第1空挺団 (陸上自衛隊)
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第1空挺団(だいいちくうていだん)は、陸上自衛隊の団のひとつで、陸上自衛隊唯一の空挺部隊。近年の対テロ・ゲリラ等周辺事態対処の必要性が高まってきたことに伴い2007年3月、東部方面隊隷下から中央即応集団隷下に編成変えとなった。団本部は習志野駐屯地。航空機から落下傘等による降下を行い、空からの制圧を主な任務とする。陸上自衛隊の精鋭により構成され、日本航空123便墜落事故墜落現場(御巣鷹の尾根)での過酷な救助作業などの実績を有する。
目次 |
[編集] 所在地
習志野駐屯地にあるため、習志野空挺と呼ばれる事が多い。駐屯地の住所は千葉県船橋市薬円台であり、船橋市習志野台や習志野市ではなく、駐屯地の名とその住所は一致しない。駐屯地の名は、かつて付近一帯が習志野と呼ばれていたことに由来する(明治天皇が陸軍演習行幸に当たって命名した、との説がある)。
駐屯地は国道296号(成田街道)沿いの船橋市と習志野市に隣接する住宅地の真ん中にあり、演習場の半分以上は八千代市高津となっている。また演習場の南側の境界はそのまま習志野市と八千代市との境界になっている。最寄駅は新京成線習志野駅、または東葉高速鉄道東葉高速線八千代緑が丘駅。
[編集] 編成
現在の空挺団の編成は団本部及び団本部中隊(自由降下課程を修了した隊員を中心とする降下誘導小隊、偵察小隊で編成され、先遣降下を任務とする)を中心とし、3個普通科大隊、特科大隊、通信中隊、施設中隊、後方支援隊(隊本部、整備隊、輸送小隊、衛生小隊、落下傘整備中隊)といった編成となっている。定員は1900人。
1999年、海外における邦人保護を目的とした50人規模の「誘導隊」が第1空挺団内にローテーション編成された。ほかに空挺教育隊があり、空挺隊員の育成はそこで行っている。
なお、昭和50年当時の隊員数は1350人で、団本部、普通科群、特科大隊等から成っていた(秦豊参議院議員質問主意書に対する昭和50年11月21日の三木武夫内閣総理大臣の答弁書)。
[編集] 部隊
※各大隊内本部中隊には情報小隊及び対戦車小隊が配置されている。
[編集] 沿革
- 1954年(昭和29年)9月:第1次研究員訓練開始。(福岡香椎)10月:カーチス C-46 天馬で20名初降下。
- 1955年(昭和30年)1月:臨時空挺練習隊が創設される。4月:臨時空挺練習隊習志野駐屯地に移駐。8月:第1期生教育開始。
- 1956年(昭和31年)1月:第101空挺大隊編成完結。8月:55式式傘(分離式)使用開始。
- 1958年(昭和33年)1月:レンジャー集合訓練を開始。6月:第1空挺団の編成が完了。初代団長は、後に統合幕僚会議議長となった衣笠駿雄(陸士48期卒)である。
- 1961年(昭和36年)4月:60式主傘(分離式)使用開始。11月:自由降下の研究開始。
- 1962年(昭和37年)4月:第1期レンジャー課程教育が開始。
- 1969年(昭和44年)4月:第1期自由降下課程訓練を開始。
- 1972年(昭和47年)6月: C-1試験降下開始。
- 1973年(昭和48年)3月:空挺装甲輸送隊の編成が完了。
- 1982年(昭和57年)1月:空挺普通科群に第4中隊が新編される。
- 1984年(昭和59年)6月:C-130H ハーキュリーズ試験降下開始。
- 1994年(平成6年)7月:50万回無事故降下達成。
- 1995年(平成7年)7月:新自由降下傘(MC-4)使用開始。
- 2000年(平成12年)7月:12傘(空挺傘M696M1。フランス製。(藤倉航装でライセンス生産))
- 2002年(平成14年)3月:管理中隊や落下傘整備中隊、衛生隊および輸送小隊と統合し、後方支援隊が編成完結。
- 2004年(平成16年)3月:空挺普通科群廃止、46年の歴史に幕を閉じる。3個普通科大隊や施設中隊および通信中隊の編成完結。空挺団の改編は完了、現在にいたる。
- 2007年(平成19年)3月28日:東部方面隊隷下から中央即応集団隷下に編成変え。
[編集] 歴代団長
代数 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 | 備考 |
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初代 | 衣笠駿雄 | 1958.6.25 - 1958.7.31 | 陸士48期・陸大55期 | 空挺教育隊長 | 陸上幕僚監部第3部研究班長 | 1等陸佐 |
第2代 | 渡邊利亥 | 1958.8.1 - 1963.3.15 | 陸士45期・陸大53期 | 陸上幕僚監部第3部業務計画班長 | 東部方面総監部幕僚長 | 就任時1等陸佐 1961.1.1陸将補 |
第3代 | 片木良平 | 1963.3.16 - 1966.3.15 | 富士学校普通科教育部長 | 第1教育団長 | 就任時1等陸佐 196?.?.?陸将補 |
|
第4代 | 花見侃 | 1966.3.16 - 1968.3.15 | 陸士47期・陸大57期 | 第3師団副師団長 | 陸上幕僚監部付 →1968.10.31陸将・退職 |
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第5代 | 倉重翼 | 1968.3.16 - 1970.6.30 | 陸士52期 | 陸上幕僚監部第1部副部長 | 北部方面総監部幕僚長 | |
第6代 | 越智誠一 | 1970.7.1 - 1971.8.19 | 第1空挺団副団長 | 東部方面総監部幕僚長 | ||
第7代 | 八木正忠 | 1971.8.20 - 1973.3.15 | 富士教導団副団長 | 体育学校長 | 就任時1等陸佐 1972.7.1陸将補 |
|
第8代 | 那須明 | 1973.3.16 - 1976.7.1 | 陸士54期 | 陸上幕僚監部監察官 | 退職 | 1975.7.1陸将 |
第9代 | 小林正信 | 1976.7.1 - 1980.3.16 | 第1空挺団副団長 | 第1師団長 | 1979.7.10陸将 | |
第10代 | 若月勲 | 1980.3.17 - 1982.6.30 | 第10師団司令部幕僚長 | 北部方面総監部幕僚長 | 就任時1等陸佐 1980.7.1陸将補 |
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第11代 | 水野智之 | 1982.7.1 - 1984.6.30 | 防大1期 | 第5師団司令部幕僚長 | 富士学校普通科部長 | |
第12代 | 小林英雄 | 1984.7.1 - 1986.7.31 | 中部方面総監部人事部長 | 第10師団副師団長 | 就任時1等陸佐 1985.3.16陸将補 |
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第13代 | 楠元惇之 | 1986.8.1 - 1989.3.16 | 自衛隊愛知地方連絡部長 | 退職 | ||
第14代 | 木家勝 | 1989.3.16 - 1991.3.15 | 防大6期 | 北部方面総監部防衛部長 | 幹部候補生学校長 | |
第15代 | 土井義彦 | 1991.3.16 - 1993.6.30 | 防大7期 | 第9師団副師団長 | 東北地区補給処長 | |
第16代 | 山本勝 | 1993.7.1 - 1996.3.24 | 防大9期 | 自衛隊沖縄地方連絡部長 | 富士学校副校長 | |
第17代 | 高橋佳嗣 | 1996.3.25 - 1998.6.30 | 防大11期 | 幹部候補生学校学生隊長 | 体育学校長 | |
第18代 | 衣笠陽雄 | 1998.7.1 - 2001.1.10 | 防大13期 | 第6師団司令部幕僚長 | 関西補給処長 | |
第19代 | 直海康寛 | 2001.1.11 - 2002.3.21 | 防大16期 | 富士学校特科部長 | 幹部候補生学校長 | |
第20代 | 火箱芳文 | 2002.3.22 - 2003.3.26 | 防大18期 | 中部方面総監部幕僚副長 | 北部方面総監部幕僚長 | |
第21代 | 寺崎芳治 | 2003.3.27 - 2005.1.11 | 防大20期 | 陸上幕僚監部監理部総務課庶務室長 | 東北方面総監部幕僚副長 | |
第22代 | 木野村謙一 | 2005.1.12 - 2006.8.3 | 防大23期 | 陸上幕僚監部人事部人事計画課長 | 陸上幕僚監部運用支援・情報部長 | |
第23代 | 岡部俊哉 | 2006.8.4 - | 防大25期 | 陸上幕僚監部運用支援・情報部運用支援課長 |
[編集] 空挺訓練生
- 空挺訓練生になるためにはいくつかの条件がある。
[編集] スポーツ
第1空挺団は、様々な大会に出場し、上位入賞の好成績を挙げている。実際に、富士山で行われる富士登山駅伝では、滝ヶ原自衛隊(富士教導団普通科教導連隊など)と毎年優勝争いをし、また自衛隊内での交流試合や大会などにおいても常に優勝している。またラグビーチームである習志野自衛隊は関東社会人リーグ1部に所属している。
[編集] モットー
- 風林火山。それぞれ各種の競技会に掛けている
- 降下の心構え
- 1 確実
- 2 機敏
- 3 細心
- 4 大胆
- 5 協同
- 前動続行
- いかなる犠牲があろうとも、任務遂行のため命令どおりに指示を続行すること。不屈の精神を現す。
[編集] 施設
[編集] 関連項目
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陸上自衛隊 (☆…中央即応集団所属) |
☆特殊作戦群 (SOG) | ☆第1空挺団 西部方面普通科連隊 (WAiR) | 冬季戦技教育隊 | 対馬警備隊 参考項目…レンジャー |
海上自衛隊 | 特別警備隊 (SBU) |
航空自衛隊 | 基地防衛教導隊 |
海上保安庁 | 特殊警備隊 (SST) |
警察庁 | 特殊急襲部隊 (SAT) | 特殊捜査班 (SIT) | 銃器対策部隊 原子力関連施設警戒隊 | 総理大臣官邸警備隊 NBCテロ対応専門部隊 |
皇宮警察 | 皇宮警察特別警備隊 |
[編集] 外部リンク
- 陸上自衛隊
- 傘の会HP
- 「藍より蒼きおおぞらに-陸上自衛隊空挺教育隊研究降下班」(『セキュリタリアン』1999年11月。)
- 「守り、育まれ続ける "傘の絆"-陸上自衛隊第1空挺団」」](『セキュリタリアン』2005年4月。)
- 空挺館