福岡市交通局2000系電車
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2000系電車(2000けいでんしゃ)は、福岡市交通局空港線・箱崎線用の通勤形電車である。
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[編集] 概要
1993年(平成5年)3月3日の空港線博多駅~福岡空港駅間の開業に備えて、1992年(平成4年)から導入された。1000系の増備車両という位置づけであり、1000系と同様、空港線・箱崎線および九州旅客鉄道(JR九州)筑肥線乗り入れで使用されている。
1000系の製造開始後12年が経過し技術革新が進んだことから、快適性向上、省エネルギー、保守の省力化を目的とした新技術が取り入れられている。4回にわたって製造されており、そのたびにマイナーチェンジが実施されている。
[編集] 車両構造
[編集] 車体
車体は1000系のセミステンレス構造と違い、骨組みも含めてステンレス製としたオールステンレス構造である。車体配色も1000系と共通の無塗装に白と青のストライプであるが、1994年(平成6年)以降に製造された増備車はストライプの配色が青・白・青の3本線に変更された。車体寸法は1000系と同一で、全長20m(先頭車は20.5m)、片側4扉である。窓は固定式の1枚大窓となり、窓中央部分の柱がなくなった。
先頭部には非常用扉を持つが、先頭部は1000系とはデザインが異なり、やや丸みを帯びた形状で、前照灯と尾灯は角型の横一列配置に改められた。運転室側壁には交通局のシンボルマークの「f」と「SERIES 2000」のアクセントがある。
外部の行先表示器は最初に製造された3編成は字幕式であったが、増備車はLED式とされた。
[編集] 台車・機器
台車は1000系と異なりボルスタレス空気バネ台車とされた。制御装置は1000系の電機子チョッパ制御に代わりGTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御となった。その後1998年(平成10年)に製造された第24編成は素子がIGBTとされた。架線式であることから集電装置は下枠交差式パンタグラフである。
運転装置としては1000系と同様のATOを備え、空港線・箱崎線ではワンマン運転が実施されている。筑肥線内は手動運転で車掌が乗務するため、手動運転用のマスコンとブレーキハンドル、ATS、車掌用機器も備えている。
[編集] 車内設備
座席はすべてロングシートで、緑色モケットを張ったバケットシートが採用されている。内装材は1000系と異なり、ベージュ系の内装である。1000系の装備に加え、車内案内表示装置・ドア開閉チャイム・車椅子スペースを設置した。車内案内装置は液晶ディスプレイにより次駅名・行き先・乗り換え案内・駅シンボルマークを表示するものであったが、装置の劣化が進み、2000年(平成12年)頃に1000系に設置されたものと同じLED式に交換された。なお最終増備の第24編成では落成時からLED式である。
冷房装置は集約分散式ユニットクーラ3台を搭載する。
[編集] 編成
1000系と同様に、先頭車を制御車 (Tc) 、中間車を電動車 (M) としたMT比4M2Tの6両編成を組む。下り(姪浜)側から2500形(奇数) - 2000形(奇数) - 2100形(奇数) - 2000形(偶数) - 2100形(偶数) - 2500形(偶数)の編成である。車両番号の下2桁の数字は揃えられている。
全部で6本36両が製造されたが、編成番号は1000系の続き番号とし、製造順に19~24の番号が与えられている。
[編集] 製造・運用
1992年に19(末尾01/02)~21(末尾05/06)の3編成(近畿車輛製)が製造され、1994年、1997年(平成9年、川崎重工業製)、1998年にそれぞれ1編成ずつ(日本車輌製造製)が増備され、2007年(平成19年)現在は6編成36両体制となっている。
全編成が姪浜車両基地に配属され、1000系と共通に地下鉄空港線・箱崎線全線および筑肥線姪浜~筑前深江間で運用されている。
[編集] 主要諸元
- 起動加速度:3.5km/h/s
- 減速度:3.5km/h/s(常用) 4.0km/h/s(非常)
- 最高速度:110km/h
- ブレーキ装置:回生ブレーキ併用電気演算形電気指令式ブレーキ
- 保安装置:ATC・ATO(地下鉄線内)、ATS-SK(筑肥線内)
- 総定員:854人