保守本流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
保守本流(ほしゅほんりゅう)は、自由民主党の派閥系統のひとつを指す。
政治的位置は保守であるが、バラマキ事業や箱物行政、労使協調(コーポラティズム)を重視し積極的に地方への富の再配分を行い、一億総中流を掲げるなど経済的には左派である。対外的には、アメリカとの同盟関係を重視しつつもハト派外交を行い、積極的なODAを行うのが特徴である。
弱肉強食的な米国型新自由主義経済路線を進める現在主流の自民党新保守主義派とは対立し、90年代以降は政界再編で多数が野党へ移籍したり、郵政民営化問題で離党した。
[編集] 概要
- 主に吉田茂率いる旧自由党・吉田学校系の流れを汲み、かつての自民党で大きな勢力を誇った田中角栄から連なる平成研究会及び池田勇人から連なる宏池会の系統の派閥議員を指して用いる。
- 言外に他の派閥は保守傍流であるというニュアンスを含む。
- 現在は平成研究会(津島派)・宏池会(古賀派、谷垣派)・麻生派が保守本流派閥と言われる。
- 佐藤栄作・池田勇人・田中角栄・大平正芳・鈴木善幸・竹下登・宮沢喜一など、かつては保守本流派閥の領袖=首相・党総裁の出世コースと言われていた。
- 民主党の保守系グループも自民党経世会(竹下派)の出身であり、保守本流の流れを汲んでいる。
- 現在は保守傍流の流れを汲む清和政策研究会(森派:現在の町村派)が党内第1派閥・党総裁派閥であり、保守本流各派は政権中枢から外れている。森派出身である小泉純一郎首相の長期政権もあって、現在では自民党内においても本流・傍流の色分けはほとんど無意味であり、もはや保守本流は実体を伴わない死語と化している。平成研究会の復権や、宏池会系三派の統合(大宏池会構想)に向けて気勢を上げる合言葉として思い出したように持ち出される程度である。