アニメタル
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アニメタルは、1997年に結成された日本のヘヴィメタルバンド。1996年に同名の曲が発表されているが、基本的にはバンド名を指す。アニメ及び特撮ヒーローもののテーマ曲・挿入歌、いわゆる「アニメソング」をメタル・アレンジし続けている異色のバンドである。
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[編集] 略歴
1996年春、ギタリスト野村義男と音楽プロデューサー久武頼正との会話で、「アニメソングをメタルでやったらアニメタルじゃない?」という、どちらかといえば軽い冗談からアニメタルの構想が生まれる。
その後久武がレコード会社を回り、アニメタルを売り込んだ結果、ファンハウスから発売が決定。ボーカルには久武の希望により、ANTHEMを一時脱退していたさかもとえいぞうが選ばれた。当時、さかもとは音楽活動は続けていたものの、会社員生活の身であった。2日間でレコーディングされた1stシングル『アニメタル』は、発売がちょうど年末の宴会時期に重なり、「宴会ソング」として15万枚以上のセールスを記録した。それまでは「ヘヴィメタルで大規模なカラオケ需要は有り得ない」というのが定説であっただけに、アニメタルのヒットはジャパメタシーンに大きなインパクトを与えた。
このヒットによりアニメタルはパーマネント・バンドとして活動を開始する。元ガーゴイルの屍忌蛇(ギター)、ココバットのTAKE-SHIT(ベース)、ガーゴイルのKATSUJI(ドラムス)を迎え、SMEより2ndシングル「This is ANIMETAL」を発表。そして元Jacks'n JokerのMASAKI(ベース)、梅沢康博(ドラムス)を迎えた編成で、1stアルバム『アニメタルマラソン』をリリースした。マラソンの距離(42.195km)にちなんだ42分19秒5に及ぶ怒涛のメドレーで構成された本アルバムは、1980年代へヴィメタルへのリスペクトあふれるアレンジや、高い演奏技術、さかもとの熱唱によって、イロモノの域を超えた高評価を獲得し、アニメおたくからメタラーまでをファンに取り込むことに成功した。
1997年5月に3rdシングル「特撮でいこう」、ボーカルに元ピンクレディーのMIE(未唯)を迎えたアニメタルレディーの1stシングル『アニメタルレディー参上』が発表されるが、ドラムの梅沢康博が脱退、以後はゲストドラマーを迎え活動することになる。同年7月には元LOUDNESSの樋口宗孝を迎えたシングル『アニメタルサマー』、9月にはシングル『センチメタル』とリリースが続き、同年11月には初のオリジナルソングとして、劇場版『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のエンディングテーマになったシングル『永遠の未来』が発表された(ドラムにはKATSUJI、キーボードには難波弘之が参加)。
1998年2月には2ndアルバム『アニメタル・マラソンII ~特撮編~』と初のメンバー作詞作曲によるシングル『勇気の証』、同年10月には3rdアルバム『アニメタル・マラソンIII ~円谷プロ編~』を発表するなど順調に活動を続けたが、1999年7月に、活動休止を宣言。同月のライブをもって活動を休止した。
その後2001年に活動を再開。9月にアルバム『アニメタル・マラソンIV』を発表するが、ギタリストの屍忌蛇が脱退(事実解雇)、Galneryus、AUSHVITZのSyuが加入する。2003年6月にアルバム『アニメタル・マラソンV』、2004年6月に1stシングルのリメイク盤『THE ANIMETAL ~RE-BIRTH HEROES~』、同年9月にアニメのエンディング曲や劇場版主題歌が中心のアルバム『アニメタル・マラソンVI』をリリースした。
2005年10月に特撮ヒーローもの中心のアルバム『アニメタル・マラソンVII ~戦え!メタル・ヒーロー~』を発表。『魔法戦隊マジレンジャー』や『特捜戦隊デカレンジャー』のような21世紀に入ってからのスーパー戦隊シリーズが取り上げられたことが話題となる。週刊少年ジャンプの名作を集めた『JUMP IN THE FIRE』がボーナスとして収録された。
2006年7月に、10周年記念ツアーをもって再封印(活動休止)することを宣言。それぞれ多忙になったメンバーのスケジュールの都合のためと説明された。8月に、10周年記念アルバムで初のフルコーラス・アレンジ・アルバム『DECADE OF BRAVEHEARTS』を発売。10月22日、Zepp東京で行われたライブを最後に再封印。ライブのMCによれば、もし再び活動を再開することがあれば、封印はもう行わないとしている。
[編集] 影響
アニメタルの成功により、1997年頃から「2匹目のどじょう」を狙ったバンドが数多く現れた。アニメソングをアレンジとしたバンドとしては、パンクにした「アニパンク」、テクノにした、「アニテクノ」、ユーロビートにした「アニユーロ」、レゲエにした「レゲエの鬼太郎(ボーカル・ふかわりょう)」などがある。アニメソング以外でも、フォークソングをメタルにした「メタルフォーク」、歌謡曲をメタルにした「メタルっち」「ナツメタル」、刑事ドラマ主題歌をメタルにした「刑事(デカ)メタル」などがある。なお、以上のバンドの中でも「レゲエの鬼太郎」、「メタルフォーク」、「メタルっち」はアニメタルからの派生バンド、いわゆる「アニメタル・ファミリー」である。
なお、これら「2匹目のどじょう」を狙ったバンドの中には、「モスラメタル」(柴田直人、ボーカルは尾藤イサオ)や「演歌メタル」(福田洋也)等、アンセムの歴代メンバーが便乗したものもあった。他にも1980年代のメタルシーンの中心にいた者たちがこの種の企画に数多く関わっており、メタルミュージシャンとして知名度のある者でさえメタル一筋では食っていけないほどに市場が低迷していた、1990年代のジャパニーズメタルの氷河期を一層強く印象づけることにもなった。
[編集] 作風
アニメタルはただ単にアニメソングや特撮ソングをヘヴィメタルにアレンジするだけでなく、ヘヴィメタルの名曲のフレーズを多くの曲に取り込んでいることでも知られている。
例:
- 鋼鉄ジーグのうた=ディープ・パープルの『BURN』
- 宇宙刑事ギャバン=イングヴェイ・マルムスティーンの『RISING FORCE』
- 科学戦隊ダイナマン=LOUDNESSの『CRAZY DOCTOR』
- ガンダーラ(西遊記)=レインボーの『GATES OF BABYLON』
- 駆けろ!スパイダーマン(スパイダーマン)=デッドエンドの『SPIDER IN THE BRAIN』
- ホームワークが終わらない(幽遊白書)=ドッケンの『TOOTH AND NAIL』
- タッチ=メタリカの『BATTERY』
- 超獣戦隊ライブマン=ジューダス・プリーストの『BREAKING THE LAW』
また、カヴァーだけでなく、各アルバムのOPとEDのインストや歌モノの「永遠の未来」「勇気の証」等のオリジナル曲やるろうに剣心のキャラクターソング等も存在する。
ただ、当然の事ながらMAKE-UPが担当した「聖闘士星矢」の主題歌『ペガサス幻想』や、クリスタルキングが担当した「北斗の拳」の主題歌『愛をとりもどせ!!』等、元々からのハードロック曲である物は題材として取り扱っていない。
[編集] メンバー
初期はあくまでユニット形式だったアニメタルだったが、1stアルバム発表と同時にバンドへと昇華。以後メンバーチェンジを繰り返しながら活動した。
ボーカルは一貫してさかもとが務めた。ギターは元ガーゴイル、VOLCANOの屍忌蛇が長く担当した。過剰なほどに哀愁を漂わせるメロディックなフレーズはアニメタルをキワモノバンドとは一線を画した存在にした。屍忌蛇脱退後は若手No1とも称されるSyuが担当。屍忌蛇時代とSyu加入後とはギターフレーズなどのアレンジも変わっている。
ベースは日本のビリー・シーンと称されるMASAKIが担当。日本でも数えるほどの超絶技巧は、ベース専門誌「ベース・マガジン」でも高い評価を得ている。
ドラムは梅沢康博脱退後は固定メンバーを決めず、サポートメンバーがプレイしている。その中でもガーゴイルのKATSUJIは『This Is ANIMETAL』でドラムを担当して以来、梅沢脱退後のほぼ全てのアルバムに参加している。
[編集] 再封印時のメンバー
[編集] 旧メンバー・サポートメンバー
ここでは、定期的に参加するミュージシャンを「サポートメンバー」、1stアルバム以降脱退したメンバーを「旧メンバー」、ライブや楽曲などに参加したミュージシャンを「ゲストミュージシャン」とした。
- サポートメンバー
- 旧メンバー
- シングル『アニメタル』
- Guitar: 篠塚泰文
- Bass: 岡村陽
- Drum Programming: デビル宮本
- シングル『This Is ANIMETAL』
- Bass: TAKE-SHIT
- アニメタルレディー
- ゲストミュージシャン
- Guest Vocal : 竹内光雄 (マラソン4 from.大衆酒場、DTR)
- Guest Vocal : NOV (マラソン4 from.AION)
- Guitar: 島紀史 コンチェルト・ムーン、1997年 (1stライブサポート)
- Guitar: マーティ・フリードマン ex.メガデス、2002年 (アニメタルレディーマラソン2)
- Keyboard: 難波弘之 1997年 (sg「永遠の未来」)
- Drums: 樋口宗孝 1997年
- Drums: SHINKI 1997年他 (アニメタルレディーマラソン・ライブドラマー)
[編集] ディスコグラフィー
[編集] アルバム
- アニメタル・マラソン 1997年3月21日発売
- アニメタル・マラソンII ~特撮編~ 1998年2月21日発売
- アニメタルのベスト 1998年5月21日発売
- アニメタル・マラソンIII ~円谷プロ編~ 1998年10月21日発売
- COMPLETE FIRST LIVE 1999年10月1日発売
- COMPLETE LAST LIVE 1999年10月1日発売
- アニメタル・マラソンIV 2001年9月12日発売
- アニメタル・マラソンV 2003年6月25日発売
- アニメタル・マラソンVI 2004年9月22日発売
- アニメタル・マラソンVII ~戦え!メタル・ヒーロー~ 2005年10月21日発売
- DECADE OF BRAVEHEARTS 2006年8月2日発売
[編集] シングル
- アニメタル 1996年10月23日発売
- This Is ANIMETAL 1997年2月1日発売
- 特撮でいこう! 1997年5月21日発売
- アニメタル・サマー 1997年7月21日発売
- センチメタル 1997年9月21日発売
- 宿敵見参! るろうに剣心のサウンドトラック(1997年発売)に収録。
- The 十本刀 るろうに剣心のサウンドトラック(1997年発売)に収録。
- 永遠の未来 1997年11月21日発売 劇場版「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 維新志士への鎮魂歌」エンディングテーマ
- 勇気の証 1998年2月21日発売
- THE ANIMETAL ~RE-BIRTH HEROES~ 2004年6月23日発売
[編集] 関連バンド
- ANTHEM / さかもとえいぞう
- RESONANCE / さかもとえいぞうがANTHEM加入以前に在籍していたバンド。
- 練馬マッチョマン / さかもとえいぞう
- JAM Project / さかもとえいぞう
- Gargoyle / 屍忌蛇、KATSUJI
- Galneryus / Syu
- AUSHVITZ / Syu
- JACKS'N'JOKER / MASAKI
- LOUDNESS / 樋口宗孝
- COCOBAT / TAKE-SHIT
- CANTA / MASAKI
[編集] 関連商品
- アニ○○○
- アニパンク
- アニテクノ
- アニユーロ
- ○○メタル
- ナツメタル
- 刑事メタル
- ドラメタル
- マンガ日本メタルばなし
- 演歌メタル
- モスラメタル
[編集] 外部リンク
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