カレッジ
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カレッジ(英字 college)とは、元々「仲間(colleague)」の集まりを意味する。日本では(比較的小規模の)「大学」の訳語として用いられることが多い。
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[編集] 英国におけるカレッジ
西欧において、カレッジは様々な意味で用いられている。典型的には「学校」の意味で用いられることが多いが、一口に学校と言ってもその指す中身は様々である。例えば、イギリスにおいて「カレッジ」と呼ばれる教育機関には、(1)一部のパブリックスクール(Eton Collegeなど)、(2)大学進学準備のための学校(sixth form college)、(3)日本で言う専門学校、(4)大学を構成する学寮(Oxbridgeなど)、(5)独立した高等教育機関でありながら学位認定の権限は上位機関に委ねている大学(University College Londonなど)、などがある。さらには、「学校」以外にも、一部の職業団体やスコットランドにおける裁判所の名称等としても用いられることがある。
「学校」「大学」の意味でのカレッジは、そもそもキリスト教の教会付きの全寮制修道士養成学校にその起源を持ち、敷地内に教員と学生の寄宿舎・食堂・講堂・図書館・礼拝堂・庭園などを有する組織であった。イギリスのオックスフォード大学・ケンブリッジ大学・ダラム大学を構成するカレッジはこの伝統を引き継ぐものであり、現在でもそれぞれのカレッジが独自に、学部生入学者選抜の権限や入学・卒業の事務を取り仕切る権限を持っている。そのため、これらの大学では、各カレッジ毎の団結心が強く、ボート(レガッタ)・ラグビー・サッカーなどのカレッジ対抗戦では、選手・応援とも非常に熱が入っている。なお、この意味でのカレッジの正式な構成員(教員)を「フェロー(fellow)」と呼ぶことがある。
英国由来の歴史を有するカナダでも、トロント大学のように英国式のカレッジ制度を有する大学がある。
[編集] 米国におけるカレッジ
アメリカで単にカレッジというとコミュニティーカレッジという二年制大学(日本の短期大学とは別物)を指すこともある。
また、東海岸の方に多く存在するリベラルアーツ・カレッジは四年制の大学である。主に教養型で少人数であるが、女子大学であるスミス・カレッジのような名門校もある。
[編集] 日本におけるカレッジ
日本におけるカレッジは、西洋と同じく、僧侶養成学校や貴族(公家)の子弟を対象とした官僚養成学校として発達した。興福寺や東大寺などは、仏教の寺院であると共に僧侶養成学校として、既に奈良時代には成立している。平安時代には、最澄が比叡山延暦寺を、空海が高野山金剛峯寺を開いた。また、律令制下の国立教育機関である大学寮を中心に、貴族が一族の子弟を対象とした官僚養成校として大学別曹を創設する。藤原氏の勧学院や源氏の奨学院・淳和院、和気氏の弘文院や橘氏の学館院などが、代表的な大学別曹である。
江戸時代に入ると、幕府の漢学奨励政策と共に、仏教各宗派ごとに学寮が設けられ、幕府の昌平黌と共に、学問の発展に寄与し、明治期には専門学校として、大正期には旧制大学として、今日に至っては新制大学として、寺院の後継者や一般子弟の教育に貢献している。
学寮を起源とする仏教系大学としては、駒澤大学(1592年創立・曹洞宗)、龍谷大学(1639年創立・浄土真宗本願寺派)、大谷大学(1665年創立・真宗大谷派)、花園大学(1872年創立・臨済宗)などがある。
- 現在の傾向
短期大学や専門学校は「colege」、高等専門学校は「college of technology」のように四年制大学に順する高等教育機関を指す。しかし聖心女子大学といった小規模な四年制大学や工業大学や医科大学のような単科大学を指す場合もある。
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