僕の歩く道
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『僕の歩く道』(ぼくのあるくみち)は、2006年10月10日~12月19日まで、毎週火曜日の22:00~22:54(JST)からフジテレビ系列で放送されていた関西テレビの企画・制作のテレビドラマである。略称『僕アル』『僕歩』。初回と最終回は15分拡大の23:09まで放送され、また第2話は22:15スタートの23:09までの放送となった。ワンセグ放送にて連動データ放送を行っていた。
目次 |
[編集] 概要
主演はSMAPの草彅剛で、「僕の生きる道」(2003年冬季)「僕と彼女と彼女の生きる道」(2004年冬季)に続く橋部敦子脚本の"僕シリーズ3部作"の完結作である。
なお、"僕シリーズ"としては草彅の他、小日向文世と大杉漣、浅野和之も3部作全ての登場、長山藍子は3部作の2作目「僕と彼女と彼女の生きる道」からの続投となる。また、障害者を題材としたストーリーであることから、公式ページには放送前からさまざまな意見が寄せられていた。
放送中にも前2作同様に同じような境遇の人々から多くの書き込みがあり、特に第5話における障害者における結婚の問題などは多くの意見が寄せられ、「ドラマだからといって夢を描かず、真実に限りなく近いものを描いてくれている」と僕シリーズが一貫して貫き続けているリアリティに対する評価も高い。
同時に、彼らと身近に接する人をも唸らせる演技を見せた草彅剛の演技力への評価も高い。<>
また、前2作とは話の連続性がなく独立している。本作のキャッチフレーズは「Everybody is perfect」「生んでくれてありがとう」「障害だって、個性といえる世の中になってほしい」を掲げている。テーマは「純粋」。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
主人公の大竹輝明は先天的な障害により、10歳程度の知能までしか発達しなかった31歳の自閉症の青年。家族は、母の里江と妹のりなの3人暮らしだが、二世帯住宅の家に、輝明の兄・秀治の家族も住んでいる。輝明は、幼なじみで、動物園の獣医である松田都古に動物園の飼育係をやってみないかと勧められ、動物園で働くことになったが…。物語は、輝明の純粋かつ直向きに生きる姿を描く。
[編集] キャスト
- 大竹輝明 (31) - 草彅剛、熊谷知博(少年時代)
- 主人公。「自閉症」という先天的な脳障害があり、10歳児程度の知能までしか発達しなかった31歳の青年である。人とのコミュニケーションがうまくとれないうえに周囲の無理解や差別的な扱いが原因で、やる気はあるのになかなかひとつの仕事を続けることができないでいた。幼なじみの都古の勧めにより、動物園で試しに2週間働く事になる。
- 発達障害の特徴としては、彼の場合、色に対しては黄色を好む傾向があり、毎日黄色い何かを身につけている(ロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」の総合優勝者に贈られるバイクジャージ「マイヨ・ジョーヌ」の色が黄色い事からだと考えられる)。他にも「カレーはチキン入り以外は食べない」、「毎日1枚ずつ都古へ手紙を出し、その文面は書き始めから書き終わりまでを3行で完結させる」、「特定の場所で自転車の鈴を鳴らす」「動物の餌のりんごは定規できっちり2cmずつ切って並べる」といった強いこだわりをもつ。また、一部サヴァン症候群の傾向も見られ、「ツール・ド・フランスの歴代優勝者が言える」、「その日に何が起こっていたかを瞬時に思い出せる」、「電車の時刻表を覚える」(おかげで、かなり遠くまでいける)といった記憶力に関する特徴もある。あまり親しくない人と目を合わせる事は苦手。「最近どう?」といった抽象的な会話や指示は苦手(何が答えなのか分からず対応出来ない)だが、事前に具体的な指示や例があればきちんと対応出来る。大きな音や予想外の出来事でパニックを起こすことがある。パニックになると、ツール・ド・フランスの歴代優勝者を復唱する。(第二話での最初のパニック時は、「ああぁぁぁぁ。」と言っていた)また、チキンカレー以外のカレーが出ると、「カレーはやっぱりチキンカレー、カレーはやっぱりチキンカレー…」と復唱する。
- 誰よりも都古のことを理解しており、幸せでなかった河原との結婚生活を、都古は周囲にはあたかも幸せであるかのように装っていたが、周りの人々も皆、都古は幸せなのだと思っていた中で輝明だけは彼女の本当の気持ちを見抜いていた。都古が輝明の家で夕食をとった次の日、輝明からの手紙には「都古ちゃんが、元気じゃありませんでした」と書かれている。
- 亀田からロードバイク選手の精神、そして彼の技術を教わり、ついには自分の意思で40kmもの自転車レースを完走する。その後、亀田の言っていたロードレーサーにしかわからない何かをつかんだかのように自ら自立支援施設へ居住することを希望。「ありがとう」という名のグループホームへ移り住み、上手く溶け込んでいるようである。
- 松田(河原)都古 (26) - 香里奈、八木優希(少女時代)
- ヒロインで動物園の獣医。輝明とは20年以上親しい幼馴染であり「テル」と呼ぶ。幼い頃からずっと輝明を守り、サポートし、周囲の理解を得ようとしている。少年時代の輝明が3人の少年にいじめられていた際は、「3人でいじめるなんて卑怯だ」と勇敢にも少年らに立ち向かい輝明を庇ったこともある。幼い頃は両親がうまくいかず、兄弟もいない為にいつも一人ぼっちだった。食事も母の手作りなどはなく、コンビニ弁当のようなものだった。獣医の河原と不倫中であったが、離婚した河原のプロポーズを受け結婚し、動物園を退職、河原とともに動物病院で働く。しかし、自分の体裁を気にしすぎる河原との距離はだんだん遠のいていき、孤独を感じるようになる。離婚させないためにマイホームや子どもをつくろうと言った河原に絶望し、ついに河原の家を飛び出す。料理が得意。両親は1999年に離婚しており、母(ひがし由貴)とは何らかの確執がある様子。それでも河原の家を飛び出した際、母に心のよりどころを求めるもにべもない対応をされる。自分にとって輝明が最も自分のことを理解してくれている大切な友人であることに気付き、自分のことを理解してもらうことのできなかった河原と離婚し、動物園に復職。結局親子そろって「バツイチ」になった。輝明のグループホーム入りに際して親身に検討し、以後輝明とは最高の親友関係を保つようになった。輝明の手紙は全て捨てずに取ってあり、河原が輝明の手紙を破き馬鹿にした際には本気で河原に対し突っかかっていった。
- 大竹秀治 (35) - 佐々木蔵之介
- 輝明の兄であり真樹の夫。1994年に結婚。輝明は健常者と一緒の仕事をすべきではないと考えていた。本作における「一般的な差別的視線」をもつ人物。輝明が原因で小学生時代いじめに遭っていた。しかし、邪魔者としか思っていなかった輝明がそんな自分に対しても感謝の意を持っていることに触れ、考え方を改めるようになる。自転車で輝明を探しに行ったことがあるのだが、最終話ではフラフラになりながら自転車に乗っていた。
- 大竹りな (21) - 本仮屋ユイカ
- 輝明の妹。大学3年生。ファッションや恋愛に関心を持つなど典型的な女子大生だが、両親の愛情のほとんどを輝明に持って行かれてしまったことに対して複雑な感情を抱いている。小さい頃から母は輝明のことで精一杯だったため、母親に甘えることがなかなかできなかった。将来やりたいことをまだ見つけられずにいる。兄の良き理解者である。恋人がいて、自宅に連れてきていた。
- 三浦広之 (26) - 田中圭
- 動物園の若手飼育係。典型的な現代風の青年。室内でも帽子を被っている。輝明と一緒に仕事をするように命ぜられる。輝明の独特の行動がなかなか理解できず困る場合が多く、そのために当初は輝明に対して反発していたが、次第に理解を示すようになり、時折輝明との独特の会話に笑顔も見せるようになった。美術的なセンスは無く絵が下手。
- 大石千晶 (26) - MEGUMI
- 都古の親友のOL。未婚。
- 河原雅也 (32) - 葛山信吾
- 獣医。妻子がいるにも関わらず密かに都古と不倫していたが、結局都古と再婚した。何かと自分の体裁を気にしすぎる性格で、前の妻のほうから離婚を切り出された際は、離婚経験者だと周囲に認識されるのが嫌で必死になって止めたという。都古との結婚生活でも前妻と同じ失敗をし、都古の宝物である輝明の手紙を馬鹿にしたりしていた。結局は都古とも離婚し、「バツイチ」から「バツニ」となった。前妻や都古のことを全く理解していなかった。
- 大竹幸太郎 (11)- 須賀健太
- 堀田丈二 (39) - 加藤浩次
- 輝明の主治医であり、カウンセラー。輝明はもともと精神科医の父親から引き継いだ患者。冷静沈着で優秀な医師であり、真摯な態度で輝明に接するが、自転車で決まった道以外は走らないはずが、自分から知らない道に行ったりなど自分のデータにない行動をとる輝明に対して関心を示す。輝明以外にも里江やりなの相談に快く応じるなど、家族ぐるみの付き合いとなっている。そんな輝明の驚くべき成長を見てから彼を自立に向かって歩ませてはどうかという重要なアドバイスを差し伸べている。
- 大竹真樹 (35) - 森口瑤子
- 秀治の妻。息子の幸太郎を、将来東京大学に入学させることだけはとても熱心だったが、幸太郎が幼児のときに通っていた絵画教室での作品の中に「大好きなお母さん」と書かれた絵を見つけ、見失っていた何かに気づいたようである。
- 本作における「極度の差別的視線」をもつ人物のひとり。
- 結婚時に「姑の容体に何かあった際には輝明を施設に預ける」という約束をしているなど、輝明のことを邪魔者としか思っていなかったが息子のことで純粋な輝明から出た言葉がきっかけで最終回時点では多少考えを改め、輝明に対し感謝の意を持っているようである。
- 亀田達彦 (50) - 浅野和之
- ロードレーサー。愛用している自転車(チネリ)の価格は60万円。最初は輝明を不審者のような目で見ていたが、だんだん心を開き、自ら輝明に挨拶をしたりしている。自らコーヒーショップを経営しているようで輝明を案内しようとしたこともあったが、当時の輝明の特徴の一つ「自転車で決まった道以外は走らない」ということを知らなかったために、途中で輝明を見失ってしまったこともある。輝明が新たな道を歩むようになる足がかりを作った本作における最重要人物の一人である。第9話でロードバイクを購入した輝明に乗り方を教えた。ロードバイクに乗る者だけが味わえる感覚があるのだという。輝明が都古を自分の店に連れてきたときには女性に対するマナーなども教えており、スポーツ面以外でも社交面などでも輝明のよき師匠よき友人となっているようである。
- 古賀年雄 (45) - 小日向文世
- 動物園のベテラン飼育係。自閉症者の輝明が同じ動物園で働く事や、自閉症と知っていながら輝明を採用した園長の方針に対しては否定的な考えを抱いていた。自分の息子・和彦(塩野魅士(少年時代)、浅利陽介(現在))が自閉症であり、それを認めることができなかったことが背景にある。息子と一緒に遊んだことは一切なく、仕事中でないときも電話で「仕事中だ」といったりして、息子とは意図的に距離を置いていた。息子が迷子になった際、放っておいたことが原因で妻(那須佐代子)と離婚する。息子と同じ自閉症の輝明に対しては無関心を装ってきたが、自ら少しずつ声をかけてくるようになり、新しい仕事も教えるようになった。今は輝明の能力を認めつつあり、輝明と一緒に働くことに対して以前ほどの不快感は感じていない。また息子と別れたことを後悔している。その後、動物園の体験学習を通じて18歳となった和彦とついに再会を果たすも、自ら父とは名乗れずじまいであった。
- 久保良介 (50) - 大杉漣
- 動物園の園長。派閥争いに敗れ現在の職についた。動物への理解と愛情は(有る『フリ』はしているが)全く無く、本社に戻ることだけを考えている。
- 自閉症者の輝明を雇ったのも企業イメージを高めるために過ぎなかったが、本心では輝明に対して理解を示している。
- 輝明とのふれあいを通じ、本当に動物園での仕事に対して愛情を持つようになったが、急遽本社への帰還が決定し、飼育員総出の「本社にも動物への愛情がある人が必要である」という言葉で本社に戻った。
- 大竹里江 (60) - 長山藍子
- 輝明の母。輝明を非常に愛しており、健常者と一緒の仕事をしてほしいと考えている。
- 輝明はいつまでも都古に頼るべきではないと考えている。夫は2003年に亡くなった。
- 自分の生きているうちは実家で輝明の面倒を見ようと考えるも、堀田医師の提案や都古の説得、そして輝明自らの意思もあり、輝明がロードレース完走後にグループホームへ輝明を住まわせている。
- グループホームに住むようになってからは毎回輝明の帰宅を楽しみに待っているようである。
- 青木大輔 - 澤田俊輔
- 動物園の職員。
- 水野楓 - 星野奈津子
- 動物園の職員。
- 山本武 - 滝直希
- りなの恋人。
[編集] スタッフ
- 脚本:橋部敦子
- 音楽:本間勇輔
- アソシエイトプロデューサー:石原隆(フジテレビ)
- プロデューサー:重松圭一(関西テレビ)、岩田祐二(共同テレビ)
- 協力:バスク、フジアール、ベイシス、TMC、レモンスタジオ、ファン、明送
- 演出:星護(共同テレビ)、三宅喜重(関西テレビ)、河野圭太(ベイシス)
- 制作:関西テレビ・共同テレビ
- 技術プロデューサー:友部節子
- TD:浅野仙夫
- 撮影:五木田智
- 照明:阿部慶治
- VE:久米田俊裕
- 音声:金杉貴史
- 録画:浅香康介
- 編集:深澤佳文
- ライン編集:伊藤裕之
- 選曲:小堀博孝
- 音響効果:田代智恵、佐古伸一
- MA:上杉春奈
- 技術プロデューサー補:名取佐斗史
- 美術プロデューサー:杉川廣明
- 美術デザイナー:柳川和央
- 美術進行:平川泰光
- 大道具:大地研之(制作/装置)、高沢幸治(操作)
- 建具:阿久津正巳
- 装飾:高橋寛
- 持道具:清水夕佳里
- コスチューム:小平理恵
- ヘアメイク:斎藤睦、永嶋麻子
- アクリル装飾:竹中大悟
- イルミネーション:中園誠四郎
- 植木装飾:後藤健
- CG:山崎吉広
- フードコーディネーター:平田万里子
- 医事監修:西脇俊二
- 自転車競技指導:沼野康仁
- 編成:小杉大二(関西テレビ)、渋谷謙太郎(フジテレビ)
- 宣伝:山本真央美(関西テレビ)
- ホームページ制作:日下俊彦(関西テレビ)
- スチール:伊藤尚
- スケジュール:吉田使憲
- 演出補:小山田雅和
- 制作担当:竹井政章
- 制作主任:山田のぞみ
- 制作進行:田畑朱里
- 記録:柿崎徳子
- 記録担当:外川恵美子、手嶋優子、舘野弘子
- アシスタントプロデューサー:豊福陽子(関西テレビ)
- 制作デスク:沖野曜子
- プロデューサー補:加藤早苗
[編集] 放送日・サブタイトル・視聴率
各話 | 放送日 | サブタイトル | 視聴率 |
---|---|---|---|
第1話 | 2006/10/10 | 誰よりも純粋な男 | 19.3% |
第2話 | 2006/10/17 | 教えて本当の気持ち | 16.4% |
第3話 | 2006/10/24 | 約束と裏切り | 17.7% |
第4話 | 2006/10/31 | 黄色い傘に降る涙 | 18.2% |
第5話 | 2006/11/07 | 結婚式の奇跡 | 17.9% |
第6話 | 2006/11/14 | 失踪!悲しき夕焼け | 16.0% |
第7話 | 2006/11/21 | はじめての反抗 | 15.9% |
第8話 | 2006/11/28 | 偽りの心と真実の愛 | 19.1% |
第9話 | 2006/12/05 | 再会!助けて、テル | 19.6% |
第10話 | 2006/12/12 | 涙で、愛が見えない | 20.1% |
最終話 | 2006/12/19 | 僕は歩き続ける。 | 20.5% |
平均視聴率18.2%(数字はビデオリサーチ関東地区) |
[編集] 主題歌
- 作詞・作曲:MORISHINS'/編曲:REO(ビクターエンタテインメント)
[編集] 自閉症について
- 不安定になると、ツール・ド・フランスの歴代優勝者を復唱するなど、輝明は記憶に関する能力が特に長けているように設定されていたが、「自閉症者には特別な能力(記憶力など。一般的にサヴァン症候群と呼ばれている)がある」という理解は必ずしも正しくない。自閉症者の多くは知的障害を併せ有するが、その知的能力は非常にアンバランスであり、一部の機能(大量の記憶・緻密な構成・複雑な計算・創造的な音楽等)が全体の能力に比べて不釣合いなくらい優れている人もいれば、そうでない人もいる、と解釈するのが妥当とされている。そのため、番組では終了時に「このドラマはフィクションです」と断り、「医療監修を受けて」いるが、「自閉症には多様な症例があり、症状は人によって様々です」というテロップを付けている。
- 輝明は典型的な自閉症者として設定された登場人物ではあるが、自閉症は幅が広く、すべての自閉症者が輝明のような特徴を有するわけでなく、輝明とは正反対に社交的、物事に比較的無頓着な自閉症者もいる。つまり、個々によって接し方は当然変わってくる。
- 幼少時代も含め、輝明には日常生活や対人関係に重大な支障をきたすほどの行動障害はなく、不安になっても自傷、他害、破壊行為をしない、不安を取り除くとすぐ落ち着きを取り戻すというように描かれており、(輝明が現実に存在するとしたら)軽度の自閉症として扱われる可能性が高い。(だからと言って家族の負担が少ないかと言えば全く当てはまらない。大竹家が実際存在するとしたら、輝明のことを自閉症と受け入れ、現在に至るまでにはには相当の覚悟や苦労があったであろうし、〔おそらく〕軽度であるが故に自閉症と認めがたいものもあったであろう。また、ここで言う「軽度」とはあくまでも自閉症度のことであり、輝明は上記の通り、10歳前後の知能しか有していない。)
- そのため、「姑の容態に何かあった際、輝明を施設に預ける」という、真樹が秀治と交わした約束は現実的には実現困難である(施設側が軽度自閉症者を受け入れないことが予想される)。しかし、それらは最初から想定されていたのか、最終回では施設に関する伏線を全て納得のいく形で回収し、「現代社会において施設に送ることは決して本人の不幸ではない」といったことを描ききっている(施設に入ってからの輝明は「僕にも予定がある」と自由奔放な暮らしをしている様子が描かれている)。
- 全ての自閉症者が、すべてを杓子定規のようにしないと安定しないというわけでもなく、ある出来事をきっかけにこだわりが変わったり、今までやらなかった行動をすることも当然ある(きっかけは周囲の人にはまったく見えない場合もある)。そういった観点からすると知らない道は絶対行かないと考えていた堀田の自閉症者に対する捉え方は一面的に過ぎるところがある。もっとも、個々の自閉症者の全てを把握することは不可能であり、堀田の医師としての能力が劣るとはいえない。むしろ、輝明やその関係者とよく相談に応じており、(理由はどうであれ)熱心にカウンセリングや将来についての助言を行っており、良き精神科医であることが伺える。
- 秀治が過去に、輝明が原因でいじめに遭った、教師から痛烈な言葉を浴びせられたとされている。秀治と輝明が小学生(1980年代)の頃は、自閉症に対する研究や理解が進んでいなかった。ましてや外見だけで判断できるものでなく、輝明の場合、軽度である可能性が高いことから、周囲の理解はほとんど得られず、ただの問題児として扱われたと思われる。もっとも、ドラマが放映された2006年においても十分な理解が進んだとはいえず、自閉症児が教師によって体育倉庫に閉じ込められパニック発作を起こし、大怪我をするという事故があったり、いまだに自閉症は子育てが原因と公言する大学教授もいたりする。
- 以上のことから、本作だけで自閉症を理解できる訳ではない。あくまで一つのケースとして捉える必要がある。
[編集] その他
- ドラマの舞台は東京都世田谷区。主人公の輝明は世田谷区並木、都古は世田谷区東町(結婚後は横浜市青葉区に転居)に住んでいる。しかし特に世田谷区がロケ地に使われているというわけではなく、世田谷区には上記地名は存在しない。輝明が働く動物園は千葉市動物公園がロケ地。最終話で輝明が入居したグループホーム「ありがとう」も八王子市にあるが、やはりこれも八王子がロケ地という訳ではない。
- 主人公の輝明は黄色に対して強いこだわりを見せていることから、公式サイトやmagabonはそれに倣い黄色をアクセントとして構成されている。ちなみに、輝明が黄色にこだわりを見せるのはツール・ド・フランスの総合トップ選手のみ着ることができるマイヨ・ジョーヌが黄色いシャツだからである。
- 本作では随所に登場人物や視聴者へ向けた「ありがとう」のネタが隠されている。たとえば「お湯の温度は39度」(サンキュー)、などである。
- ロードレーサーの60万という価格は、本格的にレース用に使う自転車の価格としては一般的な価格帯であり飛び抜けて高い金額というわけではない。
[編集] 関連項目
- 自閉症
- 発達障害
- 知的障害
- 障害を扱った作品の一覧
- ピュア(本作のちょうど10年前にフジテレビにおいて制作された本作の女性版とも言える内容のドラマ)
- 光とともに…(日本テレビで2004年に放送されたドラマで、自閉症の小学生を持つ母親を主人公にした作品)
- 僕シリーズ3部作
- 僕の生きる道
- 僕と彼女と彼女の生きる道
- 千葉市動物公園
- ツール・ド・フランス
[編集] 外部リンク
[編集] 作品の変遷
関西テレビ・フジテレビ系 火曜夜10時枠の連続ドラマ | ||
---|---|---|
前番組 | 僕の歩く道 (2006.10.10 - 2006.12.19) |
次番組 |
結婚できない男 (2006.7.4 - 2006.9.19) |
ヒミツの花園 (2007.1.9 - 2007.3.20) |