おしん
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おしん | |
ジャンル | テレビドラマ |
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撮影方式 | 4:3 SDTV |
放送時間 | 月~土 午前8時15分~・午後0時45分~(再) |
作 | 橋田壽賀子 |
出演 | #出演 |
放送国 | ![]() |
放送局 | NHK |
放送期間 | 1983年4月4日~1984年3月31日 |
放送回数 | 297話 |
『おしん』は、1983年4月4日から1984年3月31日まで放送されたNHK 連続テレビ小説。全297話。
目次 |
[編集] 概要
平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。後にスリランカ、インドネシア、台湾、香港、アフガニスタン、シンガポール、エジプトなど世界63ヶ国で放送され、苦難に遭いつつも決してあきらめない主人公おしんの姿が、日本だけでなく、世界各国で人々の共感を呼び、「おしんドローム」という言葉を生み出した。2007年現在、「世界で最もヒットした日本のテレビドラマ」とされる。
最近では、日本のケーブルテレビ局においても『おしん』が放送されるようになった。
スーパーマーケット「ヤオハン」を興した和田カツをモデルにしたという説もあるが、このテレビドラマの筋立ては必ずしもヤオハンの創業過程をなぞったものではない。脚本を書いた橋田壽賀子によると、幼少期の苦労や創業時当時の行商などは和田ではなくダイエーを興した中内功をモデルにしているらしい。和田は小田原の大きな青果商の娘だったため金銭的に苦労をしたことはあまりない。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
1983年、列車の中である老婦人が座っていた。彼女の名は田倉(たのくら)しん。昔風に“おしん”とよばれ、スーパーの経営者であった彼女は血のつながらない孫を連れて、故郷である山形の寒村へと向かいながら辛い人生を振り返っていた・・・。自分の事だけしか考えない経営方針に突き進む息子ひとしに悩んだおしんがどこでどうしてそういう息子にしてしまったか、自分の軌跡を辿る旅に出る。
[編集] 作品概要
『おしん』誕生のきっかけは原作者・橋田壽賀子の元に寄せられた一通の匿名の手紙であった。「ある明治生まれの女性が、人に言えない過去を病床で綴ったものでした。子守り奉公したり、“女郎屋”に売られたりね」
明治の人の苦労を伝えるのは、自分たちの世代の義務だと感じた。「でもテーマが地味すぎて、どのテレビ局にも断られました。NHKでも、かなり反対があったんですよ。“明治物は当たらない”と言われてましたし……。川口幹夫放送総局長(当時)の賛成でやっと決まったんです」
(参考資料:ザテレビジョン編集部[編]『TVの出来事まるごと10年!別冊ザテレビジョン』角川書店・1992、146ページ)
- 『おしん』は海外、とりわけ発展途上のアジア圏で人気が高く、少女時代を演じた小林綾子が放送された国を訪れると、今でも様々な歓待を受けるという。
- 逆に、西欧諸国などで放送されたとき、国によってはあまり人気がでなかった。そのため、おしんが人気がある国は、政治的自由のあまりない国が多い、という意見も聞かれた。そのせいか、中国では非常に人気があり、放送から20年以上経った現在でも湖南テレビにて『阿信』(アーシン)として放送されている(中国語の「阿」が日本語の「お」に相当 「信」の方は当て字)。
- 嫁姑戦争の舞台となった佐賀県では、「県のイメージダウンになる」とNHK佐賀放送局に抗議の電話が殺到し、NHKが「もう少し見てもらえば真意をとってもらえる」と釈明を出す必要に迫られた。
- おしんの奉公地に設定された山形県酒田市出身である評論家の佐高信は、「酒田周辺ではおしんよりもっと苦難を強いられた女性が沢山いる」として、『おしん』に批判的である。
- 本放送時、札幌市水道局の水道使用量が急速に減少して警告が鳴り、ラジオ「君の名は」の再来か、というエピソードが当時の北海道新聞に掲載された。
- ベトナムでは「おしん」がメイドや家政婦を指す代名詞になっている
- おしんが放映されていたエジプトでは、放映中に停電が起こり、怒った視聴者たちが発電所やテレビ局に対して投石等の暴動を起こす事件もあった。
- イスラム教国では、男女が自然に触れ合うシーンなどが放映時にカットされたため、逆に猥褻シーンがあるとの憶測を呼んだことがある。
- 主人公・田倉しんは1901年生まれとされている。
- ドラマと現実の区別のつかなくなった熱狂的な視聴者が、泉ピン子あてに米を送ってきたり、「おしんに渡してほしい」と、NHKに多額の金銭が送りつけられたこともあった。おしんと対立したおしんの息子の妻を演じた女優を町中で発見し、にらみつけたりしたらしい。また「おしんのしんは辛抱のしん」と辛抱を呼びかける現象までも発生したが、これについては橋田自らが「あれは辛抱を描いたドラマではありません」と自粛を呼びかけている。
- 後年、伊東四朗が、おしんを奉公に出す川下りのシーン(窮乏と悲惨さを象徴し、本ドラマで必ず引き合いに出されるほど有名なシーン)が、別撮りであったことを暴露した。
- この作品は、幼年期の苦労を描いただけではなく、義理や周りを見ることなく、他人を押しのけてまでたとえ銭儲けをしてもいずれ自分を追いやってしまう、人として本当に大切な物は何かというメッセージが、おしんが人生の歩みの中で出会ってきた沢山の恩人の言葉を通してちりばめられている。
[編集] 出演
- 谷村しん《おしん》(少女期) 小林綾子(第1部ヒロイン)……貧農に生まれ、貧しさのために母と別れ、奉公に向かう。利発で心の優しい少女。
- 谷村しん→田倉しん(少女~成年期) 田中裕子(第2部ヒロイン)……姉の勧めで東京に上京し、結髪師の見習いとなる。
- 田倉しん(中年~老年期) 乙羽信子(第3部ヒロイン)……スーパーの経営者。
- 谷村ふじ 泉ピン子……おしんの母。
- 谷村作造 伊東四朗……おしんの父。
- 谷村なか 大路三千緒……おしんの祖母。
- つね 丸山裕子……おしんの最初の奉公先、中川材木店の使用人。おしんの躾け係。おしんに辛く当たる。
- 俊作 中村雅俊……最初の奉公先から逃げ出したおしんを山中で助けた脱走兵。一冬を共に過ごす。おしんに読み書きや算数、ハーモニカ、与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」を教え、戦争の愚かさや命の尊さを説く。その後おしんの目の前で憲兵に射殺されてしまう。
- 八代加代 志喜屋文(少女期)→東てる美……おしんの二度目の奉公先である酒田の米問屋加賀屋の娘でおしんとは同い年。画家になることをあこがれ、主人公に大きな影響を与える。
- 加代の祖母:くに 長岡輝子おしんの理解者。広い心で、幼いが向学心のあるおしんを見守る。
- 加代の母:みの 小林千登勢
- 加代の父:清太郎 石田太郎
- 高倉浩太→並木浩太 渡瀬恒彦……農民運動の活動家で、おしんの初恋相手。後に未亡人となったおしんを何かと援助する。
- 田倉竜三 並木史朗……おしんの夫。
- 田倉清 高森和子……おしんの姑
- 田倉大五郎 北村和夫……おしんの舅
- 源右衛門 今福将雄(現:今福將雄)……竜三の家の手伝い、大地震にて死亡
- 田倉雄(ゆう) 伊藤毅→萩堂譲二→山野礼央→槇浩→松田洋治→冨家規政……おしんの長男。出征後戦死。
- 田倉愛(あい)……おしんの長女。しかし佐賀で生まれて間もなく死亡。
- 田倉仁(ひとし) 山下真司→高橋悦史……おしんの次男。
- 八代希望(のぞみ)野村万之丞……加代の一人息子。加代の死後、おしん夫婦に養育される。
- 八代圭(けい)大橋吾郎……希望(のぞみ)の息子。おしんと一緒に山形を訪ねる。
[編集] スタッフ
[編集] 舞台
[編集] 映画版
1984年作品。日本。朝の連続テレビ小説の第1部をアニメーション映画化したもの。
1984年3月17日に公開されるものの、高視聴率を挙げたドラマとは裏腹に上映打ち切りが相次ぎ興行的には失敗に終わる。配給収入は約2億円。2006年、ポニーキャニオンから発売された『サンリオ映画シリーズ』の1作としてDVD化された。
[編集] 声の出演
[編集] スタッフ
- 監督 山本暎一
- 製作 辻信太郎
- プロデューサー 富岡厚司・波多野恒正
- 原作・脚本 橋田寿賀子
- 製作 サンリオ映画
[編集] 漫画版
- 原作 橋田寿賀子
- 漫画 宗美智子
- 発行 集英社 マーガレットコミックス全2巻
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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