帝都高速度交通営団
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帝都高速度交通営団(ていとこうそくどこうつうえいだん)は、主として東京都区内の地下鉄を運営するためにかつて存在していた特殊法人(鉄道事業者)。
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駅入口に掲げられていた "S" を図案化した団章 (撮影時は民営化直前のため、団章がシールになっており、シールをはがすと東京メトロのハートMになっている。)
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団章が入った8000系車両
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[編集] 概要
営団のひとつで、略称は交通営団または営団。同法人が運営する地下鉄路線を営団地下鉄と通称していたため、「営団地下鉄」という企業名称であると思われることもあり、後に帝都高速度交通営団が発行するプリペイドカード等には「営団地下鉄」の通称が表記されていた。同法人の解散まで単に営団と言えば帝都高速度交通営団を指すことがほとんどであり、営団線と言えば、その地下鉄路線全体を指していた(公式には使用されないものの、現在でも使われることがある)。駅のロゴ表記は「地下鉄 SUBWAY」であった。英語表記はTeito Rapid Transit Authorityで、TRTAという略称もあった。
帝都高速度交通営団法にもとづき、東京都区部およびその付近の“地下都市高速度交通事業”を目的として1941年7月4日設立。同年9月1日、太平洋戦争中の運輸統制のため、陸上交通事業調整法により現在の銀座線を運営していた東京地下鉄道及び東京高速鉄道を統合、路線を譲り受けた。
鉄道事業者としていわゆる営団地下鉄を運営していたが、2004年4月1日東京地下鉄株式会社法により解散。一切の権利及び義務を東京地下鉄(東京メトロ)が承継した。
特殊法人ではあったが、当時から日本民営鉄道協会に加盟していた。そのため、いわゆる大手私鉄の一員であったが、国土交通省の統計などでは別に扱われていた。また労働組合も私鉄総連に加盟していた。
[編集] 4S
営団の団章はSを図案化したものとなっていて、地下鉄 SubwayのSの他に以下の4つのSのつく語(4S)を意味している。
- Speed スピード
- Safety 安全
- Security 正確
- Service サービス
営団発足から1960年までは、丸にトンネルの断面とレールを配したものが団章として使われていた。Sを図案化したマークは営団初の開業路線である丸ノ内線のシンボルマークとして同線開業前年の1953年に初めて登場し、1960年に正式に団章となった。
東京メトロへの移行の際に、この「4S」の団章を継続してほしいという意見が多数あったが、結局メトロ(METRO)のMを抽象・図案化した「ハートM」のシンボルマークを採用した。
なお、団章登場後の1957年に制定された神奈川県茅ヶ崎市の市章がこの4Sの団章に若干似ているが、茅ヶ崎の頭文字「チ」を図案化したものである。また、2003年に制定された香川大学の学章もこの団章に似ている。
[編集] 営団が運営していた路線
(初区間の開業順)
- 銀座線 浅草~渋谷間
- 丸ノ内線 池袋~荻窪間および中野坂上~方南町間
- 日比谷線 北千住~中目黒間
- 東西線 中野~西船橋間
- 千代田線 綾瀬~代々木上原間および綾瀬~北綾瀬間
- 有楽町線 和光市~新木場間(新線含む)
- 半蔵門線 渋谷~押上間
- 南北線 目黒~赤羽岩淵間
[編集] 営団が保有していた車両
すでに営業運行を終了した車両も含む。
- 銀座線
- 丸ノ内線
- 日比谷線
- 3000系(1994年運行終了。一部は長野電鉄に売却され3500系・3600系として運用されているが、運用を離脱した2両編成1本が東京メトロで保存するために返却された)
- 03系(東京メトロが継続保有)
- 東西線
- 千代田線
- 有楽町線・新線
- 半蔵門線
- 南北線
- 9000系(東京メトロが継続保有)
[編集] 営団地下鉄が原因となった事故
2000年3月8日 日比谷線中目黒駅付近で電車がせり上がり脱線を起こし、対向電車と衝突し大破した。死者5名。営団日比谷線脱線衝突事故も参照。
営団地下鉄が原因となった事故で、死者が生じたのは後にも先にもこの一度のみである。
ただし、職員のみの死亡事故ならば、1998年3月11日に千代田線代々木公園駅~代々木上原駅間にて線路上にいた職員3人が電車にはねられて死亡する事故が起きている。
1978年2月28日 東西線葛西駅~南砂町駅(当時西葛西駅は未開業)の荒川中川橋梁上にて強風が原因で車両が脱線・横転する事故が起きており、20数名が負傷した。
[編集] 営団地下鉄が舞台となった重大事件
1963年9月5日、一連の「草加次郎事件」中、最も重大な事件となった「地下鉄銀座線爆破事件」が発生した。銀座線京橋駅に到着直後の列車最前部座席下(車両最前部まで座席を持つ、半室運転台構造の戦前型車であった)に仕掛けられた手製の時限爆弾が爆発。乗客13名が重軽傷を負った。翌日女優の吉永小百合宛に、草加次郎名で100万円を要求する脅迫状が送付されるが、未遂に終わり、以後行方をくらました。犯人は結局検挙されないまま1978年9月5日に時効が成立した。
1995年3月20日、「地下鉄サリン事件」が発生した。日比谷線・丸ノ内線・千代田線などに、化学兵器として使用される神経ガスサリンが散布され、乗客や駅員ら12人が死亡、5,510人が重軽傷を負った。銀座線・東西線・半蔵門線も当日終日運休した。詳細は地下鉄サリン事件を参照のこと。
[編集] 関連項目
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