フォード・モーター
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フォード・モーター・カンパニー(Ford Motor Company,NYSE:F)は世界の自動車王ことヘンリー・フォード一世が創業した米国ミシガン州ディアボーンに本社を置く自動車メーカー。
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[編集] 概要
ヘンリー・フォードは2度自動車会社に失敗したが3度目のこの会社は1903年6月の創業で現在までつづいている。3度目のこの会社ではA型となづけた車から製造販売をおこなったが、1908年から製造販売された『T型フォード』は大量生産時代の現在の車の自動車製造スタイルおよびそれに付随するサービス体制を形作った最初の車となり、現代の自動車産業の原点としての意味で名車といわれている(現代の販売スタイルの原点は自動車産業全体を資金面と戦略面で支えた石油産業とその頂点にあったGMが先んじていた)。
フォード社はT型フォードだけを製造し続け1927年まで20年近くを一モデルの改良と生産工程の改良、販売サービス網の充実に費やす。当時金持ちのおもちゃといわれた自動車を大量生産によって大幅に値下げした。車は輸送手段となり会社は成功した。この成功によって150社程もあった米国自動車会社の中からフォード社はアメリカ市場の5割を占める大会社となった。しかし、ヘンリーフォード一世のこだわり(のちに失政ともいわれる)によるT型フォードへの固執、会社内部の権力争いなどにより、T型フォード末期には新型シボレー車登場を契機としてマーケティングとオートローンに力をいれていたGM(ゼネラルモーターズ)に首位の座を奪われ、フォード社は心機一転、モデル名を振り出しに戻し再びA型と名乗る車から出直している。
GMとの競争は早くから海外への進出も目を向けることにもつながり、欧州フォードによる欧州での現地化は古くからおこなわれ、欧州フォード車はフォード車であっても欧州車そのものである。アジア進出も早くからおこわれ日本に工場を置いた(1925年)。その後GMもこれにつづき、この時期(1925-1940)に自動車販売網、ガソリンスタンドなどの日本の自動車販売の基礎がつくられている(日本の自動車産業の基礎は米国や英国など外国資本の投資だった)。現在、日本のマツダ、スウェーデンボルボ、英国ランドローバーなど世界各国の自動車会社を傘下に収める。フォード社直轄の工場でもアメリカの他、英国やドイツ、オーストラリアにもおかれている。
[編集] 近年の動向
原油価格高騰によるガソリンの値上げなどの影響で主力商品のフルサイズSUVやピックアップトラックが燃費の悪さから敬遠される傾向にあり、同様の戦略をとっていたGMと共に経営不振に陥っている。そして2007年3月にはアストンマーチンがデビッド・リチャーズ、クウェートの投資会社などで構成される投資家グループに8億4800万ドルで売却されたことが発表された。これによりアストンマーチンはフォード・グループから離脱。ただしフォードモーターは引き続き7700万ドルの資本は持ち続ける。
日本のトヨタ自動車に世界2位の座を奪われたが、マツダを含めた広義のフォード・グループではトヨタ・グループを未だ上回っている。
[編集] フォードグループ
[編集] 世界展開
[編集] 日本でのビジネス
戦前には、横浜市内にアジア初のフォードの製造工場が存在していた。1925年からT型フォードのノックダウン生産を開始した。乗用車やトラックを年産1万台生産する国内最大のメーカーでもあったが、1936年7月政府により、日本国の自動車産業の保護育成を目的として「自動車製造事業法」が制定された。この法律により、国内資本が50%以上の企業のみ自動車製造が許可されることになり、100%アメリカ資本だったフォードは1940年に操業停止を余儀なくされる。太平洋戦争中、工場設備は日本軍に接収されたが、戦後の進駐アメリカ軍の管理を経て1958年までにフォードに返還された。現在、この一帯(子安地区)はマツダのR&D(研究開発)センターとなっている。
戦後の日本でのフォードビジネスは「フォード自動車(日本)」「オートラマ」を経て現在は、日本法人「フォードジャパンリミテッド」がフォード車の輸入・販売を行っている。
[編集] 日本正規輸入モデル
[編集] アメリカ製
- フォード・エクスプローラー 1991- (1991-92○)
- フォード・エクスペディション○★ 1999-2001
- フォード・ブロンコII ○★ -1991
- フォード・F-150○★ 1999
- フォード・マスタング★ -2005,2006- (-1993○)
- フォード・プローブ★ 1988-1997
- フォード・トーラス★ 1986-1997
- フォード・エスコート○★
- フォード・サンダーバード★ -1993 (-1989○)
- マーキュリー・カプリ○★
- マーキュリー・クーガー○★ -1999
- マーキュリー・セーブル○★ 1986-1988
- マーキュリー・マーキス○★
- マーキュリー・グランドマーキー○
- リンカーン・タウンカー○
- リンカーン・LS★
- リンカーン・コンチネンタル★ (-1988○)
- リンカーン・マークVII○★ -1992
- リンカーン・マークVIII○★ 1993-1998
[編集] 欧州製
フォードは第二次世界大戦以前から欧州に生産拠点を作っていた。主なものは英国、ロンドン東方のダゲナム (Dagenham)やドイツ西部、ケルン(Köln)等。 現在の車種の大半はスペイン東部、バレンシア(Valencia/フォーカスやフィエスタ等)とベルギー北東部、ヘンク(Genk/モンデオ等)の工場が担当。
- フォード・コーティナ○★
- フォード・カプリ○★
- フォード・RS200★
- フォード・シエラ○★
- フォード・グラナダ○★
- フォード・モンデオ
- フォード・フォーカス
- フォード・フィエスタ
- フォード・Ka★
- フォード・ギャラクシー★
[編集] マツダ製
カッコ内はマツダでの車名。
- フォード・エスケープ(トリビュート)
モデル後期は台湾製 - マーキュリー・マリナー・ハイブリッド(トリビュート・ハイブリッド<マツダは北米限定>)
- フォード・テルスター(カペラ/クロノス)★
- フォード・テルスターII(カペラ)★
- フォード・レーザー(ファミリア)★
- フォード・フェスティバ★
- フォード・フェスティバミニワゴン(デミオ)★
- フォード・イクシオン(プレマシー)★
- フォード・スペクトロン(ボンゴ)★
- フォード・J80/J100(ボンゴトラック・バン/ボンゴブローニイトラック・バン)★
- フォード・フリーダ(ボンゴフレンディ)★
[編集] 韓国(起亜自動車)製
-
- ★印は絶版(輸入中断)モデル
- ○印は近鉄モータース(現・クインランド・カーズ)が輸入
[編集] 日本未投入モデル (一部)
- フォードEシリーズ (旧エコノライン)
- フォードGT
- フォード S-Max
- フォード・クラウンビクトリア
- フォード・コントゥア
- フォード・ファイブハンドレッド
- フォード・フュージョン
- フォード・フリースタイル
- リンカーン・ナビゲーター
[編集] 関連項目
- 6大グループ (自動車)
- アストンマーチン:2007年3月までPAGの一員だった
- フォード・システム
- ロバート・マクナマラ:1960年フォード家以外の初の社長、61-68米国国防長官、68-81世界銀行総裁
- リー・アイアコッカ:1970年フォード社社長、1978-92クライスラー社社長
- オートラマ:80年代にマツダと共同で展開したフォード車販売網。日本でのフォードブランドの認知度UPに大きく貢献した。
- クインランド・カーズ:旧近鉄モータース。日本国内におけるフォード販売店の老舗
- サービス:サービス第一主義を掲げたフォードが戦前の日本にサービスの概念を広めた
- アイク:元系列会社のコンシューマー・ファイナンス会社
[編集] 著名なエンジンチューナー
[編集] 外部リンク
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