岩崎宏美
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岩崎 宏美(いわさき ひろみ、1958年11月12日 - )は、東京都江東区出身の歌手。所属事務所は芸映プロダクション → スリー・ジー。レコード会社はビクター → インペリアルレコード。愛称はヒロリン。
綺麗な発声と充分な声量、正確な音程でデビュー当初から実力派歌手として高い評価を受ける。1970年代以降の日本の歌謡界を象徴する歌手の一人である。
同姓同名の女優に岩崎ひろみがいる。これは岩崎ひろみの父親が人気絶頂期にあった頃の岩崎宏美にあやかって名付けたもので、こちらの本名はひらがな(芸名と同じ)である。両者に直接の関係はない。
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[編集] 略歴
1958年11月12日、木材機械の輸入販売会社を経営する父親の三姉妹の次女として誕生。歌手・女優の岩崎良美は3歳年下の実妹である。
成城学園初等科入学と同時に歌のレッスンを受け、同中等科進学の後、歌手を目指し松田敏江に師事。また当時中等科の同級生だった岡村清太郎(当時歌舞伎役者。現在は浄瑠璃清元の家元、七世清元延寿太夫)の縁で先代水谷八重子の部屋方となり、新橋演舞場に通う。中等科3年の時に『スター誕生!』に応募し、1974年3月3日、関東大会で代表選出、同年7月17日決戦大会に出場。小坂明子の『あなた』を歌いグランプリに輝く。
- 1975年4月25日、「天まで響け岩崎宏美」のキャッチフレーズと共に『二重唱(デュエット)』でデビュー。2枚目の『ロマンス』が90万枚近い大ヒットとなり、細川たかしと共にこの年の新人賞を総なめにする。又この年、第26回NHK紅白歌合戦に初出場(披露曲は「ロマンス」)。
- 1976年3月、3枚目シングルの『センチメンタル』が春のセンバツ高校野球大会の入場行進曲に選ばれる。
- 1982年、前年9月より放送が開始された日本テレビ系の2時間ドラマ『火曜サスペンス劇場』の主題歌『聖母たちのララバイ』に問い合わせが殺到。当初シングル発売の予定は無かったが、200名の主題歌カセットプレゼントに28万通もの応募があった事から同年5月21日に発売。発売後2週目でオリコンチャート週間売上1位を獲得し80万枚の大ヒットとなり、同年11月、日本歌謡大賞を受賞する。また翌1983年3月『聖母たちのララバイ』が、二度目のセンバツ高校野球大会入場行進曲に採用された(なお、妹の良美も1986年に『青春』がセンバツ入場行進曲に選出された。姉妹ともに選出されたのは初)。
- 作曲は当初木森敏之とされたが、発売の2年前に公開された米映画『ファイナル・カウントダウン』のメインテーマとの類似性が指摘され、後に木森敏之・John Scottと併記される。この余波で、外国人作家が関係する曲は選考の対象外であった事から、この年の日本レコード大賞はノミネートに至らなかった。
- 1985年、独立第1弾のシングル『決心/夢狩人』を発表。カメリアダイヤモンドCMとのタイアップも成功し、ヒットチャートを上昇、トップ20入りを果たす。続いてアルバム『戯夜曼』も好調、見事に独立を成功させた。
- 1986年、ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』に次女ホーデル役で出演。同年10月21日、親善大使としてエジプトに招かれピラミッドの前でコンサートを開く。
- 1995年、協議離婚成立(のちに子供は前夫が引き取る)。芸名を岩崎宏美に戻し歌手活動を本格的に再開。
- 2001年、かつての担当プロデューサー飯田久彦の招きで、テイチクが新規に立ち上げたレーベル「インペリアルレコード」に移籍する。
- 現在も、コンサートツアー、アコースティック中心のライブやミュージカル、レコーディングなどを精力的に行っており、その誠実で大人の女性の艶やかさを持った歌声の評価は高い。
[編集] 音楽
[編集] 概要
- シングルは1975年から2005年迄の間にマキシ・シングルも含めて59枚が発売され、オリコンチャートでは内15枚がベスト10入りし、『ロマンス』『センチメンタル』『聖母たちのララバイ』の3曲が週間売上1位を獲得している。
- シングルセールスのピークはデビュー1年目~3年目と7年目~9年目の2度訪れ、特に8年目の『聖母たちのララバイ』の大ヒットで大人の実力派歌手としての地位を不動のものとした。
- アルバムはオリジナル盤28枚、ライブ盤12枚、企画盤5枚、セルフカバー盤2枚、ベスト盤7枚、DVD映像付のBOX1セットがそれぞれ発売され、オリコンチャートでは内9枚がベスト10入りしている。最高位は『ファンタジー』の週間売上2位。2006年も2月にオリジナルアルバム『Natural』を発表、9月27日にはカバーシリーズ第3弾『Dear Friends III』がリリースされ、前2作に続き好評を博している。
- TBS系の『ザ・ベストテン』には、1979年から1983年までの5年間に5曲計35週チャートインし、『聖母たちのララバイ』が5週連続1位を獲得した。また、『紅白歌合戦』には1975年から1988年まで14回連続出場している。
- 『シンデレラハネムーン』をコンサートで歌うことを一時期封印していた。これはこの曲がコロッケの形態模写のレパートリーで「コロッケのものまねの歌」として有名になり、イントロが流れると客席から笑い声が聞こえてくるようになったためという。かつて、とある歌番組で岩崎自身は「あの歌は、コロッケさんにあげました!」と冗談交じりに発言したが、現在では再び自身のコンサートや歌番組でも歌っている。ちなみに岩崎とコロッケとは仲が良いそうである。
- 『万華鏡』に妙な声が入っていると、テレビのオカルト番組で取り上げられることがあるが、これはレコーディングのミックスダウンのとき、男性コーラスの低音部分が残ったままマスターテープになってしまったことに由来することが、『奇跡体験!アンビリバボー』1998年8月8日放映分の取材でわかっている。
- 芸能界一の辛口で知られた淡谷のり子は、当時のルックスに歌唱力が伴わない流行歌手たちを『歌手ではなくカス』とこき下ろしていたなか、唯一岩崎だけは『まあ、彼女は歌が上手かったけどね』とその歌唱力を認めていた。
- 岩崎の真骨頂は、やはりライヴにあると言ってよい。そのリリカルな歌声と豊かな表現力で、デビュー当時から彼女のステージは絶賛されていた。特にデビューから9年間続いた秋のリサイタルは、彼女のオリジナルに加え、洋楽ポップスやスタンダードにとどまらず、シャンソンやカンツォーネまで歌いこなす発表会的色彩を持ち、全てレコード化されるという異例のものだった。この間、80年に日本フィルと共演したシンフォニックコンサートも話題を呼んだ。また、79-84年はパイナップル・カンパニー、独立後の85-88年は月光旋律団という自らのバンドを率いてライヴ活動を行った。98年からはライヴハウスにおけるアコースティック楽器をバックのステージにも挑戦。ここ数年のステージは、ラテンピアニストの青柳誠をリーダー兼アレンジャーに迎えている。近年は、10代・20代の頃のように幅広いレンジで押しまくるのではなく、人生経験に裏打ちされた説得力のある聴かせるステージとなっている。
- 1995年活動再開後は、Cat Gray、佐藤竹善、塩谷哲ほか、幅広いアーティストとのコラボレーションを開始。また以前に比べ若干キーは下がったものの、『許さない』『あとかたもなく』等サビにファルセットを用いた楽曲を次々に発表、新境地を開拓した。2001年にはポリープによる喉の不調に見舞われるが、摘出手術を受け回復。以前の若々しい歌声がよみがえりつつある。
[編集] シングル
- 二重唱(デュエット)(1975.4.25)
- ロマンス(1975.7.25)
- センチメンタル(1975.10.25)
- ファンタジー(1976.1.25)
- 未来(1976.5.1)
- 霧のめぐり逢い(1976.8.1)
- ドリ-ム(1976.11.5)
- 想い出の樹の下で(1977.1.25)
- 悲恋白書(1977.4.25)
- 熱帯魚(1977.7.5)
- 思秋期(1977.9.5)
- 二十才前(1978.2.5)
- あざやかな場面(1978.5.5)
- シンデレラ・ハネムーン(1978.7.25)
- さよならの挽歌(1978.11.5)
- 春おぼろ(1979.2.5)
- 夏に抱かれて(1979.5.8)
- 万華鏡(1979.9.15)
- スローな愛がいいわ(1980.1.21)
- 女優(1980.4.5)
- 銀河伝説/愛の生命(1980.8.5)(映画『ヤマトよ永遠に』主題歌)
- 摩天楼(1980.10.5)
- 胸さわぎ(1981.1.1)
- 恋待草(1981.3.21)
- すみれ色の涙(1981.6.5)
- れんげ草の恋(1981.10.21)
- 檸檬(1982.2.5)
- 聖母たちのララバイ(1982.5.21)(日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』主題歌)
- 思い出さないで(1982.9.21)
- 素敵な気持ち(1983.2.21)
- 真珠のピリオド(1983.6.5)
- 家路(1983.8.21) (日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』主題歌)
- 20(はたち)の恋(1984.2.21)
- 未完の肖像(1984.5.21)
- 橋(1984.8.21) (日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』主題歌)
- 決心/夢狩人(1985.4.5)
- 月光(1985.10.21)
- 25時の愛の歌(1985.12.16) (日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』主題歌)
- 好きにならずにいられない(1986.2.5)
- 小さな旅(1986.6.21)(NHK『小さな旅』主題歌)
- 夜のてのひら(1986.10.21) (日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』主題歌)
- 最初の恋人達(1987.4.21)
- 風の童話集/ラスト・クルーズ(1987.11.1)
- 聞こえてくるラプソディー(1988.5.21)
- 未成年(1988.12.16)
- 夢見るように愛したい(1989.6.7)
- 愛を+(プラス)ワン(1992.1.21)(日本テレビアニメ『ママは小学4年生』主題歌)
- 愛という名の勇気(1993.1.21)(日本テレビ『火曜サスペンス劇場』主題歌)
- LIFE(1993.7.21)
- 朝が来るまで(1995.10.21)(日本テレビ系「きょうの出来事」エンディング・テーマ)
- Believin'/笑顔をみせて(1996.11.21)
- 愛がいっぱい(1997.9.22)
- 許さない(1999.3.3)
- ぼくのベストフレンドへ(2001.2.7)(テレビ東京アニメ『ポケットモンスター』エンディング・テーマ)
- あとかたもなく(2001.5.9)
- 夢(2001.9.21)
- 止まった時計(2002.10.2)
- あなたの心に(2003.4.23)
- 手紙(2004.9.23)
- ただ・愛のためにだけ(2005.3.24)
- シアワセノカケラ(2007.3.21)
[編集] アルバム
- あおぞら(1975.9.5)
- ファンタジー(1976.2.10)
- 飛行船(1976.7.25)
- ウイズ・ベスト・フレンズ(1977.5.25)
- 思秋期から…男と女(1977.10.5)
- 二十才前…(1978.4.5)
- パンドラの小箱(1978.8.25)
- ALBUM(1978.10.25)
- 恋人たち(1979.3.9)
- 10カラット・ダイヤモンド(1979.10.5)
- album II(1980.2.1)
- Wish(1980.8.5)
- 緋衣草(サルビア)(1981.7.5)
- すみれ色の涙から…(1981.11.5)
- EXCEL ONE 岩崎宏美のすべて(1981.11.5)
- 夕暮れから…ひとり(1982.7.5)
- Love Letter(1982.11.5)
- 私・的・空・間(1983.7.21)
- Disney Girl(1983.10.21)
- ダル・セーニョ(1984.3.5)
- I WON'T BREAK YOUR HEART(1984.4.21)
- 戯夜曼(1985.6.5)
- cinema(1985.11.21)
- わがまま(1986.7.21)
- YOKUBARI(1987.7.21)
- Me too(1988.7.21)
- 誕生~BIRTH~(1989.11.21)
- 家族~FAMILY~(1991.3.21)
- きょうだい(1992.6.21)
- MY GRATITUDE(1995.8.23)
- FULL CIRCLE(1995.11.22)
- THE COMPLETE SINGLES(1995.12.1)
- SHOWER OF LOVE(1997.10.22)
- Never Again~許さない(1999.3.20)
- バラード・ベスト・コレクション~夢~(2001.12.5)
- Dear Friends(2003.3.21)
- Dear Friends II(2003.11.26)
- HIROMI IWASAKI 30TH ANNIVERSARY BOX(2004.4.25)
- Happiness(2004.10.16)
- Natural(2006.2.22)
- Dear Friends III(2006.9.27)
(ベスト盤については、未発表曲を含む場合のみ掲載)
[編集] ライブ・アルバム
- ロマンティック・コンサート(1975.12.10)
- ロマンティック・コンサート II ちいさな愛の1ページ(1976.12.5)
- ラブ・コンサート パート1 新しい愛の出発(1977.12.20)
- ラブ・コンサート パート2 ふたりのための愛の詩集(1978.12.20)
- ライブ&モア(1979.12.1)
- シンフォニー(1980.4.5)
- 岩崎宏美リサイタル 宏美・22才の愛(1980.12.20)
- 岩崎宏美リサイタル'81(1981.12.20)
- '82岩崎宏美リサイタル(1982.12.16)
- '83岩崎宏美リサイタル(1983.12.16)
- ライヴ'96 フル・サークル(1996.12.4)
- 30TH ANNIVERSARY LIVE SPECIAL "Happiness"(2005.4.21)
[編集] 映像
- 岩崎宏美リサイタル(1982)
- '83岩崎宏美リサイタル(1983)
- ピラミッド(1986.12.16)
- LIVE'96 FULL CIRCLE(1996.12.4)
- HIROMI IWASAKI ON TV/NHK みんなのうた&VIDEO CLIPS/PYRAMID(2004.4.25 30TH ANNIVERSARY BOX)
- 30TH ANNIVERSARY LIVE SPECIAL“Happiness”(2005.4.21)
[編集] 出演
[編集] テレビドラマ
- 「火曜サスペンス劇場 誰かが見ている(NTV)」
- 「男女7人秋物語(TBS)」
- 「少年たち(NHK)」
[編集] ラジオパーソナリティ
- 夕暮れジョッキー(TBS)
- 岩崎宏美のチャームポイントミュージック(TBS)
- あなたへの贈り物岩崎宏美です(OBC)
- ヤングタウン(MBS)
- スバルリラックスタイム
- サウンドコミュニケーション(FM東京系)
- セイ!ヤング(文化放送)
[編集] TV-CM
- グリコチョコリロ
- グリコスカイミント
- ライオンスゥイング
- ライオンOCTシャンプー
- ライオンソフランC
- トヨタベッド
- レモン仁丹
- ジュエリーマキ
- 第一産業
- スバルレオーネ
- エキセドリン
- ハウスビーフのためのシチューです
- 市川園
- 発酵ウコン茶
[編集] 紅白歌合戦
- 「ロマンス」(1975年)
- 「ファンタジー」(1976年)
- 「悲恋白書」(1977年)
- 「シンデレラハネムーン」(1978年)
- 「万華鏡」(1979年)
- 「摩天楼」(1980年)
- 「すみれ色の涙」(1981年)
- 「聖母たちのララバイ」(1982年)
- 「家路」(1983年)
- 「20の恋」(1984年)
- 「決心」(1985年)
- 「好きにならずにいられない」(1986年)
- 「夢やぶれて〜I Dreamed a Dream〜」(1987年)
- 「未成年」(1988年)
[編集] みんなのうた
- 「ぼくのプルー」(1977年)
- 「走馬燈」(1977年)
- 「笑顔」(2003年)