福岡市交通局
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福岡市交通局(ふくおかしこうつうきょく)は福岡市内で公営交通事業を行う福岡市の地方公営企業の一つである。地下鉄事業のみを行い、3線区(29.8km)の鉄道路線を営業している。
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[編集] 福岡市の交通事業
地下鉄事業は福岡市地下鉄が正式名称であり、福岡市営地下鉄は通称である。JRのマルスでは福岡市交通局は福岡市高速鉄道で登録されている。
福岡市には元々交通局が存在しなかった(路線バスは西日本鉄道(西鉄)が運行)ため、開業当初は路面電車(西鉄福岡市内線)の廃止で余剰になった西鉄の従業員を交通局が採用していた。
福岡市には市営渡船も存在するが、こちらは市港湾局(港湾振興部客船事務所)の管轄であり、市交通局は無関係である。
[編集] 経営状況
福岡市の地下鉄は1年間で1億457万人(平成15年度)が利用している。
2004年度は約14億9600万円の黒字を確保した。黒字を確保したのは2003年度から2期連続のことである。公営地下鉄は全国的に厳しい経営環境にあり、2004年度に黒字を確保したのは福岡市と大阪市の2都市のみで、他の7都市は全て赤字である(全国の地下鉄の経営状況は日本の地下鉄の項目を参照のこと)。
[編集] 歴史
- 1973年12月22日 福岡市議会において、市が高速交通事業を行なうことを議決
- 1974年8月22日 姪浜~博多間(1号線)、中洲川端~貝塚間(2号線)地方鉄道免許
- 1975年11月12日 起工
- 1981年7月26日 1号線 室見~天神間開業
- 1982年4月20日 1号線 天神~中洲川端間延伸開業・2号線 中洲川端~呉服町間開業
- 1983年3月22日 1号線 姪浜~室見間・中洲川端~博多(仮)間延伸開業。国鉄筑肥線との相互直通運転開始
- 1984年1月20日 ワンマン運転開始
- 1984年4月27日 2号線 呉服町~馬出九大病院前間延伸開業
- 1985年3月3日 博多(仮)~博多間延伸開業
- 1986年1月31日 馬出九大病院前~箱崎九大前間延伸開業
- 1986年10月13日 1号線 博多~福岡空港間免許
- 1986年11月12日 2号線 箱崎九大前~貝塚間延伸開業(全通)
- 1988年11月8日 車内での英語放送開始
- 1993年3月3日 1号線 博多~福岡空港間延伸開業(全通)。1号線に空港線、2号線に箱崎線の愛称付与
- 1995年5月8日 ストアードフェアシステム「えふカード」導入
- 1995年6月7日 3号線(七隈線) 橋本~天神南間第一種鉄道事業免許
- 1996年7月26日 地下鉄マスコットとして「ちかまる」が誕生
- 1997年1月22日 3号線起工
- 1997年8月1日 1日乗車券導入
- 1999年4月1日 西日本鉄道との共通乗車カード「よかネットカード」導入
- 2000年3月27日 全駅へのエレベータ導入完了
- 2001年4月1日 JR九州との共通乗車カード「ワイワイカード」導入
- 2001年6月28日 サブフェアシステム(入出場確認システム)導入
- 2001年10月1日 回数券販売休止
- 2001年12月1日 地下鉄・自転車駐輪場共通定期券「乗っチャリパス」導入
- 2002年3月23日 終電繰り下げ、空港線の相互直通区間をJR筑肥線の筑前深江駅まで延長
- 2002年4月1日 西鉄天神大牟田線との連絡定期券導入
- 2002年7月15日 「マイショットカード」導入(2006年3月16日で発売休止)
- 2005年2月3日 3号線(七隈線)橋本~天神南間開業
[編集] 路線
色 | 路線番号 | 路線名 | 区間 | キロ程 |
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1号線 | 空港線 | 姪浜駅~天神駅~中洲川端駅~博多駅~福岡空港駅 | 13.1km | |
2号線 | 箱崎線 | 中洲川端駅~貝塚駅 | 4.7km | |
3号線 | 七隈線 | 橋本駅~福大前駅~薬院駅~天神南駅 | 12.0km |
[編集] 相互直通運転区間
空港線では、地下鉄車両はJR九州筑肥線の筑前深江駅まで乗り入れる。JRの車両は西唐津駅から福岡空港駅まで直通運転している。地下鉄車両及びJR九州303系車両は地下鉄線内はすべてATOによるワンマン運転を行い、JRとの境界駅となる姪浜駅からJR線に入る列車は地下鉄・JRの車両すべてJRの車掌が乗務しJR線内はツーマン運転を行う。ただし、例外としてJR九州103系1500番台車両で運行をするときは、地下鉄線内であっても福岡市交通局の乗務員が姪浜駅でJRの乗務員と交代して車掌業務を行い、ATCによるツーマン運転を行う。
箱崎線では、朝夕ラッシュ時に空港線の姪浜駅まで、日中は西新駅まで直通運転している。アイランドシティへの鉄道路線整備との関連などで、西鉄貝塚線との相互直通運転が検討されているが、未だ計画決定には至っていない。
[編集] 延伸計画
七隈線では、天神南駅から中洲川端駅を経て築港方面や、薬院駅から分岐して博多駅方面を結ぶ計画がある。またさらに梅林駅付近から分岐し南区南部を経て博多駅に繋ぎ環状線とする構想もある。だが、予算的に着工は決定していない。
[編集] シンボルマーク
福岡市営地下鉄各線では駅ナンバリング制度の代わりに各駅の駅名や駅周辺の観光地や名物、自然にちなんだシンボルマークが制定されている。これらは福岡市出身のグラフィックデザイナー、西島伊三雄がデザインしたものである。七隈線各駅のシンボルマークについては伊三雄が2001年に死去したため、それ以前に描かれていた原案を元に、息子で同じくグラフィックデザイナーの西島雅幸が完成させた。例えば天神駅のシンボルマークは、地名の由来となった「天神様」にちなみ、菅原道真が愛した梅の花をモチーフにしている。
[編集] 安全対策
乗客がプラットホームから線路へ転落するのを防止するため、ホームドア(防護柵)を地下鉄全駅に設置している(空港線・箱崎線は2004年全駅設置完了、七隈線は2005年の開業時から全駅設置)。地下鉄車両が駅に来ると、車両扉とホームドアが開閉し、乗客は乗降ができる。安全対策としては極めて効果的である。ホームドアは、ATOを搭載している福岡市交通局の車両とJR九州の303系は車両扉と連動して開閉するが、JR九州103系1500番台は車掌のボタン操作により開閉する(ボタンは防護柵線路側の乗務員室付近に設置されている)。
[編集] 車両
[編集] 運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2004年12月1日現在。
区数 | 運賃(円) |
1区(1~3km) | 200 |
2区(4~7km) | 250 |
3区(8~11km) | 290 |
4区(12~14km) | 320 |
5区(15~18km) | 340 |
6区(19~20km) | 360 |
- 天神駅・天神南駅で空港線・箱崎線と七隈線を乗り継ぐ場合の運賃は乗車距離を通算して算出できる。
- 空港線とJR筑肥線、箱崎線と西鉄貝塚線との間には乗継割引が設定されている。詳細は空港線、箱崎線の乗継運賃の項、または各社局の公式ホームページ等を参照。
- 天神南駅で空港・箱崎線の乗車券、または天神駅で七隈線の乗車券は購入できない。
[編集] 企画乗車券
- 2006年2月6日からは隣の駅までの運賃を100円にしている。「おとなりきっぷ」の名称で隣の駅まで専用の乗車券を発売しているほか、えふカード、よかネットカード利用の場合も運賃100円となる。ワイワイカード利用の場合は一律正規運賃より20円引きのため、運賃80円となる。
- 一日乗車券(600円)を発行している。この乗車券を提示することで市内の施設の一部が割引になるサービスも行っている。学校の長期休暇期間には小児専用の「ちかまるきっぷ」(100円)が発売されている。この切符にはマクドナルドハンバーガーやオレンジジュース無料引き換え券が付いている。
- 「ちかパス」という地下鉄全線(空港線・箱崎線・七隈線)乗り放題の定期券もある。1ヶ月券で12,000円。3ヶ月券(34,200円)、6ヶ月券(64,800円)もある。通常の定期運賃が3区(1ヶ月11,310円)の場合は他のエリアに行く頻度によって、4区以上(1ヶ月12,480円。例:七隈線天神南~橋本)の場合はこちらにした方が安上がりとなる。
- 定期券は、駐輪場定期をセットにした「乗っチャリパス」にすることが可能。通常の駐輪場定期料金よりも最大5,400円安くなる。
[編集] ICカード
2007年2月13日、福岡市交通局は2009年春にICカード乗車券を導入すると発表した。九州旅客鉄道(JR九州)も互換性のあるICカードを採用する計画であるが、地下鉄と相互乗り入れする筑肥線では未定となっている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
日本の地下鉄 | |
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民営: | 埼玉高速鉄道 | 東京メトロ | 東京臨海高速鉄道 | 横浜高速鉄道MM21線 | 神戸高速鉄道 |