三菱・ミニカ
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ミニカ(Minica)は三菱自動車工業の軽自動車。現在販売されている軽乗用車として最も歴史の長い車種である。
[編集] 概要
初代は1962年に三菱自動車工業初の軽乗用車として登場する。現行型は1998年に軽自動車規格変更をうけてフルモデルチェンジされた8代目にあたり、現在では乗用車登録となるセダンタイプと、商用車登録となるバンタイプがラインナップされ、軽乗用車で最も長命(8代44年)を誇る車種(軽自動車全体では1960年初代発売のハイゼット、1961年初代発売のサンバーに次いで3番目)。 軽トールワゴンタイプ全盛の時代においても、良い意味で昔ながらの運転のしやすいボディ形状により、主婦の買い物の足および高齢者の日常の足、果ては法人ユーザーの営業の足として等、根強い需要を誇っていたが、近年その需要はeKワゴンにシフトし、現在の販売はもっぱらバンが中心である。
[編集] 歴史
[編集] 初代(LA20/21/23、1962年-1969年)
先年に登場した軽ライトバン、三菱360をベースに、グリルのデザインを変えた以外、ほぼ共通のプレスを用いて乗用車に仕立てられた。センターピラーから後ろをノッチバックスタイルに変更、リアウィンドウを垂直に立てることで、乗用車としてのヘッドルームをかせいでいた。駆動方式も共通のFR。このおかげで、RRが一般的だった当時の軽自動車の中では、最も広いトランクを備えていた。その堅実なつくりは、信頼性と実用性が高いものであった。エンジンはME21型2サイクル空冷直列2気筒359㏄で最高出力は17馬力を達成していた。
- 1964年11月にマイナーチェンジされ、エンジンがME24型となる。リードバルブ管制方式および分離給油方式(オートミックス)の採用によりエンジンの出力が18馬力へとアップ。
- 1966年12月に「スタンダード」追加。従来型は「デラックス」と呼称。
- 1967年5月にマイナーチェンジされエンジンの出力が21馬力へとアップ。
- 1968年10月には2G10型2サイクル水冷直列2気筒359㏄エンジン搭載車「スーパーデラックス」が追加。最高出力は23馬力だった。
[編集] 2代目(A100・A101・A100V・A101V 1969年-1972年)
- 1969年7月登場。それまでの“堅実的だがどことなく田舎臭い”というイメージのあった初代(更には三菱製自動車全般も含めて)から、若者受けする内容に大変身した。1970年代をリードする軽自動車という意味を込め、ミニカ'70という名称で発売された。駆動方式は従来通りFRだったが、懸架装置はフロントがストラット、リヤは5リンクリジッドに変更された。“ウィング・フローライン”と名づけられたボディはクラス初の3ドアとなっており、更にリヤシートが前倒れするなど、バン的な要素も兼ね備えていた。もちろん、この機構はコルト1000Fの3ドア車での経験を踏まえたものである。
- エンジンは従来型を踏襲し、2サイクル2気筒の空冷(ME24E型。スタンダード、デラックスに搭載。形式はA100)と水冷(2G10-1型。スーパーデラックス、スポーティデラックスに搭載。形式はA101)の2機種を用意、同年10月には、ツインキャブの水冷エンジンを搭載したGSSとSS、空冷シリーズの最上級版であるハイデラックス、また商用タイプのミニカバン(A100V。空冷のみ)を追加し、一気にバリエーションが充実した。
- この3種類のエンジンは、エアクリーナーケースに各々色が塗られており、エンジンにはその色に準じたペットネームが付けられていた。
- イエローエンジン ME24E型 26馬力
- レッドエンジン 2G10-1型シングルキャブ 28馬力
- ゴールドエンジン 2G10-2型ツインキャブ 38馬力
- 1970年10月、ミニカ'70シリーズがマイナーチェンジ、イエローエンジンが30馬力(ME24F型)、レッドエンジンは34馬力(2G10-4型)にアップした。同時にGSS譲りの丸4灯ライトや8トラックステレオを標準装備、テールランプの意匠を変更したシリーズ最上級版のGLが登場、車名がミニカ70となりSSのみ廃止された。
- 1971年2月、車名がミニカ71に変更と同時に、水冷のお買い得グレードである、ファミリーデラックスが追加された。
- 1971年5月、派生モデルでクーペタイプのミニカスキッパー登場。ゴールドエンジン搭載車のGSSは廃止された。
- 1971年9月、マイナーチェンジで車名をミニカ72へと変更。グリルやテールランプ、インパネなどスキッパーのイメージを導入する事が主目的だった。
- 1972年10月、全車水冷のレッドエンジンになり車名もミニカ73となる。同時に空冷だったバンシリーズも全車水冷化され、A101Vへと形式変更された。共に搭載するのは、31馬力へデイチューンされたレッドエンジン(2G10-5型)。
[編集] 3代目(A103、A104A・V 1972年-1977年)
- 1972年10月、フルモデルチェンジ。車名をミニカF4(A103)へと変更。全体のプロポーションはミニカ'70と余り変わらないが、黄金虫シェルと呼ばれたスタイルは全体的に丸みを帯びた物となった。キャッチコピーは「さわやか4サイクル」。
- エンジンは新開発の2G21型4サイクル直列2気筒SOHC359㏄、通称バルカンエンジンで従来からの2サイクルエンジンはすべて姿を消した。シングルキャブとツインキャブの2タイプが用意され最高出力はそれぞれ32馬力と36馬力となっている。
- 1974年12月、バランサーシャフト(のちにサイレントシャフトに改名)搭載、排ガス対策の為、最高出力が30馬力となる。
- 1976年4月にマイナーチェンジ、同年1月に実施された軽自動車の新規格(全長3.2m×全幅1.4m以内、エンジン排気量550㏄)対応されミニカ5(A104A)に車名変更。バンパーを大型化しエンジンも2G22型直列2気筒SOHC471㏄エンジンに換装。ミニカ・アミ55までの暫定的な存在となる。
ミニカ5登場寸前の同年3月、商用車のミニカ5バン(A104V)が発売された。このモデルは端的に、2サイクル360規格のミニカ70シリーズにおけるバン仕様(A101V)に、4サイクルエンジン(商用仕様の為、ミニカ5よりディチューンされた2G22型を搭載)を搭載したモデルだが、丸2灯や大型バンパーを採用し、ミニカ5と共通性を持たせた外観となっていた。
[編集] 4代目(A105A・V/A106A/A107A・V、1977年-1984年)
- 1977年6月、フルモデルチェンジ。車名をミニカ・アミ55(A105A)へと変更。全体の印象はミニカ5と変わらないが、新規格に対応し全幅は10㎝拡大、全長は規格に余裕を残した3175mm(XL仕様)まで延長された。エンジンはミニカ5の2G22型をストロークアップした2G23型を搭載。最高出力は31馬力と、数値的な目新しさは無いがトルクUPに伴い、実用性能が格段に向上した。また遡る事同年3月には、ミニカ5バンが一足先に550CC化され、アミ55と同じ2G23型(但し、商用仕様の為に若干ディチューン)を搭載するミニカ55バン(A105V)へと車名変更されている。
- 1978年9月、53年排ガス規制に適合すべくG23B型へ換装(MCA-JET化、ジェットバルブが追加されたと同時に、二次空気供給装置及び酸化触媒の廃止、静粛性向上のためタイミングチェーン駆動からタイミングゴムベルト駆動に変更、ロッカーアームがアルミ製になるなど動弁系の軽量化も施される)、同時にA106Aとなる(ミニカ55バンは変更なし)。
- 1981年8月、大幅なマイナーチェンジを受ける。車名は乗用車がミニカ・アミL(A107A)、またミニカ55バンのフルモデルチェンジ版として、商用登録のミニカ・エコノ(A107V)が登場。今回は、全長とホイールベースを規格一杯まで伸ばし、更に全高を高めて居住性の向上を図った。エンジンは、アミLはアミ55のG23B型(最高出力は変わらないが、カムプロフィールの変更により、よりマイルドな味付けとなる)を、エコノは55バンの2G23型を各々踏襲。
- 1983年2月、軽自動車初となるターボエンジン搭載モデルを追加した。ターボチャージャーを搭載した546cc SOHC 2気筒(G23B型)エンジンの性能はグロス 39ps/5.5kgf-m。キャブレター式ターボであったため、加圧式キャブレターが装着されていた。ミニカターボの登場で三菱は大型トラックから軽自動車までの「フルライン・ターボ」戦略を完成させ、乗用車ではデボネアを除く全車種にターボモデルの設定があった。全車全グレードとも、4輪ドラムブレーキ、4速MT/2速セミAT(ターボは4速MTのみ)、内蔵エアコンは無く外付けクーラーのみで、基本設計が古く装備としては旧式化していた。
[編集] 5代目(H11A・V/H12A・V/H14A・V/H15A・V、1984年-1989年)
- 1984年2月にフルモデルチェンジ。先代のウィークポイントであったFRゆえの居住性の悪さを改善すべくFF方式に変更。タイヤを出来るだけ四隅に追いやり、『ライバルはリッターカー』をキャッチフレーズとする広い室内空間をアピールポイントとしていた。初の5ドアとなったセダンは再び「ミニカ」に戻り、バンは「ミニカエコノ」を継承し、「マリエ」(marie)や「ティコ」(tico)があった。
- 1985年9月、セダンに3ドアの復活。エコノにはパートタイム4WDが加わった。
- 1987年1月のマイナーチェンジでエンジンが従来の2気筒(G23B型)から新開発の3気筒(3G81型)に換装された。加えてATは2速から3速へ変更。
- 1987年8月にはミニカエコノターボをベースに、500台限定の特別仕様車「JACKAL」(ジャッカル)が発売された。
- 1987年9月にはエコノにビスカス式フルタイム4WDが追加。翌年1月にはパートタイム4WDが消滅。
- 1988年1月、ミニカエコノターボをベースに、特別仕様車「ZEO」(ゼオ)が発売された。スズキのアルトワークス、ダイハツのミラターボXXの対抗馬として発売されたが、当時の馬力戦争において、他車64馬力に対しZEOは50馬力であったため、販売台数は少なかった。そのため、新たな対抗馬として翌年のモデルチェンジの折「DANGAN」(ダンガン)が登場。短い生産期間に終わった。
[編集] 6代目(H21A・V/H22A・V/H26A・V/H27A・V、1989年-1993年)
- 1989年1月にモデルチェンジ。車名はミニカに統一され、3ドアのバンと3ドア・5ドアのセダンが用意される。
このモデルには、スズキ・アルトワークスやダイハツ・ミラTR-XXの軽スポーツに対抗し、国内の四輪車では市販車初となる5バルブ直列3気筒DOHCターボエンジン(NAエンジンも有。シングルキャブレター仕様とECIマルチ(電子式燃料噴射)仕様が混在。μ(ミュー)シリーズは全てこのエンジン)を搭載し自主規制値一杯の64psを発揮した「DANGAN」やトールボーイスタイルの派生モデルである「トッポ」、西友と共同開発した1:2ドア(RVRと同じく助手席側が5ドアタイプ・運転席側が3ドアタイプの非対称ドア配置)の「レタス」等のモデルも登場した。 また、最上級グレードのμG(5ドア)・μg(3ドア)には、パワーパッケージとして、運転席パワーシート・パワーステアリング・パワーウインドウが装備されていた。パワーシートは前後スライドと上下アジャスターのみの簡易型ではあるがメモリー機能も備わっており、エンジン停止後キーを抜くと最後部までシートがオートスライドし、キーを差し込むと設定した位置まで復帰した。 登場直後に軽自動車の規格変更が有り、550ccエンジン(3G81型)は短期間で660cc(3G83型)に変わってしまった為に、複雑な思いをしたユーザーも居た。 特にダンガンは日本の軽自動車の歴史の中でもエポックメイキングな位置付けとなっており、5バルブDOHCエンジンと言う特殊性から、PS2ゲームソフト「グランツーリスモ4」にも収録されている。
- 1989年5月、セダンに3ドアと1:2ドアのレタス追加。
- 1989年9月、これまでバン登録であったダンガンZZが乗用登録となり4WDが追加される。その他セダンのラインナップを充実化。
- 1990年3月、新規格化対応(但しダンガンZZ、ZZ-4は旧規格のまま併売)。リヤボディー部分を延長。ミニカトッポ販売開始。
- 1990年8月、旧規格のままだったダンガンZZ、ZZ-4がやっと新規格化。
- 1992年1月マイナーチェンジ。フロント部分の変更。
[編集] 7代目(H31A/H32A・V/H36A/H37A・V、1993年-1998年)
- 1993年9月にモデルチェンジ。ヘッドランプが丸型異形に変更された。先代に比べ質感、居住性が共に大幅に向上した。3ドアと5ドアを用意。派生モデルのトッポはセダンに1:2ドアモデルが追加された他はフロント変更のみで大きな変化はない。エンジンは従来の3気筒(3G83型)に加え新開発の4気筒(4A30型)が新たに投入された。また電子制御式4ATや軽自動車初となる4気筒DOHC20バルブターボエンジンおよび4気筒SOHC16バルブ自然吸気エンジン(ともにエンジン形式4A30)が用意された。UVカットガラスや鮮やかなボディカラーを用意したグッピーや、個性的なフロントマスクのタウンビーなど多彩にモデルが展開された。8代目になり、外観が商用車テイストになってしまったため、中には7代目と8代目を間違える人もいた。
[編集] 8代目(H42A・V/H47A・V、1998年-)
- 軽自動車の規格変更に伴い登場。曲面を多用した先代から直線的なラインを部分的に配したデザインが特徴的である。全車3気筒リーンバーン(3G83型)SOHC12バルブ MVVエンジンを搭載(デビュー当初から2001年モデルまで。2002年モデル以降からは全車通常版(非リーンバーン仕様)の3G83型SOHC12バルブエンジンに換装)、衝突安全性の向上に伴う車重増加による燃費の悪化を抑えている。登場の前後から、軽自動車の売れ筋は車内空間の広いワゴン型に移行し、タコメーターを持つ上位グレードは派生車種であるトッポBJ及び後継のeKシリーズに移行し、それらが売れ筋となった。このため現行モデルの販売量は以前のモデルと比べて低迷している。
- 1999年12月には、ミニカをベースに1.1GDI-ASG(アイドリングストップアンドゴー)エンジンを搭載したピスタチオが50台限定で発売された。
- 2006年10月には、新触媒の採用などによる環境性能の向上が図られ、全グレードが平成17年排出ガス基準値の75%低減レベル(☆☆☆☆)を達成、一部グレードでは平成22年度燃費基準+10%および+20%を達成しグリーン税制対象車となった。このほか、Pcのシート生地がニット生地に変更された。
- また、2006年1月に新型軽自動車「i(アイ)」が発売され、一時は同車の発売により製造中止という噂も流れたが、依然として法人および高齢ユーザーの需要が根強いことから、ミニカは同年4月12日にマイナーチェンジされ、引き続き生産・販売されている。このマイナーチェンジでは全車ヘッドランプがマルチリフレクター化および液晶式トリップメーター等の採用、またセダンタイプの3ドア車が廃止されミッションは4速オートマチックが廃止(ミッションは2001年1月以前の構成に戻る)。バンタイプは5ドアを新たに設定したのに伴い、バンタイプは全てライラに統一される。事実上、ミニカ初の5ドアバンである。
[編集] 車名の由来
- 英語のMini Car(小さな車)またはMiniature Carを略した造語。
[編集] CM
[編集] CMキャラクター
[編集] CMソング
- 6代目
- 「Saturday Night」ベイ・シティ・ローラーズ
- 7代目
- 「夢見るシャンソン人形」ブリッジ(前期型:フランス・ギャルのカバー。後にスズキ・MRワゴンのCMソングでも使われ、こちらは松本英子が歌っている)。
- 8代目
- 「Make Me Happy」DOUBLE(登場当初)
[編集] キャッチコピー
- 6代目
- ハンパだったら、乗らないよ。
[編集] 外部リンク
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