JR西日本キハ187系気動車
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JR西日本キハ187系気動車 | |
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キハ187系気動車(2004年8月 岡山駅)
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最高速度 | 120km/h(0・10番台) 130km/h(500番台) |
最大寸法 (長/幅/高) |
21,300×2,845×3,470(mm) |
質量 | 86.7t(2両編成) |
定員 | 118名(2両編成、0・10番台) 112名(2両編成、500番台) |
機関出力 | 450PS × 2/両 |
駆動方式 | 液体式 |
台車形式 | |
ブレーキ方式 | 電気指令式ブレーキ (応荷重装置付) 機関ブレーキ併用 |
保安装置 | ATS-Sw(0・10番台) ATS-Sw・ATS-P(500番台) |
備考 |
キハ187系気動車(キハ187けいきどうしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の特急形気動車。正式な形式呼称は187系気動車。
目次 |
[編集] 概要
山陰地区において陰陽連絡特急を中心に使用されてきたキハ181系の老朽化にともなう置き換え用として、新潟鐵工所(現・新潟トランシス)・日本車輌製造で製造された。山陰本線をはじめとする山陰地区の各路線は急勾配・急カーブの区間が多いことから、大出力のエンジンと振り子装置を搭載している。また本形式の投入にあわせて山陰本線の軌道改良工事も行われ、従来に比べて大幅な高速化を実現した。
気動車における振り子機構は、エンジンから台車への動力伝達によって生ずる反作用の問題から困難とされてきたが、2基のエンジンを対称に配置することによって問題の解決が可能となり、四国旅客鉄道(JR四国)2000系気動車や智頭急行HOT7000系気動車の登場により実用化された。本系列は、これらの機構を踏襲しており、カーブ進入時には、遠心力による自然車体傾斜に先行して機械的に車体傾斜を生じさせ、乗り心地の改善を図る「制御付自然振子方式」を採用する。
走行機関には、(コマツ製SA6D140H(450PS/2100rpm))が1両につき2台設置され、山岳区間にも適した高い加速性能を確保している。また、各車両の動力軸は、車両中央よりの2軸となっている。変速機は変速1段・直結4段の自動切替。
基本的な部品や機器は、同時期に製造された223系電車やキハ126系気動車と共通化し、製造コストとメンテナンスコストの削減を図っている。運転台は223系電車に準拠しており、横軸ツインレバー型マスコン、ボタン式EB装置、TICS(列車情報制御装置)のタッチパネル式モニタリング装置などを備える。制御方式も223系などの同社製の電車に準拠したものとなっており、従来の気動車でみられた「機械駆動方式」ではなく、TICSを用いた電気制御方式が採用されている。また、冷暖房装置や制御装置、補助電源等の電力は、駆動エンジンに直結した発電機で発電し供給する方式が採用されている。ブレーキは機関ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用し、雪の多い区間を走行することから耐雪ブレーキを搭載している。
車体はSUS構体を採用し、低重心化と軽量化が図られている。旅客数が少ない区間であることから全車両が普通車の貫通先頭車から構成される。2両編成を基本とするが、1両単位での増結が可能であり、全車両に自動連結器が搭載されている。踏切が多い線区を走行するため、先頭車の前面には警戒色でもある黄色が用いられている。
トイレは下関方のデッキにあり、車椅子対応、おむつ交換台付である。客室内は全面禁煙のため、京都方の車両のデッキに喫煙スペースが設けられている。ドアには特急用車両としては珍しい半自動ボタンが付いているが、営業運転においてドアの半自動扱いは行われていない。
内装は暖色系の色彩でまとめられ、内装の全ての部品が簡単な工具により取り付け・取り外しが可能である。座席は683系と同一のものが用いられ、部品の共通化によるコストダウンも図っている。
[編集] 番台区分
[編集] 0番台・10番台
2001年7月7日の山陰本線米子駅-益田駅間高速化に伴い、特急「スーパーおき」「スーパーくにびき(後のスーパーまつかぜ)」用として登場したグループ。0番台は2001年に14両(0番台・1000番台、各7両)が新潟鐵工所(現・新潟トランシス)で製造された。10番台は2003年の鳥取駅-米子駅高速化による特急増発用として4両(10番台・1010番台、各2両)が日本車輌製造で製造された。全車が後藤総合車両所(米トウ)に配置されている。
山陰本線の高速化事業は、まず島根県側において県とJR西日本による共同事業として進められた。その内容は、曲線通過速度向上のための路盤改良およびPC枕木化、駅構内の1線スルー化による速度制限の撤廃などであり、これに適した車両として、本系列およびキハ126形気動車が新たに投入された。
増備された10番台は、後述の500番台とほぼ同一の仕様である。ATSはSw形のみであるが、P形対応のための準備工事がなされている。最高速度は線路条件により120km/hであるが、ブレーキの改良により将来の130km/h・160km/h化に対応した設計となっている。なお、多客期に「スーパーいなば」の増結車として中間に組み込まれた事があるので、一部の車両はブレーキ改良の本工事が行われている模様である。
- 編成
←新山口 キハ187-0(Mc1) - キハ187-1000(Mc2) 鳥取→
←新山口 キハ187-10(Mc1) - キハ187-1010(Mc2) 鳥取→
- キハ187形0番台(Mc1):1-7
- キハ187形10番台(Mc1):11,12
- キハ187形1000番台(Mc2):1001-1007
- キハ187形1010番台(Mc2):1011,1012
- 鳥取方先頭車。喫煙コーナー付き。
多客時は編成を分解してMc1・Mc2を増結して3両編成、または2編成を連結して4両編成となる場合がある。
[編集] 500番台
2003年10月1日 山陰本線鳥取駅-米子駅間および因美線智頭駅-鳥取駅間の高速化に伴う特急「スーパーいなば」用として登場したグループ。2003年に8両(500番台・1500番台、各4両)が日本車輌製造で製造され、鳥取鉄道部西鳥取車両支部(米トリ)に配置されていたが、後藤総合車両所(米トウ)へ転属した。ただし、転属後も通常は鳥取鉄道部西鳥取車両支部に常駐し、後藤総合車両所への出入庫は検査時の回送列車のみとなっている。
米子-益田間における高速化の成果を受け、鳥取県側においても高速化事業の実施が決定し、山陰本線鳥取駅-米子駅間および因美線智頭駅-鳥取駅間において、島根県側と同様の路線改良工事が行われ、それに対応した車両として本番台が投入された。
「スーパーいなば」は高速化が完了している智頭急行線を経由し、また大阪方面への直通運転への対応も考慮されたため、本番台のATSはSw形・P形の双方に対応している。運用面において智頭線内の列車ダイヤに支障をきたさないよう最高速度を130km/hとしたため、台車・ブレーキが改良・強化された。なお、将来の同線の最高速度160km/h化にも対応した設計となっている。
外観上は、ATSの追加装備により、窓やドア、座席の配置が一部変更された他、屋根上の冷房装置が2台(0番台は1台)となるなど、0番台とは細部の仕様が異なっている。
なお、「スーパーいなば」の全面禁煙化に伴い、2007年3月18日より喫煙コーナーは使用停止となった。
- 編成
←岡山・鳥取 キハ187-500(Mc1') - キハ187-1500(Mc3) 上郡→
- キハ187形500番台(Mc1'):501-504
- 岡山・鳥取方先頭車。バリアフリー対応洋式トイレ付き。
- キハ187形1500番台(Mc3):1501-1504
- 上郡方先頭車。喫煙コーナー(現在は使用停止)付き。
多客時は編成を分解してMc1'・Mc3を増結して3両編成、または2編成を連結して4両編成となる場合がある。
[編集] 歴史
- 2001年7月7日 山陰本線米子駅-益田駅間の高速化に伴い、0番台が「スーパーおき」・「スーパーくにびき」で運用開始。
- 2003年10月1日 山陰本線鳥取駅-米子駅間および因美線智頭駅-鳥取駅間の高速化に伴い、「スーパーくにびき」は「スーパーまつかぜ」に改称され、増備車として10番台が「スーパーおき」・「スーパーまつかぜ」、500番台が「スーパーいなば」で運用開始。
- 2007年3月18日 「スーパーいなば」の全面禁煙化に伴い、500番台の喫煙コーナーを使用停止。
これにより従来キハ181系により運行されていた「おき」・「くにびき」・「いなば」の置き換えが完了し、現在は特急の全てが本系列による「スーパーおき」・「スーパーまつかぜ」・「スーパーいなば」となっている。
[編集] その他
TOMIXがNゲージの鉄道模型を製品化している。(10番台)車体搭載のCCDカメラに対応した製品もある。(500番台)