防衛施設庁
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防衛施設庁(ぼうえいしせつちょう、Defense Facilities Administration Agency)は、自衛隊および在日米軍が使用する施設の取得、工事、管理、周辺対策などを所管する防衛省の外局である。
2007年1月の防衛庁の省昇格までは、内閣府の下部機関であり、「防衛庁に置かれる機関」であった。「外局の外局」という規定がないため、当時より、厳密には防衛庁の外局ではないが、業務の実態としては外局に相当していた。後述の沿革にもあるとおり、防衛庁より古くから存在する“占領軍のための機関”だった。
なお、防衛施設庁を解体し、その機能を防衛省に統合するための「防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案」が2007年2月9日に閣議決定され、同日国会に提出された。施設部の所掌は防衛省の内部部局として新設される地方企画局(渉外部を除く)に、業務部の所掌は地方企画局渉外部に、建設部の所掌のうち企画立案部門は経理装備局に、実施部門は装備施設本部(装備本部を改組)に、それぞれ移管される。また、防衛施設局は装備本部の地方支部と統合して、地方防衛局に改組される。
目次 |
[編集] 沿革
- 1947年(昭和22年)5月10日 - 特別調達庁法(昭和22年法律第78号)が施行され、連合国(進駐軍)が必要とする施設(土地・建物)・物資・役務の調達・管理を任務とする特別調達庁の設立準備が始まる。
- 1947年(昭和22年)9月1日 - 特別調達庁が発足する。総裁を長とし、登記による法人格を有する機関であり、政府の一部局とはされていなかったが、GHQの指示を受け同年12月5日の閣議決定によりその性質が「政府部局」へと解釈変更される。
- 1949年(昭和24年)6月1日 - 総理府の設置に伴い、法人格を有する従前の特別調達庁は廃止され、国の機関(総理府の外局)として、長官を長とする同名の特別調達庁が設置される。
- 1952年(昭和27年)4月1日 - 調達庁へ改称される。
- 1952年(昭和27年)8月1日 - 保安庁が設置され、その「訓練施設その他の機関」として、保安隊の施設(土地・建物)の取得・工事・管理を任務とする建設部(中央建設部及び地方建設部)が置かれる。
- 1954年(昭和29年)7月1日 - 防衛庁が設置され、その附属機関として、自衛隊の施設(土地・建物)の取得・工事・管理を任務とする建設本部が置かれる。
- 1958年(昭和33年)8月1日 - 調達庁が、「総理府の外局」から、自衛隊の範囲外として「防衛庁の機関」に移管される。
- 1962年(昭和37年)11月1日 - 調達庁に防衛庁建設本部が統合、人事権を保証され、防衛施設庁となる。
- 2006年(平成18年) - 防衛施設庁談合事件。この事件を受けて、防衛庁(当時)は防衛施設庁を解体し、防衛庁本庁に統合することを決定した。
- 備考:総理府・内閣府の「外局」である大臣庁(防衛庁)の下にさらに庁(防衛施設庁)を置く場合、国家行政組織法・内閣府設置法ではその「庁内庁」の区分呼称を「外局の外局」とは規定しておらず、1958年8月1日から中央省庁再編後の現在に至るまで、調達庁と防衛施設庁は他の法令では一貫して「防衛庁の外局」でなく「防衛庁に置かれる機関」または「防衛庁の機関」と表記されているが、一方で中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)第10条第7項に「防衛施設庁は、防衛庁に、その外局として置くものとする。」との表現があるため、中央省庁再編(2001年1月6日)以降の防衛施設庁に限り、これを「防衛庁の外局」と考えることは必ずしも誤りではない。ただし、中央省庁等改革基本法は再編の指針を示した法律にすぎず、組織の名称・内容を直接的に規定する防衛庁設置法と、内閣府・総務省による国家行政機関一覧の合同告示(原則年1回官報公表)では「防衛庁の機関」とされ、「外局」の表現は用いられていない。
- 2007年(平成19年)1月9日 - 防衛庁の省昇格に伴い、防衛省の外局となる。
- 2007年(平成19年)3月28日 - 建設部の部内組織の改編。(建築課、土木課、設備課及び通信官を廃止し、建設計画課、技術調査課、技術管理課及び建設情報官を設置。)
[編集] 組織
[編集] 幹部
- 防衛施設庁長官
- 防衛施設庁次長
- 防衛施設庁技術審議官
[編集] 内部部局
- 総務部
- 総務課
- 人事課
- 会計課
- 行政評価官
- 施設部
- 施設企画課
- 施設管理課
- 施設取得課
- 施設対策課
- 防音対策課
- 周辺対策計画官
- 施設調整官
- 建設部
- 建設企画課
- 建設計画課
- 技術調査課
- 技術管理課
- 建設情報官
- 業務部
- 業務企画課
- 提供施設課
- 業務課
- 労務管理課
- 業務調整官
[編集] 地方支分部局
- 札幌防衛施設局
- 帯広防衛施設支局
- 仙台防衛施設局
- 東京防衛施設局
- 横浜防衛施設局
- 大阪防衛施設局
- 名古屋防衛施設支局
- 広島防衛施設局
- 福岡防衛施設局
- 熊本防衛施設支局
- 那覇防衛施設局
- ※各防衛施設局にはそれぞれ防衛施設地方審議会が置かれる。
[編集] 主な職務
- 自衛隊及び在日米軍が使用する防衛施設の取得、取得補償、管理
- 防衛施設と周辺地域との調和を図るための施策(防音工事の助成、移転補償、緑地帯の整備、民生安定施設の助成、特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付等)
- 自衛隊及び在日米軍が行う海上等訓練、航空機の離着陸等に起因する農耕阻害、漁業補償
- 在日米軍の自動車や航空機等による事故に係る損害賠償等
- 在日米軍に勤務する日本人従業員の雇用、労務管理
- 自衛隊及び在日米軍が使用する防衛施設の建設
- 在日米軍の駐留を円滑かつ安定的にするための経費負担…「思いやり予算」という。
など。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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