ティム・バートン
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ティム・バートン(Timothy William Burton、1958年8月25日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州生まれの映画監督、演出家。
ディズニーのアニメーターとして『トロン』(TRON)などに参加後、実写短編『フランケンウィニー』を演出。1985年に『ピーウィーの大冒険』で長編映画デビュー。
ゴシック、ホラー、ファンタジーなどを基調とした独特の映像センスと台詞、キャラクター描写に定評があり、ファンも多い。特にB級ホラー映画等を偏愛し、作品にそのテイストが反映されていることもしばしばある。また、彼の作品は同じ俳優が出演していることが多く(ジョニー・デップなど)、主人公の名前が「エドワード」である作品が多いことが特徴である。
現在は女優のヘレナ・ボナム=カーターと共にロンドンに住み、二人の間には息子が一人いるが入籍はしていない。
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[編集] 人物像
- その奇抜な作風同様、私服や髪型など外見が独特なので、一度顔を見ればすぐに覚える監督No.1といわれている。犬が大好きで、デビュー作からの犬の主演やディズニー時代には犬のキャラクターに対する滑らかな動きの描写からも伺える。
- ストップモーション・アニメーションを作る上で、ハリウッドの特撮監督の第一人者でもあるレイ・ハリーハウゼンには多大な影響を受けており、作品からもそれを伺うことが出来る。なお、『ティム・バートンのコープスブライド』を製作する際に、バートンと製作チームはハリーハウゼン本人にわざわざ会いに行くほどのファンである。
- キャメロン・クロウ監督の『シングルス』や、『バットマン・リターンズ』にペンギン役で出演したダニー・デヴィートが監督をした『ホッファ』などに役者としてカメオ出演している。(尚、『ホッファ』に至っては、死体役らしい)
- わりとコメディアンや元コメディアンを多く起用しており、『ピーウィーの大冒険』のポール・ルーベンスをはじめ、フィル・ハートマン、ロバート・ウール、キャサリン・オハラ、ビル・マーレイ、スティーヴ・ブシェミ、マーティン・ショートなどがいる。また『スウィーニー・トッド』では、全米で人気急上昇中のイギリス人コメディアン、サシャ・バロン・コーエンも出演する。
- 映画の宣伝では数多く来日しており、来日した際にはNHKの教育番組「英語でしゃべらナイト」やTBS系の「王様のブランチ」などにゲスト出演している。また雑誌の特別企画で、アニメーション監督の水島精二や映画監督の庵野秀明、ミュージシャンの浅井健一などと対談をしている。
[編集] 来歴
- カルフォルニア州バーバンクで2人兄弟の長男として生まれる。
- 少年期、エドガー・アラン・ポー作品を原作とする映画に主演するヴィンセント・プライスに熱中する。
- 高校卒業後、ディズニーの奨学金を受け、カルフォルニア芸術大学に入学し、3年間アニメーションの勉強をする。
- 卒業後、ウォルト・ディズニー・スタジオにアニメーション実習生として雇われる。
- 最初の仕事としてラルフ・バクシの元で、アニメーション映画『指輪物語』の制作に携わる。
- 次の仕事として、「きつねと猟犬」に携わる。制作現場で奇行を繰り返す。
- 1982年、6分の短編映画『ヴィンセント』を制作。
- 続いて、『フランケンウィニー』を制作、この映画で『ピーウィーの大冒険』の監督を探していたピーター・ハーマンから注目を受け、その監督を引き受ける。(※『フランケンウィニー』では、『ロスト・イン・トランスレーション』で脚本・監督としての才能を開花させた若き日のソフィア・コッポラも出演している)
- 『ビートルジュース』を8000万ドルで制作する。この作品はアカデミーメイクアップ賞を受賞する。低予算で大きな興行成績を上げる監督として、製作側で注目を集められ、『バットマン』の製作につながる。
- 1989年、ドイツ人の芸術家と結婚(『バットマン・リターンズ』の撮影後に離婚)。
- 1990年、キャロライン・トンプソンと『シザーハンズ』を共同で制作。
- 1992年、リサ・マリーと結婚(2001年に離婚)。
- 1993年、初の絵本でもある『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』を出版。後に短編集絵本『オイスターボーイの憂鬱な死』も出版され、キャラクターグッズも発売されている。
- 熱烈なゴジラファンとして有名で、92年には、映画『ゴジラVSモスラ』の制作現場を見学したことがある。98年製作されたアメリカ版『GODZILLA』の監督候補にも挙がっていた。それ以前にも、デビュー作である『ピーウィーの大冒険』にゴジラとキングギドラを登場させたり、97年に自身が製作した『マーズ・アタック』にゴジラを登場させたりした(映像は89年に製作された『ゴジラVSビオランテ』の流用)。また、同作のクライマックスも、ゴジラシリーズ第6作『怪獣大戦争』を基にしていると本人は語っている。
- 1998年、「ハリウッド・ガム」のヨーロッパ市場向けに、住宅街の庭に置かれたノーム人形が走り出すTVコマーシャルを監督する。この作品ではスタンダードなストップモーション・アニメーションで制作されており、CMの賞にノミネートされた。
- 2006年、3Dになった『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の宣伝で来日した際に、デジタルハリウッドの東京本校(御茶ノ水)で、生徒たちを前に特別講義が開かれた。尚、その際に聴衆の一人だった元モーニング娘の矢口真里は、監督の大ファンであることを直接告白している。
- 2006年、米ロックバンドであるキラーズが歌う『BONES』のミュージックビデオも監督。ちなみにこのミュージックビデオでは『シン・シティ』などに出演するデヴォン青木も出演しており、レイ・ハリーハウゼンの映画や、『大アマゾンの半魚人』などの映像も登場する。
[編集] 作品リスト
- 1982年 『ヴィンセント』Vincent
- 1982年 『ヘンゼルとグレーテル』 Hansel and Gretel <TV>
- 1984年 『フランケンウィニー』Frankenweenie
- 1985年 『ピーウィーの大冒険』Pee-wee's Big Adventure
- 1985年 『フェアリー・テール・シアター/「アラジンと魔法のランプ」』 <TV>
- 1985年 『世にも不思議なアメージングストーリー/「ファミリー・ドッグ」』 Amazing Stories <TV> - キャラクター・デザイン
- 1986年 『新ヒッチコック劇場/「ザ・ジャー」』 <TV>
- 1988年 『ビートルジュース』Beetlejuice
- 1989年 『バットマン』Batman
- 1990年 『シザーハンズ』EDWARD SCISSORHANDS - 監督/製作/原案
- 1992年 『バットマン・リターンズ』Batman Returns - 監督/製作
- 1992年 『シングルス』 Singles - カメオ出演
- 1992年 『ホッファ』 Hoffa - カメオ出演
- 1993年 『キャビン・ボーイ/航海、先に立たず』 - 製作
- 1993年 『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』The Nightmare Before Christmas - 製作/原案
- 1994年 『エド・ウッド』Ed Wood - 監督/製作
- 1995年 『バットマン・フォーエヴァー』Batman Forever - 製作
- 1996年 『ジャイアント・ピーチ』James and the Giant Peach - 製作
- 1996年 『マーズ・アタック!』Mars Attacks! - 監督/製作
- 1998年 『ノーム・イン・ザ・ガーデン』Gnome in the Garden <TVコマーシャル> -監督
- 1999年 『スリーピー・ホロウ』Sleepy Hollow
- 2000年 『マリオ・バーヴァ 地獄の舞踏』 <TVM> - 出演
- 2000年 『ステインボーイ』 The World of Stainboy <Webアニメーション> - 脚本/監督
- 2001年 『PLANET OF THE APES 猿の惑星』Planet of the Apes
- 2003年 『ビッグ・フィッシュ』Big Fish
- 2005年 『チャーリーとチョコレート工場』Charlie and the Chocolate Factory
- 2005年 『ティム・バートンのコープスブライド』Corpse Bride
- 2006年 『キラーズ/「BONES」』 BONES <ミュージック・ビデオ> - 監督
- 2007年 『スウィーニー・トッド』Sweeny Todd