金盾
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金盾(きんじゅん、ジンドゥン)は、中華人民共和国において計画されている巨大検閲システム。共産主義の危険性を訴えたジョージ・オーウェルの『1984年』に登場する監視システム「テレスクリーン」になぞらえられたり、「赤いエシュロン」「サイバーの長城」などと呼ばれたりしている。"Great Wall" (万里の長城)をもじった "Great Firewall" という呼称もある。
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[編集] 概要
中国国内外で行なわれるインターネット通信の接続規制・遮断する大規模な検閲システム。最終的にはデジタル信号処理(音声・映像・顔認識など)のハイテクを応用することになっており、2008年に完成する。
現在のところ、Webサーバへの接続の規制において、検閲対象用語を基に遮断を行なうのが特徴である。今後はデータベースのバージョンアップのみならず、パソコンのIPアドレスごとに履歴を解析し、ユーザー各人の政治的傾向を分析した上で接続の可否を判断する推論機能を持たせる予定であり、システム自体が人工知能に近付いてきている。
これは例えばサーチエンジンで「チベット」という単語を単体で調べても問題が無かったとしても、「チベット」を調べた後に「人権」を調べようとすると遮断されるといった事例がありうる、と『産経新聞』では報道された。
2006年5月からは中国から日本国内のPOP3サーバーへの接続の遮断(電子メールを読むことが出来なくなる)も行なわれた。
『ワシントン・タイムズ』の報道によると、中国西部にはパラボラアンテナ・人工衛星・高速コンピュータなどを使って、国内の電話・ファックス・インターネット回線などの通信を常に傍受している施設があるという。また、国外の情報も収集しており、その一つとしてカシュガルの施設では湾岸戦争時にサウジアラビアの軍事情報を傍受していたことが挙げられている。これらの施設が金盾のハードウェアである可能性もある。
こうしたネット検閲システムの進化には対抗プログラムの存在も挙げられている。対抗プログラムには現在は検閲を逃れてメールを受信する機能まで搭載されたものも存在する。
また、通信内容を暗号化されると検閲が非常に困難となるため、中国政府は暗号化通信を許可なく行なうことを禁止している。このため、例えばSSHや海外版Skype(中国国内版Skypeには検閲機能が内蔵されている)などの暗号化通信を行なうソフトを利用した場合には通信が遮断される場合があるほか、直接ユーザーに対して警告が行なわれるケースもある。
[編集] 現在の検閲対象
- 検索エンジンの検索ワード
- メールの送受信
- インスタントメッセンジャーの通信
- Webサイト・ブログ
- ネットユーザー
- 反中反共の活動家
- その他中国にとって不利な情報源
[編集] 確認された検閲対象のWebサイトリスト
- Wikipedia(接続遮断)
- Google(2002年9月一時的に接続遮断)
- Google イメージ(数ページ観覧後接続遮断)
- Google Video(動画の視聴不可能、接続遮断ではない)
- Gmail(接続遮断確率高め)
[編集] 確認された検閲対象用語リスト
プロキシを使わない限り、検索エンジンからこれらの用語を検索すると、政治思想等を中国政府から問題視され、ブラックリスト入りとなり、インターネット上での行動を厳しく規制・監視される恐れがある。
- 天安門事件(四五天安門事件、六四天安門事件)
- 法輪功
- 反共産主義(民主化、民主主義)
- 台湾(台湾独立)
- チベット(チベット独立、チベット動乱、ダライ・ラマ)
- 密輸(走私)
- 公金(公款)
- 師匠(師父)
- 弟子(弟子)
- 多党制
- 専制
[編集] 開発
開発費:人民元60億(日本円約780億円)
このシステムの開発、運用には多くの多国籍企業が関わっている。シスコ・システムズ、モトローラ、サン・マイクロシステムズ、ノーテルネットワークス、AOL 、ネットワークアソシエイツ(現マカフィー)、Google、マイクロソフト等の米国の大手企業の名が上がっており、現在は米国内でも問題となっている。
[編集] 関連項目
- ネット検閲
- 通信の自由
- 中華人民共和国のインターネット検閲
- ElgooG - Googleのミラーサイト
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