博多駅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
博多駅(はかたえき)は、福岡県福岡市博多区博多駅中央街1番1号に所在する九州旅客鉄道(JR九州)・西日本旅客鉄道(JR西日本)・福岡市交通局(福岡市地下鉄)の駅である。新幹線の回送列車はこの駅から回送線を経由して博多総合車両所へ向かう。
目次 |
[編集] 利用可能な鉄道路線
[編集] 駅構造
駅西側(在来線側)を博多口、駅東側(新幹線口)を筑紫口という。
[編集] JR博多駅
のりば
1番のりば・1番線 | ■特急「ソニック」「にちりんシーガイア・ドリームにちりん」 | 小倉・行橋・中津・大分・宮崎方面 |
---|---|---|
■特急「有明」「きらめき」 | 赤間・折尾・小倉・門司港方面 | |
■鹿児島本線 | 香椎・赤間・折尾・小倉方面(普通・快速) | |
のりば無し(旧2番線) | ■鹿児島本線 | (使用停止中) |
2番のりば・3番線 | ■鹿児島本線 | 香椎・赤間・折尾・小倉方面(普通・快速) |
3番のりば・4番線 | ■特急「かもめ」「みどり」 | 佐賀・諫早・長崎・佐世保方面 |
■鹿児島本線 | (到着ホーム) | |
4番のりば・5番線 | ■特急「かもめ」「みどり」「ハウステンボス」 | 佐賀・長崎・佐世保・ハウステンボス方面 |
■寝台特急「はやぶさ」「なは・あかつき」 | 新大阪・京都・名古屋・東京方面 | |
■鹿児島本線 | 香椎・赤間・折尾・小倉方面(普通・快速) | |
のりば無し・6番線 | ■鹿児島本線 | (回送用) |
5番のりば・7番線 | ■鹿児島本線 | 二日市・鳥栖・香椎・赤間方面(普通・快速) |
6番のりば・8番線 | ■特急「ゆふ・ゆふDX・ゆふいんの森」 | 日田・由布院・大分方面 |
■鹿児島本線 | 南福岡・二日市・鳥栖・久留米方面(普通・快速) | |
7番のりば・9番線 | ■特急「リレーつばめ」「有明」 | 大牟田・熊本・新八代・新幹線乗換鹿児島中央方面 |
■寝台特急「はやぶさ」 | 大牟田・熊本方面 | |
■鹿児島本線 | 南福岡・二日市・鳥栖・久留米方面(普通・快速) | |
8番のりば・10番線 | ■特急「リレーつばめ」「有明」 | 大牟田・熊本・新八代・新幹線乗換鹿児島中央方面 |
■特急「かいおう」 | 新飯塚・直方方面 | |
■寝台特急「なは・あかつき」 | 熊本・長崎方面 | |
■福北ゆたか線 | 篠栗・新飯塚・直方・折尾方面(普通・快速) | |
■鹿児島本線 | 南福岡・二日市・鳥栖・久留米方面(普通・快速) | |
9番のりば・11番線 | ■福北ゆたか線 | 篠栗・新飯塚・直方・折尾方面(普通・快速) |
11~14番のりば・1~4番線 | ■山陽新幹線 | 広島・新大阪・東京方面 |
■博多南線 | 博多南行 |
- 「きらめき」は、4号は2番のりば、6号は4番のりば、8号は6番のりばから発車。
- 885系電車の「かもめ」(ただし101号は7番のりば)及び「みどり31号」は3番のりばから発車。783系電車の「かもめ」及び31号以外の「みどり(・ハウステンボス)」は4番のりばから発車。なお、4番のりばから発車する「かもめ」は全て「みどり」と併結である。
- 「リレーつばめ」「有明」は7・8番のりばを特に区別なく使うので、どちらを使うかは駅の案内で確認されたい。
この他、折り返しなどのための引き上げ線などの設備がある。
[編集] 2005年10月1日~2007年夏(予定)までの「のりば」について
九州新幹線開業準備工事に伴い2006年9月10日より、
- 旧1番のりば→1番のりば
- 旧2番のりば→廃止(当分使用不可)
- 旧3番のりば→2番のりばと3番のりばに分割(3番のりばの吉塚方は行き止まり。回送電車または長崎本線折り返し)
となっている。
※2007年3月現在、1番のりば(1番線)の反対側のホームを拡幅工事中(旧2番線撤去部分に張り出すように)。完成後は2番のりば(3番線)が1番のりばの反対側となる模様。
※博多駅改良工事に伴う「のりば」の変更について(JR九州) ※1番のりば変更のお知らせ(JR九州)
[編集] 福岡市地下鉄博多駅
福岡市地下鉄のホームは島式1面2線である。東比恵方に引上線があり、定期列車では、終電のみに使用する。シンボルマークは博多献上模様の生地。
地下鉄駅のコンコースは博多口側と筑紫口側に分かれている。双方を直接繋ぐ通路は存在しない(JR博多駅の自由通路及び地下鉄駅プラットホームを除く)。また、地上への出口の番号は博多口側が1~7番、筑紫口側が11~17番となっているが、16番は欠番となっている。
2007年3月、筑紫口コンコースの11番出口階段脇にあった宝くじ売り場とコインロッカーが改札口正面に移設され、跡地にはコンビニエンスストア(ファミリーマート)が設置された(4月開店)。
2007年2月には筑紫口の自動改札機が新型機に更新された(JR九州のものと色違いの同型機になっている)。
[編集] 発着及び停車する列車
[編集] 新幹線
なお博多南線は当然新幹線電車(「こだま」用の0系または100系で朝の1本は「ひかりレールスター」用700系)で運行されている(愛称はない)が法令上は在来線扱いである。
[編集] 在来線特急
当駅は日本で最も在来線特急列車の発着数が多い駅となっている。
- L特急「リレーつばめ」
- L特急「有明」
- L特急「かもめ」
- L特急「みどり」
- L特急「ハウステンボス」
- L特急「ソニック」
- L特急「にちりんシーガイア」
- 特急「きらめき」
- 特急「ドリームにちりん」
- 特急「かいおう」
- 特急「ゆふ」・「ゆふDX」・「ゆふいんの森」
- 寝台特急「はやぶさ」
- 寝台特急「なは」
- 寝台特急「あかつき」
- 特急(博多南線)
この他特急列車以外にも、夜行快速「ムーンライト九州」などの臨時快速列車もある。
[編集] 利用状況
1日平均の乗車人員は16万人を超え、降車人員も合わせると32万人以上となり三大都市圏以外ではトップを誇っている。
- 九州旅客鉄道(JR九州)…97,988人(平成17年度)
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)…15,239人(平成14年度)
- 福岡市交通局…52,364人(平成15年度)
[編集] 駅周辺
[編集] 博多ステーションビル(駅ビル)
[編集] 博多口
|
[編集] 筑紫口
ホテル
|
その他 |
(*)同行は博多駅筑紫口支店もあったが、2006年11月に統合され、同所にはATMのみが残っている。
[編集] 歴史
- 1889年(明治22年)12月11日- 博多~千歳川仮停車場間開業に合わせ九州鉄道(初代)が開設
- 初代駅は現地点から北西に約650mの出来町公園付近に所在した。
- 1890年(明治23年)9月28日- 赤間~博多駅間開通と同時に駅を現在の地下鉄祇園駅付近に移転
- 1905年(明治38年)2月16日- 篠栗線吉塚~博多駅間延伸により同区間単線並列化
- 1907年(明治40年)7月1日- 九州鉄道(初代)が国有化され帝国鉄道庁が所管
- 1911年(明治44年)5月17日- 篠栗線1線部分を活用し吉塚~博多駅間複線化
- 1919年(大正8年)10月15日- 博多~二日市駅間複線化
- 1926年(大正15年)10月15日- 北九州鉄道南博多~博多駅間開業
- 1937年(昭和12年)10月1日- 北九州鉄道が国有化され鉄道省筑肥線が所管
- 1961年(昭和36年)6月1日- 門司港~久留米駅間電化
- 1963年(昭和38年)12月1日- 吉塚~博多~竹下・筑前蓑島駅間経路変更に伴い再移転高架化し現駅本屋完成
- 1968年(昭和43年)1月16日- 米海軍原子力空母「エンタープライズ」寄港反対運動のため夜行急行列車から下車した過激派学生が構内で機動隊と衝突(博多駅事件)
- この模様を撮影したテレビ局フィルムが裁判の証拠になり後に問題化。
- 1975年(昭和50年)3月10日- 山陽新幹線岡山~博多駅間開業
- 1983年(昭和58年)3月22日- 福岡市交通局(福岡市地下鉄)(仮駅)開業と同時に筑肥線博多~姪浜駅間廃止
- 1985年(昭和60年)3月3日- 福岡市地下鉄(本駅)開業
- 1987年(昭和62年)4月1日- 国鉄分割民営化により在来線部分を九州旅客鉄道、新幹線部分をは西日本旅客鉄道が承継
- 1990年(平成2年)4月1日- 山陽新幹線の回送線を旅客線化した博多南線が開業
- 1991年(平成3年)3月16日- 吉塚~博多間が鹿児島本線と篠栗線の別線化に伴い9番ホームを新設
- 1999年(平成11年)6月29日- 豪雨により近くを流れる御笠川が氾濫し駅構内が浸水し全面停電となる
- 2003年(平成15年)7月19日- 1999年と同じく近くを流れる御笠川が豪雨により氾濫し駅構内が浸水しJR九州側が全面停電となる
- 2005年(平成17年)2月27日- 西日本旅客鉄道が自動改札機を導入
[編集] 駅名の由来
博多駅は「福岡市」の代表駅にありながら「福岡駅」ではなく、「博多駅」である。これには地理的・歴史的な理由がある。
江戸時代まで福岡は武家町、博多は町人町として栄えた別々の都市であった。1889年(明治22年)4月「市制及び町村制」の公布に基づき、県令により博多・福岡をまとめて「福岡市」として市制施行することとなった。その際に九州鉄道の駅名を「博多」とすることにより市名議論の決着を図ろうとした。その後「博多市」に市名を改称しようとする動きもあったが一票差で否決され現在に至る。
福岡と博多との関係についての詳細は、博多の項目を参照のこと。
博多駅の立地についても、当初建設された駅舎は現駅の北西に約600m先の現在の祇園駅付近であった。この場所は当時は福岡市境であって田畑などの耕地だったため駅舎建設が容易であり、また門司・熊本方面へ鉄道を結ぶに好都合であったと考えられる。
そののち新幹線の開業などにより「博多」の知名度が高まると、「福岡」より「博多」のほうが全国的に認知されるようになった。そのため、「博多市」という市が存在する、かつては福岡市と博多市に分かれていてその名残として「博多駅」が残っているなどといった誤解も存在するようである。過去に「博多市」なるものが存在しないという事情からすればかなり特殊な例といえ、駅名が都市全体の対外的印象に大きな影響を及ぼす代表的な例となっている。
近年では福岡市の主な商業施設の多くが福岡地域の天神地区周辺に集中する傾向が見られ、これに対抗すべく博多地区も再開発事業で巻き返しを図っているのが現状である。
[編集] 参考
合併により所在地の市名と中心駅名に差異の見られる例としては、北九州市の小倉駅(合併前後とも小倉駅で変化せず)、さいたま市の浦和駅(合併前後とも浦和駅で変化せず)などがある。また、県内の他市では宗像市の赤間駅、筑紫野市の二日市駅、筑後市の羽犬塚駅、豊前市の宇島駅、福津市の福間駅などがあるが、いずれの駅名も過去に自治体名として存在したものである。
市内のもう一つのターミナル駅である西日本鉄道天神大牟田線の始発駅の名称は「西鉄福岡(天神)駅」である(2001年に西鉄福岡駅から改称)。これは、国鉄が「博多」としたために、後から開業した西鉄が堂々と都市名を名乗ることができたためである。なお福岡駅はJR西日本・北陸本線の駅として富山県高岡市福岡町に存在する。
所在地の市名と中心駅名が一致しない例としては、主なものとしてこの他に東京都武蔵野市の吉祥寺駅がある。こちらも1889年(明治22年)4月の市制・町村制施行時にすでに同市の前身である武蔵野村が誕生しており、以降も吉祥寺の名称を冠した自治体は存在せず、また「武蔵野駅」も存在しない。
[編集] AED設置
- 山陽新幹線博多駅には、AEDが4台設置されている。
- 在来線博多駅にも、AEDが設置されている。
[編集] 隣の駅
[編集] 九州新幹線開業に向けた動き
2011年春には全線開業予定の九州新幹線鹿児島ルートの発着駅になる予定で東海道・山陽新幹線との相互乗入れも検討されている。そのため、2006年から現駅本屋解体及び新築を含めた新幹線ホームの増設や駅周辺の環境整備等の総合再開発が始まっており、九州新幹線開業と同時に現駅ビルの約7倍の延べ床面積を持つ、全面ガラス張りの新駅ビル(地下3階、地上10階)が完成する予定である。駅ビルテナントの誘致に際して井筒屋、高島屋、阪急百貨店などのデパートが出店に名乗りを挙げたが、最終的にはJR九州との関係や条件が合致する阪急百貨店が入居する事が確定し、これが同百貨店にとっては九州初進出になる予定である。また東急ハンズのテナント出店もほぼ本決まりとなり、阪急百貨店と同じく九州初進出となる模様である。
新駅ビルテナント入居をめぐっては、現在の博多駅ビルに開業時から入っていた井筒屋が難色を示し、新駅ビルへの優先入居を主張。JR九州側と福岡簡易裁判所で調停をおこなった。決裂して井筒屋側が現駅ビルからの退去拒否や訴訟を起こすようなことになれば、新駅ビル建設への影響は避けられなかったが、2006年9月15日にJR九州側が井筒屋に保証金約45億円を支払うことで、2007年3月31日までに現在の駅ビルから一時退店する事に合意した。
しかし、井筒屋側は新駅ビル入居を断念した訳ではなく、引き続きJR九州側に対して新駅ビル入居を求めている。
井筒屋は2007年9月より博多リバレイン地下に入居し営業再開する予定。
2005年10月1日に実施された秋のダイヤ改正と共に九州新幹線開業準備工事(新幹線ホーム新設工事など)が開始されたため、のりば変更が実施されている。
なお博多駅は福岡空港までの直線距離が約2.7kmであり、航空法に定められている水平表面下に入っているため、建物の高さは約50mに制限されている。このため駅の高層ビル化は不可能である。
- 新ビルは、開発面積約2万2000平方メートル、鉄骨鉄筋コンクリート造り(一部鉄骨造り)、延べ床面積約20万平方メートル(現駅ビルの約6倍)。幅約240mで、南側一部が在来線ホーム上に約60mせり出す、L字形である。
- 核テナントである阪急百貨店はホーム上にせり出す部分を含むビル南側地下1階から地上8階にはいり、売り場面積約4万平方メートル。9、10階の一部にはいるシネマコンプレックスは、東映系のティ・ジョイに決定。12スクリーン、約2000席。ビル北側1~5階のメガストア(5000平方メートル)は、東急ハンズが入る。9~10階の一部はガラス張りの展望レストラン。また、吹き抜けや屋上庭園も設けられる。
- ビル周辺の回遊性をたかめるために、1階には筑紫口(山陽新幹線側)と博多口の駅前広場を結ぶ既存のコンコース南側に連絡通路を新設、2階部分には福岡交通センターなど隣接するビルに通じる空中回廊を設ける。
- 駐車スペースはビルと博多口駅前広場の地下2、3階に計約200台、九州新幹線ホーム上に約150台。筑紫口北口には立体駐車場(約380台収容)がはいる「JR九州筑紫口ビル」(通称:EX-SIDE(エキサイド))が2007年4月オープンした。
- 博多口駅前広場は北側にタクシープール、バス乗り場などが集約。南側はイベントをおこなったり、市民の憩いの場となるスペースを設ける。
- ビル本体建設工事は2006年3月駅南側の旧駅事務室跡から着工。現駅ビル部分は井筒屋が2007年3月で営業終了、解体後、2008年1月頃躯体工事にはいる予定。工事の難関はビル南側の線路の上下にせり出す部分で、地下空間を生み出すため線路下の盛土を掘削すると同時に線路上下に躯体を建設する。
- 工事手順は、各線路沿いに6m間隔で盛土に仮杭を打込み、仮杭間に工事桁を通して線路を仮受けして、盛土を掘削する。あわせて躯体建設も進め、ある程度組み上がった時点で仮杭と工事桁を撤去し、躯体で線路とホームを支える。掘削は、幅100m、奥行約70mの広さを4層(地下1階~地下3階部分)にわたり1フロア分ずつ4段階で実施する。掘出す盛土の量は20万立方メートル(10tダンプカー約2万5000台分)と見られる。
- ビル南側は仮杭と工事桁の取付けを終え、2007年3月現在、盛土掘削、躯体工事中である。地下駐車場などを設ける駅前広場南側では躯体工事とあわせて地下1階部の屋根になる上床版の設置中である。ビル躯体工事は2009年秋竣工予定。
[編集] 関連項目
- 日本の鉄道駅一覧
- 西鉄雑餉隈線 - 博多駅から大牟田線の雑餉隈駅を目指し計画された路線。
- 田尻敏明 - 福岡で活動するナレーター。長年駅のJR九州部分において構内自動アナウンスの音声に起用されている。
[編集] 外部リンク
博多臨港線(貨物線):香椎 - 千早(操) - (貨)福岡貨物ターミナル