西武E41形電気機関車
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E41形は、西武鉄道にかつて在籍していた直流用電気機関車である。
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[編集] 概要
元々は青梅鉄道(後に青梅電気鉄道に改称。現在の東日本旅客鉄道(JR東日本)青梅線の一部)が1926年(大正15年)10月、1927年(昭和2年)11月及び1929年(昭和4年)10月にイギリスのイングリッシュ・エレクトリック社へ発注し・輸入した4両の電気機関車で、国鉄ED51形など同じ「デッカー」の一族である。
青梅鉄道時代は、1926年製の1両が1号形(1)、1927年製以降の3両が2号形(2~4)とされたが、公称自重が1号形が37.0t、2号形が40.6tと異なったため形式が分かれたもので、製造年次によって細部が異なるものの、実質的に同形である。
時期は不明であるが、青梅電気鉄道時代に同系の南武鉄道(現在の南武線)と貨物の一貫輸送を行うこととなり、南武鉄道の1000形(後の国鉄ED34形)に続いて1010形(1011~1014)に改番された。
第二次世界大戦中の1944年(昭和19年)に青梅電気鉄道が鉄道省(のちの日本国有鉄道)に買収されることになり、本形式も国鉄籍となった。買収後も私鉄時代の形式番号のまま、青梅線や南武線で使用されたが、1011が1948年(昭和23年)11月に、1012が同年5月に廃車され、西武鉄道に譲渡された。残った1013,1014は、1952年(昭和27年)に他の私鉄買収電気機関車とともにED36形(ED361,2)に改称されたが、1960年(昭和35年)2月に廃車され、これも西武鉄道に譲渡された。
西武鉄道へは、前述のように2回に分かれて譲渡され、まずは1949年(昭和24年)4月に1012が、1950年(昭和25年)8月に1011が入線し、41形(旧番号順に41,42)を名乗った。次いで1960年9月には国鉄でED36 1,2を名乗っていた2両も西武鉄道入りし、41形(43,44)に編入されて同形式の4両が揃う形となった。後の入線の2両は、ED36形であった時代に西武鉄道が2両を借り入れ、自社線内で使用していたものがそのまま譲渡される形となったのも面白い。1961年(昭和36年)12月に形式番号はE41形(E41~E44)に改番された。
前後にデッキを備えた箱形車体で、正面窓に対して乗務員室扉が向かって左側にオフセットされた配置が独特である。E43,E44は、国鉄時代に乗務員室扉の左側にも小窓を開けており、これのないE41,E42とは形態が異なっていた。デッキは国鉄ED51形と同様、台車が車体前後へ張り出したその上に設置されている。
機器室は中央廊下式で、IIサイド側に抵抗器を、反対側に制御器・空気圧縮機、電動発電機を配置した関係上、左右非対称になっておりこれも本形式の特徴である。この配置は、国鉄ED51形と基本的に同じで、これを私鉄向けにダウンサイジングした本形式の素性を物語っている。私鉄向けの同系機も多く、秩父鉄道の6,7(1926年製)、総武鉄道(2代。後の東武野田線)の1~3(1928年製)、伊勢電気鉄道のデキ511形511,512(1928年製。後の近畿日本鉄道デ11形11,12)、東武鉄道のED10形101(1929年製。後の近江鉄道ED4001)といったところがあげられる。
パンタグラフは、国鉄買収前からしばしば変化の見られた部分で、1は1基のみの装備で落成したが、2以降は2基装備で落成している。1も後に2基装備に改められたが、1944年2月に予備部品確保のため、1基装備への変更届が提出されている(実際はそれ以前から1基が撤去されていた)。これにともなって、パンタグラフの装備位置は車体中央部に移されている。1011(E41)はPS13形、1012(E42)はオリジナルの大型パンタグラフを装備して西武鉄道に移ったと思われるが、1013,1014は装備改造によりPS14形1基に変更された。さらに1957年(昭和32年)、ED361はPS13×2基にED362はPS14×2基に改められたが、西武鉄道譲渡後に一旦1基装備に改められ、後に(1969年頃)再び2基装備に戻った。一方で、E41,E42は廃車まで1基装備のままであった。
主電動機は、出力97kWのDK-127形であったが、架線電圧の昇圧にともなって127kWに改められた。1011,1012(後E41,E42)は、この電動機を装備したまま西武鉄道に移ったが、国鉄に残ってED361,ED362となった1013,1014(後のE43,E44)は、装備改造により出力100kWのMT10形に変更された。台車は固定揺れ枕板台枠である。
本形式は4機揃って西武池袋線を中心に使用されていたが、老朽化のため、E41が1976年(昭和51年)8月に、E42が1986年(昭和61年)12月に廃車され、いずれも解体された。その後E43は1987年(昭和62年)1月に、E44は同年6月に廃車された。
[編集] 保存
E43,E44の廃車後は、両機とも西武鉄道横瀬車両基地に保管されたが、E44は1990年(平成2年)4月、日本貨物鉄道(JR貨物)に譲渡され、新鶴見機関区で静態保存されている。E43は、現在も横瀬車両基地に保存されている。
[編集] 主要諸元
(国鉄ED36形(E43,E44)の諸元を示す)
- 全長:10884mm
- 全幅:2664mm
- 全高:3886mm
- 重量:40.12t
- 電気方式:直流1500V(架空電車線方式)
- 軸配置:B+B
- 1時間定格出力:460kW
- 1時間定格引張力:5190kg
- 1時間定格速度:32.4km/h
- 主電動機:MT10形×4基
- 動力伝達装置:1段歯車減速、吊り掛け式
- 歯車比:18:71=1:3.94
- 制御方式:非重連、2段組合せ
- 制御装置:電動カム軸接触器式
- ブレーキ方式:EL14A空気ブレーキ、手ブレーキ
[編集] 関連項目
- 日本国有鉄道の旧型電気機関車 ■Template ■ノート
- B・D型機(貨物用) - EB10 / AB10 - ED10 - ED11 - ED12 - ED13 - ED14 - ED15 - ED16 - ED17 - ED18 - ED19 - ED23 - ED24
- D型機(旅客用)- ED50 - ED51 - ED52 - ED53 - ED54 - ED55(計画のみ) - ED56 - ED57
- F型機(貨物用)- EF10 - EF11 - EF12 - EF13 - EF14 - EF15 - EF16 - EF18
- F型機(旅客用)- EF50 - EF51 - EF52 - EF53 - EF54 - EF55 - EF56 - EF57 - EF58 - EF59
- H型機 - EH10
- アプト式 - EC40 - ED40 - ED41 - ED42
- 私鉄買収機 - ED20 - ED21 - ED22 - ED25 - ED26 - ED27 - ED28 - ED29 - ED30 / ED25II - ED31 - ED32- ED33 / ED26II - ED34 / ED27II - ED35 / ED28II - ED36 - ED37 / ED29II - ED38 - ケED10 - デキ1(旧宇部) - ロコ1(旧富山地鉄) - デキ501(旧三信) - ロコ1100(旧南海)
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