タイキシャトル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
画像の提供が依頼されています(Up / Com) |
|
性別 | 牡 |
---|---|
毛色 | 栗毛 |
品種 | サラブレッド |
生誕 | 1994年3月23日 |
死没 | (現役種牡馬) |
父 | デヴィルズバッグ |
母 | ウェルシュマフィン |
生産 | タイキ ファーム |
生国 | アメリカ合衆国 |
馬主 | (有)大樹ファーム |
調教師 | 藤沢和雄(美浦) |
競走成績 | 12戦10勝(中央) 1戦1勝(フランス) |
獲得賞金 | 6億1548万5000円 +100万フラン |
タイキシャトル(Taiki Shuttle)は、日本の競走馬・種牡馬。 主戦騎手は岡部幸雄。フランスのジャック・ル・マロワ賞を含め国内外でGI5勝を挙げ、1998年に短距離路線で活躍した競走馬として中央競馬史上初めて年度代表馬に選出された。引退後の1999年1月28日、史上25頭目の顕彰馬に選出された。 ニックネームは「ミスターパーフェクト」
- ※年齢は全て旧表記(数え年)にて表記
目次 |
[編集] 誕生からデビューまで
1994年3月23日、アメリカ合衆国タイキファームで生まれる。母のウェルシュマフィンはタイキファーム初代オーナー・赤澤胖が購入した競走馬であり、競走生活を引退後同ファームにおいて繋養されていた。
1995年初頭にアイルランドへ移送され、調教を施される。その後日本でにおいて藤澤和雄の管理のもとでデビューすることが決定。1996年7月に北海道・大樹ファームへ移送された。
タイキシャトルは当初、同年秋に美浦トレーニングセンターにある藤澤厩舎に入厩する予定であったが、脚部の負傷や蹄の化膿によって予定が遅れ、翌1996年2月5日に藤澤厩舎に入厩した。
[編集] 競走馬時代
[編集] 1997年
ゲート試験に3回落ちたためデビューは遅れたが1997年4月19日の未勝利戦を快勝すると、500万下、菖蒲ステークスと3連勝を飾る。続く菩提樹ステークスは2着と不覚を取るが、秋を迎え、GIIIのユニコーンステークス、GIIのスワンステークス、さらにはGIのマイルチャンピオンシップと重賞を連勝し、当時年末に行われていたスプリンターズステークスも1番人気に応えて勝利した。なお、同一年にマイルチャンピオンシップとスプリンターズステークスの2つの秋短距離GIを勝ったのはタイキシャトルが初めてである。またこの年は、他にGI競走で際立った実績を挙げた馬が少なかったため、短距離馬として初の年度代表馬選出の可能性もささやかれたが、この年は最終的にJRA賞最優秀短距離馬に選出されるにとどまった。
[編集] 1998年
明けて1998年、まず休み明けの初戦京王杯スプリングカップは単勝1.5倍の人気に応え、レコードで楽勝。連闘で翌週の高松宮記念にも出走する計画もあったが、結局ここは登録だけに留め安田記念へ向かう。安田記念当日は大雨でドロドロの不良馬場となった。ここでも圧倒的な1番人気に支持されたタイキシャトルは、最後の直線で馬場の真ん中を豪快に突き抜けて勝利。そして予てからの宣言どおり海外遠征を行う。
遠征レースとして選ばれたのはフランスのマイルGI、ジャック・ル・マロワ賞である。この1週間前に行われたモーリス・ド・ゲスト賞でシーキングザパールが優勝したことや、強敵と見られていたインティカブ(前走クイーンアンステークスでアマングメンに8馬身差の圧勝)が故障のため出走回避したことにより、タイキシャトルはこのレースでも圧倒的な1番人気となる。レースでは途中まで余所見をしながら走っていたが、最後は追い込んだアマングメンを半馬身抑えて勝利し、海外GIのタイトルを手に入れた。シーキングザパール、タイキシャトルと日本調教馬が2週続けてフランスのGIを勝ったことはヨーロッパの競馬関係者に大きな衝撃を与えた。また、藤沢調教師・岡部幸雄騎手にとっては本場のGIを勝つという悲願を達成した瞬間であり、いつもはクールな岡部が表彰式で涙を見せるシーンもあった。 ただ、レースの数時間前にはこれまでにないほど入れ込み、落ち着かなければ出走を取り消されるところだった。
その後はムーランドロンシャン賞やブリーダーズカップ・マイルに挑戦することも検討されたが、最終的にはマイルチャンピオンシップに進むことに決定。日本へ凱旋したタイキシャトルは、そのマイルチャンピオンシップを5馬身差で圧勝して連覇を達成。本来はこのレースを最後に引退する予定であったが予定を変更してスプリンターズステークスを引退レースとすることとなった。しかし単勝1.1倍の圧倒的人気を集めたものの、太め残り(タイキシャトルの出走歴で最も重い530キロでの出走)の影響もあってかマイネルラヴ、シーキングザパールの2頭にアタマ、クビ差の3着と敗れてしまった。全成績を通してみると、この馬が連対を外した、すなわち3着以下になったのはこの1戦のみである。 この直後に引退式が行われたのだが、その中でターフビジョンに成績が表示されたとき、このスプリンターズステークスでの着順が1着と表示されるアクシデントがあった。それほどタイキシャトルはこのレースでも勝つと信じられていたのである(これは映像配信者=主催者であるJRAですら1着を想定していた訳で、主催者による予想行為を思わせるもので非難の声も上がった)。
そして日仏で3つのGIを勝ったことが評価され、この年の最優秀短距離馬および、年度代表馬となる。なお、短距離専門の馬が年度代表馬となったのはこの馬が初めてである。また、フランスの年度代表馬顕彰(エルメス賞)において最優秀古馬に選出された。
なお、1997年ユニコーンステークスから1998年マイルチャンピオンシップまで記録した重賞8連勝の記録はテイエムオペラオーと並ぶJRA所属馬の記録である。さらにマイル戦ではダートを含め7戦7勝という絶対的な強さを誇り、またその勝ちっぷりも圧倒的であった。日本競馬史上最強のマイラーはどの馬かという問いに対して、ニホンピロウイナーと並んで最も多く名前の挙がる馬である。
過去の名マイラー達が中距離でも好成績を収めていたことから(ニッポーテイオー、ヤマニンゼファー、オグリキャップなど)、中距離のレースに出してみて欲しいという声は現役時代からあった(実際1998年の有馬記念のファン投票では8位に推されており、大川慶次郎も是非出て欲しいと発言した)。しかし馬の距離適性を重視する藤沢師は頑なに短距離路線に拘り続けた(藤沢師は「有馬記念が東京の2400メートルなら使いますよ。シャトルは頭がいいから、中山の2500メートルだと一週目でゴールと勘違いしてしまう。」と冗談とも本気ともつかぬ発言をしたこともあった)。しかしそれでも今もなお彼とグラスワンダー、エルコンドルパサー等との真っ向勝負を見たかったというファンは多い。
[編集] 競走成績
年/月/日 | 競馬場 | レース名 | 格 | 距離 | 騎手 | 重量 | 着 順 |
人気/ 頭数 |
タイム | 馬 場 |
1着馬(2着馬) | タイム 差 |
1997/04/19 | 東京 | 未勝利 | ダ1600 | 岡部 | 55 | 1 | 1/16 | 1:39.0 | 良 | (アカシグリスン) | -0.7 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
05/03 | 京都 | 500万下 | ダ1200 | 岡部 | 55 | 1 | 1/16 | 1:12.2 | 良 | (サウンドカスケード) | -0.2 | |
06/08 | 東京 | 菖蒲S | 芝1600 | 岡部 | 55 | 1 | 2/09 | 1:36.5 | 良 | (シンコウスプレンダ) | -0.3 | |
07/06 | 阪神 | 菩提樹S | 芝1400 | 岡部 | 56 | 2 | 1/14 | 1:20.9 | 良 | テンザンストーム | 0.0 | |
10/04 | 東京 | ユニコーンS | GIII | ダ1600 | 岡部 | 56 | 1 | 3/16 | 1:36.8 | 良 | (ワシントンカラー) | -0.4 |
10/25 | 京都 | スワンS | GII | 芝1400 | 横山典 | 55 | 1 | 2/16 | 1:20.7 | 良 | (スギノハヤカゼ) | -0.1 |
11/16 | 京都 | マイルチャンピオンシップ | GI | 芝1600 | 横山典 | 55 | 1 | 2/18 | 1:33.3 | 良 | (キョウエイマーチ) | -0.4 |
12/14 | 中山 | スプリンターズS | GI | 芝1200 | 岡部 | 55 | 1 | 1/16 | 1:07.8 | 良 | (スギノハヤカゼ) | -0.3 |
1998/05/16 | 東京 | 京王杯スプリングC | GII | 芝1400 | 岡部 | 58 | 1 | 1/16 | 1:20.1 | 良 | (オースミタイクーン) | -0.2 |
06/14 | 東京 | 安田記念 | GI | 芝1600 | 岡部 | 58 | 1 | 1/17 | 1:37.5 | 不 | (オリエンタルエクスプレス) | -0.4 |
08/16 | ドーヴィル | ジャックルマロワ賞 | GI | 芝1600 | 岡部 | 59 | 1 | 1/08 | 1:37.4 | 重 | (Among Men) | -0.1 |
11/22 | 京都 | マイルチャンピオンシップ | GI | 芝1600 | 岡部 | 57 | 1 | 1/13 | 1:33.3 | 良 | (ビッグサンデー) | -0.8 |
12/20 | 中山 | スプリンターズS | GI | 芝1200 | 岡部 | 55 | 3 | 1/15 | 1:08.6 | 良 | マイネルラヴ | 0.0 |
[編集] 受賞
- JRA賞年度代表馬(1998年)
- JRA賞最優秀5歳以上牡馬(1998年)
- JRA賞最優秀短距離馬(1997、1998年)
- フランスエルメス賞 最優秀古馬(1998年)
[編集] 引退後
引退後は種牡馬となり、イーストスタッドとアロースタッドを2年おきに移動する国内シャトルの形態で繋養されている。
初年度産駒のウインクリューガーが2003年にNHKマイルカップを優勝、2005年にはメイショウボーラーがフェブラリーステークスに優勝するなど多くの活躍馬を輩出し、種牡馬としても優秀な成績を収めている。産駒は非常に優秀な勝ち上がり率を誇る。
[編集] 種牡馬成績
2002年リーディング115位、新種牡馬ランキング1位。2003年リーディング22位、2004年リーディング16位。
[編集] 主な産駒
- 2000年生まれ
- ウインクリューガー(牡) - 2003NHKマイルカップ(GI)、2003アーリントンカップ(GIII)
- ゴールデンキャスト(牡) - 2004/2005セントウルステークス(GIII)
- 2001年生まれ
- メイショウボーラー(牡) - 2005フェブラリーステークス(GI)、2003デイリー杯2歳ステークス(GII)、2003小倉2歳ステークス(GIII)、2005ガーネットステークス(GIII)、2005根岸ステークス(GIII)
- ウイングレット(牝) - 2005中山牝馬ステークス(GIII)
- テイエムデウス(牡) - 2006九州王冠(荒尾重賞(KG3))
- ニシノフィクサー(牡) - 2007スプリング争覇(笠松重賞(SP3))
- 2002年生まれ
- ディープサマー(牡) - 2005クリスタルカップ(GIII)
- テイエムチュラサン(牝) - 2005アイビスサマーダッシュ(GIII)
- セントレアリキ(牡) - 2005東海ダービー(名古屋重賞(SP1))
- 2003年生まれ
- ウォータートリック(牡) - 2007ケンタウロスカップ(名古屋重賞(SP2))
[編集] エピソード
[編集] 体質
タイキシャトルの蹄は非常に脆く、かつ水分を多量に含んでいた。そのため厩舎スタッフは蹄の状態の管理に常に気を払っていた。
[編集] その他のエピソード
- タイキシャトルの競走馬名の候補としては他にタイキカマンベール・タイキコスモス・タイキサターン・タイキコメットなどがあった。
[編集] 血統表
タイキシャトルの血統 (ヘイルトゥリーズン系/Hail to Reason3×5=15.63%、 Mahmoud5×5=6.25%) | |||
父
Devil's Bag 1981 鹿毛 アメリカ |
Halo 1969 黒鹿毛 アメリカ |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Ballade 1972 黒鹿毛 アメリカ |
Herbager | Vandale | |
Flagette | |||
Miss Swapsco | Cohoes | ||
Soaring | |||
母
*ウェルシュマフィン Welsh Muffin 1987 鹿毛 アイルランド |
Caerleon 1980 鹿毛 アメリカ |
Nijinsky | Northern Dancer |
Flaming Page | |||
Foreseer | Round Table | ||
Regal Gleam | |||
Muffitys 1982 鹿毛 |
Thatch | Forli | |
Thong | |||
Contrail | Roan Rocket | ||
Azurine F-No.4-d |
日本中央競馬会・顕彰馬 |
---|
クモハタ | セントライト | クリフジ | トキツカゼ | トサミドリ | トキノミノル | メイヂヒカリ | ハクチカラ | セイユウ | コダマ | シンザン | スピードシンボリ | タケシバオー | グランドマーチス | ハイセイコー | トウショウボーイ | テンポイント | マルゼンスキー | ミスターシービー | シンボリルドルフ | メジロラモーヌ | オグリキャップ | メジロマックイーン | トウカイテイオー | ナリタブライアン | タイキシャトル | テイエムオペラオー |
カテゴリ: 画像提供依頼 | 1994年生 (競走馬) | サラブレッド | アメリカ合衆国生産の競走馬 | 日本調教の競走馬