駅ナンバリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
駅ナンバリング(えきなんばりんぐ)とは、鉄道駅に対して、通常の駅名とは別に路線記号とアラビア数字からなる駅番号を定める制度である。駅番号制とも呼ばれる。
「地下鉄において実施されている。」といった説明をされることがしばしばあるが、すべての地下鉄において実施されているわけではない。また、地下鉄以外の鉄道でも実施されている例もある。
[編集] 目的
世界的に最も普及している英字やアラビア数字を使い、駅固有の番号を定めることで、外国人やその土地の地理に不案内な者など、駅名を正しく読むことができない者でも、簡単に間違えることなく特定の駅の識別を容易にする手段を提供することである。また、駅名には従来からローマ字表記が併記されていたものの、日本語名をそのままローマ字転写しただけの駅が多く、外国人にとっては名前を意味によって理解することが困難であることも番号制の普及を後押しする一因となった。このほか、上りと下りの乗り間違いを防ぐことが出来るといったメリットが主張されることもある。
一部の海外都市の地下鉄などの都市内鉄道路線では既に実施されていたが、日本では2002年に2002 FIFAワールドカップの開催に合わせて横浜市営地下鉄が初めて実施し、2004年に東京の地下鉄で実施(東京メトロ・都営同時)したのを皮切りに、駅に番号が振られる地区が出始めた。観光など訪日外国人の増加を目指す政府の「ビジット・ジャパン・キャンペーン(YOKOSO! JAPAN)」に即した取り組みとして導入されているものもある。また中京圏の鉄道は愛・地球博の開催を前に中部運輸局の指導により相次いで導入したものである。事業体単位で見ると新規路線の開業や既存路線の延伸開業をきっかけとして導入されることが多く、2004年以降に開業した路線では開業時から導入されているものもある。ラインカラー制や案内表示の多国語表記などと併用して導入されることも多い。
[編集] 駅番号の構成
[編集] 記号部分
路線記号は通常は英字1文字または2文字からなる。日本国外では路線の識別にもアラビア数字を用いていることもある。事業体が1路線しか運行していない場合などには路線記号が無く、数字部分のみのものもある(横浜市営地下鉄、首都圏新都市鉄道など)。路線記号は路線名のローマ字表記の省略形になっていることが多く、その中でも頭文字をそのまま路線記号にしたものが多い。ただし同一地域で頭文字が同じ路線がある場合は、路線記号が重複しないように変更される。
- 東京地下鉄日比谷線と半蔵門線は前者がHで後者がZ。東京地下鉄丸ノ内線と都営三田線は前者がM(本線)・m(方南町分岐線)で後者が I (大文字のアイ)。
- 札幌市営地下鉄東西線と東豊線は前者がTで後者がH、名古屋市営地下鉄名城線と名港線は前者がMで後者がE、大阪市交通局千日前線と堺筋線は前者がSで後者がK、長堀鶴見緑地線とニュートラム南港ポートタウン線は前者がNで後者がP、など。
また、複数の路線が直通し、事実上一体の路線として運行されているような場合には、一つの路線記号を持ち、駅番号も連続したものとなっていることがある。この場合の路線記号は最も主要な部分の路線名に基づいて設定されたと見られるものを使用していることが多い。
[編集] 数字部分
数字部分は通常0または1から始まる一連の番号になっている。一桁の番号については、桁数を合わせるために頭に0を付けられていることが多い(ただし、路線図によってはない場合もある)。また、方角を基準に定めている場合には、路線の起点・終点とは必ずしも一致しない場合がある(東京地下鉄では、銀座線・丸ノ内線・日比谷線・千代田線で終点側の駅が01である)。また、路線図などでも、本来の起終点と逆になっている場合が多い(Wikipedia内の路線ページも同様である)。
2007年現在の日本ではまだ例がないが、既存区間の途中に新駅ができた場合、たとえば番号8と9の駅の間に新駅ができた場合は、番号をずらすことはせず、8-1などのように枝番号にすることが考えられる(高速道路におけるICやJCTの例と同様)。また大阪市営地下鉄では乗り入れ路線と連番とするためや将来の延伸に考慮して数字部分が原則として11から始まっている。
[編集] 駅ナンバリングを導入している鉄道事業者
[編集] 日本
以下、日本の鉄道事業者において実施されているものである。
[編集] 札幌市交通局(札幌市営地下鉄)
2006年1月26日より導入
[編集] 東京地下鉄(東京メトロ)
2004年4月1日(帝都高速度交通営団からの民営化時)より導入。基本的に西・南方の駅を「01」としている。
- 銀座線(G) 渋谷駅(G-01)~浅草駅(G-19)
- 丸ノ内線(M) 荻窪駅(M-01)~池袋駅(M-25)
- 丸ノ内分岐線(m) 方南町駅(m-03)~中野新橋駅(m-05)
- 05~03となっているのは、分岐点の中野坂上駅(M-06)から連続させているため。
- 日比谷線(H) 中目黒駅(H-01)~北千住駅(H-21)
- 東西線(T) 中野駅(T-01)~西船橋駅(T-23)
- 千代田線(C) 代々木上原駅(C-01)~北綾瀬駅(C-20)
- 有楽町線(Y) 和光市駅(Y-01)~新木場駅(Y-24)
- 半蔵門線(Z) 渋谷駅(Z-01)~押上駅(Z-14)
- 南北線(N) 目黒駅(N-01)~赤羽岩淵駅(N-19)
- このうち白金高輪駅(N-03)~目黒駅間(2.3km)は、都営地下鉄三田線と線路を共有しており、1つの駅に2つの駅番号が付けられている(同じ駅については路線記号部分のみ異なり、数字部分は同じである)。
- 有楽町新線(Y) 小竹向原駅(Y-06)・(新線)池袋駅(Y-09)
[編集] 東京都交通局(都営地下鉄)
2004年4月1日(帝都高速度交通営団からの民営化時)より導入。基本的に西・南方の駅を「01」としている。東京地下鉄と同時で内容や基準などは共通だが、三田線・大江戸線の基準がやや異なる[1]。また、英字は東京地下鉄の路線と重ならないようにしてある。
- 浅草線(A) 西馬込駅(A-01)~押上駅(A-20)
- 三田線(I) 目黒駅(I-01)~西高島平駅(I-27) ※英大文字の「アイ」
- このうち白金高輪駅(I-03)~目黒駅間(2.3km)は、東京地下鉄南北線と線路を共有しており、1つの駅に2つの駅番号が付けられている(同じ駅については路線記号部分のみ異なり、数字部分は同じである)。
- 新宿線(S) 新宿駅(S-01)~本八幡駅(S-21)
- 大江戸線(E) 新宿西口駅(E-01)~光が丘駅(E-38)
[編集] ゆりかもめ
2006年3月27日(有明駅~豊洲駅間延長開業時)より導入
- 東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ線)(U) 新橋駅(U-01)~豊洲駅(U-16)
[編集] 横浜市交通局(横浜市営地下鉄)
2002 FIFAワールドカップの開催に伴って導入
[編集] 首都圏新都市鉄道
2005年8月24日の開業時から導入
- つくばエクスプレス線 秋葉原駅(01)~つくば駅(20)
[編集] 名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)
2004年10月6日(名古屋大学駅~新瑞橋駅間開業、環状運転開始時)から導入
- 東山線(H) 高畑駅(H01)~藤が丘駅(H22)
- 名城線(M) 金山駅(M01)~西高蔵駅(M28)
- 名港線(E) 金山駅(E01)~名古屋港駅(E07)
- 鶴舞線(T) 上小田井駅(T01)~赤池駅(T20)
- 桜通線(S) 中村区役所駅(S01)~野並駅(S17)
- 上飯田線(K) 上飯田駅(K01)~平安通駅(K02)
[編集] 名古屋ガイドウェイバス
2004年10月6日から導入
- ガイドウェイバス志段味線(ゆとりーとライン)(Y) 大曽根駅(Y01)~小幡緑地駅(Y09)
[編集] 名古屋臨海高速鉄道
2004年10月6日の開業時から導入
- 西名古屋港線(あおなみ線)(AN) 名古屋駅(AN01)~金城ふ頭駅(AN11)
[編集] 愛知高速交通
2005年3月6日の開業時から導入
- 東部丘陵線(リニモ)(L) 藤が丘駅(L01)~八草駅(L09)
[編集] 愛知環状鉄道
2004年4月1日から導入
[編集] 京都市交通局(京都市営地下鉄)
2004年11月26日(六地蔵駅~醍醐駅間の延伸開業時)から導入
[編集] 京福電気鉄道(嵐電)
2007年3月19日から導入
[編集] 大阪高速鉄道
2007年3月19日(阪大病院前駅~彩都西駅間の延伸開業時)から正式に導入。ただし、2006年10月6日に駅番号制の導入が発表され、同月下旬から駅番号を記した路線図・駅名標が順次取り付けられていた。
- 大阪モノレール線 大阪空港駅(11)~門真南駅(24)
- 国際文化公園都市線(彩都線) 公園東口駅(51)~彩都西駅(54)
- 彩都線は公園東口駅を起点に50番台の番号が付けられる。乗り換え駅の万博記念公園駅には大阪モノレール線としての駅番号(17)だけが付けられる。
[編集] 大阪市交通局(大阪市営地下鉄および新交通システム)
2004年7月1日から導入。今里筋線は2006年12月24日の開業時から(同年7月6日に駅番号発表)。駅番号の数字部分が原則として11から始まるのが特色である。
- 御堂筋線(M) 江坂駅(M11)~中百舌鳥駅(M30)
- 北大阪急行電鉄南北線と直通し、一体の路線として運行されていることから、同じ路線記号を持ち、駅番号も連続したものとなっている。
- 谷町線(T) 大日駅(T11)~八尾南駅(T36)
- 四つ橋線(Y) 西梅田駅(Y11)~住之江公園駅(Y21)
- 中央線(C) コスモスクエア駅(C10)~大阪港駅(C11)~長田駅(C23)
- コスモスクエア駅~大阪港駅間は駅ナンバリング採用当時は、大阪港トランスポートシステムの路線であった。
- 近鉄けいはんな線と直通し、一体の路線として運行されていることから、同じ路線記号を持ち、駅番号も連続したものとなっている。
- 千日前線(S) 野田阪神駅(S11)~南巽駅(S24)
- 堺筋線(K) 天神橋筋六丁目駅(K11)~天下茶屋駅(K20)
- 長堀鶴見緑地線(N) 大正駅(N11)~門真南駅(N27)
- 今里筋線(I) 井高野駅(I11)~今里駅(I21)
新交通システム(ニュートラム)
[編集] 北大阪急行電鉄
2004年7月1日から導入
[編集] 近畿日本鉄道
2006年3月27日(生駒駅~学研奈良登美ヶ丘間駅の延伸開業時)から導入
近畿日本鉄道において駅ナンバリング制が導入されているのはけいはんな線のみである。
[編集] 神戸市交通局(神戸市営地下鉄)
2004年9月1日から導入
- 西神・山手線(S) 新神戸駅(S02)~西神中央駅(S17)
- 北神急行電鉄北神線と直通し、一体の路線として運行されていることから、同じ路線記号を持ち、駅番号も連続したものとなっている。
- 海岸線(K) 三宮・花時計前駅(K01)~新長田駅(K10)
[編集] 北神急行電鉄
2004年9月1日から導入
[編集] 神戸新交通
2006年2月2日(市民広場駅~神戸空港駅までの延伸開業時)から導入
- ポートアイランド線(P) 三宮駅(P01)~神戸空港駅(P09)
- ポートアイランド線(環状部)(PL) 南公園駅(PL07)~北埠頭駅(PL09)
- 07~09となっているのは、分岐点の市民広場駅(P06)から連続させているため。
- 六甲アイランド線(R) 住吉駅(R01)~マリンパーク駅(R06)
[編集] 広島電鉄
- 本線(M) 広島駅(M1)~広電西広島駅(M19)
- 宮島線(M) 広電西広島駅(M19)~広電宮島口駅(M39)
- 横川線(Y) 十日市町駅(Y1)~横川駅(Y5)
- 宇品線(U) 本通駅(U1)~広島港駅(U18)
- 江波線(E) 舟入町駅(E1)~江波駅(E6)
- 白島線(W) 八丁堀駅(W1)~白島駅(W5)
- 皆実線がHを使うため、白島の「白」を英訳した単語(White)の頭文字Wを使用。
- 皆実線(H) 的場町駅(H3)~皆実町六丁目駅(H9)
- Mでは宮島線とかぶるため別名である「比治山線」の頭文字Hを使用。
[編集] 四国旅客鉄道(JR四国)
2006年3月1日から導入。JRグループでは初めて駅ナンバリングを採用。
予讃線の伊予長浜経由・土讃線の高知以西・徳島線・予土線・高徳線は、記号部分を路線名のローマ字表記の頭文字からではなく、発着地や路線の愛称からとっている。ただし本四備讃線では実施していない。
- 予讃線(Y) 高松駅(Y00)~松山駅(Y55)
- 予讃線・内子線(U) 松山駅(U00)~宇和島駅(U28)
- 予讃線(伊予長浜経由)(S) 向井原駅(S06)~伊予大洲駅(S18)
- 途中駅の下灘駅、海沿いを通るのでSeasideから S。
- 土讃線(D) 多度津駅(D12)~高知駅(D45)
- 土讃線(K) 高知駅(K00)~窪川駅(K26)
- 高知駅、窪川駅から K。
- 牟岐線(M) 徳島駅(M00)~海部駅(M28)
- 徳島線(B) 徳島駅(B00)~阿波池田駅(B25)
- 愛称の「よしの川ブルーライン」から B。
- 鳴門線(N) 池谷駅(N04)~鳴門駅(N10)
- 予土線(G) 若井駅(G27)~宇和島駅(G47)
- 愛称の「しまんとグリーンライン」から G。
- 高徳線(T) 徳島駅(T00)~高松駅(T28)
- 徳島駅、高松駅から T。
[編集] 阿佐海岸鉄道
2006年3月1日から導入
[編集] 土佐くろしお鉄道
2006年3月1日から導入
- 阿佐線(ごめん・なはり線)(GN) 後免駅(GN40)~奈半利駅(GN21)
- 列車が直通するJR四国土讃線(後免~高知間)と駅番号が連続している。
- 中村線・宿毛線(TK) 窪川駅(TK26)~宿毛駅(TK47)
- 事実上一体である両線は共通の路線記号が付されており、列車が直通するJR四国土讃線と駅番号が連続している。
[編集] アジア
- 大韓民国(韓国の地下鉄を参照)
- 中華民国(台湾)
- 台北捷運
- 駅名標には記されておらず、ごく一部の市販地図に付属する路線図において表記されている。ラインカラーの頭文字(ラインカラーが赤ならその路線の頭文字はRedのRである)に番号を付する。
- また、保線用と思われる線路配線図(一般の乗客から見えるところにある)にも記されている。
- 台北捷運
- 中華人民共和国
- タイ
- シンガポール
[編集] アメリカ
[編集] その他
- 福岡市地下鉄では、駅番号制は導入されていないが、地下鉄駅が同じような構造で風景に乏しいということから、駅ナンバリングが日本の鉄道事業者に採用される以前より各駅の駅名や周辺の名所・名物にちなんだ駅シンボルマークを制定している。
- 本稿の意味合いとは異なるが、JRの駅には「駅名コード」という4桁の数字からなるコードがある。JR内部での発券や運行管理用に使われている。時刻表の急行・特急や新幹線のページなどに記載されている。
[編集] 脚注
- ^ 三田線は西高島平駅の方が西にあるが南側の目黒駅が01、大江戸線は新宿西口駅から「6」の字を逆に辿る形になっており、完全に西側から01とはなっていない。
カテゴリ: 鉄道関連のスタブ項目 | 鉄道駅 | 鉄道のサービス