特定アジア
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特定アジア(とくていあじあ)は、アジアの中で声明など特定の条件により区分された国の総称。 特亜、特アとも言う。
目次 |
[編集] 対象国
2007年、現時点に於ける『特定アジア』とは、一般的には以下の3ヶ国のみを指す。
- 中華人民共和国(中国)
- 大韓民国(韓国)
- 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
上記の他に東アジア、東南アジア地域在住の華僑や在外コリアンを含めることもある。
[編集] 語源
元々は、一部のアジア地域という意味で各種申請書などで利用されてきた用語[要出典]。英語表記は「Specific Asia」[要出典]。
ちなみに、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が2002年8月1日に発表した報告書「統一コリアに対する米政策の青写真」では "a selected Asian nation(s)" という表現が見られるが[1]、この語に対して、朝鮮日報は2002年9月19日の報道で「特定アジア諸国」という日本語訳を与えている[2]。なお、「特定アジア諸国」という語は、それ以前よりさまざまな文脈で用いられている[3]。
[編集] 『アジア』の縮小解釈の必要性
かつては以下に列記する観点から、中国・韓国・北朝鮮を特定する様々な呼称(極東三国、極東三馬鹿、反日国家等)がインターネット上等で利用されてきた。
- 『アジア』とは地球上の一地域名であり、本来数十カ国から成る。
- 現在、中国・韓国・北朝鮮の反日姿勢は、他のアジア諸国と大きく隔たっている。
- 日本のマスコミや市民団体により『アジア』と言う語が恣意的に使用され、正確な情報伝達が阻害されている。
しかしながら、これらの呼称は当該三国に対する侮蔑的表現と考えられ、国際交流の面からも相応しい語句とは言い難い。これを憂慮する人々により、本来的意味のアジアを縮小解釈する、すなわち侮蔑的表現にあたらない同義の語句の模索が図られた。その結果として、同義語として特定アジアの語句が提唱(下記の記述を参照)され、使用が拡大しつつある。
[編集] 国際世論調査にあらわれた特定アジアの対日本観
[編集] 2006年の調査結果
英国のBBCワールドサービスによる、世界33ヶ国、約39500人を対象として、日本を含む9の国および地域が世界に与えている影響についての印象を尋ねる世論調査の結果が2006年2月3日に公表された。これによると、33ヶ国のうち31ヶ国において、日本の世界に与えている影響について「主として肯定的と感じる」と回答した人の数が「主として否定的と感じる」と答えた人の数を上回った。これに対して、本記事において「特定アジア」と定義する中国と韓国の2ヶ国では「主として否定的」が「主として肯定的」を上回った。また、北朝鮮は調査実施国に含まれていない[4]。
この調査結果については、内閣府特命顧問の島田晴雄(慶應義塾大学教授)が「日本は好感度ナンバーワンの国」として論評した[5]。
[編集] 2007年の調査結果
同機関が行い2007年3月に発表した27ヶ国、28000人を対象に、日本を含む13の国および地域が世界に与えている影響の印象を尋ねる調査では、24ヶ国で、日本に対して「主として肯定的」が「主として否定的」を上回り、中国と韓国の2ヶ国のみで「主として否定的」が「主として肯定的」を上回った。
同調査では、中国と韓国以外のアジアおよび太平洋の諸国は、インドネシア(84%)、フィリピン(70%)、およびオーストラリア(55%)など、日本に対して極めて好意的となっている。また、インドも好意的(16%が否定的、肯定的が37%)な傾向であり、中国と韓国とは対照的であると論評している。また、同調査において平均して「主として肯定的」との回答を最も多く得た国はカナダおよび日本(ともに54%)であった。
なお、今回も北朝鮮は調査実施国ではなかった(質問の対象ではあり、全体平均で48%が主として否定的、19%が主として肯定的な影響を与えているとの回答という結果となった)[6]。
[編集] 特定アジアの提唱
特定アジアが認知・提唱されるに至った端緒は、2ちゃんねる掲示板内の「ニュース速報+」[7]のスレッドに投稿されたレスであることが特定されている[8][要出典]。略称の特亜も同掲示板では頻繁に用いられる。
[編集] 識者によるアジアの捉え方
2005年8月15日にNHKで放送された番組「日本の、これから」内で、ある韓国人が「日本はアジアの批判に対して……」と発言した際、櫻井よしこが「あなたのおっしゃるアジア各国とはどの国ですか?」と質問したところ、その韓国人は「特に中国と韓国」と答えた。櫻井はこの返答を受けて、「私たちはここできちんと定義した方がいい。アジアと言うとアジア全域と思うが、特に激しい批判してるのは中国、韓国。台湾は積極的に要人が参ってる。マレーシアもそう。まず中国・韓国と定義したい」と続けた事などがあげられる。
2005年に麻生太郎は外務大臣に就任した後、「靖国の話をするのは世界で中国と韓国だけ」と発言した(共同通信社配信)。麻生は同年12月8日にも日本外国特派員協会にて上がった「小泉純一郎内閣総理大臣(当時)が中韓のトップと会えず、信頼関係もない中、アジア外交に対するビジョンも戦略もないのに、どうやってアジアを将来へ導いていくリーダーになれるのか」との質問に対し、「中国と韓国だけがアジアではない。北東アジア以外にも、日本の周りには東南アジアや南西アジアなど多くの国がある。それらの国々との関係は極めてうまくいっている」と述べている[9]。
古田博司は自著『東アジア「反日」トライアングル』でこれら三カ国の共通点抽出を試みつつ、これら三カ国を非難している。
SANKEI EXPRESS、2007年3月22日の記事中に、「4月下旬に訪米する安倍氏としては、中国、北朝鮮、韓国の「特定アジア」を喜ばせるだけの日米離間は望ましくない。」という一節でこの語が用いられた[10]。
一方で、石破茂は清谷信一との対談書『軍事を知らずして平和を語るな』において、過去の日本軍の行動を負の部分をみつめないとアジアの反日が再燃する可能性があり、特定アジアだけが反日と決めかかるべきではないと述べている。
[編集] 脚注
- ^ Center for Strategic and International Studies, "Blueprint for U.S. Policy toward a Unified Korea," http://www.csis.org/media/csis/pubs/blueprint.pdf, p. 24. ここでは、朝鮮半島が統一した場合に、米国との同盟以外にあり得る外交戦略の選択肢として、中立国、東アジアの地域的安全保障システムへの参加の他に、例えば中国のような、アジアの特定の国家と親密な関係を結ぶことがある、と述べられており、selected Asian nationsは具体的な特定地域を指しているわけではなく、ましてや、中国、韓国、北朝鮮の3国をこのように呼称しているわけではない。
- ^ 朱庸中「米国が発表した「統一韓国の青写真」」『朝鮮日報』日本語オンライン版、2002年9月19日、[http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/09/19/20020919000029.html。
- ^ 例として「特定アジア諸国における国境貿易及び越境取引」『日本エスカップ協会調査資料』、24-1号、1998年7月、1-51頁などをあげることができる。
- ^ 調査の実施主体はGlobeScanおよびメリーランド大学国際政策観プログラム。GlobeScan, "Global Poll: Iran Seen Playing Negative Role," (BBC Poll: Attitudes towards Countries), http://www.globescan.com/news_archives/bbc06-3/index.html、 最終アクセス2007年3月17日。調査報告の表題に「イランは悪影響を与えていると見られている」とあるように、この調査は日本の印象を尋ねることを主目的とした調査ではない。なお韓国では、中国に対して「主として否定的と感じる」という回答が58%と、対日本よりも高くなっている。
- ^ 小泉内閣メールマガジン第226号、2006年3月16日、 http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2006/0316.html
- ^ GlobeScan, "Israel and Iran Share Most Negative Ratings in Global Poll"、 2007年3月6日、最終アクセス2007年3月10日。国別の報告はIsrael and Iran Share Most Negative Ratings in Global Poll -- Backgrounder を参照のこと。
- ^ 2ちゃんねる「ニュース速報+」 http://news22.2ch.net/newsplus/
- ^ 名無しさん@6周年(ID:dM6WNT780)、投稿番号35、「【アジア】今回の自民党圧勝の衆院選結果、タイ、フィリピン、台湾の反応は」2ちゃんねる、2005年9月12日23時1分5秒、 http://search.mimizun.com:82/perl/dattohtml.pl?http://mimizun.com:81/log/2ch/newsplus/news19.2ch.net/newsplus/kako/1126/11265/1126532531.dat。 ここで参照しているのはmimizun.comに保存されているログであるが、2ちゃんねるに保存されているスレッドのレスと同一視してよい。
- ^ 徳永裕介「麻生外相、特派員協会で会見」『ライブドア・ニュース』2005年12月7日、 http://news.livedoor.com/article/detail/1532752/?select_id=25。
- ^ 阿比留瑠比「【安倍政権考】「戦後レジーム」の厚い壁」 『SANKEI EXPRESS』、2007年3月22日、 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/44378
[編集] 参考文献
- 石破茂、清谷信一『軍事を知らずして平和を語るな』ベストセラーズ 、2006年10月、ISBN 4584189676
- 古田博司『東アジア「反日」トライアングル』文春新書467、文藝春秋、2005年10月、ISBN 4166604678
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 外務省:地域別インデックス(アジア)http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asia.html
- 小泉純一郎(当時首相)の靖国神社参拝に際しての談話、2006年8月15日。http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2006/08/15interview.html