ヤビツ峠
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ヤビツ峠(やびつとうげ)は神奈川県道70号秦野清川線にある海抜761mの峠である。鞍部は神奈川県秦野市寺山地内に位置する。「矢櫃」という漢字を当てることもあるが、通常は片仮名表記が好まれる。峠へは秦野駅より神奈川中央交通のバス便があり、塔ノ岳(表尾根)や大山への登山道が通じている為、休日は登山者で賑う。
なお峠を挟んだ宮ヶ瀬湖までの県道は、車同士がすれ違うのもままならないほど大変狭い箇所が多く、ヘアピンカーブの続く舗装道であるため、自転車愛好家などにも人気のある道ではあるが、夜中は走り屋の自動車が多く危険なので避けた方がよい。
自転車愛好家達は、秦野からヤビツ峠への道を「表ヤビツ」、宮ヶ瀬からヤビツ峠への道を「裏ヤビツ」と呼んでいる(表ヤビツ途中にある菜の花台からは秦野をはじめとして太平洋側を一望できる。夜景は非常に綺麗である)。
ヤビツ峠は丹沢内で数少ない南北をつなぐ車道の峠で、他には犬越路(犬越路隧道)がある。しかし犬越路南側の犬越路林道と北側の神之川林道は一般車両通行禁止の為、ヤビツ峠は丹沢唯一の南北をつなぐ一般車両通行可能な峠である。
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[編集] アクセス
[編集] 自家用車
- 秦野方面から
- 宮ヶ瀬湖方面から
- 県道64号線、宮ヶ瀬北原交差点から県道70号線へ。
[編集] バス
[編集] 地名説話
地名に関して以下のような伝承があるが、勿論、事実とは認められない。
- ヤビツ峠(矢櫃峠)は昔、相模の北条氏と甲斐の武田氏との戦いが度々繰り返されたところで、丹沢林道(現 県道70号線)の開削中に、戦った時の物と思われる矢を入れる筒(矢櫃 やびつ)が発見されたことからこの名がついた。
第一に、ヤビツ峠は江戸期より寺山村の丹沢御林見廻に用いられてきたものであり、明治初期の地形図にも描かれている。丹沢林道の開削は昭和初期のことであるが、仮りに林道工事の折りに改名されたとすると旧称が全く伝わらない理由が考えられない。
第二に、ヤビツ峠で北条氏と武田氏の合戦が繰り返されたという史実はない。有名な三増峠の合戦に絡めた伝承もあるが、甲陽軍鑑にわると、小田原を攻めた後の甲軍は金田(厚木市)を経て三増峠に退いたとある。峠の秦野側の地形を見ても軍勢が騎馬で登るには甚だ無理がある。
なお、ヤビツという語は地名として特に珍しいものではない。矢櫃川は、北は北海道厚沢部町から、青森県の八甲田、岩手県の雫石、福島県の会津、長崎県北有馬町に至るまで全国に存在しているし、山口県岩国市には矢櫃山と矢櫃峠がある。
[編集] 関連項目
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