前頭
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前頭(まえがしら)とは、大相撲の力士の格付けの一つ。幕内力士のうち、横綱と三役(大関・関脇・小結)を除いた力士を前頭という。役についていない幕内力士という意味で、平幕(ひらまく)と呼ばれることもある。
江戸時代の前相撲の頭が語源であるため、正確には「役力士」と「前相撲」の両極端に位置する力士以外の全力士の格付けは前頭であり、したがって番付表では十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口の力士も「前頭」の格付けと四股名が記載される。一般で使用される「狭義の前頭(=平幕)」と、「広義の前頭(=番付表上の前頭)」があることに注意が必要である。なお、幕下以下の力士の場合は簡素化のため数名ごとに横長の「同」の字が冠される。
したがって、平幕筆頭の力士は「幕内前頭筆頭」、幕下二枚目なら「幕下前頭二枚目」のように呼ぶのが正しい。しかし煩を避けて、それぞれ「前頭筆頭」「幕下二枚目」のように言うのが一般的になっている。このことから「前頭=平幕力士」という認識で、普通は問題はない。ただし、三役から平幕に落ちることを「前頭に落ちる」と言うことは出来ても、十両力士が入幕することを「前頭に上がる」と言うことは出来ない。
前頭は上から前頭筆頭(一枚目とは呼ばない)、前頭二枚目、前頭三枚目……と呼ばれ、それぞれ東西一人ずついる。幕内力士全体の定員は決まっており(2004年初場所から42人)、横綱と三役力士の人数によって、場所ごとに前頭の人数は変わる。
前頭の地位で横綱を負かすことを金星(きんぼし)といい、獲得する毎に給金が上がる。これに対し大関を負かすことを銀星(ぎんぼし)、または殊勲の星(しゅくんのほし)ということもあるが、これは給金に影響しない。
目次 |
[編集] 記録
[編集] 平幕で優勝した力士
場所 | 地位 | 四股名 | 成績 | 翌場所 | 最高位 |
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1909年(明治42年)6月場所 | 東前3 | 高見山酉之助 | 7勝3分 | 東関脇(1勝6敗2分1休) | 関脇 |
1914年(大正3年)5月場所 | 東前14 | 両國勇治郎 | 9勝1休○ | 東前3(7勝2敗1分) | 関脇 |
1922年(大正11年)1月場所 | 東前4 | 鶴ヶ濱増太郎 | 9勝1敗 | 西前1(4勝6敗) | 小結 |
1926年(大正15年)5月場所 | 西前8 | 大蛇山酉之助 | 10勝1敗 | 東前2(6勝5敗) | 前1 |
1930年(昭和5年)5月場所 | 東前5 | 山錦善治郎 | 11戦全勝 | 東前5(5勝6敗) | 関脇 |
1931年(昭和6年)10月場所 | 東前4 | 綾櫻由太郎 (のち綾川五郎次) |
10勝1敗 | 西小結(春秋園事件で脱走)○ | 関脇 |
1933年(昭和8年)1月場所 | 幕内格別席○ | 男女ノ川 (のち男女ノ川登三) |
11勝0敗 | 西小結(8勝3敗) | 横綱 |
1939年(昭和14年)1月場所 | 西前14 | 出羽湊利吉 | 13戦全勝 | 西小結(5勝10敗) | 関脇 |
1945年(昭和20年)6月場所○ | 東前1 | 備州山大八郎 | 7戦全勝 | 東関脇(5勝5敗) | 関脇 |
1953年(昭和28年)5月場所 | 東前6 | 時津山仁一 | 15戦全勝 | 東小結(8勝7敗) | 関脇 |
1957年(昭和32年)11月場所 | 東前14 | 玉乃海太三郎 | 15戦全勝 | 東小結(5勝10敗) | 関脇 |
1960年(昭和35年)5月場所 | 東前4 | 若三杉彰晃 (のち大豪久照) |
14勝1敗 | 東張出関脇(7勝8敗) | 関脇 |
1961年(昭和36年)5月場所 | 西前13 | 佐田の山晋松 | 12勝3敗 | 東前2(11勝4敗) | 横綱 |
1964年(昭和39年)7月場所 | 西前9 | 富士錦猛光 | 14勝1敗 | 東小結(4勝11敗) | 小結 |
1968年(昭和43年)3月場所 | 東前8 | 若浪順 | 13勝2敗 | 東小結(2勝13敗) | 小結 |
1972年(昭和47年)1月場所 | 西前5 | 栃東知頼 | 11勝4敗 | 東小結(3勝9敗3休) | 関脇 |
1972年(昭和47年)7月場所 | 東前4 | 高見山大五郎 | 13勝2敗 | 西張出関脇(5勝10敗) | 関脇 |
1975年(昭和50年)7月場所 | 東前1 | 金剛正裕 | 13勝2敗 | 東関脇(6勝9敗) | 関脇 |
1976年(昭和51年)9月場所 | 西前4 | 魁傑將晃○ | 14勝1敗 | 西関脇(11勝4敗) | 大関 |
1984年(昭和59年)9月場所 | 西前12 | 多賀竜昇司 | 13勝2敗 | 西小結(6勝9敗) | 関脇 |
1991年(平成3年)7月場所 | 東前13 | 琴富士孝也 | 14勝1敗 | 東張出小結(4勝11敗) | 関脇 |
1991年(平成3年)9月場所 | 東前5 | 琴錦功宗 | 13勝2敗 | 西小結(12勝3敗) | 関脇 |
1992年(平成4年)1月場所 | 東前2 | 貴花田光司 (のち貴乃花光司) |
14勝1敗 | 西関脇(5勝10敗) | 横綱 |
1992年(平成4年)7月場所 | 西前1 | 水戸泉政人 | 13勝2敗 | 西張出関脇(8勝7敗) | 関脇 |
1998年(平成10年)11月場所 | 西前12 | 琴錦功宗○ | 14勝1敗 | 東小結2枚目(6勝9敗) | 関脇 |
2000年(平成12年)3月場所 | 東前14 | 貴闘力忠茂 | 13勝2敗 | 西小結2枚目(2勝13敗) | 関脇 |
2001年(平成13年)9月場所 | 東前2 | 琴光喜啓司 | 13勝2敗 | 西関脇(9勝6敗) | 関脇☆ |
[編集] 通算前頭在位
順位 | 前頭在位 | 四股名 |
---|---|---|
1位 | 81場所 | 琴ノ若晴將 |
2位 | 80場所 | 寺尾常史 |
3位 | 70場所 | 高見山大五郎 |
4位 | 69場所 | 隆三杉太一 |
5位 | 68場所 | 水戸泉政人 |
6位 | 67場所 | 麒麟児和春 |
巨砲丈士 | ||
8位 | 66場所 | 鶴ヶ嶺昭男 |
9位 | 64場所 | 安芸乃島勝巳 |
10位 | 63場所 | 富士櫻栄守 |