下北沢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
下北沢(しもきたざわ)は日本の地名である。
- 東京都世田谷区の北東部に位置し、概ね同区北沢、代沢(一部)を指す地域名。現在では下北沢という町名はない。本項で記す。
- 秋田県雄勝郡羽後町田代下北沢
- 宮城県黒川郡大衡村駒場字下北沢
- 福島県伊達郡桑折町大字伊達崎字下北沢
- 福島県郡山市 逢瀬町多田野下北沢
目次 |
[編集] 概要
地理的範囲は「歴史」の項に記す。
北に渋谷区笹塚、幡ヶ谷、東に同区大山、上原、目黒区駒場、等、南に世田谷区池尻、太子堂、西に同区代田、大原に接する。
鉄道は、下北沢駅(小田急線、井の頭線)の他に東北沢駅(小田急線)、池ノ上駅(井の頭線)が設けられている。
道路は、茶沢通りの他に、東京都道420号鮫洲大山線、井の頭通りが通るものの自動車は元より休日には自転車の相互通行もままならないような巾員2m程度の狭小路地が多く、下北沢駅前の商店街などでは安全上の問題も指摘されている。
河川は北沢川が西から東に流れ、さらに、北沢川に合流する幾つかの小川・水路等が一部で起伏のある地形を形成し、下北沢駅は「支流」が形成する谷に位置している。下北沢の殆んどが北沢川の流域にあたる(参考:東京都HP他)。
東北沢駅や池ノ上駅は、谷に狭まれた台地状の地形に位置する。なお、この起伏は、井の頭線の車窓からもよく見える。
ただ、これらの河川等は昭和時代までにほぼ暗渠化され、遊歩道の敷地などとなっている。
商店街は、下北沢駅前以外には、東北沢駅、池ノ上駅の駅前などに近隣商業または路線商業地域が形成されているものの、一部で住宅地化が見られる。商店街の他は概ね住宅地で、中小規模の共同住宅、木造等の戸建住宅が多い。
メディアで取り上げられ続けている商業地(小田急線および井の頭線の利用で新宿・渋谷へ十数分でアクセスできる利便性を強調する場合には知名度の高さ)のイメージ、かつて佐藤栄作-竹下登邸もあった閑静な住宅地もある。
下北沢は短縮して下北(しもきた)と略称される。
[編集] 下北沢駅前の商店街
テレビ・雑誌等で三軒茶屋・自由が丘・中目黒・代官山等と並んで若者の街・ファッションの街に加えて小劇場の求心的な地域として紹介されることが多い。新しい店舗の多くは最近のメディア等で集まる客を相手にし、昔ながらの店舗は比較的庶民的な構えのまま残り、新旧が混在している雑多な街である。明治大学和泉キャンパス・東京大学駒場キャンパスなどが近いため、学生も多い。
下北沢駅は小高い丘を挟んで位置し南口は低く、西口周辺は高い位置にあり、狭隘な街路が入り組むといった地域特性から周辺住民を対象とした雑貨屋・古着屋・生地屋等が古くから存在し、コットン・タウンと呼ばれ脚光を浴びた時期もある。いくつかの店舗名にコットンを付けたものがあることで当時の名残りが偲ばれる。また北口の駅前には下北沢北口駅前食品市場という戦後の闇市の名残の場所がある。
狭い公共スペースともあいまって繁華性が目立つ一方で、渋谷の吸引力、街なみの整備の進む周辺の商店街(三軒茶屋、笹塚、他)との競争に直面している。たとえば、北部の北沢5丁目は、笹塚駅が近いこともあり、以前から笹塚の商圏といえる部分が大きく、「井の頭通りで隔てられたあそこは下北沢ではない」とかいった声も上がり、下記の街づくりへの反対運動にも結びついている。
商業地域は、それより前からある小田急線の線路で概ね区分される状態で、複数の商店街組織がある。
街並みの状態、下北沢に警察署がないこと(交番はある)等が却って商店街の防犯への危機感につながってきている面もあり、近年では、落書き消去・防止の活動に力を入れている商店街もある。落書き消去は、東京周辺等の他地域の商店街からも注目されている。
[編集] 歴史
元々東京府(武蔵国)荏原郡下北沢村であり、世田ヶ谷町への合併を経て世田谷区北沢・代沢になった。概ね現在の北沢1~5丁目及び代沢2、3、5丁目並びに代沢4丁目の北東部及び代田5、6丁目の東側ごく一部が旧下北沢村に該当する。
なお、代沢には、下北沢=旧北沢の一部以外に、代田の飛び地「下代田」等(概ね現:4丁目の一部、1丁目に相当)が編入された(「代沢」の地名はこれらに由来する)。
元々の中心は現在の代沢3,5丁目付近、北沢八幡宮、森巖寺・淡島神社分社や代沢小学校のある辺りであり、明治時代の旧版地図には「下北澤本村」の文字が見られるものもある(村開墾時代の詳細は、北沢八幡宮を参照)。今も茶沢通り沿いに商業地域が形成されている。
起伏のある地形からか、「山谷」のつく字が幾つか見られた(参考:旧版地図)。
下北沢駅開業(1927年)後、元々水田地域であった下北沢駅周辺(物理的中心に近いが)に商業地が形成され、地域の重心が移って行った。他の部分の宅地化は、帝都線(現 井の頭線)開通、池ノ上などの集落の形成を経て、急速に進んでいった。この急速な宅地化に街路等公共スペースの整備が追いつかずに狭小な街路が目立つ街並みとなり、宅地化後は、全体的に大きな変化はなく推移してきた。
宅地化の進む過程で、企業が厚生施設、研修所等を設けることが散見されたが、近年、急速にこれらの施設の廃止が進んでいる。
1991年4月、世田谷区に5総合支所がオープンし、下北沢には北沢総合支所(北沢タウンホール-劇場もある)が設置され、世田谷区北沢地域の中心となっている。
[編集] 一般施設
- スーパー
- 銀行
[編集] 文化施設
- 劇場
-
- 本多劇場グループ
- 本多劇場参照
- その他
-
- ミニシアター・KYO
- しもきた空間リバティ
- 映画館・ミニシアター
- ライブハウス
[編集] 下北沢が舞台のドラマ、映画など
- ざわざわ下北沢(2000年劇場公開)
- 愛をください (2000年7月~9月 フジテレビ系)
- ホーリーランド (2005年4月~6月 テレビ東京系)
- 下北GLORY DAYS (2006年4月~7月 テレビ東京系)
- 下北サンデーズ (2006年7月~9月 テレビ朝日系 原作・石田衣良 演出・堤幸彦)
- 東京フレンズThe Movie (2006年8月劇場公開)
[編集] 下北沢駅周辺地区街づくり
東京都、小田急電鉄は、小田急線の複々線化、連続立体交差化(地下化)事業を進めている。
一方、以前から下北沢駅周辺の市街地整備について、地元商店街・町内会、世田谷区等が検討を重ねてきた。これは元々、日用品を求める地域住民等買物客の回遊性、安全性の向上が目的にあった。さらに、1990年代以降、阪神大震災等の発生、景観、治安、バリアフリーへの一層の重視、上記連続立体化等の進展等を背景に、区が2006年に策定した地区計画の主な内容は(下北沢駅周辺地区地区計画)、
- 建築物の斜線制限を緩和することと引き替えに壁面線の指定や高さを規制すること、風俗系の用途の制限などを通じた街なみ景観の誘導等
- 建築物の壁面後退等を進め、補助54号線や世田谷区画街路10号線の新規整備にも整合させた、防災・防犯性、歩行者回遊性の向上
というもの(下北沢駅周辺地区街づくり、補助54号線も参照)。
一方、文化人からは、吉見俊哉、曽我部恵一らの反対表明、世田谷区都市計画審議会でも、学識経験者の委員らから反対意見があった。また、日本建築学会は都、区に見直しを求める要望書を提出し、劇場、ライブハウス、パブ・スナックを中心に下北沢商業者協議会を組織し、反対している。マスコミ、政治家にも、これら反対運動に好意的な論調が多く、上記の運動関係者・団体の名を度々広めている。反対派が地理的範囲にとらわれず広範な層を対象に実施した調査で反対は約60%という。
一方、商店街や地域住民などから、街並み整備を求める声も強い。「再開発」と呼ばれることも多いが、都市再開発法の市街地再開発事業(一種、二種)は計画されていない(2007年3月現在)。
- 見直しを求める側の主張
- 文化人、商店主、来街者、市民など(参考:上記の他、Save the 下北沢、下北沢フォーラム等)
- 補助54号線、区画街路10号線が、北側の商業地を背後の住宅地ごと分断し、個々の商店の集客に係る環境を悪化させる。行政は、片側1車線ということを強調するが、逆に言えば、歩道や駐車帯が広く、車道以上に分断を押し進める。
- 上記道路、壁面線の指定、建物高さ規制の緩和は、独特の「文化」の破壊をもたらす。
- 防災に関しては、世田谷区地震防災マップに、下北沢駅周辺の商店街の危険度は比較的低く(5段階中3程度)、隣接の住宅地の危険度が高く(5段階中4程度)表示されているという矛盾があり、重要性が低い。
- 防災上の問題は、小田急線が地下化した跡地を緑道とすることで十分である。
- 鉄道と路線バス等の連携を理由としたロータリーの設置という地域住民等からの要望は、終電後の時間帯、文化の観点からも、バス停等は駅から離れた場所に分散させたほうがよく、不要である。
- 幹線道路や駅前ロータリー、連続立体化・複々線化は高層化等と一体のもので、ともに集客環境悪化、文化の破壊を進める。
- 上記の側以外の主張
- 過密した商店街は、防災・防犯上の問題はもとより、高齢者等周辺住民の買物の支障にもなっている。非常時には避難の妨げにもなり、周辺住宅地に延焼等混乱が波及する恐れが強い。
- 補助54号線の計画は昔からあり( 土木デジタルアーカイブス 土木建築工事画報 東京府施行都市計画道路工事(1939年頃の東京都市計画道路図 「東京府施行都市計画道路工事」の項参照))、路線計画地に隣接する北沢タウンホールの建設時等にも、計画の存在が考慮されている事実があるなど、地域住民には周知のものである。
[編集] その他の街づくり
上記の他にも、下北沢には地区計画等が定められている箇所がある。
[編集] 北沢三、四丁目地区地区計画
下北沢駅周辺地区地区計画の区域と隣接する。狭い道路が入り組み、木造住宅が建並ぶ地域であり、財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが「震災復興まちづくり模擬訓練」を実施するなど、防災・防犯上の対策が特に求められている状況にある。
世田谷区が1992年に決定した地区計画では、現在、「土地利用の適正化、道路の整備、建築物の不燃化の促進、オープンスペースの確保等、修復型まちづくりを進めながら、快適な居住環境の形成、災害に強い市街地への誘導を図る。」とされている [1]。
[編集] 北沢五丁目・大原一丁目地区防災街区整備地区計画
北沢5丁目、大原1丁目各地内が範囲とされている。上記北沢三、四丁目地区地区計画の区域と隣接する。区域内は、中小規模の戸建住宅、共同住宅が多いが、一部に近隣商業地等も見られる。
地区計画の目標として、次のとおりとされている[2]。
- 「住みよく災害に強いまち」の実現を目標に、適正な土地利用の実現、道路の整備、建築物の不燃化や密集化の防止、公園等のオープンスペースの充実及び緑の維持・創出などを図り、修復型街づくりを前提に、快適な居住環境の形成及び災害に強い市街地への誘導を図る。
- 世田谷区の町名
-
世田谷地域: 池尻 - 上馬 - 経堂 - 駒沢 - 桜 - 桜丘 - 三軒茶屋 - 下馬 - 世田谷 - 太子堂 - 弦巻 - 野沢 - 三宿 - 宮坂 - 若林 北沢地域: 池尻 - 赤堤 - 梅丘 - 大原 - 北沢 - 豪徳寺 - 桜上水 - 代沢 - 代田 - 羽根木 - 松原 玉川地域: 奥沢 - 尾山台 - 上野毛 - 上用賀 - 駒沢 - 駒沢公園 - 桜新町 - 新町 - 瀬田 - 玉川 - 玉川台 - 玉川田園調布 - 玉堤 - 等々力 - 中町 - 野毛 - 東玉川 - 深沢 - 用賀 砧地域: 宇奈根 - 大蔵 - 岡本 - 鎌田 - 喜多見 - 砧 - 砧公園 - 成城 - 祖師谷 - 千歳台 - 船橋 烏山地域: 粕谷 - 上北沢 - 上祖師谷 - 北烏山 - 給田 - 八幡山 - 南烏山