スバル・レガシィ
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レガシィ(LEGACY)は、富士重工業(スバル)が生産する乗用車である。 スバルの中では最高級車種となりフラグシップカーである。 代表モデルである「レガシィ・ツーリングワゴン」はステーションワゴンの代表的車種として知られているほか、セダンである「レガシィ・B4」、クロスオーバーSUVの「レガシィ・アウトバック」も販売されている。
現在のキャッチコピーは、「充たされる時間へ。」、「家族と走る私がいる。自分と走る、私がいる。」。
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[編集] 概要
1989年にレオーネの上級車種として登場以来、3回のモデルチェンジが行われ、2003年には4代目レガシィが登場した。4代目レガシィは富士重工業初の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
水平対向エンジンの採用により低重心化を達成、左右シンメトリー(対称)な機構配置による素性の良さと、四輪駆動方式によるトラクションの最適化も相まって、高い運動性能を実現している。
レガシィが搭載する水平対向エンジンは、現在国内メーカーの4輪車向けとしてはスバルのみが採用している。このエンジンは、ピストンの動きが対峙したボクシング選手が互いに繰り出すパンチのように見えることから「ボクサーエンジン」とも呼ばれ、他にもインプレッサ、フォレスターでも採用されている。挟角度が180度まで開いたV型エンジンと分類する向きもあるが、180度V型エンジンでは向かい合うピストンが1つのクランクピンを共有しているのに対し、水平対向エンジンでは共有していない。したがって180度V型は向かい合う一方のピストンが上死点であれば、他方が下死点にあるのに対し、水平対向ではどちらも上死点(もしくは下死点)にある。つまり、180度V型エンジンは広義の「水平対向エンジン」ではあるが、厳密には「ボクサーエンジン」とは言えない。
5ナンバークラスのボディに大型の居住空間を納めていることが特徴であったが、、同クラスのライバル車種(ホンダ・アコードやトヨタ・カムリなど)が相次いで3ナンバーに移行していること、また、タイヤハウスに余裕を持たせ取り回しを良くするなどの為、4代目へのフルモデルチェンジを機に全モデルが3ナンバーに移行した。狭い空間内での補強制約が減った事などにより、5ナンバー時代と比較してグレードによっては約100kg軽くなった。
[編集] 形式番号について
頭文字が「B」から始まるのが「形式番号」である。この記号が「レガシィ」を表すものとなる。余談だがレガシィには「B」が付くグレード名が多い(例:B-Spec、GT-B、Spec.B)ただし、これらの「B」はほとんどの場合、この記号由来のものではなく、B-Specは「BBS社製ホイールを履いていたから」で、GT-Bは「BILSTEIN社製ダンパーを採用したから」である。
この次に続くアルファベットが「世代」もしくは「ボディ型式」を表すもので、初代セダンが「C」、ワゴンが「F」で順次世代が新しくなるに連れて続くアルファベットが与えられている。ただし、このルールは4代目でセダンに「L」、ワゴンに「P」を与えたところで破られたが、これは3代目のセダンが「E」で、このルールに則っていくと4代目セダンが「F」となり、初代ワゴンと重なってしまうためである。ただし、何故「L」と「P」なのかは不明。
具体的には以下の通りである。
初代 : C/F(セダン/ワゴン)
2代目 : D/G
3代目 : E/H
4代目 : L/P
3番目には排気量、駆動形式、懸架区分を表す記号が振られる。具体的には以下の通りである。
2 : 1.8リットル 2WD
3 : 1.8リットル 4WD
4 : 2.0リットル 2WD
5 : 2.0リットル 4WD
6 : 2.2リットル 2WD
7 : 2.2リットル 4WD
9 : 2.5リットル 4WD
A : 2.0リットル 4WD エアサス仕様車
B : 2.2リットル 4WD エアサス仕様車
C : 2.5リットル 4WD エアサス仕様車
E : 3.0リットル 4WD
S : 2.0リットル 4WD
過給器の有無やSOHC/DOHCによる区別はない。
なお、現時点で「S」は3代目セダン「BE」型でのSTI特装車「S401」(後述)にのみ与えられた記号であるが、これはエンジンに手を加えられていた為だと思われる(ただし、同じ「S」シリーズでもインプレッサの「S」シリーズには特別な記号を与えられていない)
基本的にはこの3文字でオーナーの間では呼ばれているが、さらに細分するために「アプライドモデル」まで追加する事もある。
[編集] 生産工場
[編集] 歴史
[編集] 初代BC・BF型(1989年2月-1993年10月)
1989年1月23日に発表。翌2月1日発売。それまでのスバルの基幹車種はレオーネだったが、それはあくまで安価だったゆえに実現できたものであり、レース出場などでノウハウを蓄積した4WDでさえ「ファーマーズカー(牧場主に重宝なクルマ)」との評価に過ぎなかった。(もっとも、当時殆どの日本車がそうであったが)そのため、1985年プラザ合意以降の円高により、スバルは最大のマーケットであるアメリカで、たちまち深刻な販売不振と収益悪化に陥った。いすゞとの合弁によるアメリカへの工場進出も経営に重い負担となり、1980年代末にはスバルの経営状況は倒産さえ懸念されるほどの極めて厳しい局面を迎える。
さらに、レオーネのエンジン・シャシーなどの基本コンポーネントは、1966年発売のスバル1000そしてスバルff-1 1300Gまでにすでに完成されていたコンポーネントの改良に過ぎず、1980年代後半、4WDオートマティック技術を発展させた「アクティブトルクスプリット4WD」を除けば、国内自動車メーカー各社のフルタイム4WD発売の波にも乗り遅れ、もはや既存の技術に地道な改良を加えていく方法では限界であった。
こうした中、レガシィの開発は開発コード「44B」の名の下で進められた。
グレードには、最高級グレードの「GT」、スポーティグレードの「RS」、RSのモータースポーツ用ベース車両「RS type R」、type Rをベースにより実戦的な装備と改良が加えられた「RS type RA」、レガシィシリーズ発売1周年の特別記念限定車である「Ti type S」が存在する。
また、北海道小樽市のタクシー会社「こだま交通」向けに、レオーネを引き継ぐかたちで2000cc・4WDLPG車が設定されていた。
いすゞ自動車へは4ドアセダンがアスカCXとしてOEM供給されていた。
- 1989年1月 アリゾナ州テストセンターにて10万キロ世界速度記録達成。 「スバル レガシィ」シリーズ発表
- 2月 「スバル レガシィ」シリーズ発売。
- 10月 4ドアセダン、ツーリングワゴンに「GT」を設定・専用チューニング「EJ20G」ターボエンジンを搭載。
- 11月 車種追加
- 1990年1月 車種追加
- 4月 レガシィRS WRCデビュー
- 5月 年次改良(Bタイプ)
- 11月 RStypeRA追加
- 1991年5月 マイナーチェンジ 「EJ20D」エンジンをAT搭載車用にリセッティング・「Brighton」専用エンジン「EJ20E」新登場
- 6月 年次改良(Cタイプ)・車種追加
- 8月 車種追加 「ツーリングワゴンSTi」を200台限定発売・「GT」用「EJ20G」ターボエンジンに専用ECUを採用・過給圧変更
- 1992年6月 年次改良(Dタイプ)「Brighton220」専用エンジン「EJ22E」新登場
- 9月 車種追加
- 1993年8月 WRC第8戦「ラリーオブニュージーランド」でレガシィRS総合優勝
- 10月 BD/BG型レガシィツーリングスポーツ/ツーリングワゴン発表
[編集] エンジン・メカニズム
エンジンは新開発の水冷水平対向4気筒エンジン「EJ」型を全車に搭載。レオーネに搭載されていた「EA」型エンジンとは共通性はない。
発売当初のエンジンラインナップは「EJ18S」・「EJ20D」・「EJ20G」の3種類。
『新世代水平対向「BOXER」』の通り、全面的に刷新されたエンジンは、ペントルーフ型燃焼室を持つセンタープラグ配置で、吸入方式もレオーネの「EA」型エンジンのカウンターフロー方式からクロスフロー方式になり、効率は向上している。
全車に4バルブヘッド、クランクシャフト5ベアリング支持、バルブ開閉機構にHLA(ハイドロリックラッシュアジャスター)、電子制御燃料噴射を採用。さらにクランク角センサー、カム角センサー、ノックセンサーからの信号をECUで学習管理、点火時期を決定する電子制御点火方式を採用。レオーネの量販グレードがキャブレター吸気、古典的なディストリビューター点火時期管理だった事を考えれば長足の進歩で、ようやく時流に追いついた感がある。3タイプとも当時の国産ライバルとの比較ではトップのパワースペックを誇った。ボア×ストロークで見ると、「EJ18」が87.9×75mm、「EJ20」が92.0×75mmで、レオーネの「EA」型エンジンと同じく極端なオーバースクエア・ショートストローク型のエンジンであることにに違いはない。
また左右シリンダーブロックによってクランクシャフトを挟み込む水平対向エンジン本来のエンジン構造剛性面でのメリットを、5ベアリング支持としたことも、開発当初からWRCなどモータースポーツフィールドでの過酷な使用状況を視野に入れて、高回転域での信頼性を意図したものだろう。
その代償として、その後「EJ」型エンジンにずっと付いて回る「燃費の悪さ」(実際は、4WD化のネガティブ面である重量増加、走行抵抗増加による馬力損失、アドバンテージである駆動力の増加による安全性の担保などを考慮しない比較も多かったのだが)を払わされることとなった。その後、ECU演算能力の向上によるエンジン制御細分化、SOHCエンジンの投入など、パワーと扱いやすさ、燃費など複合的な条件を満たすべく様々な試みをを模索していく。
当時の2ℓ最強の220ps/6400rpmという圧倒的なスペックで登場した「EJ20」ターボエンジンは、「EJ20D」の圧縮比を9.7から8.5に下げ、石川島播磨重工業製ターボチャージャー、水冷式インタークーラーを装着。発売当初、レオーネに代々用意されたスポーツグレード「RX」に代わる「RS」に5速マニュアルトランスミッションとの組み合わせのみで設定された。1989年10月発売の「GT」用にカムプロファイル変更、小径ターボ装着。より実用域での扱いやすさを重視したセッティングを採用。「ハイパワー4WDワゴン」というマーケットを開拓。1990年から今日まで続くスバルWRC参戦用エンジンとして常にトップクラスのパフォーマンスを維持し、現在のスバルのスポーツイメージの代名詞。
1.8ℓ、2.0ℓ、FF・4WDそれぞれのAT・MT用、それにセレクティブ4WD・フルタイム4WDが存在するため、都合6タイプのトランスミッションが用意された。
セレクティブ4WDはFF 5MTの後端にリヤデフ用トランスファーを追加した、スバル4WDの始祖というべきシンプルな構造で、4WD最下級モデルである、Mi 5MT車のみの設定。FF-4WDの切り替えはシフトノブ上部のボタンで行う。
Ti 5MT車はフルタイム4WDとなる(Ei、Viには、AT・MTとも4WDの設定はない)。FFの5MTは2.0ℓと1.8ℓでギアの芯間距離を変えて強度を高めている。
「RS」はリヤにビスカスカップリングLSDを備える。AT用トランスミッションはアイシン精機製で、1.8ℓ、2.0ℓ共通。4WDのオートマティックトランスミッションは湿式多板クラッチMP-Tをトランスファーに用いたフルタイム4WDで、前後輪の回転差、車速、スロットル開度等から前後輪へのトルク配分を、前輪:後輪=6:4を基本に自動的かつ無段階に変化させる「アクティブトルクスプリット4WD」を採用。すでに4センサー4チャンネルABSとの統合制御にも踏み込んでおり、現在のスバルの「シンメトリカルAWD」の中核をなす高度な4WD制御システムの原型となっている。
なお、A型「RS typr R」と 「RS type RA」(ノーマルレシオ)にはSTi製の「強化トランスミッション」が搭載されている(具体的な強化箇所は不明)。
[編集] ボディ・シャシー・サスペンション
全面的に新設計のボディモノコックは、ウエッジシェイプ(くさび形)をモチーフに、ブリスターフェンダーを与え、各ピラーをブラックアウトすることで、航空機の「キャノピー」を意識させるもので、「アルシオーネ」と同じデザインディテール。ジウジアーロが関与したといわれている。
ホイールベースは2580mmで、当時の1.8ℓ~2.0ℓクラスのいわゆるアッパーミドルクラスのサルーンとしては標準的な数値となっている。レオーネと比較して全長で約140mm、全福で約30mm、ホイールベースで約110mmの大型化(4ドアセダン比)。重量で約100~150kgの増加は、スバル史上初のヨーロッパなど海外での本格的な開発プログラムによって必要とされたという車体剛性の大幅なアップと、サイズアップによる必然的な重量増を考えれば、比較的軽量に仕上がったといえる。レオーネに引き続き用意されたツーリングワゴンには、やはり引き続き2段ルーフが採用され、最上級の「VZ」にはルーフレールが標準装備された(順次装着車種拡大)。
「RS」には、ボンネットフードにスバルのターボエンジン搭載車のトレードマークとなるエアインテークが設けられている(ターボチャージャー冷却用。BC/BFは水冷インタークーラーのため)。サスペンションはフロントがL型ロアアームを用いたストラット、リヤがスバルff-1 1300G以来使い続けてきたセミトレーリングアームに別れを告げ、ラテラルリンク2本を配したストラットを採用。約200mmものストローク量を確保している。このことは、後にWRCで「グラベル最速マシン」「ベストハンドリングマシン」といった評価を得る大きな要因となった。前後ともセミフローティングタイプの強固なクロスメンバーにロアアームを接続。足回りの剛性確保に注意が払われている。
ツーリングワゴンVZには40mmのハイトコントロール機構を備えたエアサスペンション装着車が用意された(1990年5月の年次改良で、4ドアセダンVZ、ツーリングワゴンTZにも装着車を設定)。
レガシィの車種構成の最大の特徴は「ツーリングワゴン」にある。従来、幾多の国産車が「ワゴン」の名のもとに、商用バンをただ5ナンバーにしたような車種が一般的であり、スバル自身、レオーネのワゴンとバンは差別化はしていても基本ボディを共有する存在であった。だがレガシィではセダンと同列かそれ以上のものとして開発され、バンを持たない英断が下されたのである(レオーネのバンも継続して生産された)。これを市場は高く評価、特にターボを搭載したグレード「GT」投入後にその人気に火がつき、当時のスキーブームもあり、レガシィは「ゲレンデエクスプレス」としての地位を確固たるものとし、同時にステーションワゴンのブームを作り出すことになった。
1989年当時の2リッタークラスではパワーウィンドウのタイムディレイ機能やリモコンなしのキーレスエントリー、水冷インタークーラーなど高級パーツが使われている。
北米仕様では全車2.2リッターSOHC(水平対向なので2カム)エンジンが搭載され、最上級グレード(Sport)のみターボエンジンとなる。 (尚、ワゴンのターボは後期型のみの設定)日本仕様との最大の違いはワゴンボディのルーフ形状であり、二段ルーフは採用されずノーマルルーフとなっていた。
[編集] 2代目BD・BG型(1993年10月-1998年6月)
1993年に登場。カヤバSRスペシャル相当のスポーツサス、16インチBBSホイール、ブリヂストン製スポーツタイヤ「エクスペディアS-01」、KENWOOD製オーディオを装備したGT/Bspecが当初、最高級グレードとして設定された。
発売直前の1993年9月9日にはアメリカ・ユタ州のソルトレイクシティで速度記録に挑戦、1kmの区間平均速度で249.981km/hをマークし「ステーションワゴン多量生産車無改造部門」における世界速度記録を樹立する。
- 1993年9月9日 世界最速ワゴン記録達成(BG型)
- 10月8日 BD/BG型レガシィツーリングスポーツ/ツーリングワゴン発表。販売開始。
- 1995年8月30日 「グランドワゴン」追加。2.5リッター「EJ25」搭載。地上最低高200mm。後の「アウトバック」の原型。
- 1996年6月7日 「ツーリングワゴン」年次改良(Bタイプ)「GT-B」追加、280馬力達成(国産2ℓエンジンとして初)
- 6月24日 「ツーリングセダン」年次改良(Bタイプ)「RS」が280馬力達成。
- 1997年1月31日 国内生産累計100万台達成。
- 8月20日 「グランドワゴン」が「ランカスター」に車名変更。
- 9月9日 「ツーリングワゴン」「ツーリングセダン」ともに年次改良(Cタイプ)
- 1998年6月17日 BH型ツーリングワゴン発表。BG生産終了。
BD型「セダンRS」のみ11月まで受注生産された。
なお、BD/BG型に関しては年次改良を必ずしも1年毎に行っていない。
[編集] エンジン・メカニズム
上記の通り、エンジンは「EJ」型をキャリーオーバーしているが、通称を「MASTER4」とし、ターボモデルにはそれまでのシングルターボから「2ステージツインターボ」(シーケンシャル式ツインターボ)を採用。低回転域でのトルクの確保と、高回転域での伸びを両立しているが、シングルからツインターボに切り替わる際のいわゆる「トルクの谷間」が発生するという課題が新たに生まれた。
- 1994年6月1日 「LX」を設定。1.8ℓエンジン「EJ18」を搭載。
- 10月24日 「250T」を設定。2.5ℓエンジン「EJ25」を搭載。
- 1996年6月7日 「ツーリングワゴン」年次改良により、「GT-B」追加、280馬力達成(国産2ℓエンジンとして初)
- 6月24日 「ツーリングセダン」年次改良により、「RS」が280馬力達成。
この際、EJ20型エンジンは「BOXER4」から「BOXER MASTER4」へと通称を変更している。
[編集] ボディ・シャシー・サスペンション
ホイールベースを先代より50mm長くする事で居住性の確保を図っている。
ボディデザインにはマイバッハのデザインを担当し、後に三菱自動車工業のデザイン本部長になったオリビエ・ブーレイ氏が携わっており、その垢抜けたディテールに反映されている。
サスペンションに関しては、モデル中期に追加発表されたワゴン「GT-B」、セダン「RS」におけるビルシュタイン社製サスペンションの採用が大きなニュースだろう。当初はドイツより貨物船を使っての輸入を行っていたのだが、国内最速ワゴンの人気は高まり、供給が追いつかなくなったことで急遽、空輸にスイッチしたのは有名な話である。
[編集] 3代目BE・BH型(1998年6月-2003年5月)
1998年6月に登場。このモデルチェンジで前輪駆動車が廃止され、全グレード4WDとなった。また、従来の「セダンを設計し、それを元にワゴンを開発」という手法をやめ、ワゴンを元に設計を始めている。その為、リアサスペンションがストラット式からマルチリンク式に変更され、ラゲッジルームの最大容量は先代よりも大幅にアップしている。GT系のサスペンションには前型から引き続きビルシュタイン製ショックアブソーバーが採用されたが、リアサスペンション形式の変更により剛性が上がったことから倒立式ショックアブソーバーはフロントサスペンションにのみ採用されている。前モデルのBD5型RSが受注生産され続けていたセダンは、ワゴンに半年遅れて発売され、新たに「B4」(「BOXER+4WD」の略。またイタリア語で高性能セダンを表す「Berlinetta 4Door」の略でもある)のブランド名が与えられた。この「B4」は当時ツーリングワゴンの裏に隠れた存在となっていたレガシィセダンにとって新しいブランドイメージをユーザーに与えることに成功した。
また、BE/BH型では、カーオーディオとしては世界初となるマッキントッシュオーディオをメーカーオプション設定とした。ホームオーディオに準じたデザインなどが話題を呼び、続くBL/BP型でも採用されている。
発売直前の1998年4月23日にはアメリカ・コロラド州の公道で再び速度記録に挑戦し、1kmの区間平均速度で270.532km/hを達成し、レガシィ自らの持つ「ステーションワゴン多量生産車無改造部門」における世界速度記録を更新する。
ちなみにこのモデルではBH型のランカスターをベースにしたピックアップトラックスバル・バハというモデルが存在する。スバル・レオーネのピックアップである「スバル・ブラット」の後継車で、北米工場でのみの生産であった。販売も北米のみで行われていたが、日本にも数台存在している。BL/BP型にモデルチェンジ後も2002年まで製造、販売が続けられたが、現在は製造されていない。エンジンは水平対向4気筒、2.5リッターのSOHCエンジンで、5速マニュアル、4速オートマチックトランスミッションが組み合わされる。後にターボモデルも販売された。
- 1998年4月23日 世界最速ワゴン記録更新(BH型)
- 6月17日 BH型レガシィツーリングワゴン発表、販売開始。
- 12月21日 BE型レガシィB4(セダン)発表、販売開始。
- 1999年5月24日 年次改良(Bタイプ)ワゴンに「GT-B E-tune」追加設定。
- 9月24日 ランカスターに「ランカスターADA」追加。
- 12月22日 「BLITZEN」(ブリッツェン)登場。B4のみの設定で2000年2月〜3月までの限定販売。
- 2000年5月24日 年次改良(Cタイプ)ランカスターに「ランカスター6」追加。新開発水平対向6気筒3ℓエンジン「EZ30」を搭載。
- 2001年 1月11日 「BLITZEN」2001年モデル登場。ワゴン/B4各限定1000台販売。
- 5月22日 年次改良(Dタイプ)B4に「RS25」追加。EJ25型エンジン搭載。ツーリングワゴン「GT-B E-tune」を「GT-B E-tuneII」に名称変更。VDC-4WD標準装備モデルを廃止、VDCはメーカーオプション装備となる。
- 2002年1月21日 B4に「RS30」、ワゴンに「GT30」追加。共にEZ30型エンジン搭載。
- 2月8日 「BLITZEN」2002年モデル登場(発売は3月7日から)B4/ワゴン合わせて限定1500台販売。
- 5月21日 B4に「S」追加。B4としては初のSOHCエンジン搭載。
- 8月21日 「BLITZEN6」登場。BLITZENとしては初のEZ30搭載モデル。B4/ワゴンともに12月までの期間限定販売。
- 10月8日 B4に「S401」登場(発売は11月12日から)。限定400台販売(受注生産モデル)
- 11月27日 B4に「RSK S-edition」、ワゴンに「GT-B S-edition」追加。
- 12月24日 「BLITZEN」2003年モデル登場(販売は翌年1月24日から)。B4のみの設定で400台限定販売。
- 2003年5月23日 BP型ツーリングワゴン発表、販売開始。BE/BH型生産終了。
[編集] エンジン・メカニズム
BD/BG型に引き続き、EJ20型エンジンを搭載するが通称を「BOXER MATER4」から「BOXER PHASE II」に変更。なおこのモデル以降1800ccエンジンである「EJ18」は搭載されていない。ターボモデルでも「2ステージツインターボ」を採用。BD/BG型より引き続き「トルクの谷間」が付きまとっていたが、エンジンの熟成と斜流タービンの改良を重ねる事により、Dタイプ年改の頃にはほとんど意識しないレベルにまで熟成されている(それでもなくなったわけではないが)
発表当初の構成は実にシンプルで、2ℓSOHCエンジン、2ℓDOHCエンジンの「EJ20型」にこれのツインターボ版、2.5ℓDOHCエンジン「EJ25型」の計4種類のみ。その後、ランカスター6で搭載されたEZ30が追加され、計5種類となった。ちなみに、EZ30型エンジンを搭載したB4の「RS30」は富士重工としては初の「大排気量セダン」となった。
また、Dタイプ年改モデル中に登場した「S401」はSTIがB4のターボモデルであるRSKにチューニングを施したコンプリートカーであり、エンジンは職人によるハンドメイドによるバランス取りなど専用チューンを施され、293ps/6400rpm,35.0kgm/4400~5600rpmというスペックを誇った。
[編集] ボディ・シャシー・サスペンション
全幅を1695mmとし、先代に続き5ナンバーサイズを死守している。また、リアサスペンションの構造を先代までのストラット式からマルチリンク式へと変更されている。リアサスペンション収納部が荷室に張り出したストラット式よりも、コンパクトで剛性の確保できるマルチリンク式を採用した点は、ワゴンボディを元に作られたBE/BH型ならではである。この恩恵はセダンタイプのB4にも受け継がれており、B4はセダンタイプの車としてはトランクルームの積載量はかなり大きい。
[編集] 代表的なグレード・特別仕様車
- GT-B E-tune
BGより受け継がれたワゴンのトップグレード「GT-B」に、B4 RSKで採用されたスポーツシフト4ATやアルミボンネットなどを採用したグレード。足回りもRSKに準じたものとなり、以降ターボモデルのトップグレードとして君臨する。Dタイプ年改時に「E-tune II」となったが特別な変更内容はなかった。
- RSK
B4の2ℓDOHCターボモデルで、発売当初から設定されていた。トランスミッションは5MTもしくは4ATで、ATにはマニュアルシフトであるスポーツシフトが搭載されていた。他にも字光式メーターである「ブラックフェイスメーター」(A型ではATモデルのみ)の採用などが話題になった。ちなみにRSKのKは過給器を示すドイツ語「KOMPRESSOREN」の頭文字だが、このグレード名がレガシィオーナーの間では物議を醸し出す事となった。というのもレガシィセダンのターボモデルは初代から「RS」というグレード名を使っており、オーナーの間でも「RSと言えばセダンのターボ」という事で浸透していたのだが、BE型ではターボモデルが「RSK」となり、「RS」はNAのDOHCモデルに事実上の「格下げ」をされてしまったのだ。
- RS30/GT30
Dタイプ年改にて登場。Cタイプのランカスターに搭載された新開発6気筒水平対向エンジン「EZ30」をB4とツーリングワゴンにも設定。外見上の特徴はボンネットのエアスクープがない点以外では専用のフロントグリル、ハイラスター塗装のホイール程度の違いだった。
- BLITZENシリーズ
1999年の東京モーターショーに突如登場した真っ赤なB4。ポルシェデザインのエアロパーツを身にまとったその車はドイツ語で「稲妻が輝く」という意味をもつ「BLITZEN(ブリッツェン)」と名付けられたその車は翌年2000年2月に限定販売された。その後、ユーザーからの圧倒的な支持を得て、毎年限定販売を重ねている。2001年モデルではツーリングワゴンをラインナップ[1]、2002年はDタイプになりエアロパーツを一新[2]、また6気筒モデルもラインナップされた。[3]2003年モデルは元アルファロメオデザイナーであるアンドレアス・ザパティナス氏がインテリアデザインを手がけている。[4]
- S401
Dタイプ最終期に登場した、B4 RSKをSTIが架装を手がけたモデル。インプレッサSTIに搭載されていた6速マニュアルシフト、ブレンボ社製ブレーキキャリパー、BBS製の18インチホイールにピレリが専用開発したP-ZERO NEROを採用。エンジンはSTIの熟練工による手作業でのバランス取りがなされており、293ps/6400rpm,35.0kgm/4400~5600rpmというスペックを誇った。外装はリアスポレスの大人しい仕様で、後のBL型の方向性を予感させるようなデザインである。[5]
- GT-B S-edition/RSK S-edition
Dタイプの最終特別仕様車として2002年の11月に発表、発売開始。B4 RSKとワゴンのGT-B E-tune IIに設定(余談だがワゴンはベースモデルが「GT-B E-tune II」だが、特別仕様車には「E-tune II」の文字は入らない)インプレッサSTi 22Bで採用され、瞬く間に人気モディファイパーツとなった対向4POTキャリパー(通称22Bキャリパー/赤キャリ)を純正採用し、また17インチBBS社製ホイールをディーラーオプションとして設定。外装面ではS401で採用されたWRブルーや、スバル車の最終モデル恒例の黄色(スパークイエローマイカ)を採用。クイックステアリングや、フロントヘリカルLSD(MTのみ)の設定など、価格を考慮すると超お買い得モデルであった。
[編集] 4代目BL・BP型(2003年5月-)
2003年5月23日発表。コンセプトはGrand Touring Specialty(グランド・ツーリング・スペシャリティ)。デビュー当初のCMキャッチコピーは「存在として美しいか、否か」であった。カタログスペックに現れない「感動性能」を突き詰めたと言われている。 欧州市場への対応、衝突安全性の向上、細部にわたるエクステリアデザイン処理のため、ボディの全幅を35mm増やしている。これにより、3代目まで維持してきた5ナンバークラスを破棄し、3ナンバーとなった。
なお、このモデルでは「世界最速ワゴン記録」への挑戦は行っていない。この事からもこのモデルは速さなどのスペックで売る車ではないという事が伺える。
- 2003年5月23日 BL/BP型発表、BP型ツーリングワゴン販売開始。
- 6月23日 BL型B4販売開始。
- 9月9日 B4/ワゴンに3ℓモデル「3.0R」、ワゴンに「3.0R ADA」追加。
- 10月22日 ワゴンに「アウトバック」追加。なお、アウトバックはワゴンからの派生モデルではなく、別物として扱われている。
- 11月13日 2003-2004日本カー・オブ・ザ・イヤー(日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会主催)を受賞(富士重工製車種としては初)
- 12月19日 国内販売累計100万台突破
- 2004年5月17日 年次改良(Bタイプ)B4に「2.0 CNG(圧縮天然ガス車)」追加設定。
- 7月1日 B4/ワゴンに「2.0GT Spec.B WR-Limited2004」を追加設定。
- 10月19日 B4/ワゴンに「3.0R Spec.B」を追加設定。
- 12月22日 「BLITZEN」2005年モデルを発表。B4のみで翌年1月24日から3月までの限定生産。
- 2005年3月24日 世界累計生産台数が300万台を突破。
- 5月24日 年次改良(Cタイプ)
- 8月19日 B4/ワゴンに「2.0GT Spec.B tuned by STI」(11月受注分まで限定600台)「2.0GT WR-Limited2005」(11月まで限定生産)を追加。
- 12月19日 「BLITZEN」2006年モデルを発表。B4/ワゴンともに翌年3月までの限定生産。
- 2006年5月24日 年次改良(Dタイプ)ビッグマイナーチェンジにより「SI-DRIVE」をターボモデル、及び3ℓモデルに採用。
- 8月8日 B4/ワゴンに「2.0GT Spec.B tuned by STI」を設定。2007年2月までの限定生産だが、11月末までに完売。
- 11月15日 B4/ワゴンに「2.0GT SI-Cruise Limited」「3.0R SI-Cruise Limited」を追加(2007年3月までの限定生産)新開発の「SIレーダークルーズコントロール」を搭載。
[編集] エンジン・メカニズム
ターボエンジンが2ステージツインターボから初代以来のシングルターボに切り替わったのが大きなトピックである。ただし初代とは異なりツインスクロールターボを採用しており、低速トルクを十分に確保されているのは、グランドツーリングカーとしてのレガシィのキャラクターを鑑みての事だと言えよう。高回転型である水平対向エンジンとしては異例の、わずか2000rpmから最大トルクが発生する。これにより実用度は一気に向上したが、従来からのファンからは「まわしても面白くないエンジン」と言われるようになる。実際トルク曲線を見ると4800回転以降、トルクカーブは徐々に下がって行くようなエンジン特性となっている。なお最大出力は6000回転前後で発生する。
インプレッサWRX STI同様の「等長・等爆エキゾースト」が採用されたことも大きなニュースである。これによって排気音が澄んだ音となり、スバル水平対向エンジン伝統の「ドコドコ」という排気干渉音がなりを潜めて、より洗練された排気音を奏でる様になった。またドライブ・バイ・ワイヤ機構「エレクトロニック・スロットル・チャンバー」を採用、全車電子制御式スロットル仕様となった。これらにより以前からのEJ20型エンジンも圧倒的パワーに加えスムーズさをも兼ね備える洗練されたエンジンとなった。
海外では、2006年にドイツを中心として正規インポーター車として純正デイーラーオプションとしてLPGハイブリッド(LPGとガソリンを切り替えて使用できる)エコマットが投入された。LPG自動車で全車種にLPGバージョンを設定したのは欧州スバルが最初である。 http://www.subaru-ecomatic.de/index2.shtml
[編集] ボディ・シャシー・サスペンション
「存在として美しいか、否か」のコピーのもとデザインされたボディは従来モデルまでの5ナンバー枠を越え、ついに3ナンバー枠に突入しているが、全幅を1730mmにとどめることで、幅広になりすぎることなく、必要な性能を向上させることに成功している。。ボディ剛性の向上、安全装備の充実、ターボ車、6気筒車のATの5速化を図りながら、アルミニウム等の軽量パーツや高張力鋼板を各所に導入することでグレードによっては100kg近くの軽量化を達成している。通常は衝突安全性や車体剛性の向上により重量が増える傾向にあるが、安全性を向上させながらも軽量化を実現し、非常に注目を集めた。
[編集] 代表的なグレード・特別仕様車
- 2.0GT Spec.B
B4/ワゴンに設定。ターボモデルの2.0GTに18インチホイール、専用フロントバンパーを装備。またタイヤの大径化に伴うギア比の変更などが行われている。デビュー当初から設定されたカタログモデルだが、Aタイプでは自動車評論家達を持ってしても「インプレッサ並みの足回りの固さ」と言われた。その後、年改を重ねるごとに足回りは乗り心地重視のセッティングへと変更していったが、「それではトヨタ車と同じ」「スバルが乗り心地を追求して足回りを柔らかくして良いのか」という意見もあり賛否両論あるのも事実である。Dタイプでは3.0R Spec.Bに採用されていたインプレッサ用の6速マニュアルミッション「TY85型ミッション」を搭載、また6MT車にはリアトルセンLSDを採用している。
- 3.0R Spec.B
B4/ワゴンに設定。2004年10月19日より販売開始。レガシィのカタログモデルとしては初となる6速マニュアルミッションを搭載したモデル(S401が6速マニュアルミッションを搭載しているが限定モデルだったため)で、当初はマニュアルミッションのみの設定だったが、Cタイプ年改時に5速オートマチックトランスミッション車が追加された。18インチホイールは3.0R Spec.B専用デザインだったが、Dタイプでは2.0GT Spec.Bと共通デザインとなっている。
- WR-Limitedシリーズ
2004年7月1日、ラリージャパン開催記念モデルとして、B4/ワゴンの2.0GT Spec.Bをベースに同年11月迄の限定生産が行われた。ボディカラーはWRブルーマイカのみで、ホイールはベースモデルと同デザインながらも、ゴールドに塗装されている。他に、専用デザインのHIDヘッドランプ(ロービーム)を採用。インテリアには、レッドイルミネーションのエレクトロルミネセンスメーターを採用、ブルーアルカンタラとブラックレザーの専用シートなどを配した。価格は、ワゴンが332万8500円(5MT)と339万1500円(5AT)、セダンB4は317万1000円(5MT)と323万4000円(5AT)。
2005年8月19日、ラリージャパン開催記念モデルとして、B4/ワゴンともに同年11月までの限定生産、という2004年モデルと同じスケジュールで限定販売されたが、2005年モデルはベース車両を2.0GTとした点が異なる。これにより、バンパー、ホイールのデザインが2.0GTに準拠した。また装着率の高いSTI製のフロントアンダースポイラーを標準装備としている。またMT車を設定せず、AT車のみの設定とし、価格はツーリングワゴンが327万6000円、B4が312万3750円であった。
なお、2006年はラリージャパン開催記念モデルを販売していない。
- tuned by STI
2005年8月19日、ラリージャパン開催記念モデルとしてCタイプの2.0GT Spec.BをベースにB4/ワゴン合計600台として同年11月迄の限定生産が行われた。これはSTI(スバルテクニカインターナショナル)製のパーツをあらかじめ架装したものであり、モデル専用のものはレッド・エレクトロルミネセントメーターや専用シート、内装の一部変更など一部に限られている。よってS401などのようにエンジンには手を加えられていない、いわば「STIパーツを装備した通常のレガシィ」であった。しかしSTI製アルミホイールだけで約8kgの軽量化・スプリングの変更・エアロパーツの装着・ブレンボ製ブレーキの装着により、特にブレーキング能力・安定性において通常のレガシィとは一線を画す、GT的なチューニングカーとなっている。なお車体色はWRブルー・マイカの選択が可能(その他、リーガルブルーマイカ、ブラックトパーズマイカが設定)架装車両のため持ち込み車検(通常車より車両重量で20kgほど軽い)となり、価格はB4の5MTが378万円、ツーリングワゴンの5ATが399万円。ベース車にこれらSTIパーツを取り付けると優に100万は超える(ブレンボ製ブレーキだけで1セット60万円近くする)ことを考えるとバーゲンプライスであった。これをS401やインプレッサの「S203」などのいわゆる「S」シリーズとしていないのは言うまでもなく、エンジンそのものはノーマルだからである。[6]
その後2006年8月8日には、Dタイプの2.0GT Spec.Bをベースとした「tuned by STI」をリリースしている。こちらも前回同様B4/ワゴン合計600台の限定生産で2007年2月迄としていたが、2006年11月現在既に完売したとの報告がある。架装内容は前回とほぼ同様であるが、ダンパーがノーマルのものから(前回はサスペンションのみSTI製)STIチューニングによる専用設計のビルシュタインダンパーが装備されている。またブレンボ製のキャリパーはゴールドからブラックに変更、メーターもレッドイルミネーションからホワイトへと派手さを抑えた設定となっている。ボディカラーはダイヤモンドグレー・メタリック、リーガルブルー・マイカ、WRブルー・マイカの3色、価格はMT・AT共にB4が397万9千500円、ツーリングワゴンが411万6千円(共に架装メーカー希望小売価格、消費税込)であった。[7]
- BLITZENシリーズ
2004年12月22日発表、翌年1月24日より3月までの限定販売(2005年モデル)。ベースとなるグレードは2.0GTでB4のみの販売。BLITZEN伝統の「プレミアムレッド」を設定し、専用デザインのフロント・リアバンパーにサイドアンダー、17インチホイールを装備(ただし公表されていないが17インチホイールは過去にインプレッサで販売された限定モデル「インプレッサTYPE EURO」と同一デザインであった)インテリアには、ブリッツェンのロゴが入った、レッド&ブラックのツートーン色あるいはブラック単色のいずれかを選べる専用本革シートやドアトリムを採用。ピラートリム、ルーフトリムなどをブラックで統一し、上級感を高めた。先代(BE/BH型)で設定されていたBLITZENは「ポルシェデザイン」によってデザインされた外装であったが、今回は富士重工業の車両カスタマイズ会社である「スバル・カスタマイズ工房」によるもの、とされている(ポルシェデザインと公に言えないのか、本当にポルシェデザインではないのかはわかっていない)。価格はベース車の52万5000円高、339万1500円(5MT)と346万5000円(5AT)となっていた(プレミアムレッドのみ3万円高)
2005年12月19日には2006年モデルを発表。今回はツーリングワゴンにも設定され、B4/ワゴンともに翌年3月までの限定生産。またベース車両を2.0GT Spec.Bへとチェンジしたことで、18インチホイールを装備することとなった(ホイールは専用デザイン)ツーリングワゴンでは3代目レガシィブリッツェンを回想させるようなリアスポイラーが装着される。タイヤはベースと同じブリヂストンRE050Aであるが、乗り心地面での改良がされていたり、騒音対策がなされていることもプレミアム性を高めることに寄与している。新デザインのアルミホイールは3次元的で、見る者に普通のレガシィとの違いを感じさせる。ボディカラーは専用色のプレミアムレッドを含む3色でB4が354万9000円(5速MT)/362万2500円(5速AT)、ツーリングワゴンが372万7000円(5速MT)/380万1000円(5速AT)であった。
- GRENZEN(グレンツェン)
2005年5月24日発表、3.0R, 2.0GT, 2.0Rをベースに南関東限定(取扱ディーラーは東京スバル、神奈川スバル、千葉スバル自動車、埼玉スバル自動車のみ)のみで販売。シートが本革+アルカンターラで1脚80万円相当のレカロシート「MAGNIFICA(マニフィカ)」を前席に2脚、スイスの「SPORTEC」のホイール装着、「マッキントッシュ」オーディオなど標準搭載)も設定され、レガシィの中ではかなり高価な値付けがなされたが、内容を考慮すればリーズナブルと言える価格であった(3.0Rで約456万円。2005年9月30日までの期間限定発売であった。
[編集] エンジン
スバル車のエンジンはグレードやトランスミッションによって様々なバリエーションがある。ここではそんなエンジンを紹介する。
[編集] 現行モデル
- EZ30
- 水平対向6気筒DOHC 24バルブ AVCS+ダイレクト可変バルブリフト 2999cc 184kw(250ps)/6600rpm・304N・m(31.0kg・m)/4200rpm
- EJ25(SOHC)
- 水平対向4気筒SOHC 16バルブ 2457cc 121kw(165ps)/5600rpm・226N・m(23.0kg・m)/4400rpm(※アウトバックのみ設定)
マイナーチェンジ後 水平対向4気筒SOHC 16バルブ i-AVLS(可変バルブリフト) 2457cc 130kw(177ps)/5600rpm・229N・m(23.4kg・m)/4400rpm
- 水平対向4気筒SOHC 16バルブ 2457cc 121kw(165ps)/5600rpm・226N・m(23.0kg・m)/4400rpm(※アウトバックのみ設定)
- EJ20(ターボ)
- 水平対向4気筒DOHC 16バルブ デュアルAVCS&ツインスクロールターボ(インタークーラー付) 1994cc MT:206kw(280ps)/6400rpm・343N・m(35.0kg・m)/2400rpm AT:(A~C型)191kw(260ps)/6000rpm/343N・m(35.0kg・m)/2400rpm (D型)191kw(260ps)/6000rpm/343N・m(35.0kg・m)/2000rpm
- EJ20(DOHC)
- 水平対向4気筒DOHC 16バルブ AVCS 1994cc MT:140kw(190ps)/7100rpm・196N・m(20.0kg・m)/4400rpm AT:132kw(180ps)/6800rpm・196N・m(20.0kg・m)/4400rpm
- EJ20(DOHC)CNG
- 水平対向4気筒DOHC 16バルブ AVCS 1994cc 110kw(150ps)/6800rpm・164N・m(16.7kg・m)/4400rpm(※B4 2.0CNGに搭載)
- EJ20(SOHC)
- 水平対向4気筒SOHC 16バルブ 1994cc 103kw(140ps)/5600rpm・186N・m(19.0kg・m)/4400rpm
[編集] 過去に採用されていたエンジン
- EJ25(DOHC)
- 水平対向4気筒DOHC 16バルブ 2457cc 123kw(167ps)/6000rpm・235N・m(24.0kg・m)/2800rpm(※250S、250T、250T-V、ランカスターに搭載)
- EJ22
- 水平対向4気筒SOHC 16バルブ 2212cc 99kw(135ps)/5500rpm・186N・m(19.0kg・m)/4000rpm(※ブライトン220に搭載)
- EJ20(ターボ)
- 水平対向4気筒DOHC 16バルブ2ステージツインターボ 1994cc 206kw(280ps)/6500rpm・343N・m(35.0kg・m)/5000rpm(※3代目BE・BH型のターボ車(MT)に搭載)
- 水平対向4気筒DOHC 16バルブ2ステージツインターボ 1994cc 191kw(260ps)/6000rpm・319N・m(32.5kg・m)/5000rpm(※3代目BE・BH型のターボ車(AT)に搭載)
- EJ18
- 水平対向4気筒SOHC 16バルブ 1820cc 88kw(120ps)/5600rpm・164N・m(16.7kg・m)/3600rpm(※2代目BD・BG型までのベースグレードモデルに搭載)
[編集] 車名の由来
- Legacy 英語で「伝承物」「遺産」を意味する。この車を開発した当時、スバルの業績は窮地に追い込まれており、この車が売れなければ終わりだ、という想いを込めてこのような意味の車名をつけたという逸話もある。ちなみにオーストラリアでは リバティという名称で販売されている[8](なお、ジープ・リバティ(チェロキーの北米での名称)や日産・リバティとは何の関係もない)。これは、オーストラリアでの戦争(第二次大戦を指す)被害者団体を「LEGACY」と呼ぶこと、富士重工が元を辿ると零戦などにエンジンを供給していた中島飛行機であるという点から、「LEGACY」という名称が使えなかったとする意見が強い。ちなみにアウトバック(OUTBACK)はオーストラリア内部の地帯呼称。
- 「B4」は「ボクサーエンジン(Boxer engine)を積んだ4WD車」という意味であり、また、「ベルリネッタ(イタリア語で小さなベルリーナの意味)・4ドア」の意味もある。
[編集] テレビCM
[編集] 初代
- ブルース・ウィリスが出演。
[編集] 2代目
- ロッド・スチュワートが出演。CMソングは彼の「今夜決めよう」、「セイリング」が使われた。
[編集] 3代目
- 後期型「3KEYS LEGACY」にはジェニファー・ロペスを起用した。
[編集] 4代目
- 累計生産台数300万台突破記念に、一時期、ふたたびブルース・ウィリスを起用したことでも話題になった。
- CMソングにはスウィートボックスの「Addicted」、のちに鈴木雅之の「Nothing's Gonna Change My Love For You」(ジョージ・ベンソンのカヴァー)が起用された。