財務省 (日本)
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財務省(ざいむしょう、Ministry of Finance)は、日本の中央省庁の一つ。健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする。
目次 |
[編集] 概要
2001年(平成13年)1月6日の中央省庁再編において、大蔵省の廃止に伴いその存続後継機関として新設された。国の予算、税制、通貨、国債などに関する事務を行う。大蔵省の解体によって、財務省は依然予算配分等に影響力は残すものの、予算編成権は建前上経済財政諮問会議に移され、又、金融行政は内閣府の外局である金融庁の管轄となった。
税制に関連してか、旧大蔵省が所轄していたタバコ事業や、酒類関連の製造・販売事業も管轄している。また、財務省は、日本唯一のタバコ製造メーカーである日本たばこ産業(JT)の筆頭株主たることが義務付けられている。これは、日本ではタバコや酒類に高率の税金(たばこ税、酒税)が課税されているためと思われる。また、かつて専売制であった名残で、塩の製造・販売事業も管轄している。
英語表記を略しMOF<モフ>と呼ばれることがある。
[編集] 組織
[編集] 幹部
[編集] 内部部局
(局長経験者には旧大蔵省時代の者も含む)
- 大臣官房
- 秘書課
- 文書課
- 会計課
- 地方課
- 総合政策課
- 政策金融課
- 信用機構課
- 厚生管理官
- 主計局
- 総務課
- 司計課
- 法規課
- 給与共済課
- 調査課
- 主計官(11)
- 総務課(2)
- 内閣、司法・警察、財務係担当
- 防衛係担当
- 総務、地方財政係担当
- 外務、経済協力、経済産業係担当
- 文部科学係担当
- 厚生労働係担当
- 農林水産係担当
- 国土交通、環境係担当
- 公共事業係担当
- 主計監査官
戦後一貫して主計局長は次期事務次官就任が確実である省内最有力の局長ポストとされる。主計局長を務めながら事務次官に就任しなかったのは中村建城(代わって事務次官となったのが池田勇人であった、後に日本開発銀行理事・国民金融公庫総裁・日本債券信用銀行頭取)、福田赳夫(1948年、昭電疑獄で逮捕され退官、後に無罪を経て内閣総理大臣)、橋口収(1974年、田中角栄系であった高木文雄主税局長との次官争いに敗れ国土事務次官となる、後に公正取引委員会委員長・広島銀行頭取)、涌井洋治(1998年、石油卸売商の脱税事件・泉井事件での関与が噂され主計局長を更迭、後にJT会長)の4名である。
- 主税局
- 総務課
- 調査課
- 税制第一課
- 税制第二課
- 税制第三課
- 関税局
- 総務課
- 管理課
- 関税課
- 監視課
- 業務課
- 調査保税課
- 理財局
- 総務課
- 国庫課
- 国債企画課
- 国債業務課
- 財政投融資総括課
- 国有財産企画課
- 国有財産調整課
- 国有財産業務課
- 管理課
- 計画官2人
- 国際局
- 総務課
- 調査課
- 国際機構課
- 地域協力課
- 為替市場課
- 開発政策課
- 開発機関課
[編集] 施設等機関
- 財務総合政策研究所
- 会計センター
- 関税中央分析所
- 税関研修所
[編集] 地方支分部局
[編集] 外局
[編集] 所管独立行政法人
- 独立行政法人造幣局
- 独立行政法人国立印刷局
- 独立行政法人酒類総合研究所
- 独立行政法人通関情報処理センター
- 独立行政法人日本万国博覧会記念機構
- 独立行政法人住宅金融支援機構
[編集] 戦後歴代の事務次官
- 1949年6月1日の国家行政組織法施行により、池田勇人より名称は事務次官に改称(それまでは単に大蔵次官)。
- 事務次官は主計局長からの昇格が慣例とされる。かつては、税制改革や金融再編が時局の重要課題とされる場合、主税局長・国税庁長官・銀行局長から昇格する事例もあった。
氏名 | 前職 | 在任 | 退職後の役職 |
山際正道 | 総務局長 | 1945年-1946年 | 輸銀総裁・日銀総裁 |
山田義見 | 印務局長 | 1946年-1947年 | 勧銀会長・会計検査院長 |
池田勇人 | 主税局長 | 1947年-1948年 | 衆院議員・内閣総理大臣 |
野田卯一 | 専売局長官 | 1948年-1949年 | 専売公社副総裁・参院議員・衆院議員・経企庁長官 |
長沼弘毅 | 管理局長 | 1949年-1951年 | 公取委員長 |
舟山正吉 | 銀行局長 | 1951年-1953年 | 中小公庫総裁 |
河野一之 | 主計局長 | 1953年-1955年 | 太陽銀行頭取・太陽神戸銀行会長 |
平田敬一郎 | 国税庁長官 | 1955年-1957年 | 開銀総裁・地域振興整備公団総裁 |
森永貞一郎 | 主計局長 | 1957年-1959年 | 中小公庫総裁・輸銀総裁・東証理事長・日銀総裁 |
石田正 | 銀行局長 | 1959年-1961年 | 国民公庫総裁・輸銀総裁 |
石原周夫 | 主計局長 | 1961年-1963年 | 開銀総裁・海外経済協力基金総裁 |
石野信一 | 主計局長 | 1963年-1965年 | 神戸銀行頭取・太陽神戸銀行頭取 |
佐藤一郎 | 主計局長 | 1965年-1967年 | 参院議員・経企庁長官・衆議議員 |
谷村裕 | 主計局長 | 1967年-1968年 | 公取委員長・東証理事長 |
村上孝太郎 | 主計局長 | 1968年-1969年 | 参院議員 |
澄田智 | 銀行局長 | 1969年-1971年 | 輸銀総裁・日銀総裁 |
鳩山威一郎 | 主計局長 | 1971年-1972年 | 参院議員・外相 |
吉國二郎 | 国税庁長官 | 1972年-1973年 | 横浜銀行頭取 |
相沢英之 | 主計局長 | 1973年-1974年 | 衆院議員・経企庁長官 |
高木文雄 | 主税局長 | 1974年-1975年 | 弁護士・国鉄総裁 |
竹内道雄 | 主計局長 | 1975年-1977年 | 輸銀総裁・東証理事長 |
吉瀬維哉 | 主計局長 | 1975年-1977年 | 開銀総裁 |
大倉真隆 | 主税局長 | 1977年-1979年 | 国民公庫総裁・輸銀総裁・横浜銀行頭取 |
長岡實 | 主計局長 | 1979年-1980年 | 専売公社総裁・東証理事長 |
田中敬 | 主計局長 | 1980年-1981年 | 国民公庫総裁・輸銀総裁・横浜銀行頭取 |
高橋元 | 主税局長 | 1981年-1982年 | 国民公庫総裁・開銀総裁 |
松下康雄 | 主計局長 | 1982年-1984年 | 太陽神戸銀行頭取・さくら銀行会長・日銀総裁 |
山口光秀 | 主計局長 | 1984年-1986年 | 海外経済協力基金総裁・輸銀総裁・東証理事長 |
吉野良彦 | 主計局長 | 1986年-1988年 | 国民公庫総裁・開銀総裁 |
西垣昭 | 主計局長 | 1988年-1989年 | 海外経済協力基金総裁 |
平澤貞昭 | 銀行局長 | 1989年-1990年 | 国民公庫総裁・横浜銀行頭取 |
小粥正巳 | 主計局長 | 1990年-1991年 | 公取委員長・日本政策投資銀行総裁 |
保田博 | 主計局長 | 1991年-1992年 | 輸銀総裁・国際協力銀行総裁 |
尾崎護 | 国税庁長官 | 1992年-1993年 | 国民公庫総裁 |
斎藤次郎 | 主計局長 | 1993年-1995年 | 東京金融先物取引所理事長 |
篠沢恭助 | 主計局長 | 1995年-1996年 | 国際協力銀行総裁 |
小川是 | 国税庁長官 | 1996年-1997年 | 日本たばこ産業会長・横浜銀行頭取 |
小村武 | 主計局長 | 1997年-1998年 | 日本政策投資銀行総裁 |
田波耕治 | 内閣内政審議室長 | 1998年-1999年 | 国際協力銀行副総裁 |
薄井信明 | 国税庁長官 | 1999年-2000年 | 国民公庫総裁 |
武藤敏郎 | 主計局長 | 2000年-2002年 | 日銀副総裁 |
林正和 | 主計局長 | 2002年-2004年 | |
細川興一 | 主計局長 | 2004年-2006年 | |
藤井秀人 | 主計局長 | 2006年- |
[編集] その他
- 財務省本省内にあるコンビニエンスストア(共済組合の売店)で土産物として「お札サブレ」という菓子を発売している。紙幣をデザインしたサブレである。購入するには本省の建物内に入らなければならない。部外者が入るには、受付で身分証明書を呈示し(写真入りを推奨)備え付けの用紙に住所氏名、訪問部署名を記入する(訪問部署は「売店」と書けばよいだろう)。テロ等防止のため警備員から携行品の中身を見せるように求められる事が多い。
[編集] 広報誌
財務省の広報誌としては、大蔵財務協会発行の、『ファイナンス』がある[1]。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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