グリプス戦役
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グリプス戦役(ぐりぷすせんえき)は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』において描かれた架空の戦争・連邦軍同士による内乱である。連邦内部の軍閥であるエゥーゴとティターンズの戦いを軸に、終盤アクシズを交えて三つ巴で戦われた。「グリプス戦争」とも呼ばれる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ティターンズ結成
[編集] 地球至上主義者達の暴走
一年戦争は終結したが、ジオン公国に所属していた軍事勢力の一部は降伏することなく、各地で地球連邦軍と軍事衝突を繰り返していた。やがて、デラーズ紛争がきっかけで地球連邦軍内部に「ジオンの残党狩り」を強く主張し、スペースノイドに排他的な地球出身者(アースノイド)のみで構成されたエリート部隊「ティターンズ」がジャミトフ・ハイマンにより結成され暴走を始める。
[編集] 30バンチ事件
宇宙世紀0085年7月31日、サイド1・30バンチコロニーの住民が反地球連邦政府デモを決起すると、連邦政府にデモ鎮圧を依頼されたティターンズの司令官バスク・オムは、使用が禁止されていた毒ガス(G3)をコロニー内に注入し、1500万人もの全住民を虐殺した。 事件の真相はティターンズが報道規制を行ったため極秘扱いとなったが、この事件を受けて連邦内で地球連邦軍准将ブレックス・フォーラを中心にエゥーゴが結成され、以後エゥーゴ対ティターンズの様相が強まっていった。
[編集] グリプス戦役開戦
[編集] ガンダムMk-II奪取
宇宙世紀0087年3月2日、ティターンズが新型MSガンダムMk-IIを開発したとの情報を得たエゥーゴは、サイド7の居住用コロニー・グリーンノア1にクワトロ・バジーナ、アポリー・ベイ、ロベルトの3名を侵入させた。偶然その場に居合わせた民間人の少年カミーユ・ビダンの協力の下ガンダムMk-IIを強奪。この事件を契機に戦火は一気に拡大、ここにグリプス戦役の幕が上がった。
[編集] ジャブロー侵攻
月で連邦軍本部ジャブロー侵攻の準備を進めるエゥーゴの旗艦アーガマに、ティターンズが攻撃を仕掛けてきた。アーガマは停留していた月を脱出し僚友艦隊との集結空域に向かうが、その途中正体不明のMAに襲われているシャトルを発見し、MAを排除しシャトルを救出する。回収したシャトルの機長で元ホワイトベース艦長のブライト・ノアはエゥーゴに迎えられ、アーガマの艦長となる。
宇宙世紀0087年5月11日、エゥーゴのMS部隊が大気圏突入を開始した時、再びティターンズのMS部隊が強襲するが、地上へ無事降下しジャブロー内へ侵入する。しかし既に連邦軍本部は移転していてもぬけの殻であり、地下に一年戦争時の自爆用核爆弾がセットされていた。ジャブローは防衛隊もろとも爆発とともに消滅するが、カミーユ達は間一髪脱出に成功する。
[編集] アムロ・レイ再び
ジャブローから撤退中のエゥーゴMS部隊はカラバに参加しているハヤト・コバヤシと接触後、シャイアンの軟禁状態からカツ・コバヤシと共に脱出したアムロ・レイとも合流する。カラバの輸送機アウドムラはカミーユ達を宇宙に帰還させるため、シャトル打ち上げ基地のあるヒッコリーへ到着するが、ティターンズに協力する地球連邦軍の急襲を受ける。宇宙に帰還予定だったガンダムMk-IIは戦闘に加わり、クワトロ大尉とカツを乗せシャトルは宇宙に向け発進する。
[編集] ホンコンシティ襲撃
宇宙世紀0087年6月29日、ホンコンへ補給に訪れたカミーユ、アムロらを追って、日本のムラサメ研究所から派遣された強化人間のフォウ・ムラサメが搭乗する巨大MAサイコガンダムが到着、2度にわたる強襲をかわしたガンダムMk-IIは敵輸送機スードリからブースターを奪い、再び宇宙へ上がりアーガマへ帰還する。
[編集] Ζガンダム配備
ティターンズと手を組んだ木星帰りの地球連邦軍大尉パプテマス・シロッコは、戦艦ドゴス・ギアの艦長となり、新型可変MSガブスレイでアーガマを強襲。迎撃に出たカミーユらは敗北するが、完成したエゥーゴの新型MSΖガンダムが到着、ガブスレイを撃退する。
[編集] アポロ作戦
宇宙世紀0087年8月10日、ティターンズは月面のフォン・ブラウン市を制圧するアポロ作戦を開始。ドゴス・ギアはフォン・ブラウン市の制空圏に入り、エゥーゴが手を引かなければ都市を全面攻撃すると脅迫、一時フォン・ブラウンはティターンズによって占領されるが、エゥーゴはフォン・ブラウン市の発電施設を占拠。ティターンズは撤退する。
[編集] ブレックス准将暗殺
宇宙世紀0087年8月17日、連邦議会に出席するため地球に行ったブレックス准将はティターンズの刺客に暗殺され、クワトロ大尉をエゥーゴの代表に指名して息を引き取る。
[編集] 毒ガス作戦
宇宙世紀0087年8月21日、ティターンズはエゥーゴに協力的なコロニーを見せしめにしようとして、サイド2・25バンチコロニーにG3ガスを注入する作戦を実行しようとする。これを察知したアーガマとラーディッシュはサイド2に急行、ガスボンベを破壊し作戦は失敗に終わる。
[編集] グラナダにコロニー落とし
宇宙世紀0087年8月24日、サイド4の無人コロニーが月に向かって移動を始めたのを確認したエゥーゴは、落下するコロニーの軌道をアーガマやラーディッシュの主砲で変えようとする。最後はガンダムMk-IIがコロニーの核パルスエンジンを働かし軌道を変える事に成功、グラナダへの直撃は回避した。
[編集] ティターンズ、アクシズと密約
エゥーゴはアクシズと接触を計る事を決定。アーガマは、アクシズの旗艦グワダンでミネバ・ラオ・ザビと謁見するものの交渉は決裂。アーガマのクルー達は監禁されてしまう。何とか脱出に成功するものの、その頃ティターンズもまたアクシズと手を組むべく交渉を計り、ここにティターンズ・アクシズの同盟が築かれた。
[編集] キリマンジャロ襲撃
宇宙世紀0087年11月2日、ラビアンローズで修理を終えたアーガマは、カラバの支援のため地球連邦軍(実質ティターンズ占有)基地キリマンジャロへの降下作戦を決行。Ζガンダムと百式は地球へ降下、キリマンジャロ基地においてサイコガンダムの攻撃を受けるものの、アムロらカラバの協力の下キリマンジャロ基地を破壊する。
[編集] ダカール演説
宇宙世紀0087年11月16日、カミーユとクワトロ大尉を乗せたカラバのアウドムラはアフリカ西海岸のダカールへ向かい、ここで開催中だった連邦議会を占拠し、クワトロの演説を全世界へTV中継する。ここでクワトロは自分がシャア・アズナブルでありジオン・ズム・ダイクンの遺児であることを明かし、エゥーゴの目的とティターンズの残虐・非道性を世界中に訴える。ティターンズはこれを妨害すべく通信施設の破壊に出るが、逆にその模様はシャアの演説と共に放送され、ティターンズへの反感を増加させる結果となった。 情報操作などによりテロリスト扱いされていたエゥーゴと連邦軍で圧倒的な主流派であったティターンズの立場を入れ替える、大きなターニングポイントとなった。カミーユとシャアはカラバの援護で宇宙に帰還する。
[編集] コロニーレーザー完成
ティターンズがグリプス2をコロニーレーザーに改造中との情報がアーガマに届く。カミーユ達は偵察に向かうが、宇宙世紀0087年12月7日、ティターンズはコロニーレーザーをサイド2・18バンチに向け発射し住民は全員死亡。
[編集] 再び毒ガス攻撃
宇宙世紀0087年12月14日、ティターンズがサイド2・21バンチに再び毒ガス攻撃を決行。緊急通信を傍受したアーガマは現場に向かうが既に毒ガスが注入され、住民は全員死亡した。
[編集] エゥーゴ、アクシズと手を結ぶ
ティターンズのコロニーレーザーの照準がグラナダに向けられたため、エゥーゴはアクシズと手を組み、この事態の収拾に動く。ハマーン・カーンはシャアが頭を下げたことで、これを了解。エゥーゴのMS隊がティターンズを引き付けている間に、アクシズは誤射に見せかけてコロニーレーザーの核パルスエンジンを破壊。コロニーレーザーはその機能を停止する。エゥーゴと手を組んだ様に見せたハマーンだが、ティターンズのジャミトフ大将とも接触を計る。しかしジャミトフとの交渉は決裂、ティターンズと交戦状態に入ったアクシズはアーガマに援護を要請することとなる。
[編集] ゼダンの門、崩壊
ハマーンは、小惑星アクシズ本体をゼダンの門に激突させ、ティターンズは本拠地を失ってしまう。更にアクシズは、手薄になったグリプス2に軍を送り制圧することに成功した。ティターンズとエゥーゴは、この戦いで戦力を消耗してしまう。
[編集] ジャミトフ暗殺
ジャミトフはシロッコを交えアクシズ旗艦グワダンでハマーン、シャアと会見する。そこにサラ・ザビアロフの暴走でグワダンが破損。混乱する艦内でついに本性を現したシロッコは、ジャミトフを暗殺。その罪をハマーンに着せ、ティターンズの実権を握る。
[編集] メールシュトローム作戦
宇宙世紀0088年2月2日、エゥーゴはアクシズの手中にあるグリプス2のコロニーレーザーを奪取するため、コロニーレーザーを渦のように取り囲み奪取するメールシュトローム作戦を発動。作戦は成功し、コロニーレーザーはエゥーゴの手に渡った。
[編集] アクシズ、グラナダへ落下
アクシズは、コロニーレーザーを奪われた報復として、自身らの象徴でもある小惑星アクシズをグラナダへと落下させようとするが、皮肉にもそのコロニーレーザーによりアクシズの軌道が変わり失敗に終わる。
[編集] ティターンズ壊滅
宇宙世紀0088年2月20日、コロニーレーザー周辺のエゥーゴ艦隊はティターンズとアクシズの総攻撃を受ける。僚艦ラーディッシュが撃沈される中、アーガマ艦長ブライト・ノアはコロニーレーザーによる敵艦隊の一挙殲滅を画策する。コロニーレーザーを発射させまいとハマーン、シロッコが自らのMS(キュベレイ、ジ・O)で妨害するものの、カミーユ、シャアらの活躍によりエゥーゴは発射準備が整うまでコロニーレーザーを守り切る。宇宙世紀0088年2月22日、コロニーレーザーが発射されティターンズ艦隊は壊滅的な打撃を受けたが、アクシズは戦いがまだ続く事を察知し、主要な艦を撤退させていたため被害を最小限に食い止めた。シロッコは戦力の回復を狙って撤退しようとしたが、死者の魂を取り込んだΖガンダムの前に撃破され、戦死した。そして、エゥーゴの勝利でこの戦争は終結した。
[編集] 終戦
三つ巴の決戦に勝利したエゥーゴではあったが、最終決戦においてカミーユやクワトロ大尉、エマ・シーン中尉をはじめとする優秀なパイロットを多数喪失する。また、コロニーレーザーも破壊され、戦力の過半数を失うなど(劇中を見る限り、両軍の艦船はアーガマとムサイ級二隻しか生き残れなかった。)損害は大きく、戦後の主導権を確立するには至らなかった。
最終決戦において戦力の大半を温存したアクシズが、まさに漁夫の利を得る形で主導権を握り、戦いは第一次ネオ・ジオン抗争へと移っていくこととなる。
[編集] 劇場版
劇場版では、アポロ作戦、毒ガス作戦、キリマンジャロ作戦、ダカール宣言、グラナダへのコロニー落しが省略、または無かったことになっている。 また最終決戦以後、エゥーゴは戦力の過半数を喪失するものの、エースパイロットのカミーユは健在であり、コロニーレーザーは破壊された描写がないため戦後の主導権を確立した模様である。そしてアクシズはグリプス戦役以後、アステロイドベルトに引き返している。
[編集] 関連項目
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