野原みさえ
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野原 みさえ(のはら みさえ)は、臼井儀人の漫画『クレヨンしんちゃん』に登場する架空の人物。アニメ版での声優はならはしみき。主人公、野原しんのすけの母。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
熊本県アソ市[1]出身。29歳[2]。専業主婦。血液型B型。原作では10月10日生まれであるが(原作1巻で判明)、アニメでは9月21日の生まれである(「母ちゃんのパートは大変だゾ」1998年5月29日放送で判明)[3]。 しんのすけが当時2歳(みさえは26歳)の頃の話も何度か放送された。
21歳でひろしと出会い、後に結婚(時期は不明)。原作では、ハート柄のハンカチをひろしが拾って届けた事に出会いの端を発するが、しんのすけ及び北与野博士のタイムスリップにより、チンピラに絡まれたみさえをひろしが救出してという出会い方に変わった。尚、前述のハンカチはその際チンピラから殴打を受けたひろしの顔面の血を拭う際に使われた。結婚後は専業主婦として現在に至る。24歳で長男しんのすけを出産、29歳で長女ひまわりを出産している。
学歴は、熊本市立大熊小学校、熊本市立大熊中学校、熊本市立水後寺女子高校、私立加藤清正女子短期大学卒業(「母ちゃんのパートは大変だゾ」1998年5月29日放送)。いずれも実在しない。(「市立水後寺~」は水前寺のパロディと思われる。)
原作での髪の色は黒、アニメでは茶髪である。身長159.2cm、体重52kg(アニメ「母ちゃんの健康が心配だゾ」2000年12月9日放送で判明)。バストサイズは79cm、ウエストサイズは58cm(両方原作5巻で判明)。ヒップは不明であるが、しんのすけには「ケツデカ」と揶揄される。旧姓「小山(こやま)」。一人称は私。
[編集] 人物
不器用な性格であり、短気・ケチ・見栄っ張りの三拍子を備えた利かん気な人である。子供にも夫ひろしにも厳しいが、自分には、視聴者を呆れさせる程までに甘い。夫が臍繰りでゴルフクラブを購入したり、キャバクラに通った際には青筋を立てて怒る。しかし、自身が無駄遣い等をした際には誤魔化し、開き直り、酷い時には逆ギレする始末であり、言うなれば男を尻に敷くタイプである[4]。また酒癖が悪く、酒に酔うと形振り構わず悪態をつく癖がある。便秘の所為で、イライラしている事もしばしば。更に、セール品・高級品には目が無く、チラシで目に付いた商品は透かさず入手している。高級レストランや美術館へ出向いた際には上品な立ち振る舞いで清楚を装うが、しんのすけのペースに飲まれてついつい地が出てしまう。
お仕置きの常套手段として、「げんこつ」「グリグリ攻撃」(側頭部に両拳を当てて押し回す。元祖は姉のまさえに因る。)「尻叩き」が挙げられる。最近では、「オージリヒップバーン」と言うテロリストを倒す程の新技も会得した。中でも「尻叩き」はしんのすけが最も恐れているお仕置きと言える。怒りが爆発すると怒髪し、しばしばスーパーサイヤかあちゃんになったりかめはめ波を放ったりする[5]。
日常的に展開される親子の攻防ではしんのすけを篭絡する為、老獪且つ大人気ない作戦を行使する。また、幼稚園バスに乗り遅れるしんのすけを自転車で送り届けたりと忙しない毎日であり、彼女がそれなりの根気と苦労を強いられているのもまた事実である。尚、子供を生む前は「生まれてくる子供(つまりは、しんのすけのこと)のことは殴らないし、怒らない」と言っていたが、現在とはまるで逆である(2001年4月20日放送「野原一家ヒストリー」より)。しかし、彼女の行為は幼児虐待とも捉えられ兼ねない行為である為、近年のアニメ版では暴力的なお仕置きは少なくなっていった(その分、しんのすけ自身も少々、利口になっている)。
怒りがちではあるが一方で感傷的な面も非常に強く、しんのすけを叱り過ぎた事に反省して自ら心を痛めたり、過保護とも捉え兼ねない程甘く接する事もある。しんのすけには手を焼いているが、そんなしんのすけの事が大好きであり、電車でしんのすけを殴った痴漢に倍返しの蹴りを食らわせたり、劇場版ではしんのすけを命懸けで守ったりと、正義感も人一倍強い。家庭教師をつけたり塾や英会話教室に無料レッスンといえども積極的に参加させたり、当たり前の事を大袈裟に褒めたりとしんのすけには人一倍愛情を注いでいる部分もある(しんのすけが思ったことを天才的な思考と勝手に解釈する事もある為、単なる親バカかもしれない)。また、会社の取引で失態を演じてしまったひろしを慰め、その際会社を辞めたいと打ち明けたひろしをすんなりと受け入れる等、短気な性格とは裏腹に気を利かせる事も間々ある。
時として大人気ない言動や行動が伴う。例として、ひろしの会社からの借物である携帯電話(当時は携帯電話の普及率が少なかった。また後にみさえ本人も携帯を持つ)に目を輝かせたり、収納整理の際に押入れから出て来たセーラー服を着る等。また胸が少ない事がややコンプレックスであるらしく、時折Cカップになる夢を見たり、劇場版クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ 3分ポッキリ大進撃 では変身の際やたらと豊胸であった[6]。その他、恥かしげも無く菜の花から菜種油が取れる事に感心してみたり、しんのすけと一緒に他人のデートを見物する等、無邪気な習性を垣間見ることができる。以上の事から、常に母性と個性の狭間を往来していることが窺える。
趣味は長電話と井戸端会議とデパ地下試食めぐりと昼寝(本人曰く「お昼寝は主婦の特権」)。イケメン好きでもあり、好きな映画俳優はケビン・コスナー。また、時代を反映してか韓国の俳優も大好きである。連載初期は阪神タイガース時代の新庄剛志のファンでもあった(しかし新庄の守備位置がどこなのかも知らなかった。また現在もファンかは不明)。夢の中でリチャード・ギアやブラッド・ピットと不倫をしたり、自分がマリア・シャラポワだったりナタリー・ポートマンに勘違いされたりと、かなり都合の良い夢ばかりを見ている(寝言から判明)。他の主婦との会話と買い物は長い。ダイエット食品や器具を結構買うが、面倒くさがる為、押入れにたまりがち。押入れや冷蔵庫を開けると物が流れ出てくる。収納下手は母親譲り。
好きなミュージシャンはザ・コレクターズ。しかしコレクターズのCDをしんのすけに壊される。
自動車の運転免許を持っているが、ペーパードライバーで滅多に運転はしない。なお、運転免許は原作9巻で、アニメでは「運転免許がとれるゾ」(1994年5月30日放送)で取得した。たまにひろしの愛車(愛称:アンジェリーナ)を使用するが、車使いは荒く必ず傷を付けてしまう。右折が苦手であり、しんのすけの送迎の時に左折を繰り返して行こうとした所、誤って高速道路に乗り、栃木県まで行ってしまった事もある。
しんのすけが赤ちゃんだった頃、髪は長かった。アニメでは当時、流行であった藤原紀香のヘアスタイル、つまりストレートヘアに変えたが、しんのすけのいたずらが原因でおばさんパーマにつながったことがある(だが、しばらくしていく内に徐々に元の髪型に戻っていった)。
「ママとのお約束条項」なるものを制定しており、しんのすけが悪さをするごとに「ママとのお約束第○条、○○してはいけない」と条項をノートに書き留めており、その数は3桁を優に超え、原作10巻では100条を達成している(最近では粗方追加しきってしまったのか、お約束条項の登場はない)[7]。本田ケイコ(おケイ)という親友がおり、一緒に飲みだすと酒乱に陥る。高校時代はバスケットボール部に所属していた(原作4巻で判明)。普段は標準語を話すが、自分の親や姉妹の前では熊本弁を話す。
また余談ではあるが、体が入れ替わったことが2回あり「母ちゃんといれかわっちゃったゾ」ではしんのすけの体と入れ替わり、「父ちゃんと母ちゃんが入れ替わったゾ」ではひろしの体と入れ替わったことがあった。(どちらも後にとあるはずみで元の体に戻った)
[編集] 脚注
- ^ 現実においては2005年の市町村合併により阿蘇市が誕生しているが、みさえが生まれ育った頃に阿蘇市(アソ市)という自治体は実在しておらず、当市とは無関係である。
- ^ 生年は、連載開始年(1990年)から引くと1961年になる。ただし、長女ひまわりが誕生した1996年を基準とすると、1967年になり、この説が最も濃厚である。
- ^ 「野原刑事の事件簿」(1996年12月27日放送)での離婚届によれば蠍座(ただし、ひろしの星座が「へびつかい座」と記載されているので、13星座占星術によることに注意しなければならない)とあるが、蠍座はこの13星座占星術では11月23日~11月29日にあたるため、いずれにせよ矛盾する。
- ^ 劇場版クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝を始め、当初は宛ら新婚夫婦という場面もあったが、最近では滅多に見られないシチュエーションとなってしまった。
- ^ スーパーサイヤかあちゃんはドラゴンボールに登場する技のパロディであり、みさえの憤激時には戦闘力13万とカウントされている。
- ^ 自身のイメージを反映した変身としては他に『魔法少女みさりん』なるものがあり、年甲斐も無くフリフリの衣装で登場した事が一度ならず数度ある。翻って、劇場版クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望の劇中で過去にタイムスリップした際には、最もよく似合う格好として自動的に百姓の格好に変身した。
- ^ 『ママとのお約束条項の歌』として2002年11月2日から2003年9月27日、及び2004年10月16日のエンディングテーマになっている。尚、この曲は『クレヨンしんちゃん スーパー・ベスト 30曲入りだゾ』『クレヨンしんちゃん キャラクターソングベスト』等に収録されている。