国鉄ED32形電気機関車
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ED32形は、かつて日本国有鉄道(国鉄)に在籍した直流用電気機関車である。
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[編集] 経歴
もとは、伊那電気鉄道(現在のJR東海飯田線の一部)が1927年(昭和2年)6月に三菱電機(電気部分)及び三菱造船所(機械部分)で製造したデキ10形(10)で、1943年(昭和18年)、同社の買収・国有化により国有鉄道籍となったものである。買収後も伊那電気鉄道時代の番号のまま使用されたが、1952年(昭和27年)の車両形式称号規程改正により、ED32形(ED321)に改められた。
一貫して伊那松島機関区に配置され、天竜峡以北の飯田線で使用された。1960年(昭和30年)2月に廃車され、岳南鉄道に譲渡された。
岳南鉄道では、国鉄時代の形式番号のまま使用されたが、同じく国鉄から移籍したED29形などとともに貨物列車の牽引や入換え用に使用されたが、1988年(昭和63年)に廃車された。
[編集] 構造
比較的長い車体の前後に短いボンネットを有する凸型の中型電気機関車である。乗務員扉は、車体前面の助士席側のみにあるが、ボンネットは中央部に位置している。
製造当初は、伊那電気鉄道の電化方式に合わせて直流1200V対応であったが、買収後に昇圧された際に、1500V対応に改造され、機器も交換された。
岳南鉄道に譲渡後は、従来車体中央部に1基のみであったパンタグラフは、車体端部に移設のうえ、2基に増設されるとともに、運転士側に1枚のみであった前面窓も、中央部に1枚を増設している。
[編集] 主要諸元
- 全長:10401mm
- 全幅:2700mm
- 全高:4127mm
- 軸配置:B-B
- 機関車運転整備重量:38.60t
- 電気方式:直流1200V (後に直流1500V)
- 1時間定格出力:320kW(1200V定格)
- 1時間定格引張力:4370kg(1200V定格)
- 主電動機 MT35形4基
- 動力伝達方式:1段歯車減速、吊り掛け式
- 歯車比:21:67=1:3.19
- 制御方式:非重連、抵抗制御、2段組合せ制御
- 制御装置:電磁空気単位スイッチ式
- ブレーキ装置:EL14A空気ブレーキ、手ブレーキ
- 台車形式:棒台枠、イコライザ式
[編集] 関連項目
- 日本国有鉄道の旧型電気機関車 ■Template ■ノート
- B・D型機(貨物用) - EB10 / AB10 - ED10 - ED11 - ED12 - ED13 - ED14 - ED15 - ED16 - ED17 - ED18 - ED19 - ED23 - ED24
- D型機(旅客用)- ED50 - ED51 - ED52 - ED53 - ED54 - ED55(計画のみ) - ED56 - ED57
- F型機(貨物用)- EF10 - EF11 - EF12 - EF13 - EF14 - EF15 - EF16 - EF18
- F型機(旅客用)- EF50 - EF51 - EF52 - EF53 - EF54 - EF55 - EF56 - EF57 - EF58 - EF59
- H型機 - EH10
- アプト式 - EC40 - ED40 - ED41 - ED42
- 私鉄買収機 - ED20 - ED21 - ED22 - ED25 - ED26 - ED27 - ED28 - ED29 - ED30 / ED25II - ED31 - ED32- ED33 / ED26II - ED34 / ED27II - ED35 / ED28II - ED36 - ED37 / ED29II - ED38 - ケED10 - デキ1(旧宇部) - ロコ1(旧富山地鉄) - デキ501(旧三信) - ロコ1100(旧南海)
その他の国鉄電気機関車
- 新性能機関車
- 開発史 - 日本の電気機関車史