スバル・アルシオーネSVX
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スバル・アルシオーネSVX | |
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製造期間 | 1991年 – 1996年 |
ボディタイプ | 2ドア クーペ |
エンジン | EG33型 3.3L 水平6気筒 240ps/31.5kgm |
トランスミッション | 4速AT |
駆動方式 | VTD-4WD |
全長 | 4625mm |
全幅 | 1770mm |
全高 | 1300mm |
車両重量 | 1590kg |
乗車定員 | 5人 |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
タイヤサイズ | 225/50R16 92V- |
先代 | スバル・アルシオーネ |
同クラスの車種 | 3代目トヨタ・ソアラ 2代目日産・レパード 2代目ホンダ・レジェンドクーペ 初代三菱・GTO 4代目ユーノス・コスモ |
スバル・アルシオーネSVX(Alcyone SVX)は、富士重工業が1991年9月に発売を開始した5人乗り2ドアクーペタイプの乗用車。
目次 |
[編集] 概要
日本国内向きにはアルシオーネの2代目にあたるが、海外ではSVXという別モデル扱いをされる。国際性のあるグラントゥーリズモと位置づけ、開発のポイントとして、先代の高い空力性能は引継ぎつつ、悪天候下における安全性を兼ねそろえることが目標とされ、240psを発揮するEG33型3300cc水平対向6気筒エンジン(レガシィ ブライトン220用EJ22型水平対向4気筒SOHC16バルブ2200ccをベースに2気筒追加し、ヘッドを狭角DOHC化したもの)と、トルク配分式4WDシステムを搭載した。尚、総排気量が3300ccとされたのは、3000ccターボエンジンと比較して、「GTには自然吸気のフィーリングのほうが相応しい」という理由から、3000ccに1割増しの余裕が与えられたためである。尚、スポーツカーさながらのスタイルを持っているものの、スペシャリティーカーという設定とされた為、マニュアルトランスミッションは設定されなかった。
また、先代モデルのデザインセンスを叩かれたことからジウジアーロにエクステリアデザインを依頼。それまでのスバル車らしからぬ流麗なボディラインに仕上がった。グラスtoグラスのキャノピーはドアガラスがルーフ面にまで回り込む形状でサイドウィンドウ全体を開閉できないため、その一部だけが切り欠くように開閉する斬新なミッドフレームウインドーを日本で初めて採用した。
意欲的なコンセプトとメカニズムを持った同車であったが、スバルというブランド自体が当時の高級GT市場の顧客と結びつかず、販売面では苦戦を強いられた。高年次車は販売台数が伸びなかったため、販売価格と内容をともに落とすモデルとなった。国内販売台数は生産終了までの期間で僅か5,884台、海外輸出分を含めた総生産台数は23,750台ほどに留まった。
1996年12月、バブル崩壊による高級車(特に2ドアクーペなどのスペシャリティモデル)市場の冷え込みと、レガシィの大ヒットにより、スバルのイメージリーダーカーとしてのアルシオーネは役割を果たしたとし、生産ラインをフォレスターに譲り生産終了となる。
[編集] 車名の由来
SVXとは、「Subaru Vehicle X」の略。スバルが提唱した「グランドツアラー」を象徴した呼び名である。尚「アルシオーネ」については、スバル・アルシオーネ#名前の由来を参照。
[編集] グレード・輸出仕様と日本仕様の相違など
- Version L =型式CXD 生産台数1905台 1991.9~1992.9 舵角センサー感知による電動4WS
- Version E, S-III, S4など=型式CXW
外観では内装以外に区別できないが、操舵系が大きく異なり、全く別の車といえる。
最も台数が少ない仕様はCXD SRS(サンルーフ付)レッドマイカ色で僅か 45台のみ生産された。CXD全体の生産台数が少ない事もありレッドマイカは115台に留まり生産月は通算6ヶ月のみであった。
- 輸出専用バージョンが多く製造された。ファイナル比が異なり最高速度が若干違うが200km以上で巡航が可能。アメリカ仕様の4WDは、日本仕様で採用されていたVTD-4WDではなく、旧アルシオーネに搭載されていた直進性に優れたACT-4が採用された。また最廉価版である2WDバージョンも存在した。
[編集] ガラスのミッション
- SVXを語るときに良く言われるのが、「ガラスのミッション」と言われるオートマチックトランスミッションの脆弱性、またそれに起因するトラブルである。これは、最初ミッションの滑りや極度の変速ショックが前兆として現われ、最終的には全く変速が出来なくなり、走行不能に陥るといったもので、主に初期のモデルに顕著に見られていた。これは、ミッション部のオイル詰まりによる変速機構の故障が原因であり、その後、対策品が供給されるようになり、最終型のS4ではトラブルはほぼなくなったとされている。このオートマの脆弱性も、SVXが日本市場で大成しなかった一つの要因と見る向きもある。
[編集] その他
- 自動溶接38%、手溶接62%、溶接打点5000ポイント以上(更に増打ち工程がありプラスαがあった)他車>4000程度。現代の車作りで二度とこのような事は行われない。骨格部分のみ精度の向上の為一括自動溶接している。
- 当時世界最高厚の厚め付け亜鉛メッキ鋼板が使われた。
- 艤装精度は他の車種の50%増し ガラスとボディーのピンとの穴はわずか0.2㎜の誤差しか許容されていない。
- 90%がオリジナル部品で互換性が他の車種とない。一般的な規格ねじ類を除くとほぼ100%、オーディオのコネクターまですべてオリジナルで、他のスバル車との共通性はない。ショックアブソーバーの径はどの国産車とも異なり10%程太くアフターパーツも存在しない。(日本車(エアサスを除く)の円筒の径は基本的に同じ)
- 耐寒、耐熱、高速試験に世界中で延べ1,000,000kmにわたる実走試験を行っている。