。また、クモハ521では運転台背後も設置されていない。
車内の乗降扉横には、223系などと同様に半自動ドアスイッチが設けられている(321系と同様にボタン周囲が発光するタイプ)。
車内扉上には、これも223系と同様に千鳥配置で、号車表示とLED式のスクロール表示器が計3箇所装備されている。ここでは従来車と同様に行先・停車駅の案内などがなされる。但し、号車表示は223系の7セグに代わりLEDとなったため、数字が大型化して非常に見やすくなった。
ワンマン運転を行う予定であることから、運転台の直後に運賃箱と運賃表示器が、客用ドア横にLED表示器が設置されている。ワンマン運転時、乗客は先頭車両の最後部の扉から乗車し、最前部の扉から降車となることから、混乱を防ぐためLED表示器に「入口」「出口」と表示して案内する予定。
運賃表示器には北陸本線米原~福井間の各駅と湖西線近江今津~近江塩津間の各駅の表示準備がなされている。これにあわせ、北陸本線米原~福井間と、湖西線近江今津~近江塩津の一部駅ホームでは後方確認用のミラーと、車椅子スペース最寄り乗車口の案内看板が設置された。冬季の凍結対策として一部のミラーには電熱器が付加されている。
運賃箱は乗務員室内に収まるようになっており、ワンマン運転を行わない時は運転台後部が邪魔にならないよう配慮されている。また、複数の編成を連結した場合は223系5000番台のように乗務員室を通路として開放するため、運賃箱を運転台と通路との仕切りになるように設置してある。
この他、乗務員室と客室との仕切り扉は南海車両と同じような引き戸となった(運転台→車掌部へスライド)。また、車掌部は開放スペースとされているが、いたずら防止のため223系5000番台同様にドアスイッチ類にカバーが設けられている。
乗降口にステップがない同車のために、北陸本線敦賀~福井間の一部駅では2両編成分のホーム嵩上げが実施された(但しこの嵩上げは、ホーム高さが920mmに達していない駅に対して920mmへの嵩上げを行うもの)。なお、敦賀~長浜間の各駅では1100mmへのかさ上げが完了したため、ホームと床面との高低差は20mmとなった。
[編集] 関連項目
- JR西日本の在来線車両 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
[編集] 外部リンク
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