ミックスパイください
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『ミックスパイください -GIMME A MIXPIE-』は、1990年3月26日~1999年3月26日まで愛知県・岐阜県・三重県の中京広域圏を対象に放送された、CBC中部日本放送制作のローカルワイド番組。
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[編集] 概要
当時としては珍しい、ローカル局が自社制作を手掛けた平日夕方のワイド番組で、9年間にわたって放送された長寿番組である。放送は毎週月曜~金曜、17:00~18:00。ガラス張りに内装されたCBC本局のスタジオ内からの生放送。
番組は主に、東海3県のタウン情報などローカルに徹した話題(生中継とVTR取材)、ゲスト出演者とのトークコーナー、音楽CDや近日公開予定の映画など最新情報の告知などによって構成。その後の時間につながるニュースの予告や天気予報、その他生の情報も随時放送の中に折り込んでいた。また、番組では視聴者からのハガキやFAXの投稿を受け付けていた。視聴者からの投稿は、番組にゲストで訪れる芸能人やアイドル歌手に対する応援メッセージや、気象情報コーナーを担当する女性たちの似顔絵イラストが贈られてくることが多かった。
当時のCBC、ひいては名古屋を代表する名物番組の一つであり、芸能人やアイドル歌手が名古屋にプロモーションに訪れる際には必ずと言っていいほどこの番組にゲスト出演をしていた。地元のベテラン女優・山田昌を筆頭に、小堀と親交の深いTHE ALFEE、劇場の舞台に出演中だった五木ひろし、中村玉緒らが出演。他、新人時代のSMAPもこの番組にゲスト出演をしている。このゲストとのトークコーナー「コボリックワールド」は、パーソナリティ小堀が得意とする話術が最も発揮されるコーナーであった。
当番組のライブ感溢れる展開は、それまでのローカル局他局が制作・放送してきたワイドショーやその他生放送の番組とは一線を画したものであった。故に、放送局各局やテレビ番組の制作に携わる者たちからの注目度も高く、同系列局関係にある福岡県のRKB毎日放送は、1991年4月に自社制作の夕方のワイド番組『RKBワイド5』を立ち上げる際にこのミックスパイを徹底的に研究したという。この『ワイド5』の放送第1回には、ミックスパイ側から放送開始を祝うFAXが送られた。後に全国のローカル局に影響を与えたという札幌テレビ放送制作のワイド番組『どさんこワイド207』がスタートする、その半年前の話である。長年高い視聴率と支持を得ていた同局の番組『CBCニュースワイド』の中で培った取材力と、当番組の前身となった番組『CBCニュース通り』で得た演出能力がこの番組では遺憾なく発揮されていた。
また、番組の司会を務めた同局のアナウンサー・小堀勝啓の存在も大きい。彼がかつてパーソナリティを務めていた同局の若者向けラジオ番組『小堀勝啓のわ WIDE!~とにかく今夜がパラダイス』の中で培ったそのトークや人脈が、当番組のカラーを作り上げたと言える。小堀は地方局の一アナウンサーではあるが、深夜ラジオの時代から培ってきた芸能界(特に音楽界)に対する人脈が広く、特にTHE ALFEEの坂崎幸之助、小室等、南こうせつなどフォーク・ニューミュージック系のアーティストたちとの親交は深い。ローカル局の番組でありながら、ミックスパイにゲストで訪れる芸能人達が相当豪華な人選が為されていたのは、彼の力に因る所が大きいと言われている。
司会の小堀は報道記者経験があったため、番組の生放送中に入ってきた緊急ニュースに対してもしっかりと対応していた。いじめによる若者の自殺が社会問題になった時期には、司会につボイノリオを加え、放送時間の1時間を丸々討論会にしたりと、硬軟両方を兼ね備えた番組作りであった。
名古屋のタレントを多くレギュラーに起用していたが、雨上がり決死隊、ペナルティ、海原やすよ・ともこ、DonDokoDon、COWCOWと、番組が末期になるにつれて次第に吉本興業色が強くなっていった。
[編集] 番組発足
かつてCBCテレビが1980年代前半に放送していた若者向けのバラエティ番組『ぱろぱろエブリデイ』及び『夕焼けワイド510』が終了して以来、同局のこの時間帯は各種テレビドラマの再放送枠として使われていた。当番組が始まるその半年前の1989年9月、複合型の自社制作番組放送枠『CBCニュース通り』の放送が開始された。この放送枠は、当時18時台で視聴率ナンバーワンを誇った番組『CBCニュースワイド』をトリに、生活情報、タウン情報などを内包していた。17:00~18:30までの90分生ワイドという、当時としては珍しい長時間放送の番組だった。
その『ニュース通り』のトップバッターとして17時台前半に放送されていたのが、小堀が司会を務めた番組『時代塾』だった。この番組は生中継を多用し、放送エリア内で生活し活躍する有名無名の人々を紹介。半年間にわたって放送された。この『時代塾』と、同局のアナウンサー平野裕加里と多田仁美が司会を務めた17:30からの番組『SHINSEN通信』が統合され、新番組として生まれたのがこの『ミックスパイください』である。
[編集] 出演者
[編集] 司会
- 小堀勝啓 - CBCのベテランアナウンサー。大きなブチメガネが特徴的。『時代塾』のキャスターを担当した後、このミックスパイの総合司会に抜擢。以降、1999年に番組が終了するまでの丸9年間メインを務め、番組視聴者たちから親しまれた。
[編集] アシスタント
『時代塾』と『SINSEN通信』を統合する形で開始された番組であったため、放送開始から半年間は小堀と平野裕加里がコンビで司会を担当(月曜~金曜)。その後、1990年10月より河野夏紀アナウンサーとタレントの伊藤智恵理が加わり、曜日毎にアシスタントが交代する形となった。平野が中継コーナー担当に移ってからは、アシスタント陣には様々なタレントを迎え、曜日ごとに交代で登場させていた。ごく稀に、アシスタントが収録ロケコーナーに参加する事もあった。
[編集] 収録ロケコーナー・特集コーナー担当
放送途中、出演曜日が異動している者も多い。
- 戸井康成 - 月曜担当(水曜を担当していた時期もあり)。渡辺美香アナウンサーと組むことが多かった。
- 雨上がり決死隊 - 月曜担当。土曜深夜の『ミックスパイ+』という姉妹番組も彼らが担当した。
- 林佳奈子 - 火曜担当。
- 山田麻琴 - 火曜担当。
- 鉄崎幹人 - 火曜担当。土曜深夜の『濃縮版!ミックスパイあげます』という姉妹番組も彼が担当した。
- チャッピー - 火曜担当。特集コーナーにて鉄崎とのコンビで登場。
- 小原節子 - 火曜担当。特集コーナーにて鉄崎とのコンビで登場。
- 海原やすよ・ともこ - 火曜担当。
- 柳川薫 - 水曜担当。
- 藤田陽子 - 木曜担当。
- ペナルティ - 木曜担当。
- 宮本忠博 - 金曜担当。大石邦彦アナウンサーと組むことが多かった。
- 原元美紀 - 金曜担当。
- DonDokoDon - 金曜担当。
- 藪下貴子
[編集] 中継コーナー担当
重盛・高田・大石の3名は、番組後半の名物コーナー「夕日のバーゲン野郎」シリーズを担当。
- 重盛啓之 - カウボーイ姿と決めゼリフが印象的。「夕日のバーゲン野郎」のコーナーで帽子を投げ飛ばすシーンは強烈。
- 高田寛之 - 「バーゲン君」として赤い服装で登場。恰幅の宜しい体格と個性的なキャラクターで人気を集めた。
- 大石邦彦 - 「赤札小僧」として赤い半被を着て登場。体格が小さめなのでまさに小僧という感じであった。
- 平野裕加里 - 「たそがれのイントロ娘」、「ゆかり&ボビーのスーパーラッキーレシート」のコーナーを担当。
- ボビー - 「ゆかり&ボビーのスーパーラッキーレシート」のコーナーを担当。
- MORI MOMO - 「MORI MOMOのオレたち!極楽ブラザーズ」のコーナーを担当したコンビ。
- COWCOW - ナディアパークからの中継コーナーを担当していた。
- 雨上がり決死隊 - 放送末期に中継のコーナーも担当していた。
[編集] 気象情報担当
- 今泉圭子 - 愛称「ケティー」。
- 川合久美子 - 愛称「久美ちゃん」。
- 梅村ゆかり - 愛称「梅ちゃん」。
ほか。
[編集] 主なコーナー
[編集] 収録ロケコーナー・特集コーナー
- 味処 山田屋本店
- 山田麻琴の担当ロケ。彼女が東海圏の様々な料理店を訪ね、その店の隠れた逸品メニューを紹介していく。
- 噂のトライアングル
- MTB(Mixpie Total Beauty)
- MTB(Mixpie Travel Bureau)
- お願いまとめてかなえましょう
- 佳奈子の満点厨房(まんてんキッチン)
- 林佳奈子の担当ロケ。上記の「味処 山田屋本店」と同様のグルメレポートコーナー。
- 実験隊
- MORI MOMOと藪下貴子が黒の全身タイツ姿で、視聴者からの疑問を体を張った実験で検証する。当時水曜日のアシスタントだった優香も1度企画に参加。
- なんへ調査団
- 悲惨です大賞
- 戸井康成・鉄崎幹人・宮本忠博の男性レポーター3人が、自分の愛車をゴールにしてPK合戦等、体を張った企画で対決。総合成績の最下位が罰ゲームを受ける。女性レポーター版の「女の悲惨です大賞」という兄弟版企画もあった。
- 柳川薫 女のみち
[編集] ゲストとのトークコーナー
- 小堀勝啓的世界 Koboric World
[編集] 中継コーナー
- 決定!!高校生雑学王
- 夏に数回だけ、中継で実施した、高校生3ペア対抗のクイズ大会。ジャンル及び得点が書かれたパネルを指定して、そのジャンルの早押しクイズを出題。合計得点が最も多かったペアが優勝。
- たそがれのイントロ娘
- Doki Doki 宝島
- 「MORI MOMOのオレたち!極楽ブラザーズ」のリニューアル版。このコーナーでは後半に、神経衰弱ゲームを行って中継先の人が賞金を獲得した。
- Nakkyの勘勘天国
- 中継先に集まった人が、勝ち残り方式のクイズで海外旅行の権利獲得を目指す。前半は設定数より上か下かで答えるサドンデス方式の2択クイズで、最終問題では近似値で答える。シンキングタイム中はダンスチーム「カンカンダンサーズ」の踊りが見られた。
- MORI MOMOのオレたち!極楽ブラザーズ
- 東海地方の様々な場所をミニコントを交えて紹介するコーナー。このコーナーのゲーム「1・2・3・4 第6感」は、用意されたボードの「m」「i」「x」「p」「i」「e」各文字の上下に配置されたパネル12枚から現金パネルを勘で当てて現金を獲得していくというもの。中継先の人たちがどの文字部分でハズレ(パイ坊やパネル)を引くかを視聴者がハガキで言い当て、現金を獲得していく予想クイズや、中継先の人が獲得したのと同額の賞金を視聴者プレゼントする企画なども行われていた。
- モザイクDON!
- その日のワイドショーで注目を集めた有名人が映像でモザイク表示になっており、視聴者が電話を通じてその有名人の名前を答えるチャレンジコーナー。正解すると賞金獲得となる。
- 夕食ダーツ
- 「夕食チャンス」のリニューアル版。予め、今晩作っている夕食のジャンル以外からも1ジャンルを指定。出演者が1人代理で回転するダーツ盤にダーツを投げて、今晩作っている夕食のジャンルまたは先に指定したジャンルの的に当てればすし券獲得。
- 夕食チャンス
- 事前にハガキで応募した人の中から抽選で1名挑戦者を選び、その人が電話で参加するゲームコーナー。シャッフルされたカップの中から1つを選んで、中に入っていたボールに書かれていたジャンルと今晩作っている夕食のジャンルが同じであれば、すし券獲得。ジャンルは「和(和食)」「洋(洋食)」「中(中華)」の3種類。
- 夕日のバーゲン野郎/それいけ!バーゲンくん/赤札小僧が行く!
- この「夕日のバーゲン野郎」シリーズでは、歴代の担当アナウンサーが東海三県各地のスーパーや商店街に出向き、現地の商店主たちと商品の値引きをかけてスタジオから出題される早押しクイズ(ただし早押し機ではなく楽器を使用)に答え対決するというもの(お題は当日の新聞に掲載された記事より)。アナウンサーに先に答えられてしまうと、商店主は対象商品を0.5割(5%)ずつ値引きしなければならないというルール。
- ゆかり&ボビーのスーパーラッキーレシート ~今夜のおかずはタ~ダだよ!~
- 東海地方各地のスーパーマーケットからの中継コーナーで、中継先のスーパーの買い物客たちが対象。予め当日に買い物をした際のレシートが入れられた箱の中から抽選で1枚を引いて、当選者は、そのレシートの代金が現金でキャッシュバックされる。更にボーナスチャンスとして、抽選で選ばれた品物を買っていれば、キャッシュバックされる現金が2倍増もしくは5倍増になる。2倍コースは品物の種類名から、5倍コースでは具体的な品物の名前から抽選で選ばれる。
他、放送末期には、番組の冒頭に出したテーマに該当する人物を放送当時完成したばかりのナディアパーク前に集め、集まった者たちと中継を結んでトークをするコーナーが行われていた。
[編集] タイトル副題
タイトルに添えられていた英表記“GIMME A MIXPIE”は、“GIMME A MIXED PIE”が英語本来の表記であるということは番組内で認めている。ただしこれはデザインの良さや見易さを考慮した上で、敢えて修正せずこの表記を使用していたという話である。
[編集] マスコットキャラクター・パイ坊や
番組のオープニングCGに登場するほか、中継コーナーではこのキャラクターの着ぐるみが東海3県各地の町に繰り出していた。
[編集] スタジオ
番組はCBC本社1階、広小路通に面したガラス張りのスタジオ、通称「フロントスタジオ」からの生放送であった。『ズームイン!!朝!』で知られる日本テレビの「マイスタジオ」に近い雰囲気で、通行人は通りから同番組が放送される様子を観覧することができた(といっても出演者たちの後頭部や背中を眺めるという形になるが)。全国区の人気アイドルや人気俳優などがゲストで登場する日ともなると、スタジオ前はファンで溢れかえっていた。ミックスパイのセットの向かい側には『ニュースワイド』のセットが組まれていた。なお、1998年11月、CBC放送センターの稼働開始により、スタジオは新社屋に移動したため、同スタジオからの放送は終了。現在このスタジオ跡地は「CBCスタジオギャラリー」として絵画等の展示スペースになっている。
[編集] 使用曲
- オープニングテーマ
- 本多俊之「East Side」
- エンディングテーマ
- 峠恵子「恋はHave a nice day」
- ICE BOX BABY「恋はア・ラ・カルト」
エンディングテーマに関しては一例のみを挙げている。頻繁に変更されていたため、番組内で使用された曲は数知れない。
[編集] 最終回
番組の最終回で放送された最後のコーナーでは、まず井上陽水の曲『ありがとう』に乗せ、視聴者から寄せられた番組出演者の様々な似顔絵が10枚程度写された。そして、画面がスタジオ内へと変わる。小堀が中央に立つその周りをレギュラー出演者陣が囲む形で立ち、彼らが一言ずつコメントを述べた。その後、小堀が彼らレギュラー陣に対し「『ラジオデイズ』(ミックスパイの終了後に放送が開始されることが決まっていた同局のラジオ番組)に出る人!」と問い掛け、挙手することを促した。小堀が視聴者への最後の挨拶をした後、画面に番組スポンサーのスーパーが出る中でレギュラー陣が小堀を胴上げし、番組は終了した。
[編集] 関連番組
[編集] 番組の変遷
CBCテレビ 平日17:00~18:00枠 | ||
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