長崎本線
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長崎本線(ながさきほんせん)は、佐賀県鳥栖市の鳥栖駅から長崎県長崎市の長崎駅までを結ぶ九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(幹線)である。喜々津~長与~浦上間に別線を持つ。長崎線とも呼ばれる。
現在九州新幹線西九州(長崎)ルートの建設が計画されており、長崎本線の肥前山口~諫早間が並行在来線として指定されている。並行在来線は新幹線開業時にJRから経営分離してもよいことになっており、JR九州も経営分離する方針である。経営分離後は佐賀県、長崎県両県による第三セクター方式の経営が計画されている。しかし、沿線の鹿島市、江北町がこの方針に反対し、未だ新幹線の建設に同意していない。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄・路線距離(営業キロ):
- 軌間:1067mm
- 駅数:41駅(起終点駅・臨時駅含む)
- 信号場:3ヶ所
- 複線区間:
- 鳥栖~肥前山口間
- 諫早~喜々津間
- 浦上~長崎間
- 電化区間:
- 鳥栖~諫早~喜々津~市布~浦上~長崎間電化(交流20,000V・60Hz)
- 喜々津~長与~浦上間非電化
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 指令所:博多総合指令センター
[編集] 路線の特徴
- 長崎~肥前鹿島間は地形、建設コストの関係で単線区間が多く、入り組んだ沿岸部を走るため、カーブが多い。
- 大村湾側を走る喜々津~長与~浦上間の新線開通前からある長崎本線を旧線(長与経由)と呼ぶ。新線開業前は、この路線を特急・急行も走っていた。今でも、その名残りを、道ノ尾駅などで見ることができる。
- 喜々津~市布~浦上間の長崎トンネルを通る電化された長崎本線を新線(市布経由)と呼ぶ。諫早~長崎間を短絡し所要時間を大幅に改善する事ができた。
- 佐賀平野は軟弱地帯で、この区間は路盤が非常に悪いために単線用の架線柱の多くが、両側支持の門型の物になっている。車窓から見える車道に立つ電柱の多くも、斜めの柱で補強していたり、立っていても僅かに傾いていたりする。
[編集] 運行形態
[編集] 優等列車
鳥栖~長崎間に、博多~長崎間の特急「かもめ」が運転されている。肥前山口以東で佐世保線の特急「みどり」・「ハウステンボス」を併結している列車もある。諫早~長崎間は全て新線経由である。
夜行列車としては京都~長崎間の寝台特急「あかつき」が運転されている。
[編集] 地域輸送
全区間を通して運転される列車のほか、鳥栖~肥前鹿島間などの区間列車や佐世保線に直通する列車もある。朝には肥前大浦から鹿児島本線門司港駅行き列車の運転もあるほか、夕方以降には山陽本線下関駅から長崎本線へ直通する運転も存在する。
諫早~長崎間の新線は電車による列車、旧線は大村線との直通列車などの気動車列車が経由する。但し大村線の快速「シーサイドライナー」は新線を通る。
肥前大浦~湯江間は、1日下り10本、上り9本の閑散区間で、朝の通勤通学時間が終わると、普通列車は昼まで5時間以上運転されない。
全線でワンマン運転を実施している。新線では817系電車が、旧線ではキハ66・67・200形気動車が使用されている。
鳥栖~肥前山口、諫早~長崎間で運転されているワンマン運転の普通列車(2両編成)は、2006年3月17日まで無人駅および有人駅での営業時間外の停車時に関しては、前の車両のドアのみ開き(中扉は開かず・後ろ乗り前降り)、乗車時には整理券をとる必要があったが、2006年3月18日のダイヤ改正後より、全ての駅で列車のホーム側の全てのドアから乗り降りできるようになった。
[編集] 貨物列車
コンテナ車で編成された高速貨物列車が、鳥栖貨物ターミナル駅方面~鍋島間に1日3往復間運行されている。牽引機関車は、ED76形電気機関車。
線内の貨物列車の発着駅は、鍋島駅のみ。JR貨物の第二種鉄道事業区間である鍋島駅~長崎駅間では、貨物列車は運行されていない。
[編集] 歴史
長崎本線は、九州鉄道の手により現在の佐世保線・大村線のルートで建設された。1907年の国有化を経て、現在のルート(有明線)が長崎本線となったのは1934年のことである。有明線は改正鉄道敷設法別表114号に「佐賀県肥前山口附近ヨリ鹿島ヲ経テ長崎県諌早ニ至ル鉄道」として、市布経由の新線は同114号の2に「長崎県喜々津ヨリ矢上ヲ経テ浦上ニ至ル鉄道」として規定されていた。
なお、鳥栖~早岐間と長与~長崎間が開業した1897年より全通するまでの約1年間は、大村湾に連絡船を開設して暫定的な連絡機関とした。
また、出島埠頭に発着する上海航路との連絡のため、1930年に長崎駅から長崎港駅までの1.1kmが延伸された。太平洋戦争の激化(1943年頃)により上海航路が廃止された後は、貨物線として使われていた。正式に廃止されたのは国鉄最後の日である1987年3月31日である。跡地は遊歩道や公園として整備されている。
[編集] 年表
[編集] 長崎線
- 1891年(明治24年)8月20日 【開業】九州鉄道長崎線 鳥栖~佐賀 【駅新設】中原、神崎、佐賀
- 1895年(明治28年)5月5日 【延伸開業】佐賀~山口~*武雄 【駅新設】牛津、山口、*北方、*武雄
- 1896年(明治29年)10月10日 【駅新設】久保田、
- 1897年(明治30年)7月10日 【延伸開業】*武雄~*早岐 【駅新設】*三間坂、*有田、*三河内、*早岐
- 7月22日 【開業】長与~長崎(現在の浦上) 【駅新設】長与、道ノ尾、長崎(初代)
- 1898年(明治31年)1月20日 【延伸開業】*早岐~*大村 【駅新設】*南風崎、*川棚、*彼杵、*松原、*大村
- 1905年(明治38年)4月5日 【延伸開業】浦上~長崎(2代) 【駅新設】長崎(2代) 【駅名改称】長崎(初代)→浦上
- 1907年(明治40年)7月1日 【買収・国有化】九州鉄道→官設鉄道
- 11月1日 【駅名改称】神崎→神埼
- 1909年(明治42年)5月1日 【貨物駅→一般駅・駅名改称】*中樽→上有田
- 10月12日 【国有鉄道線路名称制定】長崎本線 鳥栖~早岐~長崎
- 1913年(大正2年)3月1日 【駅名改称】山口→肥前山口
- 1919年(大正8年)12月1日 【信号所新設】*大町
- 1922年(大正11年)4月1日 【信号所→信号場】*大町
- 5月25日 【駅新設】*竹松
- 1923年(大正12年)8月21日 【駅新設】*高橋
- 1926年(大正15年)10月1日 【信号場新設】鍋島
- 1927年(昭和2年)3月26日 【仮乗降場新設】目達原
- 1928年(昭和3年)9月1日 【信号場→駅】*大町
- 1928年12月1日 【駅新設】伊賀屋
- 1930年(昭和5年)3月19日 【延伸開業】長崎~長崎港
- 7月7日 【信号場→駅】鍋島
*が付いている駅は、のちに路線分離により長崎本線の駅ではなくなった駅。
[編集] 有明線
- 1930年(昭和5年)3月9日【開業】有明線 肥前山口~肥前竜王 【駅新設】福治、肥前竜王
- 11月30日 【延伸開業】有明線 肥前竜王~肥前浜 【駅新設】肥前鹿島、肥前浜
- 1934年(昭和9年)3月24日 【開業】有明西線 諫早~湯江 【駅新設】東諌早、肥前長田、小江、湯江 【線名改称】有明線→有明東線
[編集] 有明線編入後
- 1934年(昭和9年)12月1日 【路線分離】佐世保線 肥前山口~早岐、大村線 早岐~諫早 【路線編入】肥前山口~諫早
- 1940年(昭和15年)4月1日 【駅名改称】福治→肥前白石
- 1942年(昭和17年)9月30日 【信号場新設】肥前麓、三田川
- 1943年(昭和18年)10月1日 【信号場新設】本川内
- 12月1日 【信号場→駅】三田川 【仮乗降場廃止】目達原
- 1945年(昭和20年)5月1日 【駅名改称】神埼→肥前神埼
- 1947年(昭和22年)3月1日 【信号場→駅】肥前麓
- 1952年(昭和27年)6月1日]] 【信号場→駅】本川内
- 7月5日 【仮停車場新設】横島
- 1956年(昭和31年)4月10日 【駅名改称】肥前神埼→神埼
- 1961年(昭和36年)10月1日 【信号場新設】東園
- 1966年(昭和41年)10月1日 【信号場→駅】東園
- 1969年(昭和44年)4月25日 【信号場新設】里
- 7月1日 【仮停車場廃止】横島
- 1972年(昭和47年)10月2日 【開業】喜々津~市布~浦上(特急・急行列車などを新線経由に変更) 【駅新設】市布、肥前古賀、現川、肥前三川(信号場)
- 1976年(昭和51年)6月1日 【信号場新設】土井崎
- 6月6日 【電化】鳥栖~長崎
- 1985年(昭和60年)3月14日 【駅新設】西諌早
- 1987年(昭和62年)3月9日 【臨時乗降場新設】西浦上
- 1989年(平成元年)11月18日 【臨時駅新設】バルーンさが
- 1990年(平成2年)3月10日 【駅新設】長里
- 1993年(平成5年)10月1日 【駅名改称】三田川→吉野ヶ里公園
- 1994年(平成6年)3月1日 【駅新設】高田
- 1998年(平成10年)4月1日 【貨物列車廃止】鍋島~長崎
- 2002年(平成14年)3月23日 【ワンマン運転開始】全線
- 2010年(平成22年) 【駅新設(予定)】新鳥栖(仮称)
[編集] 駅一覧および接続路線
[編集] 新線(市布経由)
- ●:停車、▲:一部の列車が停車、|:通過
駅名 | 営業キロ | 快速 シーサイドライナー |
接続路線・備考 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
鳥栖駅 | 0.0 | 九州旅客鉄道:鹿児島本線 | 佐賀県 | 鳥栖市 | |
新鳥栖駅(仮称) | 2.0 | 九州旅客鉄道:九州新幹線(建設中) 2011年開業予定 |
|||
肥前麓駅 | 4.2 | ||||
中原駅 | 8.5 | 三養基郡みやき町 | |||
吉野ヶ里公園駅 | 13.1 | 神埼郡吉野ヶ里町 | |||
神埼駅 | 15.7 | 神埼市 | |||
伊賀屋駅 | 20.2 | 佐賀市 | |||
佐賀駅 | 25.0 | ||||
鍋島駅 | 28.0 | ||||
(臨)バルーンさが駅 | 29.8 | 臨時駅 | |||
久保田駅 | 31.4 | 九州旅客鉄道:唐津線 | 佐賀郡久保田町 | ||
牛津駅 | 34.2 | 小城市 | |||
肥前山口駅 | 39.6 | 九州旅客鉄道:佐世保線 | 杵島郡江北町 | ||
肥前白石駅 | 44.7 | 杵島郡白石町 | |||
肥前竜王駅 | 49.4 | ||||
肥前鹿島駅 | 54.6 | 鹿島市 | |||
肥前浜駅 | 57.6 | ||||
肥前七浦駅 | 61.5 | ||||
肥前飯田駅 | 63.6 | ||||
多良駅 | 67.7 | 藤津郡太良町 | |||
里信号場 | (72.3) | 信号場 | |||
肥前大浦駅 | 75.6 | ||||
土井崎信号場 | (78.9) | 信号場 | 長崎県 | 諫早市 | |
小長井駅 | 82.3 | ||||
長里駅 | 84.7 | ||||
湯江駅 | 87.6 | ||||
小江駅 | 90.9 | ||||
肥前長田駅 | 95.6 | ||||
東諫早駅 | 97.8 | 大村線直通 | |||
諫早駅 | 100.4 | ● | 九州旅客鉄道:大村線 島原鉄道:島原鉄道線 |
||
西諫早駅 | 103.2 | ▲ | |||
喜々津駅 | 106.9 | ● | 九州旅客鉄道:長崎本線(旧線・長与経由) | ||
市布駅 | 109.4 | ▲ | |||
肥前古賀駅 | 112.3 | ▲ | 長崎市 | ||
現川駅 | 114.8 | ▲ | |||
肥前三川信号場 | (118.5) | | | 信号場 | ||
浦上駅 | 123.7 | ● | 九州旅客鉄道:長崎本線(旧線・長与経由) 長崎電気軌道:本線(浦上駅前電停) |
||
長崎駅 | 125.3 | ● | 長崎電気軌道:本線・桜町支線(長崎駅前電停) |
[編集] 旧線(長与経由)
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
喜々津駅 | 0.0 | 九州旅客鉄道:長崎本線(新線・市布経由) | 長崎県 | 諫早市 |
東園駅 | 3.5 | |||
大草駅 | 7.2 | |||
本川内駅 | 12.3 | 西彼杵郡長与町 | ||
長与駅 | 15.4 | |||
高田駅 | 16.4 | |||
道ノ尾駅 | 18.9 | |||
西浦上駅 | 20.6 | 長崎市 | ||
浦上駅 | 23.5 | 九州旅客鉄道:長崎本線(新線・市布経由) 長崎電気軌道:本線(浦上駅前電停) |
- ※2011年開業予定