ミニカー (玩具)
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ミニカー(和製英語)は、自動車をさまざまな素材、縮尺でモデル化した模型の総称。
安価なものは子供の玩具として用いられ、高価格帯のものは大人の鑑賞用としても用いられる。素材はダイキャスト製が最も多い。スチロール樹脂製のプラモデル、金属製のメタルキット等組み立て式の自動車模型や、ラジコン、スロットカー等自動走行機能を持ったものを広くミニカーに含める場合もある。
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[編集] ミニカーの縮尺(スケール)
最も初期のミニカーは、鉄道模型のジオラマの小道具として作られるようになった。そのため、その大きさは鉄道模型の縮尺に準じており、鉄道模型の「Oゲージ(レール幅32mm)」規格に合わせて作ったものの縮尺が現在の「1/43」スケール。「HOゲージ(レール幅16mm)」なら半分の「1/87」となる。観賞用に供される大型商品には1/18、1/20、1/24といったスケールのものもある。
[編集] 主な製品
[編集] 日本
- 1970年、トミー(現タカラトミー)が発売した国産初の本格的量産型国産ミニカー。
- この年発売された車種は全部で6種類(ブルーバードSSS、コロナマークII、クラウンスーパーDX、クラウン・パトカー、トヨタ・2000GT、フェアレディZ432)
- 現在販売されている車種はオリジナルラインナップの「トミカシリーズ」だけでも120車種。乗用車、輸送車両、建設機械、緊急車両など多岐にわたり、宅配業者など実在の企業のロゴが入った商用車のものもある(過去には機関車など鉄道車両のものもあった)。
- 実車の大きさを問わず、統一サイズの箱(パッケージ)を基準にして製作されており、縮尺は各車種で異なる(「トミカサイズ」と言われる)。
- またかつては「ロングトミカ」と言う、通常のものより大きく全長が長いもの(トレーラー車や大型バスなど)も発売されていた。
- 多数の玩具店で扱っており、高い知名度を誇る。店ではカイコ棚のような透明アクリル製のディスプレイケースに数十台が収納・展示されている。車軸のピアノ線の弾力を利用した擬似的なサスペンション機構を備える。近年、食玩などに代表される手ごろな価格でコレクション性がある玩具シリーズが注目されており、トミカでも復刻版が発売された。
- 「トミカシリーズ」に加え、車と合わせて遊べる各種施設の模型(「トミカワールド」「トミカタウン」)、旧車やレーシングカー等を題材にした高価格帯の「トミカリミテッド」等、関連商品も多数ある。
- 外部リンク
- タカラトミー「トミカ」のサイト
- http://www.takaratomy.co.jp/products/tomica/
- ダイヤペット
- ヨネザワ(当時の米澤玩具)が、1961年に大盛屋が発売した「ミクロペット/チェリカ・フェニックス」を前身とする。大盛屋がミニカーの製造販売を停止し、米澤側がその金型を引き継いだことによってダイヤペットはスタートする。第1号モデルは1965年発売の「プリンス・グロリアDX」。のちにヨネザワがセガに買収され「セガ・ヨネザワ」(後のセガトイズ)ブランドで発売。現在はアガツマがブランドを引き継いで販売中。
- 成近屋
- 100円ショップで売られていることが多い。世界の緊急車、乗用車、スポーツカー、作業車。
[編集] アメリカ
- マッチボックス(Matchbox)
- 米マテル社のミニカー・ブランド。
- もともと1953年に英国レズニー社が発売したシリーズ。1980年代に入ってレズニー社が経営破綻し、以降、香港ユニバーサル・グループ、米タイコ社を経て、1994年マテルによるタイコ社買収によりマテルのブランドとなる。
- 最初期の製品はその名のとおり、マッチ箱を模したデザインのパッケージに入れられていた。50年代の製品は金属製のホイールを履き、窓のクリアパーツや内装もなく簡素な造りだが、モールドやプロポーションは同時期のディンキーやコーギーにもひけを取るものではなかった。60年までに順次、プラスチック製の窓とホイールを装備。68年発売のNo.33-C、ランボルギーニ・ミウラのように、小スケールながら前輪ステアリング機構を採用した意欲的な製品も存在した。70年からホットウィールに対抗して高速ホイールを履き、スーパーファストと称した。
- 1-75までの番号のモデルを、順次モデルチェンジしていく手法は、現在のトミカに引き継がれている。
- 日本では当初朝日通商(現シー・シー・ピー)が輸入を担当。昭和40年代「マッチボックス知ってーるかい?」という歌のテレビCMで人気を博した。その後レズニー社の日本法人レズニージャパン、ユニバーサル買収後はマッチボックス・ジャパンが販売を担当したが1988年に撤退、現在はミニカーショップが個人輸入という形で発売している。
- 特撮テレビ番組『サンダーバード』のミニチュアとしても採用された。
- ホットウィール(ホットホィール)(Hot Wheels)
- マッチボックスと同じくマテル社のミニカー・ブランド。
- 1968年に発売された人気シリーズで、子供達のみならず、大人のコレクターが世界中にいると言われている。基本的に実車を再現するマッチボックスに対して、ホットウィールは非現実的なデザインで「カッコイイ」イメージを売りにしている。最大の特徴は派手なデザインで、どの車種も実車にはありえない、大胆なデフォルメや奇抜なカラーリングが施されている。
- またその名のとおり滑るような走りが人気で、車体が弾むほどの強いピアノ線で車軸を作ってある。マテルはホットウィールを売り出すにあたり、この特長を米国内でテレビCMに1000万ドルを投じてアピール。米市場を重視していたマッチボックス、コーギーほか欧州のメーカーはこれに危機感を覚え、1970年前後にこぞって同様のホイールを採用したが、金型改修に伴う設備投資は経営を圧迫した。また新しいホイールは思ったほど消費者の評判が良くなく、欧州メーカー各社の衰退の契機ともなった。
- 定価は300円前後だが、絶版車種や「トレジャーハント」と呼ばれる人気車種には、ネット・オークション上で数千円から数万円で取引されるものもある。派手な台紙がついたブリスター・パックに入って売られており、このブリスターを破らずに保管するコレクターも多い。
[編集] フランス
- マジョレット (Majorette)
[編集] 鑑賞品としてのミニカー
- 本来玩具であるミニカーにも大人のマニアは世界中に多数存在する。
- トミカのように子供が床を走らせて遊ぶような安価なミニカーでも、絶版になった古いモデル等は立派なコレクションになりうるし、また最初から、コレクション、観賞用として製作された高価なミニカーも多数存在する。
- 縮尺は子供の玩具に多く見られる1/64、1/43といった小型のものから、1/12、1/18という大型のものまで様々である。
- 観賞用ミニカーは、一般的に飾りやすいよう台座に固定され、主にアクリル製の透明カバー等をかぶせて保護された状態で販売されることが多い。日本国内では京商(ブランド名KYOSHO)、エムエムピー(同EBBRO)、MAKE UP(同EIDOLON)などが代表的メーカーで、プラモデルメーカーのタミヤも完成モデルを手がける。
- 海外のメーカーではアメリカのExoto、Gateway Global(ブランド名AUTOart)、Franklin Mint、ドイツのPaul's Model Art(ブランド名Minichamps)、Schuco、イギリスのCorgi、フランスのSolido、Norev、イタリアのBrumm、Bburago、B.B.R、MR Collection等が代表的なメーカー。
[編集] 版権
[編集] 自動車メーカーによるライセンス
かつてはミニカーの発売に対し、自動車メーカーの許可を必要とすることもしなかったが(ただしキャラクター商品は除く)、近年の企業の知的財産権意識の向上などから、現在はメーカーに許可を得ないと商品化ができなくなっている。こうした版権許可の中には変わったものも存在しており、具体的な例として次の二つが挙げられる。
:1999年、フェラーリはアメリカのマテル社とミニカーの製造・販売における独占契約を締結。これ以降、同社以外でフェラーリのミニカー製造・発売は一切不可能となった(日本ではマテル社の正規輸入代理店である京商が独占販売を実施している)。
:2005年以降、日産自動車の車種がミニカー化される際、パッケージに「この製品は日産自動車(株)のライセンスに基づいて製品化されています」という文字が必ず加えられるようになり、これと同時に実在しない車種および企業がイメージダウンと判断した車種(違法改造車が代表例、ただし『走り屋』仕様には一部例外がある)の製品化は不可能となった。
こうした版権契約はデッドコピー品の締め出しに有効であるが、一方安定した質で製品化してきた大手メーカーの発売、製造も制限されることもあり、一部のミニカーマニアの間では「行き過ぎた方策」として、不満の声が上がっている。
[編集] タバコ広告の規制
ミニカーは基本子供向けの製品であることから、レーシングカーが製品化される場合タバコ会社の広告(マールボロやキャメルなど)がオミットされる。最近では世界的な禁煙傾向から鑑賞用のミニカーにもその波が及んでおり、過去の車種が製品化される場合でも当たり障りの無い文字やロゴに変更され、正確さとしては欠ける傾向にある。