横浜市交通局3000形電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
3000形電車(3000がたでんしゃ)は、横浜市交通局(横浜市営地下鉄)ブルーライン(1・3号線の路線愛称)用の通勤形電車。
目次 |
[編集] 形態別概要
製造時期が4次に分かれており、個々に製造目的や特徴が異なる。以下にそれぞれの特徴を記述する。
[編集] 1次車(3000A形)
新横浜駅~あざみ野駅間開通に伴う運用増加分として1992年(平成4年)に登場した。東急車輛製造製で6両編成8本(48両)が在籍する。
制御装置は三菱電機製GTO素子によるVVVFインバータ制御を採用した。
無塗装軽量ステンレス車体に水色と青の帯を配する。座席は先頭車の運転室後部がボックス式クロスシートで、その他はロングシートである。また、蛍光灯にはカバーが装着されているが、これは関東の鉄道事業者の通勤形車両では採用例が少ない。客用扉の室内側は化粧板仕上げで、幅は1000形や2000形に比べて拡大され、1.5mとされた。この寸法は後述する2~4次車も同様である。客用扉上部には車内旅客案内表示器と次駅案内装置を一体化した装置が設置されている。2007年(平成19年)度から予定されているワンマン運転に備えてATO対応改造が施され、3000A形と呼称されるようになった。
[編集] 2次車(3000N形)
戸塚駅~湘南台駅間開通に伴う運用増加分として1999年(平成11年)に登場した。東急車輛製造製で6両編成7本(42両)が在籍する。
帝都高速度交通営団(営団地下鉄)→東京地下鉄(東京メトロ)東西線の05系8次車以降のように設計変更点が各所に見られる車両なので、New(ニュー:英語で「新しい」という意味)の略称で3000N形と呼称される。VVVFインバータ制御装置の使用素子はIGBTに変更され、のちに純電気ブレーキの機能が追加された。
帯の配色は上部は青、下部は太い青に細い水色が重なる。座席は先頭車のボックス式クロスシートを廃止し、蛍光灯カバーは省略され、客用扉の室内側はステンレス無塗装とされた。これは3~4次車も同様である。客用扉の上部にある車内旅客案内表示器は、次駅名・乗り換え案内を表示するものと、もう一つは神奈川新聞が配信する文字ニュースや交通局からのお知らせなどを表示するものの2種類があり、それぞれ地色を茶色と灰色で千鳥配置している。また、先頭車の非常用貫通扉下部には横浜市交通局のマスコットキャラクター「はまりん」の銀色のプレートが装着された。
第32編成(3321F)は車体に「はまりん」のイラストステッカーが貼付され、車内で横浜市の施設やイベントの案内を表示する他、小中学生による絵画ポスターを掲出するインフォメーション電車「はまりん号」として、また第33編成(3331F)は横浜港開港150周年記念のラッピング車両として運用されている。これらの編成を充当する列車の時刻は横浜市交通局のホームページに掲載されている。
ワンマン運転開始に備えて全編成に対応改造が施された。
[編集] 3次車(3000R形)
1972年(昭和47年)の開業時から使用している1000形の置き換え用として登場し、Replace(リプレイス 英語で「代わる」という意味)の略称で3000R形と呼称される。2004年(平成16年)3月30日に営業運転を開始し、2005年(平成17年)7月までに1000形と同じ両数の6両編成14本(84両)が日本車輌製造で製造された。VVVFインバータ装置は3000N形と同一であるが、当初から純電気ブレーキ機能を有している。これは後述する3000S形も同様である。
車体は従来と同じステンレス製だが、日本車輌製造のブロック工法が採用されたため、側面の凸凹(ビードプレス加工)が廃された。先頭車前面は2次車と違いステンレス無塗装で、正面ガラス下部が曲線になっている。前照灯はHIDに変更された。先頭車の貫通扉下部の「はまりん」プレートは彩色された。
座席形状は2次車までとは異なり、バケットシートが採用された。座席表地も営業運転開始時点で既に全席優先席とされていたいたため、2次車まで一部の車端部の座席が優先席であることを示していた紫色の表地は採用されず、全席がオレンジ色の表地とされた。
制御装置や側面の帯色、車内旅客案内表示器(製造当初から駅名の下に駅番号を追加)の仕様は2次車と同様である。
2004年投入車両(第39~46編成)は落成時点ではワンマン運転に対応しておらず、3000N形のワンマン対応改造と同時期に新羽車両基地で対応改造が施された。2005年投入車両(47~52編成)は当初からワンマン運転対応となっている。
[編集] 4次車(3000S形)
2000形は登場から20年を経過し、車体更新の時期を迎えており、また2007年度から予定されているワンマン運転に対応するため、同形式の台車・ブレーキ装置・補助電源装置などを流用し、車体・制御装置・主電動機については3次車とほぼ同様のものを日本車輌製造で新規製造し、ワンマン運転機器を装備する形で登場した。2005年10月28日に営業運転を開始した。6両編成8本(48両)が在籍する。
「お客様に満足 (Satisfaction) していただける車両」という意味から3000S形と呼称される。3000R形と違うのは、先頭車前面の窓下部分が無塗装から水色とされたことと、車体下部の帯色が3000R形の「青・水色・青」から「水色・青・水色」に変更されたことである。 また、台車を2000形から流用しているため、モーター音が従来より大きく響くのも特徴となっている。
2000形は6両編成9本(54両)が在籍していたが、そのうち1本は必要編成数の見直しで更新せずに廃車された。
[編集] 今後の予定
3000R形・3000S形によって置き換えられる1000形・2000形は2006年12月16日をもって営業運転を終了し、営業車両は3000形に統一された。
また、ブルーラインにおける車両以外のワンマン運転対応として、自動列車運転装置(ATO)の導入と全駅のホームにホームドアを設置する。ホームドアは2007年2月から順次設置し、同年9月に設置を完了・10月末よりワンマン運転を開始する予定である。