岩国市
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
岩国市(いわくにし)は、中国地方の西部、山口県の東端に位置する市。
2006年3月20日に、岩国市、玖珂郡由宇町、玖珂町、本郷村、周東町、錦町、美川町・美和町の8市町村が新設合併し、新市制による岩国市が誕生した(それまでの岩国市は廃止)。なお、合併後も、旧岩国市の区域を除き、旧町村名は残されているが、読み方が「~町(ちょう)」「本郷村(ほんごうそん)」から「~町(まち)」「本郷町(ほんごうまち)」に変更された。
目次 |
[編集] 概要
山口県の東端に位置し、小瀬川を挟んで広島県と接している。名勝・錦帯橋や国指定天然記念物・白蛇生息地で知られる。又、広島市(広島県西部)や周南市などと同様に、瀬戸内工業地域の一角を担っている。中国山地に端を発し、広島湾に注ぐ錦川の作った三角州上の岩国空港には、在日米軍(海兵隊)と自衛隊の基地が存在する。
かつては国際空港であった岩国空港や岩国港、山陽新幹線・新岩国駅、さらに第三セクター鉄道である錦川鉄道を擁し、交通運行上の重要ポイントとなっている。観光都市としての一面も持ち、錦帯橋・岩国城を中心とした旧市街地域には年間約200万人の観光客が訪れる。
旧岩国市は、江戸時代には長州藩支藩、吉川氏の治める岩国藩の城下町であった。 山陽本線・国道2号が幹線として東西を横断し、西の防府市までは85km、東の広島市までは35kmとなっている。広島広域都市圏に含まれ、山口県内の市町村よりも大竹市・廿日市市・広島市といった広島県西部の自治体との交流関係が深い。またJR西日本・広島シティネットワーク内に属しており広島駅・岩国駅間の山陽本線の電車本数が頻発するため、広島市のベッドタウンとしても機能している。
旧市の大部分では、山口県内の放送以上に広島県方面にアンテナを向けて広島県のテレビジョン放送を見る世帯が多い。このため、山口県地上デジタルテレビジョン放送の岩国中継局は、広島県江田島市の野登呂山に設けられた。
[編集] 地理
[編集] 位置
山口県の東端に位置する。市の中央を横断するかのように、岩国断層帯が通っている。
[編集] 市勢
- 面積:872.32m²(山口県最大)
- 人口:152,910人
- 男性:72,671人
- 女性:80,239人
- 世帯数:66,808世帯
- 人口密度:175.29人/km²
(2006年4月1日現在/岩国市ホームページより)
[編集] 隣接する自治体
[編集] 姉妹都市
- 国内
- 海外
[編集] 歴史
岩国の名前は万葉集にも見られ、古くから山陽道の交通の要衝であった。守護大名・大内氏が中国地方を統治していた室町期まで、岩国氏・広中氏といった豪族がこの地を治めていた。関ヶ原の戦いの後、長門・周防の2国に減封された毛利家当主・毛利輝元は、東の守りとして、毛利元就の次男・吉川元春三男で、吉川家を相続していた吉川広家に岩国を与えた。以後、岩国は、吉川家が治める岩国藩6万石の城下町として発展していく。旧市街である、錦見(にしみ)・岩国・横山といった現西岩国駅・川西駅の周辺が繁栄した。江戸年間、岩国藩と長州藩は幕末まで吉川家の家格をめぐって疎遠であった。このためか旧岩国市域の住民は山口県に帰属しているという意識は薄い。第一次長州戦争の際、萩藩と幕府側の仲裁に岩国藩主・吉川経幹(監物)が出向いた。また四境の役(第二次長州戦争)では小瀬川を挟んで芸州口の戦いの舞台となった。
明治維新後、廃藩置県で岩国県になるが、間もなく山口県に統合される。1925年(大正14)、現岩国駅周辺の麻里布地区に帝国人造絹糸の工場が建設された。以降、天然の良港である岩国港を基盤にして山陽パルプ工業、東洋紡績などが進出。「人絹町」と呼ばれる工業地帯が発展した。和木町、大竹市に跨る三井石油化学のコンビナートは日本初の石油化学コンビナートである。
昭和に入り、近隣の広島や呉や江田島と並んで、日本陸軍燃料廠や岩国海兵団などが設置され、軍事都市としての色が濃くなり、別々の町だった岩国と麻里布が合併して市制を敷いた。同市の柱島には日本海軍の錨地が置かれ、戦前、戦中を通して泊地として使われた。
戦後は軍用地跡に工場進出があり工業都市として発展を遂げる。旧日本海軍の航空基地跡に在日米軍の岩国基地も設置され、米軍の日本国内での軍事拠点の一つとなっている。このため、煙突等の高さに規制がかかり、企業の誘致が困難になった。岩国空港は米軍に接収される前は民間航空機も就航する国際空港であった。現在、民間空港再開は市民の要望であり、航空自衛隊・米軍との共用への動きが見られる。
[編集] 年表
- 1940年(昭和15年)4月1日 - 玖珂郡岩国町、麻里布町、川下村、愛宕村、灘村が合併し、市制施行により岩国市となる。
- 1955年(昭和30年)4月1日 - 玖珂郡小瀬村、藤河村、御庄村、北河内村、南河内村、師木野村及び通津村を編入。
- 2006年(平成18年)3月20日 - 旧岩国市、玖珂町、周東町、由宇町、美和町、錦町、美川町、本郷村が合併し、新設の岩国市となる。
[編集] 経済
[編集] 企業
- ココロフォーム(リフォーム業)
[編集] 主な工場
[編集] 商業
- 岩国駅前商店街
[編集] 漁業
- 通津漁港
- 黒島漁港
- 端島漁港
- 由宇漁港
[編集] 市内に在る銀行・証券の支店
- 銀行(地方銀行、都市銀行)
- 信用金庫、信用組合、JA
- 証券会社
- 東洋証券
- ウツミ屋証券
- 八幡証券
[編集] メディア
[編集] 交通
[編集] 鉄道
- 中心駅:岩国駅
- 山陽新幹線:新岩国駅
- 山陽本線:岩国駅 - 南岩国駅 - 藤生駅 - 通津駅 - 由宇駅 - 神代駅
- 岩徳線:岩国駅 - 西岩国駅 - 川西駅 - 柱野駅 - 欽明路駅 - 玖珂駅 - 周防高森駅 - 米川駅
[編集] バス路線
[編集] タクシー
- 構内タクシー
- 双葉タクシー
- 朝日タクシー
- 第一タクシー
- 通津タクシー
- にしきタクシー
[編集] 港湾
- 岩国港(重要港湾)
- 定期旅客航路
- 岩国柱島海運
[編集] 道路
[編集] 高速道路
[編集] 一般国道
[編集] 県道
- 山口県道・広島県道1号岩国大竹線
- 山口県道・広島県道2号岩国佐伯線
- 山口県道5号周東美川線
- 山口県道7号柳井周東線
- 山口県道15号岩国玖珂線
- 島根県道・山口県道16号六日市錦線
- 山口県道50号岩国停車場線
- 山口県道59号岩国錦線
- 山口県道69号徳山本郷線
- 山口県道70号柳井玖珂線
- 山口県道111号岩国美和線
- 山口県道112号藤生停車場錦帯橋線
- 山口県道113号南岩国停車場磯崎線
- 山口県道114号新岩国停車場線
- 山口県道115号通津周東線
- 広島県道・山口県道116号大竹美和線
- 山口県道・広島県道117号乙瀬小方線
- 山口県道118号牛野谷尾津線
- 広島県道・山口県道119号佐伯錦線
- 山口県道・島根県道120号須川吉賀線
- 山口県道121号羅漢山公園宇佐郷線
- 山口県道130号本郷周東線
- 山口県道131号本郷五味線
- 山口県道133号根笠周東線
- 山口県道134号秋掛錦線
- 山口県道135号北中山岩国線
- 山口県道136号上久原藤生停車場線
- 山口県道137号玖珂停車場線
- 山口県道138号周東田布施線
- 山口県道139号三瀬川下松線
- 山口県道140号獺越下松線
- 山口県道141号祖生通津停車場線
- 山口県道143号周防高森停車場線
- 山口県道144号光玖珂線
- 山口県道149号柳井由宇線
- 山口県道150号銭壺山公園線
- 山口県道320号塩田中山線
- 山口県道361号錦鹿野線
[編集] 警察
[編集] 学校
[編集] 短期大学
[編集] 専門学校
- 岩国YMCA国際医療福祉専門学校
[編集] 高等学校
- 山口県立岩国高等学校
- 山口県立岩国総合高等学校
- 山口県立岩国商業高等学校
- 山口県立岩国工業高等学校
- 山口県立坂上高等学校
- 山口県立広瀬高等学校
- 山口県立高森高等学校
- 高水高等学校
[編集] 中学校
|
|
[編集] 小学校
|
|
|
[編集] 養護学校
- 山口県立岩国養護学校
[編集] 観光
[編集] 観光地
[編集] 旧岩国市エリア
[編集] 旧錦町エリア
[編集] 旧本郷村エリア
- らかん高原
[編集] 旧美川町エリア
- 地底王国美川ムーバレー
- 観音水車でかまるくん
[編集] 旧美和町エリア
- 弥栄峡
[編集] 旧由宇町エリア
- 由宇温泉
[編集] 天然記念物
[編集] 百選
- 日本の滝百選 - 寂地峡五竜の滝
- ふるさとおにぎり百選 - 岩国寿司
- ダム湖百選 - 弥栄湖(弥栄ダム)
- 人と自然が織りなす日本の風景百選 - 日本三大奇橋・岩国の錦帯橋
- 水源の森百選 - 水源の森木谷山
- 日本さくら名所百選 - 吉香公園・錦帯橋
- 名水百選 - 桜井戸、寂地川
- 日本の歴史公園百選 - 吉香公園
- 日本100名城 - 岩国城
- 美しい日本の歴史的風土百選 - 錦帯橋周辺地域
[編集] 名物
[編集] 銘菓
- 岩まん
- 錦帯せんべい
- はす餅
- 五橋ジュレ(地酒五橋の風味入りゼリー)
- 岩国のいがもち(三木屋)
- 古田のういろう
- 錦川の鮎(蔵前堂)
[編集] 公園・遊び場
- 吉香公園
- 長山公園
- 岩国スケートパーク
- 高照寺山グリーンパーク
- 岩国運動公園
- 通津美が浦公園
- 広島東洋カープ由宇練習場(由宇球場、広島東洋カープ二軍本拠地)/由宇
- みなとオアシスゆう 潮風公園/由宇
- こどもの館 kid Museum/玖珂
- グリーンオアシス/玖珂
[編集] 行事・イベント
- 錦帯橋まつり(4月29日)
- 日米親善デー(5月5日)米軍岩国基地を一般開放、軍用機展示、航空ショーほか
- 錦川の鵜飼い(6月1日~8月31日 錦帯橋そばの錦川)
- 弥栄湖スポーツフェスティバル(7月最終土、日曜)
- 錦川水の祭典(8月第一土曜)錦帯橋周辺で花火大会
- 周防祖生の柱松行事(8月中旬)周東町祖生地区周辺 国の重要無形民俗文化財
- 岩国行波の神舞(10月中旬)行波地区 国の重要無形民俗文化財
- 岩国まつり(10月第三土、日曜日)岩国駅前周辺
[編集] 岩国市を舞台とした作品
- おはん(宇野千代)
- 水西書院の娘(宇野千代)
- 生きていく私(宇野千代)
- 河霧(国木田独歩)
- 画の悲しみ(国木田独歩)
- 欺かざるの記(国木田独歩)
- 自叙伝(河上肇)
- 朝はだんだん見えてくる(岩瀬成子)
- 額の中の街(岩瀬成子)
- 箱庭(内田康夫)
- 彼の歩んだ道(末川博)
- 錦帯橋物語(伊藤正一)
- まぼろしの木橋(かつおきんや)
- 永興寺へ~岩国の心を尋ねて~(田山千恵子)
- はじめてのひとり旅~瀬戸内海ラブ・ストーリー(村上桜子)
- いつかもうすぐ/アルバム「君が人生の時」収録(浜田省吾)
- 清河への道~48番(新井英一)
- ネスカフェゴールドブレンド(With/オペラ歌手錦織健)
[編集] 岩国市出身の著名人
- 弘兼憲史 - 漫画家
- 新保友映 - (ニッポン放送アナウンサー)
- 宇野千代 - 作家
- 藤岡市助 - 日本の電気の父(東芝創業者)
- 田中穂積 - 作曲家(“美しき天然”など)
- 田島直人 - 陸上競技選手、ベルリンオリンピック三段跳び金メダリスト
- 河上肇 - 経済学者
- 重宗雄三 - 参議院議長
- 岡本信人 - 俳優
- 森慎二 - 野球選手
- 藤井かすみ - 女子プロゴルファー
- 又野誠治 - (故人)俳優
- 魁傑将晃 - 元大相撲力士
- 琴岩国武士 - 元大相撲力士
- 平岡秀夫 - 衆議院議員(民主党)
- 福田良彦 - 衆議院議員(自民党)
- 湯浅赳男 - 新潟大学教授、経済学者、文化人類学者、環境経済学者、経済人類学者
- 末川博 - 法学者、立命館大学元総長、京都市名誉市民
- 中村克洋 - フリーアナウンサー・元NHKアナウンサー
- 塩屋紀克 - NHKアナウンサー
- 広中平祐 - 数学者(数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞)
- ターザン山本 - スポーツライター
- 三上真司 - ゲームデザイナー
- 難波圭一 - 声優
- 藤重政孝 - ミュージシャン 俳優
- 岩瀬成子 - 児童文学作家
- マシュー・キイチ・ヒーフィー - へヴィメタルミュージシャン・トリヴィアム 歌・ギター
- 沢田幸二 - KBC九州朝日放送アナウンサー
[編集] 米軍岩国基地に関する住民投票
2006年3月12日、在日米軍の再編計画の中で、市内にある米軍岩国基地への空母艦載機移転を巡って旧岩国市に置いて住民投票が行われ、反対票が賛成票を大きく上回った。詳細は在日米軍再編#岩国基地への空母艦載機移転に関する住民投票の項目を参照のこと。
[編集] その他
市外局番は0827(20~50、52~99)となっている。
- 郵便番号は、以下の通りとなっている。なお、()内の番号は実際には使用されていないが、割り当てられている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 岩国市の公式サイト
- いわくに観光ガイド - 岩国市観光課
- 岩国市観光協会公式サイト
- 岩国観光ガイドボランティア協会
- 岩国商工会議所
- 岩国駅前商店街岩国駅前商店街公式サイト「ウェブまりふ」