佐世保線
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佐世保線(させぼせん)は、佐賀県杵島郡江北町の肥前山口駅から長崎県佐世保市の佐世保駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(幹線)である。
佐世保と佐賀や福岡を結ぶルートの一部となっている。ほとんどの区間で国道34号・国道35号と並行して走る。
また、肥前山口方面と佐世保方面とを行き来する列車は早岐駅で構内配線の都合上スイッチバックする。
佐賀平野や早岐駅周辺は軟弱地帯で、この区間は路盤が非常に悪いために単線用の架線柱の多くが、両側支持の門型の物になっている。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄・路線距離(営業キロ):
- 軌間:1067mm
- 駅数:14駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線(交流20,000V・60Hz)
- 閉塞方式:単線自動閉塞式
- 指令所:博多総合指令センター
- 最高速度:120km/h
[編集] 運行形態
[編集] 優等列車
昼行列車は、全区間に博多~佐世保間の特急「みどり」が上下毎時1本運転される。(博多~)肥前山口~早岐間で博多~ハウステンボス間の特急「ハウステンボス」を併結する場合もある。1999年(平成11年)から(長崎~大村線経由~)早岐~佐世保間に特急「シーボルト」が運転されていたが、2003年(平成15年)に廃止されている。
戦後、1954年(昭和29年)に進駐軍専用列車「デキシー・リミテッド(Dixie Limited)」が日本に返還されて急行「西海」と改名のうえ東京~佐世保間を結んだのを皮切りに、東海道本線・山陽本線から佐世保線へ直通する急行列車が多数設定された。その後、1964年(昭和39年)に大阪発着の急行「平戸」(のちに2代目西海に改名)、1965年(昭和40年)に東京発着の寝台特急「さくら」と新大阪発着のディーゼル特急「みどり」(のちにいそかぜを経てかもめに交代)、1967年(昭和42年)に新大阪発着の寝台特急「あかつき」がそれぞれ運行されたが、1975年(昭和50年)の新幹線博多開業や交通体系の変化により、2000年(平成12年)3月に「あかつき」の佐世保発着編成が廃止されたのを最後に、佐世保線から本州へ直通する定期列車は全廃された。
[編集] 地域輸送
全区間を運転する列車のほか、長崎本線(肥前山口以東)の鳥栖まで直通する列車や肥前山口~早岐、早岐~佐世保間の区間列車がある。朝には早岐から鹿児島本線の門司港(土曜、日曜、祝日は博多)行きの直通列車があり、早岐~佐世保間には快速「シーサイドライナー」など大村線の列車が乗り入れている。
全線でワンマン運転を実施しているため、佐世保線内では主にワンマン運転対応の817系電車が使用されることが多く、ラッシュ時など車掌が乗務する列車には813系電車や415系電車が使用されている。大村線から乗り入れる列車にはワンマン運転対応のキハ66・67系気動車やキハ200系気動車が使用されている。また、2007年3月18日のダイヤ改正で朝の1本(早岐→佐世保)に783系電車が普通列車として運転されている。
肥前山口~早岐間はやや偏りはあるものの概ね上下毎時1本運転されており、早岐~佐世保間では区間列車のほか、大村線から乗り入れる列車もあるため普通・快速列車が多数運転されている。
なお、松浦鉄道の列車が佐世保駅から早岐駅まで、JR大村線の快速「シーサイドライナー」の一部が松浦鉄道に直通運転していたが、2006年(平成18年)3月18日のダイヤ改正から中止されている。JRの車両はキハ66・67系気動車が使用されていた。
[編集] 使用車両
- 783系電車(全線、特急みどり・ハウステンボス)
- 415系電車(全線)
- 813系電車(肥前山口~早岐間)
- 817系電車(全線)
- キハ66・67系気動車(佐世保~早岐間)
- キハ200系気動車(佐世保~早岐間)
[編集] 歴史
佐世保線の大半は、九州鉄道が鳥栖と長崎を結ぶ幹線鉄道(長崎線)の一部として建設したもので、建設当初は早岐から分岐する支線区間のみが佐世保線であった。1907年に九州鉄道は鉄道国有法により買収、国有化され、1912年に鳥栖~早岐~長崎間が長崎本線、早岐~佐世保間が佐世保線となったが現在の長崎本線(有明線)のルートが開通した1934年に(旧)長崎本線の肥前山口~早岐間を分離・編入して現行の佐世保線となった。また、現在松浦鉄道西九州線の一部となっている旧国鉄松浦線の佐世保~北佐世保間も、当初は佐世保線として開業している。
- 1895年(明治28年)5月5日 【開業】九州鉄道長崎線 佐賀~武雄 【駅新設】山口、北方、武雄 ※佐世保線関係分のみ
- 1897年(明治30年)7月10日 【延伸開業】武雄~早岐 【駅新設】三間坂、有田、三河内、早岐
- 1898年(明治31年)1月20日 【延伸開業】早岐~佐世保 【駅新設】佐世保
- 10月1日 【駅新設】(貨)中樽
- 1907年(明治40年)7月1日 【買収・国有化】九州鉄道→官設鉄道
- 1909年(明治42年)5月1日 【駅名改称・貨物駅→一般駅】中樽→上有田
- 10月12日 【国有鉄道線路名称制定】長崎本線 鳥栖~早岐~長崎、佐世保線 早岐~佐世保
- 1910年(明治43年)12月26日 【駅新設】日宇
- 1913年(大正2年)3月1日 【駅名改称】山口→肥前山口
- 1919年(大正8年)12月11日 【信号所新設】大町
- 1922年(大正11年)4月1日 【信号所→信号場】大町
- 1923年(大正12年)8月21日 【駅新設】高橋
- 1928年(昭和3年)9月1日 【信号場→駅】大町
- 1934年(昭和9年)12月1日 【区間編入】佐世保線 肥前山口~佐世保(長崎本線肥前山口~早岐間を編入)
- 1935年(昭和10年)11月9日 【延伸開業】佐世保~北佐世保 【駅新設】北佐世保
- 1942年(昭和17年)9月30日 【信号場新設】永尾、大塔
- 1943年(昭和18年)8月30日 【区間分離】肥前山口~佐世保(佐世保~北佐世保間を分離し松浦線に編入)
- 1945年(昭和20年)5月15日 【信号場→駅】大塔
- 1949年(昭和24年)1月15日 【信号場→駅】永尾
- 1975年(昭和50年)6月19日 【駅名改称】武雄→武雄温泉
- 1976年(昭和51年)6月6日 【電化】肥前山口~佐世保
- 1979年(昭和54年)3月30日 【信号場新設】西有田
- 1985年(昭和60年)3月14日 【貨物営業廃止】早岐~佐世保
- 1987年(昭和62年)4月1日 【承継】九州旅客鉄道(第1種)、日本貨物鉄道(第2種・肥前山口~有田) 【貨物営業廃止】有田~早岐
- 1996年(平成8年)3月16日 【貨物列車廃止】肥前山口~有田
- 2002年(平成14年)3月23日 【ワンマン運転開始】全線
[編集] 駅一覧および接続路線
- ●:停車
駅名 | 営業キロ | 快速 シーサイドライナー |
接続路線 | 所在地 | |
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肥前山口駅 | 0.0 | 九州旅客鉄道:長崎本線 | 佐賀県 | 杵島郡江北町 | |
大町駅 | 5.1 | 杵島郡大町町 | |||
北方駅 | 7.4 | 武雄市 | |||
高橋駅 | 11.4 | ||||
武雄温泉駅 | 13.7 | ||||
永尾駅 | 18.3 | ||||
三間坂駅 | 21.5 | ||||
上有田駅 | 25.7 | 西松浦郡有田町 | |||
有田駅 | 28.2 | 松浦鉄道:西九州線 | |||
西有田信号場 | (31.4) | ||||
三河内駅 | 35.7 | 大村線直通 | 長崎県 | 佐世保市 | |
早岐駅 | 39.9 | ● | 九州旅客鉄道:大村線 | ||
大塔駅 | 42.6 | ● | |||
日宇駅 | 45.5 | ● | |||
佐世保駅 | 48.8 | ● | 松浦鉄道:西九州線 |