ソウシチョウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソウシチョウ | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() |
||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||
Leiothrix lutea Scopoli, 1786 |
||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Red-billed Leiothrix |
ソウシチョウ(相思鳥、学名 Leiothrix lutea)はスズメ目チメドリ科に分類される鳥。日本においては外来生物法で特定外来生物に指定されており、日本の侵略的外来種ワースト100選定種にもなっている。
目次 |
[編集] 分布
中国南部、ベトナム北部からミャンマー北部、インド・アッサム地方、ヒマラヤに分布する。日本では、ペットとして輸入された個体がいわゆるかご脱けにより外来生物となり侵入し定着した。
日本国内では留鳥として生息する。現在、関東、東海、近畿、四国、九州の各地で繁殖が確認されており、関東では筑波山、近畿では六甲山系、九州では九重山系によく見られる。なお日本以外ではハワイ諸島で観賞目的で放鳥されたことがある。
[編集] 特徴
体長約15cm。全体的に暗緑色で、眉斑から頬は薄い黄色、のどは黄色で胸は濃いオレンジ色、翼に黄色と濃い赤の斑紋がある。嘴は赤色だが幼鳥は黒い。体色に雌雄の別はないが、メスの体色はオスのそれより幾分薄くなる。複雑な音色でよくさえずる。
[編集] 生態
ササ類の繁茂する標高1000m以下の常緑・落葉広葉樹林で昆虫、果実、草本の種子などを食べる。またこういった藪の中に営巣し、一度に約3 卵を産む。越冬期は標高の低い地域に移動し、主に竹林や笹藪に生息し小群をなす。カラ類との混群をなすこともある。
[編集] Sibley分類体系上の位置
Sibley-Ahlquist鳥類分類 |
---|
[編集] Status
LEAST CONCERN(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
[編集] 名の由来
つがいのオスとメスを分けてしまうとお互いに鳴き交わしをするため、相思鳥の名がついたと言われる。ちなみに中国現地名は「紅嘴相思鳥」である。
英名には代表的な Red-billed Leiothrix のほかに Pekin Robin, Pekin Nightingale, Chinese Nightingale などがある。数ある英名の一つに Japanese Hill Robin があり、またオランダ名はJapanse nachtegaalであるが、日本在来の野鳥ではない。
[編集] 日本に定着した経緯
1931年に六甲山(兵庫県神戸市)で初めて野生化が確認されたが、これは神戸在住の華僑が祝典の際に放鳥した個体が定着したものと考えられている。なおハワイ諸島においても、ホノルルの中華街で大火事が起きたときに華僑が飼っていた個体が逃げ出し定着したとされている。この一群は六甲山に定着できなかったらしく、1945年以降に姿を消した。
しかし1980年以降になると野生化が確認された地域や個体数が激増した。これは日中国交正常化にともない、本種の大陸からの輸入が激増したことが原因として挙げられる。本種の価格は非常に安価だったため、外来生物法が施行されるまでは、どこのペットショップに出向いても本種の姿が確認できた。そうして在庫を抱えたものの、販路や多額に及ぶエサ代に困って遺棄(放鳥)に及んだ悪質なペット販売業者があったようである。
[編集] 生態系に与える影響
本種を含む特定外来生物に指定された鳥類4種は、もともとあった自然環境が人間により開発され、その結果原産地と似た環境ができあがり、そこに定着した、という侵入外来生物によく見られる図式にあてはまらない、極めて珍しい外来生物である。
特に本種はその傾向が強く、野外での生息が確認された場所はいずれも古くから環境が変化していない天然自然林で、都市化の進んだ地域で観察される例は少ない。
現在まで本種が定着したことによる影響はとくに確認されていないが、今後生息域を拡大することで、一般的に外来生物の侵入による変化があまりない天然自然林の生態系が、大きく変化することが懸念される。具体的には営巣場所が競合するウグイスやオオルリが駆逐される危険がある。
[編集] 人間との関係
本種はガビチョウとともに中国では非常にポピュラーな飼い鳥であり、姿が美しく鳴き声もよく、しかも丈夫なので非常に飼いやすく、ゆえに我が国では江戸時代から輸入され、飼い鳥として親しまれてきた。
そのようにして外来生物法施行までは愛玩鳥として多数飼われていたが、現在は同法施行以前から飼育を継続し、届出を出している者以外の愛玩、観賞目的での飼育は禁止されている。
また本種は飼育にあたって非常に多くの餌を食べ、大量のフンをする。よってその特徴を生かして、輸入した本種を飼養しそのフンを採取してウグイスのフンとして売り出している業者もある。もっとも分類学上では本種はウグイスとはさほど近縁ではない。
なおフン採取目的の飼養は、生業を継続するのに必要ということで届出を出せば認められる。
[編集] 関連項目
[編集] references
- ^ Leiothrix lutea (Species Factsheet by BirdLife International)
[編集] 外部リンク
カテゴリ: Least concern | チメドリ科 | 特定外来生物 | 愛玩鳥