ダイナソア
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ジャンル | ロールプレイングゲーム |
対応機種 | PC-8801 PC-9801 FM TOWNS Windows98~XP |
開発元 | 日本ファルコム |
発売元 | 日本ファルコム |
人数 | 1人 |
メディア | [PC-88] 5インチFD [PC-98・FMT] 3.5インチFD [Win] CD-ROM |
発売日 | [PC-88] 1990年12月21日 [PC-98] 1991年6月 [Win] 2002年12月19日 |
価格 | [PC-88] 8700円 [PC-98・FMT] 9800円 [Win] 7980円 (いずれも税抜) |
その他 | Windows版は「ダイナソア ~リザレクション~」 |
『ダイナソア』(DINOSAUR)は、日本ファルコムが1990年にPC-8801で発売したロールプレイングゲーム。後にPC-9801・FM TOWNSへ移植され、2002年にWindows98~XP対応のリメイク版「ダイナソア ~リザレクション~」が発売された。
同社作品の中では珍しく硬派なイメージを売りにしたシリアス路線のRPGで、家庭用ゲーム機への移植は現在も為されていない。シナリオは『夢幻の心臓』で有名な富一成。今ではゼノサーガシリーズで有名な高橋哲哉や、漫画家の田中久仁彦も携わっている。
目次 |
[編集] 概要
一人称視点の3DRPGである。ゲームスタート時は主人公のアッシュ一人だが、途中で出会う仲間と旅を共にすることになり、最高で五人パーティとなる。独特のシリアスな世界観を持っており、当時の主だったRPGと比較すると極めて異質であり、それゆえにプレイヤーを選ぶ性質を持っていたとも言える。
シナリオ的には秀逸な部類に入り、BGMも当時の日本ファルコム製のゲームらしく良質なものが多かった。しかし敵とのエンカウント率が極めて高く、このことがこのゲームに対する評価を大きく左右してしまうことになり、商業的にはあまり振るわなかったという一面もある。
リメイク版として発売された「ダイナソア ~リザレクション~(以下、ダイナソアRと記述する)」ではエンカウント率を改善し、グラフィック的なものも含めて全て改良され、よりプレイしやすくなった。しかしBGMに関しては理解に苦しむようなアレンジが施され、このゲームの持つ重厚でシリアスな世界観を壊す要因になってしまい、評判は良くない。
[編集] ストーリー
このゲームには魔王を倒すだとか、平和を取り戻すだとかいったストーリーは存在しない。後述する各パーティキャラクターそれぞれが様々な想いや信念の元に、ある力によって無意識にザムハンの地に呼び寄せられ、旅を共にする。
また、このゲームにはパーティメンバーが一部異なる裏シナリオと呼ばれるものが存在する。冒険中にある行動をすると裏シナリオに入ることができる(ダイナソアRではこの方法以外に、一度ゲームをクリアした状態で、再度新規にゲームを開始すると発生するイベントで選択できるようになる)。裏シナリオといっても基本的な冒険の流れは表シナリオと一緒である。ただし、表シナリオでは戦うことのないキャラクターと戦闘になったり、言葉の言い回しが大幅に変わったり(基本的にブラックな言い回しが多い)、発生するイベントの解決方法が若干変わったりとやりごたえは充分ある。ダイナソアRではさらに第三の結末というエンディングが追加され、裏シナリオでかつある条件を満たせば見れるようになっている。
[編集] システム
[編集] バトル
戦闘はフィールド上やダンジョン内で冒険中に敵とエンカウントすることで開始する。またイベント(ボス戦等)で強制的に開始される場合もある。
コマンド選択方式で、入力コマンドに従って敵を攻撃したり、仲間を補助・回復を行ったりしながら進めていく。この時、コマンドは即反映される(ドラゴンクエストシリーズのようなコマンド先行入力方式ではない)。戦闘画面は味方・敵共にカード調のグラフィックで表される。特に敵側は、そのフォーメーションもカード配置によって分かりやすくなっている。HP(ヒットポイント)の他にTP(テクニカルポイント)というパラメータがあり、これを消費することによって魔法、歌、剣技といった技能を使うことができる。各キャラクターは敵を倒すことで経験値を獲得し、ある一定の値を超えるとレベルアップする。
[編集] 技能
技能には以下の種類がある。
- 剣(Sword)
- 魔法(Magic)
- 僧魔法(Priest Magic)
- 歌(Song)
- 拳(Fighting)
また、ダイナソアRで以下の2種類が追加された。
- 弓(Bow)
- 罠(Trap)
パーティキャラクターはキャラクターレベルの他に各技能毎に技能レベルを持っている。技能レベルの上昇は各技能に適した行動をすることによってポイントがたまり、この値が100を超えると1レベル上がる。そのレベルが一定を超えるとそのレベルに応じた剣技や魔法を覚えることができる。例えば、剣技なら剣による攻撃で敵を倒すことで、魔法なら魔法を使用することでポイントがたまる。なお、この時の注意点としては剣技と拳のポイントを得るには、剣または素手による攻撃で敵を倒さなければならない(つまり攻撃しただけではダメで、攻撃によって敵にとどめをささなければならない)。
ただし、各キャラクター毎に習得できる技能は決まっており、習得できない技能に対していかに適した行動をしてもその技能ポイントを獲得することはできない。
[編集] 技能の継承
このゲームの珍しい特徴として、技能の継承がある。前述したように各キャラクターで使用できる技能と使用できない技能がある。しかし、ある条件を満たした上で町にある宿屋に泊まることで仲間同士による技能の伝授イベントが発生し、魔法が使えないキャラクターが魔法を使用できるようになったり、剣技が使えないキャラクターが剣技をしようできるようになる。ただし全ての技能が継承によって使用できるわけではなく、どの技能を使用できるようになるかは各キャラクター毎に決まっている。
[編集] 休息
このゲームでは任意の場所で休息をとることが可能であり(戦闘時は除く)、エンターキーを押下する毎にHP及びTPが回復する。もちろん、この時に敵とエンカウントする場合もあり、乱用は禁物である。またこの時のエンカウント率はパーティの位置によって異なり、壁に囲まれている場所ほど低くなる。
[編集] 登場キャラクター(プレイヤーキャラクター)
[編集] 表シナリオのキャラクター
- アッシュ(Ash)
- このゲームの主人公。オーソドックスな戦士タイプのキャラクターである。男性。
- 彼は様々な戦場で戦いを潜り抜けてきた腕の立つ傭兵であるが、彼の味方した軍は必ず敗北する。しかしどんなに激しい戦場であっても、彼だけは必ず生還するという呪われた運命を持つ。ゆえに「死神アッシュ」の異名を持つ。
- オルリック(Orlic)
- 僧魔法を扱い、また体術にも秀でており、僧侶と格闘家を足したようなキャラクターである。男性。
- 彼は非常に信仰深い僧侶であった。よって、貧しいものからも容赦なく寄付金の取立てを行っていた。ある日、自分の一人娘が病にかかった折、病気の治癒を信じ神に祈り続けた。しかし、その思いが届くことはなかった。それを境に彼は旅に出た。今まで行ってきた過ちを償うためと、彼の信仰する神の奇跡を得るために。
- エリス(Elis)
- 清く美しい外見を持ちながらも、主に攻撃的な魔法を操る、魔法使いタイプのキャラクターである。女性。
- 彼女は精霊と関わりを持ち、その力を借りた精霊魔法を得意とする。しかし、ある日を境に精霊たちの姿を見ることが出来なくなった。その理由を突き止めるために旅に出た。
- ワッツ(Wazz)
- ナイフの扱いに長け、また宝箱に仕掛けられた罠をはずす技術を持ったシーフタイプのキャラクターである。男性。
- 彼は過去に、ある魔法使いの家に忍び込み、その魔法使いが大切にしている宝を盗み出した。しかしその魔法使いの怒りを買い、ある呪いを掛けられてしまった。満月の夜や、近くに魔法の力が作用しているときに、その呪いが彼の体を蝕む。
- ヒース(Heath)
[編集] 裏シナリオのキャラクター
- ランディ(Landy)
- 前述のエリスよりもより攻撃的な魔法を得意とする、魔法使いタイプのキャラクターである。男性。
- 美しい外見を持つ、いわゆる美男子であるが、その外見とは対照的に口が悪く女癖も悪い。しかし、実力は確かで非常に心強い味方と言えるだろう。物語中でエリスと接点があることが分かるが、詳細は不明。後述するルオンとは犬猿の仲(ルオンはどうとも思ってないみたいだが)である。
- ルオン(Ruon)
- 僧魔法を扱うが、前述のオルリックと比較するとより攻撃的な魔法が多い。僧侶タイプのキャラクターである。男性。
- 口調は非常に丁寧であるが、その全てに皮肉や毒舌が入り混じっている。僧侶であるが彼の信仰している神は、平たく言えば暗黒神といったものに近いであろう。およそ一般的な僧侶系キャラクターとは一線を画している。
- ヒルダ(Hilda)
- 前述のワッツ同様、シーフタイプのキャラクターである。女性。
- 明るく、お宝のこと以外は基本的に頭の中に無い。ただ、その過去には悔やんでも悔やみきれないキズを持っており、そのことが常に彼女を苦しませている。
なお、前述した主人公であるアッシュと、ヒースについては裏シナリオにも登場する。
[編集] その他
[編集] 魔術士オーフェン盗作疑惑?
『ダイナソア』の魔法のネーミングを魔術士オーフェンの作者である秋田禎信が盗作しているという話が過去に飛び交った。事の発端は、「我は放つ光の白刃」という魔法。これをオーフェンの主人公であるオーフェンが魔法として使っており、またダイナソアでも同名の魔法をランディが使っている。
他にもオーフェンでは「我は~」から始まる魔法が使われており、ダイナソアの魔法と酷似していたことからだと推測される。この話については様々な憶測や議論があったが、信憑性が薄い。
なお、ダイナソアに使用されている魔法のネーミングの根底には、富一成が過去に手がけた作品『夢幻の心臓II』の魔法のネーミングが影響しているといわれている。