智頭急行智頭線
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智頭線(ちずせん)は、兵庫県赤穂郡上郡町の上郡駅から鳥取県八頭郡智頭町の智頭駅に至る智頭急行の鉄道路線である。
京阪神と鳥取を結ぶ短絡線、山陽地域と鳥取を結ぶ高速路線として、特急「スーパーはくと」や特急「スーパーいなば」が直通運転されている。特急の輸送実績は抜群であるが、普通列車は、3県にまたがっており学区制の制約で高校生の通学輸送があまり見込めないこと(特に岡山県では県内で他の鉄道路線とつながっていない)や新幹線停車駅の相生駅に乗り入れないことから、輸送実績に見るべきものがない。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):56.1km
- 軌間:1067mm
- 駅数:14駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:単線自動閉塞式
- 保安装置:ATS-P
- 最高速度:130km/h(特急) 110km/h(普通)
- 最長トンネル:志戸坂トンネル (5,592m)
[編集] 運行形態
京都~鳥取・倉吉間の特急「スーパーはくと」(7往復、但し倉吉直通は下り5本・上り6本)や岡山~鳥取間の特急「スーパーいなば」(6往復)が経由する。
特急「スーパーはくと」や特急「スーパーいなば」は京都・岡山~智頭間で130km/h運転を行っている。その間を縫うように自社車両による上郡~大原~あわくら温泉~智頭~鳥取間の普通列車が運転されており、上郡~智頭間で110km/h運転を行っている。
2006年3月18日現在、普通列車の運転本数は以下の通りとなっている(下り・上りは智頭線内の場合。因美線直通列車は智頭~鳥取間で上下が逆転する)。
- 上郡~大原間 : 9往復
- 上郡~智頭間 : 下り6本・上り7本
- 上郡~鳥取間 : 下り2本・上り1本
- 大原~智頭間 : 2往復
- 大原~鳥取間 : 2往復
上郡~大原間は毎時1本程度、大原~智頭間は1~2時間に1本程度で普通列車が運行されている。
[編集] 利用状況
智頭線の輸送実績を下表に記す。 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 特 記 事 項 | |||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 合計 | ||
1994年(平成6年) | 0.6 | 1.1 | 19.3 | 21.0 | |
1995年(平成7年) | |||||
1996年(平成8年) | |||||
1997年(平成9年) | |||||
1998年(平成10年) | 3.2 | 10.0 | 105.8 | 119.0 | |
1999年(平成11年) | |||||
2000年(平成12年) | |||||
2001年(平成13年) | |||||
2002年(平成14年) | |||||
2003年(平成15年) | |||||
2004年(平成16年) | 3.0 | 11.1 | 113.8 | 127.9 | |
2005年(平成17年) | |||||
2006年(平成18年) |
[編集] 収入実績
智頭線の収入実績を下表に記す。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 |
||||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1994年(平成6年) | 1,518 | 1,778 | 219,974 | 0 | 223,270 | 133,459 | 356,729 |
1995年(平成7年) | |||||||
1996年(平成8年) | |||||||
1997年(平成9年) | |||||||
1998年(平成10年) | 8,775 | 16,753 | 1,443,369 | 0 | 1,468,897 | 1,391,393 | 2,860,290 |
1999年(平成11年) | |||||||
2000年(平成12年) | |||||||
2001年(平成13年) | |||||||
2002年(平成14年) | |||||||
2003年(平成15年) | |||||||
2004年(平成16年) | 4,182 | 15,320 | 1,564,705 | 0 | 1,584,207 | 1,594,537 | 3,178,744 |
2005年(平成17年) | |||||||
2006年(平成18年) |
[編集] 使用車両
智頭急行智頭線は全線にATS-Pを採用しているため、同装置が装備されていない車両は入線できない。
- JR西日本187系気動車(500番台)
- 上郡~鳥取間で、列車番号が70~80番台(1往復は9030番台)(特急スーパーいなば)。上り・下りともに号数+70(1往復は号数+8940)。上郡で列車番号が変わる。
- 智頭急行HOT3500形気動車
- 上郡~大原~あわくら温泉~智頭間で、列車番号が720~760番台。直通列車は智頭で列車番号が変わる。
- 智頭急行HOT7000系気動車
- 京都~鳥取・倉吉間で、列車番号が50~60番台(特急スーパーはくと)。上り・下りともに号数+50。
[編集] 乗車券
JR旅客会社で発売している「青春18きっぷ」は使えない。普通列車がすべて乗り放題となる、期間限定の特別企画乗車券(「トクトクきっぷ」)として、「智頭線満喫一日乗り放題きっぷ」(大人1000円、小児500円)がある。
運賃・料金はこちらを参照。
[編集] 歴史
智頭線は、1892年に山陰・山陽連絡線の一つとして姫路~鳥取間を結ぶ鉄道建設運動が起きたことから始まる。1922年の改正鉄道敷設法では「兵庫県上郡ヨリ佐用ヲ経テ鳥取県智頭ニ至ル鉄道」として予定線の一つに盛り込まれた。その後、国鉄智頭線として敷設が計画され、1966年に着工したが、建設中の1980年頃に路盤の9割以上が出来ていたにもかかわらず国鉄再建法によって工事が凍結された。
智頭線を引き受ける第三セクター方式の智頭鉄道(のちに智頭急行に改称)が設立されて1987年に工事が再開。1989年には、当初予定になかった高規格化工事を計画、最高速度160km/h対応化工事と電化工事を行う予定だったが、追加費用が170億円、そのうち西日本旅客鉄道(JR西日本)因美線智頭駅~鳥取駅間の電化・高速化工事費用が約40億円かかり、当時のJR西日本の経営事情から早期開業が困難であること、一方で非電化のまま最高速度130km/h対応化工事を行った場合の追加費用は20億円であることから、電化については断念した。高規格化については、当時、最高速度130km/h対応の気動車はまだ登場していなかったが、最高速度120km/h対応のJR四国2000系気動車をベースにエンジンの出力強化とブレーキの強化の改良を行うことで、最高速度130km/hに対応可能と判断されたため、翌1990年には非電化のまま高規格化工事を行うことで決定した。
これをうけて1992年から高規格化工事も施工され、1994年12月3日に開業した。なお、貨物列車、快速列車は設定されなかった。
[編集] 駅一覧・接続路線
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
上郡駅 | 0.0 | 西日本旅客鉄道:山陽本線 | 兵庫県 | 赤穂郡上郡町 |
(岩木信号場) | (3.8) | |||
苔縄駅 | 4.8 | |||
河野原円心駅 | 7.4 | |||
久崎駅 | 12.2 | 佐用郡佐用町 | ||
佐用駅 | 17.2 | 西日本旅客鉄道:姫新線 | ||
平福駅 | 22.5 | |||
石井駅 | 27.1 | |||
宮本武蔵駅 | 30.6 | 岡山県 | 美作市 | |
大原駅 | 33.2 | |||
西粟倉駅 | 37.4 | 英田郡西粟倉村 | ||
あわくら温泉駅 | 40.6 | |||
山郷駅 | 47.2 | 鳥取県 | 八頭郡智頭町 | |
恋山形駅 | 50.0 | |||
智頭駅 | 56.1 | 西日本旅客鉄道:因美線 |