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吉本興業 - Wikipedia

吉本興業

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

[分割]
項目分割の提案:この項目は、記事の一部を「吉本興業所属タレント一覧」に分割することが提案されています。議論はノート:吉本興業を参照してください。なお、分割作業を行う際には履歴不継承にならないように注意してください。
吉本興業株式会社
Yoshimoto Kogyo Co.,Ltd.
種類 株式会社
市場情報
東証1部 9665
大証1部 9665
略称 吉本、よしもと、吉本興業
本社所在地 542-0075
大阪府大阪市中央区難波千日前11番6号
電話番号 06-6643-1122(代表)
設立 1948年(昭和23年)1月7日
創業は1912年(明治45年)4月1日
業種 芸能事務所 テレビ番組製作会社 劇場運営
代表者 代表取締役社長 吉野伊佐男(2006年7月20日現在)
資本金 48億6百万円
売上高 単体:321億円(2006年3月期)
連結:462億円(2006年3月期)
従業員数 251名(所属タレントを除く)
主要株主 大成土地
三井住友銀行
大成建設
主要子会社 株式会社アイ・ティ・エス
株式会社吉本音楽出版
関係する人物 林正之助
林裕章
中邨秀雄
外部リンク http://www.yoshimoto.co.jp/

吉本興業(よしもとこうぎょう)は、大阪府大阪市中央区東京都千代田区に本社(登記上本店は大阪、※も参照)を置く東証1部、大証1部上場の日本最大手の芸能事務所、プロモーター、テレビ番組製作会社。商号は吉本興業株式会社。英文名称はYoshimoto Kogyo Co., Ltd.。社長は吉野伊佐男。通称:「吉本」「よしもと」

[編集] 本部名称

※吉本サイドでは2002年より、大阪本社を大阪本部、東京本社を東京本部と称している。

[編集] 日本最古の芸能プロダクション

明治45年(1912年)4月1日の創業以来、約95年の歴史を持ち、日本の芸能プロダクションでは、最も古い(次に古い歴史を持っているのがマナセプロダクション)。

[編集] 主な役員

  • 代表取締役社長- 吉野伊佐男
  • 代表取締役副社長- 大崎洋
  • 専務取締役- 清水幸次
  • 取締役- 石元正春・佐敷慎次・川島國輝・水上晴司・田中宏幸・平島治
  • 執行役員- 竹中功
  • 相談役- 林英之・横澤彪
  • 監査役- 谷垣武・蔭山幸夫・森薫生・沖津嘉昭

[編集] 概要

古くは桂春団治横山エンタツ花菱アチャコ柳家金語楼から、現在のダウンタウンナインティナインオリエンタルラジオに至るまで、東西の多くの人気芸人を輩出してきたお笑い界の名門。テレビ番組制作、劇場、芸人養成スクールを手がけ、お笑い芸人のマネジメントでは圧倒的強さを誇る。また戦前は、巨人軍を他社と共同で設立して草創期のプロ野球界を支え、戦後は日本プロレス協会を立ち上げて力道山をスターにし、近年はスポーツ選手のマネジメントを数多く手がけるなど、スポーツ界とのつながりも深い。元々は全国で寄席・劇場・映画館経営を手がける興行会社であり、戦前は松竹東宝・吉本で三大興行資本と称された。現在は芸能プロダクションを中心とした複合企業である。「お笑いの総合商社」「日本最大の芸能プロ」とも揶揄される。

芸能界における絶対的な権威などから今や「吉本なしでは、番組が作れない。」とまで言われる。

創業者の姓を採り「吉本」と名乗っているが、現在はオーナー経営ではない。

大株主には大成土地三井住友銀行大成建設朝日放送毎日放送等が名を連ねている。銀行系列は特にないが、旧大和銀行系の大輪会に参加している。

梅田の大地主として知られる吉本ビルディングとは資本・人材をはじめ一切無関係。

[編集] 沿革

[編集] 創業期(明治末~)

創業は1912年(明治45年)4月1日。始まりは吉本吉兵衛(本名:吉次郎、通称:泰三)・せい夫婦が大阪市北区天神橋にあった「第2文芸館」を買収し、寄席経営を始めた事であった。翌1913年1月には大阪市南区笠屋町(現・大阪市中央区東心斎橋)に吉本興行部が設立される。1915年には傘下の端席のほとんどを「花と咲くか、月と陰るか、全てを賭けて」との思いから「花月」と改名し花月派(無名落語家や一門に属さない落語家、色物などの諸派)結成。吉兵衛・せい夫妻は、2代目桂文枝らの桂派、3代目笑福亭松鶴・初代笑福亭福松・2代目桂文団治(後の7代目桂文治)らの三友派の二大勢力の争いが三友派の勝利にほぼ確定。1921年に非主流の浪花落語反対派と提携して勢力を伸ばし、後に反対派を吸収。そして翌年、三友派の象徴ともいえる寄席「紅梅亭」を買収して三友派も吸収。上方演芸界全体を掌握する事になる。しかし、1924年に泰三が急性心筋梗塞で死去し、若き未亡人せいが経営を背負う事になるが、せいの弟の林正之助が大阪で、正之助の弟の林弘高が東京で活躍し、大過なく経営を続ける事が出来た。大正時代には大阪だけでも20あまりの寄席を経営し、京都、神戸、名古屋、横浜、東京等にも展開していた。

当初は専属芸人のラジオ(当時のJOBK・大阪放送局)出演を堅く禁じていたが(当時の林正之助総支配人が「ラジオでタダで芸を聞かせたら寄席に客が来なくなる」として禁止したそうである)、1930年12月7日に桂春団治がその禁を破ってJOBKに初出演。吉本は禁を破った春団治の寄席出演を堅く禁じたが、その後しばらくして春団治が寄席に復活した途端に客が押しかける様子を見て、専属芸人を放送番組に出演させる事が結果として自らの営業利益に繋がる事を知り、1934年5月4日にJOBKと吉本は和解を果たした。同じ年に漫才(当時の万歳)専門の寄席、小屋「南陽館」を会館、当時としては破格の値段10銭という入場料で砂川捨丸・中村春代横山エンタツ花菱アチャコ夢路いとし喜味こいし秋田Aスケ・Bスケ芦乃家雁玉林田十郎らが出演し人気を博す。

1932年3月1日には吉本興行部を改組する形で吉本興業合名会社が発足。同年には後に同社の社長になる橋本鐵彦、1934年には漫才作者として名高い秋田實が入社。1938年朝日新聞社主催による吉本演芸人の軍隊慰問団「わらわし隊」が中国満州に派遣される。1939年には新興キネマとの間で所属芸人の引抜を巡る騒動が勃発するが、その後両社は和解しミスワカナ・玉松一郎らが新興キネマに移籍した。

[編集] 東京・横浜への進出(大正末~)

また大正末より、東京・横浜への進出を開始し、大正11(1922)年1月には神田の寄席「川竹亭」を買収して「神田花月」として開場、同年5月には、横浜伊勢佐木町の寄席「新富亭」を手に入れている(翌年「横浜花月」と改称)。昭和に入ると、浅草公園六区の興行街への進出に本腰を入れ、「昭和座」「公園劇場」「万成座」を次々と手に入れた。1935年11月には東京吉本の本拠地となる「浅草花月劇場」をオープンさせている。また1932年には正式に吉本興業東京支社を開き、林弘高が支社長に就任、以後、大阪吉本を林正之助が、東京吉本を林弘高が率いる体制が確立する。

東京吉本は伝統的演芸路線を取る大阪吉本と異なり、徹底したモダン・ハイカラ路線を打ち出した。「浅草花月」オープン時には流行歌手の東海林太郎やタップダンサーのマーガレット・ユキを出演させ、映画を上映し、レビューの「吉本ショウ」を上演している。「吉本ショウ」は後に「浅草花月」の目玉となり、ここから後に、川田義雄、坊屋三郎益田喜頓、芝利英による、ボーイズの元祖「あきれたぼういず」が誕生した。「あきれたぼういず」以外にも当時の東京吉本は、柳家金語楼柳家三亀松を筆頭に、石田一松、永田キング、木下華声、伴淳三郎ら多くの東京の人気芸人を専属に抱えていた。タップダンサーの中川三郎や姫宮接子、喜劇王「シミキン」こと清水金一、コメディアンの堺駿二堺正章の父)や木戸新太郎らも当時、東京吉本に所属していたことがある。

[編集] 戦前の全盛期(昭和初め~)

またこの時期吉本興業は、スポーツや映画といった演芸以外の分野にも積極的に進出している。1934年には、正力松太郎の音頭の下、京成電鉄東芝等と共同出資して、プロ野球の巨人軍(当時の名称は大日本東京野球倶楽部)を設立。林正之助を、巨人軍の役員に送り込んでいる。また1933年には、吉本の社内に映画部を設立。1935年には、映画会社東宝の前身PCLと、さらに翌年東宝と提携し、1936年には林正之助が東宝の取締役に就任している。こうして横山エンタツ・花菱アチャコ、柳家金語楼ら吉本所属の喜劇人の映画が、続々と東宝から封切られることになった。また、本業の演芸部門でも東宝との合弁企業・東宝演芸を東京に設立し、東京での演芸興行にも一層注力する事になった。その一方で当時三大興行資本と言われた松竹・東宝・吉本の内、東宝と吉本が急接近したことは、松竹を刺激し、松竹傘下の新興キネマによる、前述の吉本芸人の引き抜き騒動を引き起こすことにもなった。

この1935年(昭和10年)前後が、戦前の吉本興業の最も華やかな時期だったと言えよう。東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸の6大都市に47館の直営劇場・寄席・映画館を所有し、所属の芸人数は約1300人に上った。プロ野球の球団経営(巨人軍)や映画製作を手がける一方、寄席の舞台や映画のスクリーンでは、横山エンタツ花菱アチャコ柳家金語楼柳家三亀松・川田義雄の吉本の5大スターが人気を競った。因みに戦前の吉本で最も高給を取っていたのは、金語楼と言われている。

しかし太平洋戦争で、吉本興業は大きな痛手を蒙った。1945年3月の東京大空襲では、神田花月と江東花月が焼失。神奈川県下の劇場も度重なる空襲ですべて失い、関東地区における吉本傘下の劇場で終戦時に残ったのは、浅草花月劇場、浅草大都劇場、銀座全線座の3館のみであった。地元大阪でも、相次ぐ空襲で、本社をはじめ、所有していた寄席や劇場、映画館のほとんどが瓦礫と化した。また出征していった所属芸人の戦死にも見舞われた。こうした混乱もあり、吉本興業は終戦直前に花菱アチャコを除く全所属芸人との専属契約を解消するに至った(同時に会社に借金がある芸人についてはその借金を棒引きしている)。

[編集] 戦災からの復興(昭和20年~)

終戦後、吉本興業は演芸による復興をあきらめ、映画の製作と上映に活路を見出すこととなった。そして1948年12月に封切公開された大映映画「大島情話」(主演・坂東好太郎 監督・木村恵吾)を皮切りに、次々と映画を製作していった。また所有していた寄席・劇場の多くも映画館に切り替えた。さらに1946年10月には京都で進駐軍専用のキャバレー「グランド京都」をオープン。こうしたいち早く時流の流れを読んだ吉本経営陣の読みは当たり、吉本興業の経営は軌道に乗っていった。1948年1月7日に現在の吉本興業株式会社が発足している。1949年に大阪証券取引所、1961年には東京証券取引所に上場した。その一方で、1950年には創業者の1人であり、芸人に「おせいさん」と呼ばれて慕われた吉本せいが死去した。

一方、林弘高率いる東京吉本は、戦後の1946年10月、「吉本株式会社」として正式に大阪の吉本興業から分離独立した。銀座に本社とスタジオを構え、東京・横浜の劇場・映画館経営と共に、デビュー当時の江利チエミのマネジメントや力道山のプロレス興行を手がけていった。チエミの場合は、父親が戦前の「吉本ショウ」のピアニスト・久保益雄、母親が喜劇女優・谷崎歳子であり、両親共に東京吉本の所属だったことから、チエミも東京吉本の所属になったものと思われる。さらに1946年11月には、映画会社東映の前身の一つ、「大泉映画」を設立。東京練馬区大泉に映画スタジオを創設して、数々の映画を製作した。また戦後の「浅草花月」は、浅草公園六区の他の劇場と同様、ストリップや大江美智子の女剣劇を上演する一方、引き続きトニー谷由利徹海野かつをら、多くの東京の芸人を出演させ、人気を博した。しかし浅草公園六区の興行街のその後の急速な斜陽化は、「浅草花月」を始め多くの劇場・映画館を当地に持っていた東京吉本をも襲うことになる。東京吉本こと「吉本株式会社」は業績が悪化し、最終的には会社更生法の適用を受けるに至った。

[編集] 演芸王国の復活(昭和34年~)

他方、映画館経営を主軸としてきた大阪の吉本興業は、昭和30年代に入ると、テレビの隆盛と映画の衰退に危機感を覚え、再び演芸部門を復活することにした。落語や漫才の主力芸人は戦後いち早く演芸を再開した松竹系に取られていたため、コメディを中心にすることにし、それをテレビで中継させて客を呼ぶ作戦に出た。そうして1959年(昭和34年)3月1日に、手持ちの映画館を演芸場に改装して、うめだ花月として開場、演芸再開に乗り出した。演目はアチャコ主演の吉本ヴァラエティ「迷月赤城山」であり、うめだ花月開場と同時にテレビ放送を開始した毎日放送に舞台中継させた。その後吉本興業は、直営の映画館を演芸場に改装する形で、1962年(昭和37年)には京都花月を、翌1963年にはなんば花月を開場。吉本ヴァラエティは、1962年には吉本新喜劇と名前を変え、白木みのる平参平ルーキー新一花紀京岡八郎原哲男財津一郎らスターを続々と生み出していった。

昭和40年代には、落語や漫才でも吉本所属の若手芸人が育ち始め、メディアと連動する形で若者の人気を得ていった。まず若手落語家の笑福亭仁鶴がラジオの深夜番組で人気を得、続く毎日放送のテレビ番組「ヤングおー!おー!」で、同じ吉本所属の若手落語家・桂三枝が人気者となった。さらにこの頃より、横山やすし西川きよしコメディNo.1ら吉本所属の若手漫才師も、若者の圧倒的支持を受けるようになっていった。

このように吉本興業は落語・漫才・コメディの分野で若い人気芸人を次々と輩出していった一方で、ライバルの松竹系の松竹芸能は老齢の重鎮クラスの芸人が多く、世代交代が進まなかったこともあり、昭和50年代に入ると、上方演芸界の主導権は再び松竹系から吉本興業へ移っていった。特に1980年(昭和55年)の漫才ブームで、ザ・ぼんち島田紳助松本竜介明石家さんまら吉本興業から全国区の若手人気芸人が続々と出た一方、松竹芸能春やすこ・けいこを除くと全般的にブームに乗り遅れたことで、それは決定的になったと言える。以後吉本興業が上方の演芸界を支配する構図が、今日に至るまで続いている。

[編集] 東京吉本の再興と地方への進出(昭和55年~)

そして吉本興業は1980年、東京連絡事務所(後に東京支社、さらに東京本社に格上げ)を設置、東京吉本の再興にも乗り出した。80年代は純粋な東京吉本出身の芸人は野沢直子ぐらいであったが、90年代以降、吉本が「銀座7丁目劇場」「渋谷公園通り劇場」「ルミネtheよしもと」と次々と東京に劇場をオープンさせたことに加え、吉本総合芸能学院(NSC)の東京校が開校したこともあり、ロンドンブーツ1号2号ペナルティ品川庄司ロバートインパルス森三中オリエンタルラジオ等、東京吉本出身の芸人が続々と育ち、近年テレビを席巻しつつある。現在、東京吉本は、神田神保町に本社ビルを構え、所属の芸人数から見ても、社員数から見ても、売上高から見ても、大阪吉本と肩を並べる存在である。

さらに吉本興業は80年代末以降、名古屋、福岡、札幌、広島に支社または事務所を続々と開いていき、地方のテレビ局への食い込みを図ると共に、ローカルタレントの育成にも乗り出した。そうした地方の吉本所属のローカルタレントの中から、札幌吉本出身のタカアンドトシや福岡吉本出身の博多華丸・大吉バッドボーイズのように、近年、全国区で活躍する者も出てきている。

[編集] 現在

現在の吉本興業は、直営劇場を東京に1つ、大阪に3つ、さらにテレビ番組収録用のホールを東京・大阪に各1つ持ち、所属タレントは約800人という陣容である。全国に直営劇場・寄席を47館持ち、所属芸人は約1300人という戦前の全盛期(昭和10年頃)には未だ及ばないものの、依然として総合娯楽産業の雄であることは言を待たない。

また近年は芸人だけでなく、一般の社員の採用、育成に力を入れている。さらに、興行以外にも多くの事業を展開してることから「総合アミューズメント産業の中心」という見方があり、就職先としても人気が出ている。ただ、「芸能人に近づける」というイメージも未だに強く、新入社員説明会は冷やかしが増えたためか、近年有料化にした経験もある。

社員教育は徹底しており、マネージャーはあくまで所属芸人のマネジメントをする人間であって、付き人ではないという考えから、荷物持ち等の雑用はしないようにと厳命している。又、弟子を持っている芸人に対しても師匠と呼ぶことも禁じている。

なお、2007年10月1日に持株会社に移行、マネジメント・制作部門を「よしもとクリエイティブ・エージェンシー(仮称)」、不動産賃貸部門を「よしもとデベロップメンツ(仮称)」、経理・人事などの間接部門を「よしもとアドミニストレーション(仮称)」にそれぞれ分社し、ファンダンゴを完全子会社化する予定となっている。

[編集] 評価

戦前には安来節を流行らせ、漫才を今日の形にした。又、前述の放送番組の件や、京都の松竹と競合すると見るや新興資本の東宝と組んで漫才=演芸と映画を融合させる等、今日のマスメディアとショービジネスの関連性をいち早く見抜き、メディアミックスの手法を取り入れて大いに活用し躍進した。一時は大阪・新世界の通天閣も購入し、隆盛を誇っていた。反面、演芸場のチェーン化を図り、桂春団治ら落語家を専属契約として自社の演芸場の番組のみ出演させた事で、上方の寄席文化を壊滅に追い込んだ。会社全体の気風として、流行の先端にあって人気の高い芸人・分野に力点を置き、新時代の潮流を切りひらいてゆくところに特色があるが、それが他方では、文化的に価値の高いものであっても、人気がなければ切捨ててゆく非情さにつながっており、演芸文化に対する害も大きい。

「吉本=大阪・お笑い」というイメージも強いが、戦前は必ずしもそうではなく、前述の通り東京・横浜にも多くの寄席・劇場・映画館を所有し、柳家金語楼柳家三亀松、川田義雄ら多くの東京の芸人を専属に抱えていた。戦後も、デビュー当時の江利チエミのマネジメントを手がけている(彼女の両親も東京吉本所属の芸人だった)。さらに戦前は球団経営(プロ野球の巨人軍)を手がけ、戦後も映画会社東映の前身の一つ、大泉映画を設立するなど、興行資本としての性格も強い(ちなみに戦前は松竹・東宝・吉本で三大興行資本と呼ばれていた)。

人気がなければ切り捨てるという点では立川談志「あいつらは戦前から売れねぇと使けぇ捨てるんだョ。ったく冷たてぇったらありゃしねぇよ。」と著作において批判している。また、永六輔は江戸笑芸を徹底否定する戦略を打ち出す姿勢を問題視しており、毎日放送大正テレビ寄席を打ち切ってサモン日曜お笑い劇場に差し替えた事に激怒。絶縁以降は自身出演のラジオ番組・自身が請け負った連載で徹底的に揶揄するほど非難。この事例でわかるように江戸笑芸の重鎮・啓蒙論者からの批判は絶えない。

醜聞も少なくない。戦前の初代社長吉本せいの頃より山口組と組んで嫌がる売れっ子芸人を契約させたり、地上げや興行を行ってきた。新興演芸発足に伴う引き抜き事件の際には、かなりの極道が動いたという。山口登(山口組二代目組長)は、初代社長・吉本せいの依頼を受け、吉本興業の東京進出に尽力した。1940年、山口登は人気浪曲師・広沢虎造(映画興行権を吉本興業が所有)の興行トラブルから、下関の籠寅組・保良浅之助と対立。山口登は、東京浅草で籠寅組幹部と話し合いを持ったが、籠寅組に襲われて重傷を負った。余談ながら、山口登は、この籠寅組に東京浅草で襲われた時に受けた傷がもとで、2年後死亡した。

戦後も吉本興業は力道山などのプロレス興行を手掛け、田岡一雄山口組三代目組長)や町井久之(東声会会長)と親交があった。田岡一雄は美空ひばり等の興行を仕切っていた事で知られる神戸芸能社を率いており、同じ関西の吉本興業との関係は当然すぎて、当時は誰も問題視しなかったのであろう。1968年1月11日には、吉本興業社長・林正之助が山口組組長(田岡一雄)と組んでのレコード会社乗っ取り容疑で兵庫県警に逮捕されている。当時の日本経済新聞によると「わしが田岡組長に電話したら山口組組員300名が駆けつけて血の雨が降るぞ!」と脅迫したという。毎日新聞によると「食品会社、レコード会社から千二百万円相当の株を脅し取った」と書かれている。週刊文春によると「林正之助は山口組の準構成員であった」と書かれており、林正之助は田岡一雄の葬儀にも出席し棺を担いでいる。

この他、1970年代には所属タレントによる不祥事(主として賭博がらみ)が多く発生した。

ちなみに山口組との腐れ縁は現在も続いていて2007年週刊現代が「創業者一族が○暴(まるぼう)を使って副社長を恐喝!」というスクープ記事を載せたり、週刊新潮中田カウス山口組を背景に創業者一族を脅しているとの告発記事を掲載と、週刊誌を使って経営権争いを有利に進めるためのリーク合戦をするに至っている。

[編集] 芸能界でのタブーと封建的な文化

出典の明記:この記事や節の内容に関する文献や情報源を探しています。ご存じの方はご提示ください。出典を明記するためにご協力をお願いします。

今や地上波テレビ、スポーツ紙の世界では吉本興業はジャニーズ事務所バーニングプロダクションなどと並ぶ「最大のタブー」と言われ巨大な圧力となっている。島田紳助がTV局内で女性マネージャーを暴行して怪我を負わせてもテレビ局の社員は見てみぬ振り。逆に仕事が増えるほどである。

その背景には明石家さんまダウンタウンナインティナインロンドンブーツ1号2号など数字が取れる人気タレントがズラリ揃っている事や会長だった林正之助が絶大な経営の権力を握っていた事や創業以来の経営手法とイズムを受け継いでいる事が起因している為である。

吉本のご機嫌を損ねて番組に出演してもらえない事態になれば、間違いなくプロデューサーのクビが危なくなる。今の吉本の力はあのジャニーズ事務所や渡辺プロダクション以上。番組で吉本の犯罪を取り上げるのはテレビにとって自滅行為になってしまうという。スキャンダルが起きると吉本から局の編成局に“よろしくお願いします”という連絡が入って完黙状態に。

所属している芸人・タレントの離反に対しては、テレビ局等に容赦なく干す様に要請し、それに耐えきれず、芸能界を去る者もいれば、中には下積み同然の扱いを受けた後に土下座して、ようやく復帰を許されたものもいると言われる。このような逸話が囁かれるほど、所属芸人に対しては封建的な扱いをしているが、円満に退社・移籍した芸人・タレントは数少ない。

[編集] タレントの待遇

所属芸人の多くは、契約もしていないし口約束すらしていない(社から見れば“居させてくれと言ってるから置いてやっている”形式)。ダウンタウン松本などは「契約金をもらった事もないし、このままどっかに移籍しても法的には一切問題ない」という。また、タレントの送迎などをせず、どれだけ売れっ子でも自分で車や電車で移動する。

タレントの給料は歩合制のため、若手であまり仕事がない芸人の場合、「銀行のATM手数料や交通費がギャラより高い」といった現象が起こる。さんまや紳助は童謡こいのぼりの替え歌で「ギャラより高い交通費」と度々歌っている。又、給料がいくらであっても必ず1割~8割を吉本側が天引きし、また源泉徴収することでも知られている。ただ、漫才などの賞レースや特番の賞金などについては一部プロダクションの中には、その賞金を数割程度会社側が取り込むというところも多いようであるが、吉本興業ではギャラ以外でタレントが直接稼いできたお金は全額そのタレントのもとに入るという。

この事情から「ピンハネ疑惑」が芸能マスコミ関係者を中心に噂されている。

また、若手芸人の中には、バイトを掛け持ちしている人もいる。

[編集] 事業展開

1959年の演芸復活の際、当時の八田常務は映画産業の斜陽化とテレビ時代を予見。単なる演芸の復活ではなく、テレビ時代に対応した事業の確立を目指した。演芸の番組の合間にテレビ番組の収録を挿入し、またテレビの舞台中継を通じて番組製作のノウハウを入手。更に売から肖像権全てを自社グループ内で処理をしてしまう一連のコンテンツ流通の仕組みを持つ。

又、2005年には、吉本興業やフェイスファンダンゴインテルなどが出資する戦略グループ会社として、株式会社ベルロックメディアを米国に設立。同時に日本法人も立ち上げ、日米でメディアの多様化にあわせ吉本グループのコンテンツを活かした新たなビジネスモデルを構築しつつある。

[編集] 地方事務所

現在吉本興業は、東京・大阪に本社を置き、それぞれ「東京吉本」「大阪吉本」と呼ばれている。それ以外に、名古屋に東海支社、札幌に札幌事務所、福岡に福岡事務所、広島に広島事務所を置き、それぞれ「名古屋吉本」「札幌吉本」「福岡吉本」「広島吉本」と呼ばれて、地元では親しまれている。「福岡吉本」はさらに短縮して「福吉」とも地元のお笑いファンには呼ばれている。かつては岡山の三丁目劇場にも吉本の事務所があったが、広島事務所に統合された。

吉本の各地方事務所は、それぞれ地元のローカルタレントを所属タレントとして抱えている。彼らの多くは、ローカル局で製作される地元の番組で司会やレポーターを務めているが、中には地元での圧倒的人気を背景に、東京吉本に移籍し、活躍の場を全国区に移す者も少なくない(例:タカアンドトシアップダウン(両者共、札幌吉本から東京吉本へ)、博多華丸・大吉バッドボーイズパンクブーブー(3者共、福岡吉本から東京吉本へ))。逆に東京・大阪の吉本から地方の吉本へ移籍し、活躍の場をあえてローカルに求める者もいる(例:モリマン(東京吉本から札幌吉本へ)、寿一実(大阪吉本から福岡吉本へ))。

地方の吉本の中で、最も成功していると言われているのが福岡吉本である。大阪や東京のお笑いを持ち込むのではなく、福岡発のお笑いを育てるという方針に当初から徹底しているために、地元のテレビ局の信頼も厚く、今や福岡では朝から深夜に至るまで、テレビで福岡吉本のタレントの顔を見ない日はないほどである。とりわけ近年、博多華丸・大吉バッドボーイズ竹山隆範カンニング)、ヒロシと福岡吉本出身の芸人の全国区での活躍が目立ち、あらためて「九州に福岡吉本あり」を全国に印象付けることとなった。今や福岡吉本は、地方の吉本の中では最も多い芸人を抱え、大阪吉本、東京吉本に次ぐお笑い界第3極の座を窺いつつある。

[編集] 吉本興業とスポーツ

本業の「お笑い」の影に隠れがちだが、吉本興業はスポーツとの関係も深い。特にプロ野球とプロレスの草創期には、大変重要な役割を果たしている。

まずプロ野球であるが、昭和9年(1934年)の アメリカメジャーリーグ選抜軍来日を契機に、日本でもプロ野球球団結成の機運が高まった。これを受け、正力松太郎の音頭の下、吉本興業は、同年に京成電鉄東芝らと共同出資して巨人軍(当時の正式名称は大日本東京野球倶楽部)を設立した。そして吉本興業専務の林正之助が巨人軍の役員に就任し、球団経営に参画した。大日本東京野球倶楽部は東京巨人軍への改称を経て、戦後の1947年、読売新聞社の完全系列下に入り、吉本興業との資本関係は切れた。

また戦後のプロレス草創期において、力士を廃業していた力道山を担ぎ出し、プロレスブームを起こしたのも吉本である。1953年アメリカでのプロレス修行から帰国した力道山を迎え、大阪の吉本興業社長林正之助、東京の「吉本株式会社」社長林弘高の林兄弟が、新田建設社長新田新作、浪曲の興行師永田貞雄と共に設立したのが日本プロレス協会であった。早速力道山を主役にプロレス興行を始めて、大人気を博し、特に力道山が木村政彦と組みシャープ兄弟と対戦した試合は日本テレビNHKを通じて全国に中継され話題を呼んだ。当試合は日本テレビの独占中継の予定だったが、NHKが吉本サイドを通して、強引に割り込んだという逸話も。こうしてプロレスブームを背景に、1954年日本プロレスリング興業株式会社を設立。社長に新田が、取締役に吉本の林兄弟や永田らが就任した。以後も吉本はプロレス興行を手がけていくが、やがてプロレス人気に翳りが見え始めたこと、力道山とスタッフの関係が悪化していったことなどもあり、1957年の興行を最後にプロレスから手を引いた。

その後、吉本興業は大阪千日前に西日本最大規模のボウリング場「吉本ボウル」(1964~1986年)をオープンさせて、大阪のボーリング・ブームに火をつけたり、その屋上で大規模なインドア・ゴルフセンター「吉本ゴルフセンター」(1965~1974年)を経営したりしていた時期もあったが、近年、マルチ企業への転換を図る中で、再びスポーツの世界に手を広げている。1996年には吉本女子プロレス Jd’を旗揚げして、再びプロレス興行に参入。1999年には、社内にスポーツマネジメント部門を新設し、大リーグの長谷川滋利選手を皮切りに、スポーツ選手のマネジメントに乗り出した。また2002年には社会人ラグビーの雄・神戸製鋼と、また2005年にはプロ野球球団オリックス・バファローズと業務提携。後者の清原和博選手を吉本新喜劇の舞台に登場させたりしている。さらに新聞報道によると、吉本興業は現在チームを設立して社会人野球に参入することを検討中とも伝えられている。

[編集] 文学作品に描かれた吉本

吉本のお笑いに魅せられ、吉本ファンになった文豪・文学者は少なくない。志賀直哉は戦前、しばしば大阪の吉本の寄席を訪れているところを目撃されているし、永井荷風の日記「断腸亭日乗」を読めば、荷風が戦前・戦後を通じて浅草花月劇場(東京吉本の本拠地)の常連客であったことがわかる。吉本の幹部社員とも親しかった織田作之助は、代表作「夫婦善哉」の中で、主人公が法善寺の花月(戦前の吉本で、最も格式が高かった寄席)を訪れるシーンを描いているし、辻邦生は、若かりし頃、浅草花月の楽屋に入り浸り、将来小屋の文芸部員になることを考えていたらしい(『辻邦生作品全六巻3』の付録、月報Ⅲ『「文芸」の会のころ』、p.2より)。

吉本そのものを題材にした文学作品にも事欠かない。もっとも有名なのは、吉本興業の創業者吉本せいをモデルにした山崎豊子の「花のれん」(1958年)であろう。この作品は1958年、第39回直木賞を受賞し、翌年豊田四郎監督により淡島千景森繁久彌のコンビで映画化されている。同様に吉本せいをノンフィクションで描いた矢野誠一「女興行師 吉本せい」(1987年)もある。この作品は、「桜月記-女興行師 吉本せい」と題して、1991年に森光子主演で帝国劇場において上演された。浅草花月を舞台に戦前の東京吉本を描いた高見順の「如何なる星の下に」(1939年)も佳作。主人公・小柳雅子のモデルは、当時の「吉本ショウ」の踊り子、立木雅子と小柳咲子と言われている。この作品も戦後の1962年になって、東宝で豊田四郎監督により映画化された。また直木賞作家・難波利三の「小説 吉本興業」(1988年)は、戦前・戦後の吉本興業とその芸人達を描いている。

吉本の芸人に題材を取った作品も少なくない。中でも落語家・初代桂春団治を扱った、長谷川幸延「小説・桂春団冶」(1962年)、富士正晴「桂春団冶」(1967年)は有名。近年は、戦前の東京吉本のタップダンサー・中川三郎を描いた乗越たかお「ダンシング・オールライフ 中川三郎物語」(1996年)と、同じく戦前、東京吉本のトップスターだった三味線漫談の柳家三亀松を題材にした吉川潮「浮かれ三亀松」(2000年)が出色の出来。

[編集] お笑いタレント

 
 
   
   
 


[編集] あ行

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  • ゆったり感
    • 江崎隆文
    • 中村英将

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[編集] ら行

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[編集] 福岡事務所(福岡吉本)

[編集] 諸芸

[編集] 新喜劇

座長

NGKレギュラー

他、「金の卵オーディション」合格者

[編集] タレント・俳優・ミュージシャン

[編集] 芸術家

[編集] スポーツ選手・関係者

かつてヤクルトスワローズに在籍した投手・小坂勝仁が吉本興業に社員として在籍しており、彼が友人関係にある野球選手のマネジメントをした事がきっかけで、吉本興業はスポーツ選手のマネジメント・オフのメディア出演調整などに積極的に取り組むようになっている。

[編集] 文化人

  • 田尾和俊(讃岐うどん評論家・麺通団団長)
  • 勝谷誠彦(コラムニスト・写真家)
  • パラダイス山元(グリーンランド国際サンタクロース協会・公認サンタクロース)
  • 和田卓也(映画監督)

[編集] かつて所属していたタレント

[編集] 関連項目

Wikinews
ウィキニュースに吉本興業に関連するニュースがあります。

[編集] 外部リンク

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