油田
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油田(ゆでん)とは、地下に多量の原油が埋蔵している地域のことである。世界的には、石油を含む地層は数百km以上の広範囲に分布していることが多いため、複数の油井により石油を採取する。地球全体では、陸上・海上を問わず4万ヶ所を超える油田が点在している。世界最大の油田は、サウジアラビアのガワール油田とクウェートのブルガン油田で、ともに埋蔵推定量600億バーレル以上である。油田の位置とその埋蔵量は近代以降、各国の紛争の原因の一つとなっている。
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[編集] 油田の設備
油田の設備としては、貯油層を調査する試掘井や採取した油を輸送するパイプラインなどの設備がある。油田は、既存の都市などから離れた地域や海上にあることも多いため、採掘作業を行うにあたっては、補給を確立することが重要な問題となる。労働者も採掘施設内に、長い場合は何年も居住する場合がある。そのような場合、採掘施設には水・電気を始めとする居住設備を整備する必要がある。このため、採掘施設は掘削装置やポンプだけではなく、一つの都市の様相を示す。幾つかの会社においては、採掘施設の全体の建設と管理を担当する部門があるほどである。
[編集] 油田火災
油田において最も恐ろしい事故は火災である。戦争や掘削中の天然ガス突出事故、人為的ミスや施設の老朽化に伴い発生し、周囲の採掘機能まで麻痺させる上、深刻な環境破壊を招くこともある。事故の際の消火方法は、キャッピングといって油田にクレーンでフタをする方法や、リリーフウェル(救助井)を新たに掘削して水や薬剤を大量注入する方法や火薬等を爆発させて爆風や酸欠環境を利用する手段が採られる。湾岸戦争やイラク戦争では油田が爆破・放火され炎上したため、二酸化炭素などのガスを吹き込んで消火した。後者で大規模なものは、旧ソ連が自国の油田火災の際、核爆発を起こして止めた事例が存在する。
[編集] 主な油田
カッコ内は可採埋蔵量 単位:億バーレル
- 可採埋蔵量 - 技術的、及び経済的試算により実質採掘可能と思われる埋蔵量。
[編集] 西アジア
埋蔵量、生産量共に世界最大の油田。面積は四国の面積に匹敵する。本油田は平均日量500万バレルという世界最大の生産量を30年以上続けており、今後もしばらくはこの水準を維持すると見られることから、究極可採埋蔵量は1000億バレルを超えると思われる。
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- サファーニア・カフジ(211)
中立地帯のカフジ油田はかつて日本のアラビア石油が権益を保持していた油田で、サファーニア油田とつながっている。産出するのが市場性の低い重質油であるため近年は生産がストップしている。
湾岸戦争時にイラク軍によって火をつけられた油田である。その時に失われた埋蔵量は30億バレルに上ると見られる(これだけで巨大油田の埋蔵量に匹敵する)
- イラク
- 東バグダッド(180)
- ルマイラ(240)
南部はクウェート領内であり、本油田の帰属をめぐる係争は湾岸戦争の一因となった。
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- キルクーク(160)
初期に発見された大油田である。現在イラク国内でクルド人との間で帰属をめぐって争いになっている。
[編集] 米州
別名ブラック・ジャイアント。発見当時は世界最大の油田であり、一時は日量100万バレル以上を生産し、過剰生産によって原油価格は大暴落した。この時の経験から石油生産量を管理する制度が整備された。
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- プルドー・ベイ(126)
アラスカにある合衆国最大の油田。アラスカを横断するパイプラインの環境問題で採掘開始が遅れたが、石油危機後生産開始された。
[編集] アフリカ
[編集] 旧ソ連
- ロシア
- サモトロール(160)
西シベリアにあるロシア最大の油田。一時は日産300万バレルを超えるサウジアラビアのガワール油田に次ぐ生産量を誇ったが、初期から水攻法を導入した無理な増産によって生産量は急速に減退した。
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- ロマシュキノ(155)
- カザフスタン
- テンギス(92)
- カシャガン(100)
[編集] 東欧(バルカン半島)
- ルーマニア
- モレニ
- プロエシュチ
第二次世界大戦で枢軸側にとって最も重要な油田であり、ヒトラーの軍事戦略において本油田の保持には常に大きな考慮が払われていた。
[編集] 北欧
北海のイギリス、ノルウェー、オランダ、ドイツなどに属する海域に点在する海上油田群の総称である。合計日量500万バレル以上を生産する非OPECの重要な油田であるが、近年は生産の減退の兆候が見られる。
[編集] 東アジア
[編集] 東南アジア
- インドネシア
- ミナス(40)
- ラジャ
- タランアカー
- マレーシア
- ミリ
- ブルネイ・ダルサルーム
- セリア