アイドル天使ようこそようこ
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『アイドル天使ようこそようこ』(アイドルてんしようこそようこ)は、葦プロダクション・テレビせとうち制作のテレビアニメ。テレビ東京(TXN)系列で1990年4月2日から1991年2月4日まで放送された。全43話。
『アイドル伝説えり子』に引き続き、実在のタレント田中陽子とタイアップして製作されたオリジナルアニメである。1980年代の大映ドラマを思わせる連続物のサクセスストーリーだった前作とは対照的に、基本1話完結の、現実より少し浮き上がったようなミュージカル仕立てのファンタジックな作品である。特に中盤以降の奔放かつ奇想天外な脚本・演出が、当時のアニメファンの間でカルト的な人気を博した。
原案に『魔法のプリンセスミンキーモモ』で有名な首藤剛志が携わる中、平成版ミンキーモモという構想の下に約1か月遅れで放送を開始した、同葦プロダクション製作の『魔法のエンジェルスイートミント』とも、かなりの共通点がある番組でもある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
シンガー志望のようこと女優志望のサキは、上京する新幹線の中で出会って意気投合し、東京へとやってきた。しかし何のあてもない二人は、とりあえずスカウトされるためにSHIBUYA(≒渋谷)に行き、野宿をしながら機会を待つ。そして怪しげなビデオ女優のスカウト活動をしていた原田を巻き込み、弱小芸能プロダクション「アイスター」に半ば強引に売り込んでその一員となる。こうしてSHIBUYAを舞台に二人の不思議の街のアリスの物語が始まる・・・。
[編集] 解説
[編集] 企画から放送開始まで
ようこは前番組のえり子の放送開始前から企画案が模索され、えり子が商業的に一定の成果を挙げるに従って後番組として具体的に詰められていった。その過程で参加した首藤剛志が基本設定の多くを提案し取りまとめ、スタッフリストでは「原案・構成」とクレジットされることになった。最終的にホリプロのタレントスカウトキャラバンで優勝したアイドル田中陽子とのタイアップが決定して設定が確定し、アニメの製作がスタートした。
田中とのタイアップは前作に準じたもので、主役に同じ名前(田中ようこ)を付けること、OPとED曲の起用、及び本放送当時「ヨッキュンコーナー」と名付けられた1分程度の本人のPR映像がアニメ本編に続けて放送された。ただし最終話を除くEDに本人の実写映像が挿入された以外にアニメそのものへの参加はなく、ようこが歌うシーンは担当声優のかないみかがそのまま歌っている。
[編集] 時代背景
ようこが製作された当時は、経済的にはバブル景気が頂点に達した時期である。転売を目的とする地上げ屋の強引な土地買収が深刻な社会問題となり、株や土地の暴騰によって巨額の利益を得た企業や富裕層、一般市民までもが更なる投資や高額商品・不動産の購入に走り、学生が繁華街で高級乗用車やバイクを乗り回す姿は決して荒唐無稽な風景ではなかった。社会全体が極度に高揚した時代であったといえる。
また芸能面では女性アイドル(歌手)の概念が神秘的な偶像から身近で等身大の存在に、またファンも幅広い一般層から狭くて深いマニアックな層へと急速に変化していった時期でもあり、80年代に活動した女性アイドル歌手の多くは引退か、歌以外の女優やマルチタレントへの転身を余儀なくされていた。前作タイアップの田村英里子は当時抜群の容姿と偶像性を備えていたにもかかわらず、充分なCDセールス実績を挙げることはできず、本作の田中陽子に至ってはわずか1年足らずで引退した。それとは対照的に、本作でサキの声と歌を担当した林原めぐみはこの後アイドル声優の代表的な存在となり、オリコンチャートベスト10に何枚もCDを送り込むことになった。
前作のえり子が大映ドラマを思わせる70~80年代型アイドルをベースにした古典的なサクセスストーリーであったのに対し、本作ではアイドルの神秘性を残しつつ(主役のようこは最後まで生い立ちや家庭環境が語られなかった)、より身近なキャラクターへと変更された。ようこの性格は太陽に例えられ究極なまでに前向きで、降りかかる問題も悩むより先に行動を起こして解決してゆき、首藤作品には珍しい、終始前向きで明るいカラーに包まれた作品に仕上がった点に特徴があった。
その背景としては前に述べたバブル絶頂期に於ける社会の極度な高揚感や、アイドルの概念の変質が挙げられる。作中ではようこたちと対立する星花京子が典型的な70~80年代型アイドルとして描かれた(彼女には作られた虚像と実像のギャップやステレオタイプな家庭環境が語られている)が、ストーリーを通じてようこたちと和解し、太陽を分け与えられて歌い続けることになる。それは当時行き場をなくしつつあった女性アイドル歌手の、理想とされる姿でもあった。
アニメの製作に当たって、監督のアミノテツローとメインライターの首藤剛志は渋谷をベースにしたSHIBUYAの街全体を書き割りの舞台と捉え、それを強く意識した構成を取った。また作品世界の幅を広げるために舞台俳優から声優、家庭の主婦といった脚本を本業としない人々にもシナリオを依頼したため、個々の話はバラエティに富み、かつ当時の世相を色濃く反映したものになり、「奔放かつ奇想天外な」印象を与えることになった。
しかしながら、メインライターの首藤は製作途中に病気で二度現場から離れ、打ち切りによるストーリー構成の短縮も加わって、全体的に統一性を欠いた面は否めなかった。それでも舞台仕立てで構成された最終2話は秀逸で、笑顔が消え殺伐とした現実に覆われた未来社会で、生きる気力を失いかけていた京子や長五郎に向かってようこがモニター越しに「希望」を示す最終話の劇的なラストシーンは、放送終了直後に社会を襲ったバブル崩壊を暗示すると共に、深い印象を与えるものとなった。
葦プロ・テレビせとうち製作のアイドルタイアップ作品は本作を以て終了した。首藤剛志が描こうとした舞台仕立ての構成やアイドルの意味は、1994年に製作された『超くせになりそう』で更に突っ込んで描かれることになる。
[編集] 放送終了後の展開
田中陽子の早すぎた引退とも相まって、本放送当時は商業的には成功したとは言い難かったが、放映中からパソコン通信などを通じて一部アニメファンの間にカルト的な人気を博していたことから、ファンの力に後押しされる形で挿入歌集が発売されたり、署名活動によって全話レーザーディスクで発売されるなどの盛り上がりを見せた。DVDもこの時代のアニメとしては比較的早期に発売されている。
また、かないみかと山寺宏一は本作での共演がきっかけで交際が始まり、放送終了2年後の1993年に結婚した。
[編集] キャスト
- 田中ようこ:かないみか
- 山杜サキ:林原めぐみ
- 星花京子:水谷優子
- ムー/伊集院:鈴木勝美(二役)
- 徳大寺豊:松本保典
- 速水亮:関俊彦
- 山下秀樹:鈴置洋孝
- 原田俊雄:大滝進矢
- 吉秋久美子:島津冴子
- 渋谷長五郎:西村知道
- 安さん:山口勝平
- 第一:山寺宏一
[編集] スタッフ
- 原案・構成:首藤剛志
- 監督:アミノテツロー
- キャラクターデザイン:近永早苗(スタジオライブ)
- 美術監督:田中資幸
- 撮影監督:福田岳志
- 音響監督:田中英行
- 音楽:安藤高弘
- 効果:野口透(アニメサウンド)
- 協力:ホリプロ
- 製作:テレビせとうち、ビッグウエスト、葦プロダクション
[編集] サブタイトル
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[編集] 主題歌
- OP「陽春のパッセージ」(歌:田中陽子、作詞:森雪之丞、作曲:岡本朗、編曲:鷺巣詩郎)
- ED1「一人にさせない」(歌:田中陽子、作詞:許瑛子、作曲:山口美央子、編曲:鷺巣詩郎)
- ED2「陽のあたるステーション」(歌:田中陽子、作詞:田口愛、作曲:山口美央子、編曲:鷺巣詩郎) - 最終話のみ
[編集] ネット局
- 同時ネット:テレビせとうち、テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビ北海道、
- 時差ネット:青森放送、IBC岩手放送、仙台放送、山形テレビ、新潟総合テレビ、石川テレビ放送、岐阜放送、三重テレビ、奈良テレビ、テレビ和歌山、テレビ新広島、テレビ山口、九州朝日放送、テレビ長崎、テレビ熊本、鹿児島テレビ放送
テレビ東京系 (テレビせとうち製作)月曜18:00枠 | ||
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前番組 | アイドル天使ようこそようこ | 次番組 |
アイドル伝説えり子 | ゲッターロボ號 |
[編集] 映像ソフト
[編集] ビデオソフト
- Vol.1「ようこそIN公園通り」(1~5話収録、1990年9月1日発売、ソニーミュージックエンタテイメント)
- Vol.2「すてきなハンズロフト」(6~10話収録、1990年9月1日)
- Vol.3「スペイン坂の雨」(11~15話収録、1990年11月1日)
- Vol.4「小さな星空の奇跡」(16~20話収録、1990年11月1日)
- Vol.5「歌え!走れ!グランプリ」(21~25話収録、1991年2月1日)
- Vol.6「ガラスの中のアイドル」(26~30話収録、1991年2月1日)
- Vol.7「月の輝く夜に」(31~36話収録、1991年3月21日)
- Vol.8「不思議の街のアリスたち」(37~43話収録、1991年3月21日)
[編集] レーザーディスク
- アイドル天使ようこそようこ TVシリーズ全話収録LDBOXセット(1993年12月25日発売、CBSソニー)
- 特典のかないみかボーカルCDは放送後の再録音。
[編集] DVD
- アイドル天使ようこそようこ DVD-BOX(1999年12月10日発売、ムービック)
- アニメイト通販のみの特典でドラマCDが追加。本体特典のかないみかボーカルCDは放送後の再録音。
- 以下、DVD単体販売(特典なし)
- 第1巻(1~6話収録、2000年5月26日発売)
- 第2巻(7~12話収録、2000年5月26日)
- 第3巻(13~18話収録、2000年6月23日)
- 第4巻(19~23話収録、2000年6月23日)
- 第5巻(24~28話収録、2000年7月25日)
- 第6巻(29~33話収録、2000年7月25日)
- 第7巻(34~38話収録、2000年8月25日)
- 第8巻(39~43話収録、2000年8月25日)
[編集] CD・書籍
[編集] CD
主題歌を含めた田中陽子名義のCDは(こちら)を参照のこと。
- アイドル天使「ようこそようこ」サウンドトラック(1991年1月30日発売、ポニーキャニオン)
- ボーカル8曲とBGMより構成。ただし水谷優子の1曲を除き担当声優の歌はなし。
- アイドル天使ようこそようこ~Must Be In Shibuya~(1992年11月21日、日本クラウン)
[編集] 書籍
- LEGEND OF IDOL(BANDAI B-CLUB SPECIAL 1992年12月15日初刷、A4版144p、カバー付)
- 前番組の『アイドル伝説えり子』と共同で編集されたムック。
[編集] 外部リンク
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