ダニロフ (機動戦士ガンダムSEED)
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ダニロフ級イージス艦は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する架空の水上戦闘艦。英語版では初期型をデモイン級巡洋艦、後期型をアーカンソー級巡洋艦として区別している。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 要目
- 満載排水量:1万トン以上2万トン未満
- 全長:190メートル
- 主機:ガスタービン統合電気推進
- 軸数:不明
- 速力:30ノット以上50ノット未満
- 兵装:
- 同型艦:イエルマーク、オレーグ、ヤロスラフ(ヤロスラフ・ヘイロフスキー)、リューリク、ロロ
[編集] 概要
地球連合海軍において、スペングラー級モビルスーツ搭載型強襲揚陸艦の対空直衛を主任務とする水上戦闘艦。現米海軍のアーレイバーク級ミサイル駆逐艦と同様[1]、艦隊のワークホースとなる艦である。 イージスシステムの開発元である大西洋連邦(旧アメリカ合衆国)はもとより、ユーラシア連邦、東アジア共和国の各海軍でも多数が輸入、もしくはライセンス建造され就役している。JOSH-A攻防戦で撃沈された艦はユーラシア連邦所属のためか、全て旧東欧〜中欧の著名人の名前が艦名となっている。
[編集] 船型
三胴型タンブルホーム船型やポリマー滑走推進を採用したオーブ連合首長国のイージス艦に比べやや保守的な姿だが、総合的なその性能は大差無いとされる。[2]側面は長船首楼型で、後部のVLSは露天状態の第2甲板に設置されている。艦首甲板は相応のステルス性を備えたタートルバックであるが、極端な先進的形状にはなっていない。このため、ステルス性ではオーブ海軍イージス艦が勝り、フネとしての凌波性では本級が勝ると推測される。艦首前端の傾斜やシアーはそれほどきつくなく、またアンカーは2基とも艦首両側面のオーソドックスな位置に設置されている。このため、投錨時にアンカーが接触激突するおそれのあるバルバスバウやバウソナー等は水線下に無いものと想像される。[3]
[編集] 機関
加速と燃費の良いガスタービン+電気推進の統合動力である。ガスタービンの排吸気口(煙突)2本は、艦橋後方に左右並列でレイアウトされているが、殆ど甲板に埋まり込むような形になっており、やや上面から見下ろさないと識別しづらいほどである。
20世紀に実用化されたガスタービンはC.E.時代において古典的な装置だが、原子力と違いNジャマーの影響を受けない機関である。しかし、統合電気推進の組み合わせで低燃費とはいえ、ガスタービン自体が燃料をドカ食いする機関であるのも事実であり、化石燃料が枯渇して久しいこの時代、何をタービン燃料にしているかは不明。
[編集] 電子装備
艦橋構造物前面両脇及び側面には、AN/SPY-1シリーズの進化型とおぼしき多角形のフェーズドアレイレーダーが幾つも貼り付けられており、時代は移っても本艦が米国原産(ロッキード・マーティン社)の防空艦艇「イージス艦」であることを実感させてくれる。また、水上レーダーやイルミネータのシグネチャも軒並み艦橋壁面に平たくパッケージされてしまっており、回転可動式の電子戦用モジュールはほぼみられない。 ただし、主砲及び短SAM管制用の射撃指揮装置(FCS)のみ艦橋天蓋上に外付けされている。
イージス艦は、かつて画期的な長距離同時多目標対処能力を持つ強力な防空艦として誕生した。しかし、Nジャマー影響下で戦うダニロフ級はその特性を活かすべくもなく、敵MSの目視距離までの接近を容易に許してしまい、なすすべ無く沈められていくばかりであった。最新の電子ハイテク艦も、かつての戦艦と同様、老兵として寿命を終えていくかのようである。
[編集] 兵装
- VLS:垂直発射装置。対艦対地巡航ミサイル、SAM、アスロックVLA等を発射する。
- 対艦ミサイル発射筒:対艦ミサイル(SSM)専用の発射装置。元々は甲板に露天装備されていることが多かった兵器だが、堪抗性、ステルス性を鑑み、21世紀前半から艦体埋め込み方式が標準化した。装填可能な弾種が多いVLSと違いスレッジハマーSSM専用。ダニロフ級には5連装のものと3連装のものを装備されている。
- 250ミリ単装速射砲(10インチ単装砲):20世紀半ばに姿を消した重巡洋艦ないし巡洋戦艦の主砲に匹敵する大口径を誇る速射砲。かつて大口径砲といえば、射程と投弾重量を望む代わりに発射速度を犠牲にしていたものだが、技術の進歩により本砲は毎分66発という高い発射速度を実現している。 対空、対水上、対地共に精密な射撃が可能。目標の捕捉、追尾、給弾、発砲まで全てを艦橋ないしCICからコンピュータ制御で行う完全自動砲で、シールドの形状が異なるものの、オーブ海軍イージス艦の砲も機構はほぼ同一と思われる。また、ヤキン・ドゥーエ戦役開戦後に就役した艦は、この10インチ砲に代えて連装艦対空ビームシステムを搭載し、対MS防空能力の向上を図っている。
- 25ミリ機関砲(CIWS):CIWSとは艦載近接防御兵器のことで、捜索用レーダーと挙動の素早い近距離砲熕兵器を組み合わせ、システムが起動している間は射程内に侵入してくる空中目標を反射的かつ無差別にひたすら迎撃し続ける、ロボット的な兵器の総称である。最もポピュラーな方式は、レーダーが補足した目標に向かってガトリング砲(バルカン砲)が毎分数千発の弾丸の帯を浴びせ、なおかつ放たれた弾丸の弾道をレーダーが逐次追跡確認し次弾の照準を補正しながら空中目標を撃墜する、というもの。ただ、CADS-N1やRAMのように小型のミサイルを用いたものもあり、レーザーやビームを活用したものも開発されている。
- ダニロフ級の装備するこの25ミリCIWSも、20世紀の米海軍が開発した20ミリCIWS「MK15ファランクス」の伝統的基本構造を踏襲しており、運用目的、運用方法も同様である。また、オーブ海軍の水上戦闘艦の装備している25ミリ機関砲も同じ物である。
- 本来CIWSは艦船の最終防衛装置である。しかし、Nジャマーによってロングレンジの戦闘を封じられ、 また、複雑な三次元運動を極めて高速俊敏に行うMSを相手とする近距離戦が主となってしまった戦場では、事情は一変した。以前のように頼りにならなくなった誘導兵器や電子兵器に代わってCIWS(バルカン砲方式の)は、あたかも第二次大戦時の艦船が航空機という新たな脅威を迎え撃つべく装備した機銃のごとく、死闘の主役を強いられることになったのである。
[編集] 劇中での活躍
地球連合軍の水上艦艇として広く使われており、劇中いたるところで登場する。その分完全にやられ役として描かれており、フォビドゥンに水中から一刀両断されたり、ソードインパルスに4隻まとめて切り裂かれたり、ミネルバのタンホイザーで何隻も一度に蒸発してしまったりと、完全に主役の引き立て役となってしまっている。 劇中、ミネルバに対して主砲で砲撃するも周りに水柱を立てるだけでほとんど当たった様子はない。ニュートロンジャマー影響下でレーダー管制が効かないためだと思われる。 また命中精度は低くても、毎分66発という高い連射力があれば複数隻いることも考えるとかなり濃密な砲弾の雨を降らせて弾幕で制圧することも可能なはずだが、そのような戦術を取った様子はない。戦闘機であるスピアヘッドもそうだが、地球連合軍はニュートロンジャマーやモビルスーツといった全く新しい状況に対する在来兵器の使用方法や有効な戦術を確立できていなかったようである。(作劇場の演出であることも考慮されるが)
[編集] 補足
- ^ 実際、ダニロフ級以前に地球連合海軍洋上戦力の主力を務めていた廃艦寸前の旧式駆逐艦「キングズビル」「カナジアン」「ブラッドフォード」「カンバーランド」「アストリア」等は、アーレイ・バーク級(フライトIIA)の改型と思われる姿をしており、これらはコズミック・イラ (C.E.) 70年4月10日、珊瑚海でマルコ・モラシム率いるザフト軍水中MS部隊によって撃沈されるまで現役であった。無論、このような老朽艦が再就役したのは、新鋭の原子力水上戦闘艦がニュートロンジャマーにより戦わずしてことごとく死に体になってしまったからである。そして、その原子力水上戦闘艦もまた、20世紀末に一度滅んだ艦種であり、歴史とは皮肉なものである。詳しくは「キングズビル (駆逐艦)」の項参照のこと。
- ^ 厳密な艦種はミサイル巡洋艦 (CG)、もしくはミサイル駆逐艦 (DDG) のはずであるが、劇中や関連メディアで明示はされていない。さらに、オーブの世界安保条約締結にともないオノゴロ軍港を追われたザフト艦「LHM-BB01ミネルバ」の艦長タリア・グラディスが、眼前に立ちふさがる地球軍艦隊に関して「左右の巡洋艦」という発言をしたが、それが本級であるのかどうかも不明である。
- ^ 現米海軍の「アーレイバーク級ミサイル駆逐艦」や「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」、海上自衛隊の「こんごう型護衛艦」や「あたご型護衛艦」は船体と同幅の巨大な艦橋構造物が外観上の特徴だが、このダニロフ級のそれはさらに船体幅をはみ出すほどの威容である。当然トップヘビーが懸念されるが、 構造や素材が軽量に出来ているのか、復元性の問題は特に観察されない。
[編集] 関連項目
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