K1 (戦車)
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K1 | |
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性能諸元 | |
全長 | K1:9.67 m K1A1:9.71 m |
車体長 | 7.47 m |
全幅 | 3.59 m |
全高 | 2.25 m |
重量 | K1:51.1 t K1A1:53.2 t |
懸架方式 | 油気圧/トーションバー併用 |
速度 | 65 km/h(整地) |
40 km/h(不整地) | |
行動距離 | 437 km |
主砲 | K1:105mmライフル砲(47発) K1A1:120mm滑腔砲(32発) |
副武装 | 12.7mm重機関銃M2×1(2,000発) 7.62mm機関銃M60E2×2(8,600発) |
装甲 | K1:車体前面及び砲塔前面が複合装甲、側面は空間装甲 K1A1:複合裝甲 |
エンジン | MTU MB871Ka-501ディーゼル 1,200 hp |
乗員 | 4 名 |
K1は、韓国陸軍の主力戦車である。別名88戦車(パルパルチョンチャ)。
目次 |
[編集] 概要
1970年代から80年代当時の韓国には国産戦車開発経験が無く、戦車開発能力が不足していたため、1980年から、M1エイブラムス戦車を開発したアメリカのクライスラー・ディフェンス社(当時、現:ジェネラル・ダイナミックス社)が設計・開発を行った戦車がK1である。生産は韓国の現代車輌社(現代精密、現:ロテム)が担当した。
[編集] 88戦車
88戦車という別名は、全斗煥及び盧泰愚政権時の韓国が国運を賭けて開催した1988年のソウルオリンピックを強く意識したものである。しかし、盧泰愚が1995年に政治資金隠匿及び粛軍クーデター、光州事件の追及を受けて失脚すると、それと関係があるのかどうかは不明だが、いつの間にか88戦車の名称も使われなくなってしまったようだ。
現在定着している「K1」の名称は、設計の基礎となったM1エイブラムス戦車を意識しつつ、「韓国初の国産戦車=Korean-1st(First)Main Battle Tank」を略して「K1」と呼ばれるようになったと思われる。
その他、ROKIT(ロキト、Republic Of Korea Indigenous Tankの略で韓国国産戦車の意)と呼ばれることもある。
[編集] 仕様
サスペンションは油気圧とトーションバー併用のハイブリッド式で、第1、2、6転輪が油気圧式、残りの3輪がトーションバー式になっている。姿勢は前後傾斜のみで、前後左右の傾斜や車高の上下は不可能。油気圧式を採用したのは、平地が少なく起伏が多いという朝鮮半島の地形に合わせたものである。
装甲は複合装甲が車体及び砲塔前面に採用されているといわれているが、実際は中空装甲(スペースドアーマー)が多用されており、車体張り出し部の中空部は燃料タンクも兼ねている。これは一見危険に思えるが、ディーゼル燃料(軽油)は引火点が高いため発火しにくく、HEAT弾のメタルジェットのエネルギーを吸収する効果が高いため、イスラエルのメルカバでも採用されている方式である。
主砲はそれまでの韓国陸軍が採用していたM48A5と同じ105mmライフル砲で、ロイヤルオードナンスL7をアメリカでライセンス生産したM68A1である。K1が開発された時期にはレオパルド2やM1A1のようにラインメタルの120mm砲が登場していた。しかしその状況であえて105mm砲を選択した理由には、車体の大きさの制約や装填手の負担などの問題もさることながら、最大の理由は平地が少なく長距離の砲撃戦は起こりがたいという朝鮮半島の地形の事情である。またAPFSDSのような高性能弾を使えば、105mm砲でも朝鮮人民軍のT-62やT-55といった旧式の戦車には充分対抗できるとの判断もある。
K1(および火力増強型のK1A1)は、被弾面積を少なくするためか即応弾を収納する砲塔バスル(張出部)を持たない。ただし韓国の戦車搭乗員からは、弾薬庫の配置(例えば装填手前面部にはむき出しの状態で12発前後の砲弾が搭載されている。欧米の第三世代戦車では即応弾も隔壁で仕切られた弾薬庫から取り出し装填する。このことから、誘爆時の危険性を指摘されている。
発展型のK1A1では能力向上著しい他国戦車への対抗のため攻撃力向上を企図、アメリカ軍との弾薬互換性を考慮し、主砲を120mm滑腔砲へ換装する等の設計変更が行われ、2001年に配備が開始された。生産開始は2001年以降からである。
K1A1では105mm砲よりも巨大な120mm砲を搭載したため、元々余裕の無いK1の砲塔内部の容積よりもさらに減少した。公開写真を見る限り、同じく120mm砲を人力装填するレオパルド2やM1エイブラムス(M1に関しては初期型は105mm砲であるが元々120mm砲搭載を前提に開発された)などと比較すると、K1A1では砲塔内部の容積が狭いことは明白である。一方、韓国人は欧米人よりも小柄であるため、あまり問題とならないと言う意見もある。
K1は第1ロット(1986~88年)として205輌が17億7,300万ウォンで生産され、以降1989~91年に18億900万ウォンで310輌、1992~94年に21億4,200万ウォンで305輌、1995~97年に28億3,100万ウォンで207輌が生産された。合計生産数は1,027輌(派生型が含まれるかどうかは不明)。K1の生産は第4ロットで終了し、以後は改良型のK1A1の生産に移行した。K1は陸軍の第26機甲師団、第30機甲師団、第3歩兵師団、第11機械化歩兵師団、第17歩兵師団の各戦車大隊と偵察大隊、海兵隊の各戦車大隊に配備されている。
現在、フランスのルクレール戦車の技術を多数参考にしたといわれる後継のK2戦車「フクピョ(黒豹)」(en)を開発中で、2011年からの実戦配備を予定している。
[編集] 輸出
韓国はK1の輸出も目論んだが、購入を打診してきたのはマレーシアのみであった。1997年に韓国はマレーシア向けに改修した「K1M」210輌の購入を提案したが、マレーシアは韓国の要求する提案が高価すぎるとしてキャンセルし、より安価なポーランド製のPT-91(T-72のポーランドでの改良型)を採用した。
[編集] 略歴
- 1979年 開発が決定され、アメリカの企業数社へ提案。
- 1980年 クライスラー・ディフェンスと共同作業の契約。
- 1983年 試作車両が完成。
- 1984年 量産開始。
- 1987年 一般への公開。
- 2001年 主砲を変更したK1A1の実戦部隊への引き渡しを開始。
[編集] 派生型
- K1M
- マレーシア陸軍へ提案された型。結局採用されなかった
- K1A1
- 主砲をアメリカでライセンス生産したラインメタル社製44口径120mm滑腔砲M256に変更した型
- K1戦車橋
- K1の車体に長さ22mのシザー型橋節を搭載した自走橋
- K1戦車回収車
- K1をベースにした戦車回収車
[編集] 備考
[編集] 外部リンク
- 日本周辺国の軍事兵器 - K1 戦車 - K1A1 戦車
- Type 88 K1 Main Battle Tank at GlobalSecurity.org
- K1A1 Main Battle Tank at GlobalSecurity.org
- Photos at GlobalSecurity.org
- K1A1 Photos and Walk Arounds at Prime Portal
イタリア:アリエテ | イギリス:チャレンジャー | 韓国:K1 | フランス:ルクレール | ドイツ:レオパルド2 | |