国際連合安全保障理事会
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国際連合安全保障理事会(こくさいれんごうあんぜんほしょうりじかい、United Nations Security Council)とは、国際連合の主要機関の一つ。安全保障理事会は、実質的に国際連合の中で最も大きな権限を持っており、事実上の最高意思決定機関である。国連主要機関の中で法的に加盟国を拘束する権限がある数少ない機関でもある。その目的や権限は、国際連合憲章に定められていて世界の平和と安全の維持に対して重大な責任を持つことが規定されている。単に、安全保障理事会。または、略して安保理(あんぽり)といわれる。
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[編集] 構成
5大国による常任理事国と国際連合加盟国の中から総会で選ばれる10の非常任理事国から成る。理事国の代表は、国連本部に常に滞在していることが義務づけられている。これは、緊急事態に際して迅速に集まって会合を開くことができるようにするためである。国際連盟が、しばしば緊急時に素早い対応ができなかったことへの反省から国際連合ではこのような義務付けがなされた。
[編集] 理事国
[編集] 常任理事国
[編集] 非常任理事国
[編集] 意思決定
意思決定は、9理事国以上の賛成票による。ただし、重要問題である実質事項の決定においては、常任理事国は拒否権を有する。5カ国のうち1国でも反対すれば決定はできない(大国一致の原則)。これを「国家主権の平等に反している」として疑問視する声も多い。賛成でも反対でもない場合は、常任理事国は棄権することができる。棄権は拒否権の行使とはみなされてはいない。
冷戦時には、米ソの対立により拒否権が濫用されて安保理は幾度も機能麻痺に陥った。このため、1950年に総会で、平和のための結集決議が採択されて安全保障に対する一定の権限が総会にも付与された。
冷戦終結後においては、米国、特に、イスラエル非難関連決議案での拒否権行使が目立つ(ブッシュ政権下での行使は8度で、7度まではイスラエル関連)。また、2003年、米英が企図したイラク戦争では、フランスが拒否権を行使しようとした。しかし、賛成少数で拒否権を行使せずとも否決される見込みとなったため、米英は安全保障理事会を無視してイラクに侵攻した。
常任理事国のあり方は、国際連合が設立された第二次世界大戦時の国際情勢をそのまま反映しており、改革の必要があると言われてきた。しかし、この改革には国際連合憲章の書き換えが必要であり、それには当該5大国の賛成が必要であるため、改革が実施される見込みは薄いと考えられている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 安全保障理事会(国際連合広報センター)
- UN Security Council -国連安全保障理事会 公式サイト:英語版。他に5つの言語で利用できる。国連決議、各種報告書、会議のビデオなどが公開されている。
- United Nations (1983). Provisional Rules of Procedure of the Security Council, New York, United Nations. (S/96/Rev7) - 国連安保理の会議の手続きなどについて定めた文書。
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国連決議 総会決議 安全保障理事会決議 |
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