ダイ・ハード2
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ダイ・ハード2 Die Hard 2: Die Harder |
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出演者 | ブルース・ウィリス |
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製作国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
前作 | ダイ・ハード |
次作 | ダイ・ハード3 |
『ダイ・ハード2』(Die Hard 2: Die Harder)は1990年のアメリカ映画で、ヒット作『ダイ・ハード』の続編。シリーズは『ダイ・ハード3』へと続いた。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
舞台を空港に移し、刑事ジョン・マックレーン(マクレーンとも翻訳される)の活躍を描いた。キャスト、物語は前作『ダイ・ハード』とよく似た作りになっているが、監督はこれがデビュー作となったレニー・ハーリンに交代している。原作はウォルター・ウェイジャーの小説『ケネディ空港/着陸不能』(58 Minutes)。映画では主人公をジョン・マックレーンに、ケネディ空港をダレス空港に変更するなど大きく脚色している。第1作『ダイ・ハード』はロデリック・ソープの小説が原作だが、この2つの小説は無関係である。
SFXはILMが担当した。ラストシーンに見られるように、デジタルによるマットペイントが初めて使用された映画である。(ちなみにラストシーンのマットペイントは上杉裕世が製作した)
劇中で「グロック拳銃は空港のX線検査に映らない」といった台詞があるが、これは誤りである。グロック拳銃には確かにプラスティック製の部品が多用されてはいるが、銃身や弾丸などの金属製部品は当然映る上、プラスティック製の部品には造影剤が混入されている為、これも検査装置に映る。しかし、この台詞によりグロック拳銃は一躍有名になった。
[編集] あらすじ
ナカトミビルをテロリストが占拠したあの悪夢のような事件から1年後、すっかり有名人になったジョン・マクレーンは妻のホリーを迎えにワシントン・ダレス国際空港にやってきた。空港内で不審な男2人組を見かけたマクレーンは、荷物室で2人が何やら怪しいことをやっていたところへ声をかける。すると男たちはいきなり拳銃を発砲してきた。マクレーンは応戦して銃撃戦になり、一人を射殺するが、もう一人には逃げられてしまう。このことに空港警察署のロレンゾ署長は大激怒。
マクレーンが死亡した男の指紋を1年前の事件で親友になったパウエルの元へ送り調べてもらった結果、男は2年前にホンジュラスで死んだとされていたアメリカ軍軍曹、オズボーン・コクランと判明。管制局長のトルドーに事の次第を話すマクレーン。だがその時、滑走路の着陸誘導灯が消え、計器着陸装置(ILS)も作動不能。上空の旅客機が着陸できなくなってしまう。そんな中テロの情報かく乱により旅客機が墜落してしまう。
犯人は陸軍大佐スチュアート。今日、この空港に送還されてくるはずだった麻薬王エスペランザ将軍の奪還を敢行してきたのだ。
上空にはホリーが乗る旅客機もある。事件が長引けば燃料切れで墜落することは必至。かくして、マクレーンの最悪の夜が再び幕を開けるのであった・・・
[編集] 登場人物
(吹替えは左からテレ朝、フジ、DVD版)
[編集] 主人公
[編集] 空港・警察・軍関係者
- カーマイン・ロレンゾ(デニス・フランツ:内海賢二、坂口芳貞、池田勝)
マクレーンを部外者扱いし、彼と幾度となく衝突する空港警察の署長。トルドーには頭が上がらなく、しぶしぶ指示に従う。グラント少佐にも厄介払いされるが、敵のカラクリを知り、マクレーンとともに決戦に向かう。
- レスリー・バーンズ(アート・エバンス:田中亮一、以下不明)
管制機能に精通している空港のチーフ・エンジニア。テロリストに殺されそうになっていた所をマクレーンに助けられる。孤立したマクレーンと共にテロリストのアジトを探したりして手伝う。
- マービン(トム・バウアー:納谷六朗、以下不明)
マクレーンにレコードを盗まれると心配した空港の管理人。マクレーンに建設中のターミナルや滑走路への近道を教えたり、テロリストのトランシーバーを見つけたりと大活躍する。
- アル・パウエル(レジナルド・ベルジョンソン:増岡弘、富田耕生、麦人)
ロサンゼルス市警の巡査部長。ロスでの事件以来マクレーンと親しくなり、今回もマクレーンが殺した男の身元照会をして助けるが、出番が少ないのが残念。トウィンキーが好き。
- ロリンズ(チャールズ・ラニアー)
司法省から派遣された役人。
- グラント(ジョン・エイモス:麦人、郷里大輔、大塚明夫)
スチュアートを倒す為にやって来た陸軍テロ対策特殊部隊の隊長。昔スチュアートにゲリラ作戦を教えていた。部下の信頼も厚く、最初いがみ合っていたマクレーンとも打ち解ける。マクレーンとテロリスト達を追い詰めるが・・・。
- テルフォード(パット・オニール)
事件前日にグラント隊の臨時隊員になった若い兵士。空港とトラックの中でテロリストの無線の暗号解読を必死に試みようとするが・・・。
[編集] 人質
- ホリー・マクレーン(ボニー・ベデリア:弥永和子、吉田理保子、駒塚由衣)
ジョン・マクレーンの妻でロスにあるナカトミ商事で働くキャリア・ウーマン。クリスマス休暇に家族のいるワシントンD.C.に向かうが、テロリストによる事件に巻き込まれる。奇しくも同じ飛行機には1年前の事件でぶん殴ったレポーターのソーンバーグが乗っていた。
- リチャード・ソーンバーグ(ウィリアム・アザートン:江原正士、村山明、江原正士)
WZDCのTVレポーター。ホリーと裁判沙汰をおこし、裁判所からの命令でホリーの周囲には近づけないが、飛行機内で再びホリーと出会う。客室乗務員に何故彼女の近くに座らせるのかと文句を言っていた。仲間の無線盗聴から空港で起きている事件のことを知り、飛行機からテレビのニュースで報道して空港をパニックに陥れる。
- ウィンザー114機の機長(コルム・ミーニイ: 小島敏彦、不明)
ワシントン・ダレス国際空港と音信不通になった後、やむをえず空港の上空を旋回していた。燃料が尽きかけている中で突然通信が回復した着陸指示に言われるがまま従うが・・・。
[編集] テロリスト
- スチュアート(ウィリアム・サドラー:堀勝之祐、大塚明夫、大塚芳忠)
テロリストのリーダーで反共主義者の元陸軍大佐。エスペランザ将軍を奪還するため部下とともに空港を乗っ取る。冷徹な精神の持ち主で自分の命令に従わない場合は大勢の人間が乗った飛行機を落とすこともためらわない。肉体もかなり鍛え上げられており、マクレーンと死闘を繰り広げる。
- ガーバー(ドン・ハービー)
スチュアートの右腕的存在のテロリスト。部下に命令を下し、作戦をクールに実行する。バーにいたマクレーンに挙動不審な動きを怪しまれる。
- トンプソン(ピーター・ネルソン)
ベーカーと教会を乗っ取り、“店”を開くテロリスト。スチュアートの命令でニセの高度設定をする。無線のコードネームは「ソバ」。
- オライリー(ロバート・パトリック:テレビ版不明、梅津秀行)
ペンキ屋に化けた別館チームのテロリスト。“動く歩道”のスイッチを止めて、SWATリーダーに怒られる。
- カーン(トム・ベリカ)
空港に降りた将軍を迎えに来た教会にいるテロリスト。マシンガンを放ち、マクレーンを軍用機のコックピットに閉じ込める。
- オズボーン・コクラン(ジョン・コステロー)
空港内のバーにいたテロリスト。ミラーとともに手荷物室で盗聴器をしかけていたところをマクレーンに見つかり、発砲する。
- マルキー(ケン・ボールドウィン)
同じく別館チームのテロリスト。銃の手入れが行き届いてないのか、しょっちゅう弾がでなくなる。マクレーンと落ちている銃を奪い合う。
- ラモン・エスペランザ(フランコ・ネロ:田中信夫、小林清志、吉水慶)
国の内外に狂信的な支持者を持つ南米の麻薬王。かつてアメリカ国務省から援助を受けていたことがあった。コカイン取り引きの罪で法廷での証言のため軍用機でワシントンに送還されて来る。一瞬のスキをついて見張りを絞殺、パイロットをも殺害して自ら操縦する。モデルはマヌエル・ノリエガ。
劇中でテロリストと特殊部隊が機関銃のマガジンを2つテープで連結して運用している。始めのマガジンが空になったら、そのまま裏返してすばやくマジガンチェンジするためである。そして連結に使ったテープが物語の伏線になっている。 しかし、現実には塵や汚れが混入し易くなる行為であり、作動不良の原因になるのでしてはいけないとされている。 例外的に汚れに強いAK突撃銃系列ではしばしば行われる行為であるものの、劇中に登場する銃器はどれも精密で異物混入に弱いMP5-Kのようなものばかりである。
[編集] ロケ地関係
[編集] 空港ターミナル内
- 映画の設定では、空港はワシントン・ダレス国際空港であるが、実際の撮影は別の空港で行われた。
マクレーンがコートの雪を払いながらターミナル内に入ると大きなクリスマスツリーが飾ってあり、案内カウンターで公衆電話の場所を尋ねるシーン等のターミナル内の搭乗手続きカウンター付近のシーンは、ロサンゼルス国際空港(LAX・KLAX)の「Tom Bradley」とよばれる国際線ターミナルで撮影された。
前述のマクレーンが公衆電話の場所を尋ねるシーンで、バックにブリティッシュエアウェイズ(British Airways)の手続きカウンターが写っている。また、管制塔の機能が乗っ取られ空港ターミナル内の到着案内表示板が「延着」の表示に変更され、ターミナル内が騒然とするシーンでは、Travelers Aid office等の施設の入ったロサンゼルス国際空港で象徴的な扇状になった建物が写っている。
[編集] 空港ターミナル外
- ターミナル内は、前述の通りロサンゼルス国際空港が使用されたが、ターミナルの外のシーンは、また別の空港で行われた。
ターミナル玄関前で、マクレーンの車(ホリーの母親の新車)がレッカー移動されるシーンや、スチュアートがホテルで体を鍛えているシーンで映っている空港管制塔は、コロラド州デンバーにあったステープルトン国際空港である。しかし、このステープルトン国際空港は、その後、1995年にデンバー国際空港に移転したために、映画で使用された当時のターミナルや管制塔は取壊され、現在は実際に見ることはできない。
[編集] ロケに使用された航空機
- 映画で登場する航空会社は、すべて架空の航空会社(ノースイースト航空はかつて実在したが無関係)であるが、一部は実際に航空会社が旅客運用などに使用している航空機を撮影のために提供していた。
- ノースイースト航空140便(略称:NEA) ホリーが乗っていた飛行機。ロサンゼルスからダレス国際空港に向かっていた。
使用機種はロッキードL-1011で、劇中での上空の飛行シーンは精密な模型を作製して撮影されていたが、最後の緊急着陸をして脱出シューターから乗客が脱出する際に実際の航空機が使われた。その際に使用されたのが登録番号(N-Number)N765BEで(なおこの機体は1975年4月にJA8511の登録番号で全日本空輸が導入し、1985年5月まで全日空で使用されていた)、ハワイアン航空が旅客運用していた機体を架空の航空会社であるノースイースト航空のオリジナルのデザインの塗装を仮に施したものであった。前方の車輪の格納カバーに「765」と前記の登録番号の上3桁が表示されているのが写っていることからも、この機体であることがわかる。
- 747カーゴ テロリストが管制塔に要求したものの一つ。クライマックスでマクレーンとスチュアートが翼の上で死闘を繰り広げた。
使用機種はボーイング747-121、登録番号(N-Number)N473EVで、エバグリーン航空が所有・運航している貨物機であった。劇中で登録番号がはっきりと写っていることや機体のデザインがそのまま使われているのですぐに分かる(ただし、会社名とロゴは消されていた)。そして最後は漏れた燃料に火をつけて、航空機は粉々に吹っ飛ぶのだが、実際はB747の燃料は引火率が低いため、燃料に火をつけただけでは引火しない。ただし燃料タンクが特定の条件を満たすと爆発することがある。
[編集] 日本語吹替
- 1994年4月10日(日)テレビ朝日「日曜洋画劇場」
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- エバグリーン航空
- ボーイング747-121・N473EVの写真AIRLINERS.NETより
- FAAのN473EVの航空機登録情報
- ハワイアン航空(N765BE)の写真AIRLINERS.NETより
- FAAのN765BEの航空機登録情報
カテゴリ: アメリカ合衆国の映画作品 | 1990年の映画 | アクション映画