上海協力機構
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上海協力機構(しゃんはいきょうりょくきこう、Shanghai Co-operation Organisation;略称SCO)は、中国・ロシア・カザフスタン・キルギスタン・タジキスタン・ウズベキスタンの6か国による多国間協力組織。2001年6月15日、上海にて設立。2001年10月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)が上海で開催されたが、これに先立ち上海の存在を国際的にアピールする結果となった。第一回設立会議が上海で行われたためこの呼び名となった。
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[編集] 概要
1996年4月に初めて集った上海ファイブ(ウズベキスタンを除く5か国首脳会議)を前身とする協力機構で、加盟国が抱える国際テロや民族分離運動、宗教過激主義問題への共同対処の外、経済や文化等幅広い分野での協力強化を図る。2000年の会議にウズベクがオブザーバーとして参加し、翌年に6カ国によって発展発足した。
中国政府にとっては、ソ連一国と長大な国境線を持っていたものの、ソ連崩壊により多くの国と国境を接することになった。これらの分離独立した新興国の内情は、独立国家共同体(CIS)の影響力不足もあって非常に不安定であり、国家統制の及ばない武装勢力から中央アジアとの国境を共同で管理したい中国の思惑があったと見られ、国防上の要求もあり発足させた軍事同盟的な側面も持つ。またこれらの国に一定の影響力を持つことで、ロシアと対等な立場を保って、長期的な安全保障を確立したいものと見られる。またエネルギー問題に関しても、消費国である中国としては、石油・天然ガス産出国である中央アジアの関係を強化したいものと考えられる。
2002年6月7日、サンクト・ペテルブルグにおいて、SCO地域対テロ機構の創設に関する協定が署名された。SCO地域対テロ機構執行委員会の書記局は上海に、本部はキルギスの首都ビシュケクに設置する。また同時に、同年初頭の米ブッシュ大統領の悪の枢軸発言に始まる、対テロ戦争拡大の動きを牽制した。
SCOへの加盟の希望については、モンゴル、インド、パキスタン、アフガニスタン、イランが表明しており、2004年にモンゴル、2005年にインド・パキスタン・イランがSCOのオブザーバー出席の地位を得て、2006年6月の会合によってこれら4カ国は正式に加盟する見込みである。これによって、SCOは中国の国境対策の機構から、中国・ロシア・インドといったユーラシア大陸の潜在的大国の連合体に発展することになり、アメリカに対抗しうる非米同盟(反米ではないことに注意、また当事者がそう断言しているわけではなく、同盟の強制力はない)として成長することは、アフリカや南アメリカの発展途上国・資源国から歓迎されている。また、印パ両国が加盟することで、中印パ3国間の対立の解消も期待されている。2005年にはロシアが中国・インドと相次いで共同軍事演習を行った。
なお、アフガニスタンはカルザイ政権が半ばアメリカの傀儡であるとされ、加盟を拒否されている。
[編集] 加盟国
- 原加盟国
- オブザーバー加盟国
- 加盟申請国
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 上海協力機構公式サイト(中国語、英語、ロシア語)
- ジェトロのSCO紹介記事